終盤に波乱　またも甲子園であと1人から逆転勝ち

甲子園にあと1人コールが起こる中、執念の逆転劇。初回に佐野が20号ソロで先制。しかし、その裏すぐに大山の内野ゴロ間に同点とされる。2回以降は青柳と上茶谷が立ち直り、投げ合いが続く。6回に牧のタイムリーで勝ち越すと、6回から継投に入る。入江、伊勢が無失点で繋いだが、エスコバーが捕まり、陽川のソロで追い付かれると、原口と佐藤輝のタイムリーで2点のリードを許す。それでも9回、岩崎から連打でチャンスを作ると、桑原、佐野、楠本のタイムリーで再逆転。最後は山崎がピンチを断って鮮やかな逆転勝ち。

ポジ

先発の上茶谷は、1点をもらった初回、先頭の中野にレフト前ヒット、糸原を歩かせてノーアウト1、2塁のピンチ。前回と同じ状況を作ってしまったが、近本はバントで1アウト2、3塁となった。ここで大山のサードゴロ間に同点とされたが、原口を打ち取って1点で切り抜けた。

3回は先頭の青柳にヒットを許したが、中野のセカンドゴロで森が強肩を見せ付け併殺に取った。5回も近本にヒットを打たれたが、大山と佐藤輝から三振を奪い、切り抜けた。5回を投げて77球3安打1失点。6回表に牧のタイムリーで勝ち越し、6回裏から継投に入った為、降板した。もう少し投げて欲しいところではあるが、現状の信頼度では仕方ないか。

勝利投手の権利は持っていたが、エスコバーが逆転されて勝ち負け付かず。次回は立ち上がりに気を付けながら、6回、7回と任せてもらえるような投球を見せて欲しい。球威で何とかなるボールではないので、もう少しコースへの投げ分けをきっちりとしたい。

佐野が4安打。先週末の広島戦あたりから上昇傾向ではあったが、一気に結果が付いて来た。初回は、前日に続いて2打席連続ホームラン。青柳のツーシームをレフトスタンドへ運び、青柳もあれが入るのかといった表情だった。2020年以来、2年ぶり2度目の20号となり、自己最多となる21号も見えて来た。

6回に勝ち越し点に繋がるセンター前ヒットを放ち、8回も先頭でヒットを打って猛打賞。9回は、1点差に迫り2アウト1、2塁という場面で、球場からあと1人コールが起こる中、ライト前に運び、阪神ファンから悲鳴が上がる同点打。9月の打率が2割を切っていたが、この固め打ちで.235まで回復。揺り戻しで上がって来ることは予想されたが、V字回復となるかも知れない。

エスコバーが逆転され、2点ビハインドの9回。岩崎からは6月30日にハマスタで逆転サヨナラ勝ちしているとは言え、精神的にも逆転のダメージは大きいかと思われたが、この日は青柳対策で途中出場となった宮崎が先頭でヒットを放ち、代打の大田もライト前に落として続いた。

ここで関根にはバントかと思ったが、2ボール1ストライクからバスター。ライトへの深いフライだったが、佐藤輝が追い付き、宮崎がタッチアップして1アウト1、3塁。この日は、バントをしてもなかなか得点に至っていなかった。引っ張ることはできたが、フライとなってしまい、大田が進めなかった。それでも、諦めずに攻めるというメッセージにはなった。

桑原が詰まりながらライト前に落とし、宮崎が還って1点差。代打のソトを送るも、気負って高めのボール球に手を出して空振り三振。2アウトと追い込まれたが佐野が同点打。牧には際どいコースを突き、無理に勝負しなかった。

2アウト満塁となって楠本。左腕の岩崎に対して、得点圏の鬼である大和もまだ残っていたが、最近好調の楠本に期待し、そのまま打席に送った。初球のスライダーを捉え、ライト前ヒット。逆転の一打となった。9月は.438で、この日は宮崎に代わって5番に入ったが、最後の打席でポイントゲッターとしての役割が果たせた。

チーム一丸となり、土壇場で執念の逆転。9回裏のマウンドには当然、山崎が上がる。先頭の梅野が2球目のスプリットにタイミングが合わず、打ち上げた。セカンド後方へのフライだったが、牧が深追いしすぎて落球。エラーとなりノーアウト2塁の大ピンチ。大田が追い付いていたので任せた方が良かった。

続く島田はバントの構えを見せていたが、スプリットをファウルにしてしまい、スリーバント失敗。中野は当たり損ねのピッチャーゴロで、俊足を考慮して少し力を入れた送球をしたところ、ボールが逸れたが事なきを得た。最後は糸原に150キロ超のストレートを投げ込み、3球三振。

味方のエラーもカバーしてリードを守った。まさに絶対的守護神の活躍で35セーブ目をマークした。残り12試合。自己最多の38セーブを目指し、現在37セーブのマクガフとのタイトル争いに割り込みたい。

ヤジ

3回は、森がヒットで出塁し、上茶谷はバントだったが3ボールとなり、フルカウントまで戻すも歩かせてしまった。ノーアウト1、2塁から桑原にバントのサインも、ボールが転がらずに三塁が封殺。神里が歩いて1アウト満塁としたが、佐野が当たり損ねのピッチャーゴロ。併殺というタイミングだったが、青柳の送球が浮いて、ホームのみアウトになった。

2アウト満塁で牧のカウントは3ボール1ストライク。投手にとっては苦しい場面だったが、牧は低めのボールゾーンに沈むツーシームに手を出してサードゴロ。有利なカウントで、積極的にとにかく何でも行くというのではなく、しっかりと絞って自分の打てるボールを待って欲しい場面だった。

6回は、今度は牧がインサイド低めのツーシームをきっちりと捉えて、勝ち越しタイムリー。なおもノーアウト1、2塁で、当たっている5番の楠本にバントを命じた。これは成功し、1アウト2、3塁となったが、伊藤は浅いライトフライ、代打の宮崎も浜地の前に三振に倒れた。

青柳はそれほど良くないように見えたが、2点で凌がれてしまったという印象。本来であれば、この2イニングにもっと得点を取って、楽に上茶谷へ勝利を付けることができたはず。まだまだ打線は本調子から程遠いが、9回の集中打で潮目が変わってくれれば良いが。

キジ

エスコバーが逆転され、覚悟を決めたが、9回表に宮崎のヒットから岩崎を攻略し、あと1人コールが起こった場面から逆転勝ち。4月6日にも伊藤将があと1人で完封という場面で、牧が同点タイムリーを放って延長戦に持ち込み、逆転勝ちした。またも甲子園のあと1人コールから悪夢に変えた。

終盤は乱れて、ぐちゃぐちゃな展開になったが、終わってみれば、火曜日だった。これで火曜日は8連勝で19勝4敗、勝率はなんと.826という異様な数字だ。その分、土日に負けてしまっているが。

甲子園も今シーズンはこの日が最後。台風14号の影響で新幹線が一部運転見合わせとなり、前日のデーゲーム終了後には移動できず、この日に当日移動。そして、21日にはすぐに横浜へ戻り、ハマスタで読売戦のナイター。だが、土壇場の逆転劇で気分良く移動できるだろう。

阪神戦もこの試合で全25試合を終えた。8年連続で連続で負け越していた阪神戦で、16勝9敗と大きく勝ち越した。予想もしなかった結果になった。

2013年 14勝10敗
2014年 8勝16敗
2015年 11勝14敗
2016年 9勝15敗1分
2017年 10勝14敗1分
2018年 8勝17敗
2019年 8勝16敗1分
2020年 9勝12敗3分
2021年 11勝14敗
2022年 16勝9敗

2013年は、交流戦が24試合制でセ・リーグの各チームとは24回戦だった。2014年から交流戦18試合、リーグ戦各25回戦という今の形になった。25回戦となってから初の勝ち越しということになる。

この日はヤクルトが敗れたためマジック6は変わらず。週末の神宮3連戦で胴上げを阻止するためにも負けられない。21日からの読売戦で1つでも勝てば、ヤクルトが中日に連勝したとしてもマジックは3。神宮で1つ負けたとしても目前での胴上げは阻止できる。若干弱気な話にはなるが、この逆転勝ちで勢いが付き、一気に残りも5連勝というような形になれば最高だが、まだまだ不安な点は多い。

21日はガゼルマンが2度目の先発。前回のバンテリンドームでは7回無失点の好投だった。来日初登板で4失点と苦い思いをしたハマスタで、どんな投球ができるか。相手は初物に弱いとされる読売。読売はシューメーカーが8月17日以来の先発だが、DeNAとは初対戦となる。来季の契約に向けても正念場となる登板だけに気合も入っているだろう。お互いに初対戦なので、どういう結果になるか。