08/01 広島東洋2-1横浜DeNA(マツダ)
月が変わったが、同じような光景が繰り返された。先発の石田裕は、2回までパーフェクトピッチングだったが、3回に3本のヒットで満塁とされ、中村貴のショートゴロが森敬の野選となり先制点を奪われる。大瀬良から2度の満塁のチャンスを作るも、得点を奪えずにいた打線は、6回にフォードのタイムリーで同点に追い付く。しかし、8回に中川虎が菊池にしぶとく勝ち越しタイムリーを打たれ、9回の反撃は牧がファウルフライに倒れ、8連敗となった。
ポジ [Good]
得点が取れずに8連敗ともなると、ヒットを1本、2本打っただけでポジるのも難しくなって来る。牧は先頭打者だった4回、6回は二塁打と内野安打で出塁してチャンスメイク。しかし、4番として肝心のランナーを置いた場面では力みが目立って凡退した。
フォードが、この日唯一の得点となったタイムリーを放った。4回に牧と宮崎が出塁し、山本が送った1アウト2、3塁で大瀬良のインサイドへのカットボールに差し込まれ、セカンドフライ。ランナーを還すことができなかった。6回に再び同じシチュエーションで回り、2球で追い込まれたが、アウトサイドのカットボールに何とか合わせ、詰まった打球はレフトの前に落ちた。内容はともかく、一本出たことを良いキッカケにしてもらいたい。
柴田が途中から宮崎に代わってサードに入り、9回に栗林からヒットを放った。開幕から6月までヒットが出ずに苦しい時を過ごしたが、7月以降は6打数3安打と実は好調。出番は限られているが堅実な守備だけでなく、バントやヒット、四球での出塁などで貢献できる選手。もっとうまく活用したい。
石田裕は、チームが7連敗という状況の中、自分らしく攻めの投球を見せた。2回までパーフェクトピッチング。持ち味のコントロールが冴え、低めの変化球が効いた。3回はヒットが続いてしまったが、打ち取った当たりでの先制点は気の毒だった。4回は逆に會澤のレフト線の二塁打でホームへ突入したところを中継プレーで刺してもらった。
5回を三者凡退で終えていたので、6回まで投げて欲しいところではあったが、チャンスで打席が回ったために代打が出て交代した。現状では5回まででもゲームをしっかりと作ってくれる先発は貴重。負けが付かない点も先発として重要な要素。次回も引き続きバンテリンドームでの登板になるだろうか。
ウィックは、この日も好投。フォードの悪送球でランナーを1人出したが、3三振を奪う投球だった。カーブをカウント球だけでなく勝負球としても使えるようになって来たので、緩急が使えてストレートで空振りが取れる。かなりボールの精度は上がって来ているようなので、今後も期待したい。
ウェンデルケンは復帰していきなり連投となった。一番良い時に比べるとまだまだというところだろうが、ストレートも球威が感じられるし、チェンジアップを低めに決められた。2日はジャクソンが先発し、オースティンが登録されると思うので、ウィックがベンチ入りでウェンデルケンが外れると思われる。1日休んで、また好投を見せて欲しい。
ヤジ [Bad]
先制点はまたもミスということになった。3回裏2アウト満塁で中村貴が、やや浮いたアウトサイドのシンカーを弾き返したが、打球はショートの守備範囲。森敬が捕ってベースカバーに入った牧にトスしたが、一塁ランナーの野間の足が同時に二塁ベースに入り、セーフとなった。
リクエストするも覆らず、先制点を許す結果となった。打ち取った当たりだし、フィルダースチョイスという記録になっているので、アウトにしなければならないし、ミスということになるのかも知れないが、打球が飛んだ位置からして二塁でフォースアウトを取りに行くのは普通のプレー。ただ、やはり野間が異常に速かった。
問題は一塁ランナーの野間の速さが頭に入っていたかどうか。そして、牧の守備位置の確認。森敬の動きに緩慢な点はなかったように見える。牧がベースに入るのを少し待った一瞬でセーフになってしまった。フルカウントであれば自動スタートなので、最初から一塁に投げていただろう。土のグラウンドでランナーの動きを見る余裕はないと思う。牧にトスをしようとした一瞬で一塁への送球に切り替えるのは難しいし、悪送球のリスクが高まる。
やはりアウトにできるとしたら、牧が二塁ベースから離れた位置に守っていること、野間の足が速いことから、自分で踏める距離でなければ一塁への送球をするつもりで準備することだっただろう。正直、これはかなり難しいことだと思う。野間の走塁を褒めるべきプレーかなと思う。
4回に1アウト2、3塁からフォードが内野フライに倒れた場面で森敬に打順が回ったが、ここで京田を代打として起用した。次が石田裕のため歩かされる場面なので驚いた。しかも、スタメンで京田を選択しなかったにも関わらず、前日に続いて不可解な起用だった。
試合後、懲罰交代であったことを三浦監督が示唆した。この日のプレーだけではないのだろうが、前述の通りミスとも言い切れないプレーで、普段はあまりやらない懲罰交代。やりやすい対象にやっただけにも思えるし、ここでやることは選手を委縮させることなのか。もっとやるべきことはあるのではないか。
ベンチのバタバタはまだ続く。5回、先頭打者としてヒットを放った梶原が、牽制球で刺された。石井コーチは、すぐさまリクエストを要求。試合の流れの中でも重要なランナーだし、セーフという確信があったのだろう。しかし、ベンチは何も動かない。ベースに残ったままの梶原が、白井塁審に促されてベンチに戻される。
3回に先制点を奪われた時にリクエストをしていて、残り回数が1回しかなかった。ここでリクエストして失敗に終わった場合、4回にして2度の権利を失うことになる。ベンチのここで使わないという判断も間違いではないのだろう。だが、石井コーチのアピールを無視しているかような形になって、チームに亀裂が入りそうな雰囲気だった。
こういうケースは、使うかどうかは監督判断なのでそれに従うしかない。すぐに直接話せる距離でもないし時間もないが、もう少し事前にリクエストしないケースについて想定しておくべきだった。おそらく、後で三浦監督と石井コーチの間で話がされたと思うが、そうでなければチームとして瓦解しかねない。
6回には宮崎が死球を受け、怒りで声を荒げながら大瀬良の方へ少し歩み寄るシーンがあり、両軍のベンチから監督、コーチ、選手が飛び出した。宮崎は4回の打席でも抜けたストレートが体の近くに来て、避けて転倒している。その後の2球もインサイドの高めに来ていて、伏線があった。
ノーアウト2塁で、ベースが一つ空いている中でこういったボールが来たこともあるし、連敗中でフラストレーションもたまっているだろう。宮崎が怒ることは非常に珍しいし、一塁に歩いた後も大瀬良を睨み付けていたのが印象的だった。
4回に転倒した際にむち打ちのような症状が出たことから、6回裏の守備から柴田と交代した。死球はエルボーガードに当たったように見えたし、その後に三本間に挟まれた際も他のランナーを進ませる走塁がきっちりとできていた。首の状況が今後に影響しなければ良いのだが。
この日、マルチヒットだった梶原。3回のレフトフライも中村貴のスーパーキャッチに阻まれたが、二塁打になってもおかしくなかった。だが、走塁は依然として課題が残る。盗塁に関しては、最近は走れていないが成功率は高い。だが、打球判断がかなり悪いのが目立つ。
7回は梶原の内野安打でノーアウト1塁となり、蝦名にはバントのサインが出た。初球を上げてしまい、キャッチャーへのファウルフライとなった。梶原は、投球と同時にリードオフを取り、打球を見たが、何故か一旦進んでしまった。誰もいないところに落ちるように見えたのだろうか。
守備で落下点を見誤ることはそれ程ないのだが、打球がどこに落ちるか判断できていないのか、視力が悪いのか。今回の蝦名のバントはそこそこの高さまで上がってしまったので、スタートを切ること自体が考えられない。ここは、會澤から一塁への送球が逸れて併殺にならずに助かった。
前述の通り4回に牽制死が1つあるが、9回にも危うく牽制死で試合終了となるところだった。この場面、チョロチョロするところじゃないとポストしている人がいたが、盗塁を狙っていたとか、投手にプレッシャーをかけていたとかではなく、牧がヒットを打った際に還れるよう、少しでも良いスタートを切るためのリードオフ。
ただ、当然ながら刺されてしまえば試合が終わってしまうので、慎重さも兼ね備えていなければならない。以前、甲子園でも初回に牽制死で流れを変えてしまったことについて、三浦監督から苦言を呈されていた。積極的な走塁、好走塁と紙一重な部分はあるし、思い切りが重要な場面もあるが、ここではない。もう少し状況判断、打球判断を良くして行かないと、せっかくの打力、走力が生きて来ない。度会もそうだが、走塁技術の向上は今後の課題になる。
最後に、牧。昨年は打点王に輝き、ルーキーイヤーから勝負強さを発揮して来た。プロ入り前から打点を意識し、セールスポイントもチャンスに強いことだった。今年は、新キャプテンになり、いろいろと背負うものが大きくなった。明るいし、おふざけでムードメーカーにもなっているが、真面目な性格。特に連敗の現状で何とかしなければという意識が強過ぎるのだろう。
前述の通り、チャンスでなければヒットも出ているし、9回6点差という場面ではホームランも出ている。ここぞの場面で力が入り、本来のバッティングができていない。これは牧が自分で乗り越えるしかない。ケガで戦列を外れた際に、6番で復帰したことはあるが、基本的に牧の4番だけが固定になっている。
村上も2番に入っていたし、大山も4番を外れた。牧を動かさず、他をコロコロとイジっているが、得点が入らないことは変わっていない。どこを変えるべきかは明白のはず。オースティンが戻るタイミングでも動きはないのだろうか。
チャンスの場面では力が入って引っ張り傾向が強過ぎる。牧の本来のバッティングであれば、右方向へ打てるはず。自分の長打で決めようとしないで、ライト前ヒットで繋ぐようなイメージで、落ち着いて打てると良いのだが。良い意味で開き直って欲しい。
キジ [Other]
初戦で玉村を打てず、プロらしからぬ守備のミスから一気に5点を取られて敗れた時点で、ある程度覚悟していたスイープそして8連敗。無理にでも9回に飛び出した牧の3ランを明日への希望としていたが、やはりホームランはその場の得点としては大きいが、勢いが次へと続いて行くものではない。
過去のことを言っても仕方ないが、牧がタイムリーを放ち、宮崎も続いて栗林を引きずり出すというところまで行けばまた違っていただろう。負けるにしても、そういう展開が欲しいところだが、何もキッカケがつかめず、勢いも出ない。
床田からはヒットは出たが、拙攻で残塁の山。大瀬良からもチャンスは作れたが、やはり一本は出ない。この二人の防御率が示す通りの試合だった。8月に入って流れや雰囲気が変わることを期待したが、変わらない拙攻、そしてミスが失点に結び付く負の連鎖。
こういう状況になって懲罰交代、そして石井コーチからのリクエストを拒否というか無視。もう少しやり方というものがあるように思うが、選手起用も含めて、監督を中心とした首脳陣が一番焦っていて、それが表に出てしまっている。連敗が続いた中での選手のプレッシャーを和らげる役割をしなければならない立場の人間がこれだけバタバタしていては、何とかなるものもならない。
8連敗でハマスタに戻り、阪神との3連戦となる。先週末、裏ローテでスイープを食らい、強いと感じた読売が、表ローテで乗り込んだにも関わらずスイープされた。この勝負どころで7連勝をして来るあたり、さすが昨年の覇者。ネガティブに捉えれば、読売に1つも勝てなかったDeNAが阪神に1つ勝つことさえ至難の業に思えて来る。
再び身に付ける「弱者」だった1955年をオマージュした神奈川ユニ。8連敗の絶望的な状況でどこまで食い下がれるか。最悪の状況がチラつくが、覚悟を決めて見守るしかない。どうやらオースティンがここから復帰できそうだが、雰囲気を変えられるか。ベイスターズらしい試合を見せて欲しい。
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