08/18 横浜DeNA2x-1読売(ハマスタ)
先発のケイは、4回まで3度先頭を出す苦しい投球。4回は3四死球で1アウト満塁のピンチを背負うが、浅野と小林を内野ゴロに打ち取って切り抜けた。菅野からチャンスを作れない打線は、6回に梶原が初球のスライダーを捉え、ライトポール際へ先制2号ソロ。7回から継投に入り、ウェンデルケンから伊勢に繋ぐが、8回途中から代わった山崎が坂本にタイムリー二塁打を打たれ同点。そのまま延長戦に入り、11回にオースティンが20号サヨナラホームランを放って終止符を打った。
ポジ [Good]
オースティンはこの日、菅野の落ちるボールに苦しむなど、3三振で4打数ノーヒットだった。しかし、延長11回に先頭打者として打席に入り、この回から代わった平内の初球、アウトサイド低めを狙ったストレートが真ん中に入ったところを逃さなかった。
この試合の中でも1球しか来なかった甘いボールを完璧に捉えた。打った瞬間確信する、力強いライナーがレフトスタンドに突き刺さった。上段まで行ったと思ったが、意外と中段よりも少し下くらいだった。それでも文句なしの一撃で、苦しい試合にケリをつけた。
この一振りだけでヒーローになれるのが野球。前日は、筒香の死球でエキサイトしていたが、この日の試合前には大城ら読売の選手たちともコミュニケーションを取っていた。おそらく誰かを通じて伊藤にも話をしたのではないだろうか。ファーストでもランナーと会話するナイスガイ。仲間想いが一触即発の状況を呼んだが、そういった騒動も結果で払拭して見せた。
9回までにウェンデルケン、伊勢、山崎、森原を使い切った中での延長戦。リリーフの陣容からすると、読売にかなり分があるかと思ったが、ウィックが回跨ぎの好投で救った。10回は丸にカーブを打たれ、レフト前ヒット。バントで送って1アウト2塁となったが、モンテスをストレートで空振り三振。岡本和は申告敬遠し、代打の長野には低めギリギリのストレートで見逃し三振。
回跨ぎの11回は、先頭の門脇にペイオフピッチとなったが、当たり損ねのピッチャーゴロを好フィールディングで捌き、三者凡退に抑えた。ヒーローインタビューはオースティンだけだったが、3勝目を挙げたウィックも十分にその価値があった。7月以降は防御率2点台となり、勝ちパターンに入っても良いくらいの投球を見せている。複数イニングも投げてくれるし、欠かせない投手となっている。
梶原が連日の3安打猛打賞。この日も初回にセカンドへの内野安打を放ち、これで5試合連続で初回にヒットを放っている。なかなか得点に繋げられていないところが課題ではある。
6回には、菅野の初球のスライダーが甘く入って来たところを完璧に捉え、打球はライナーでライトスタンドへ届いた。今季2号、プロ通算3号だが、もともとハマのギータと呼ばれるように長打力もある選手。ヒットがコンスタントに出るようになって、思い切りのよいスイングも出始めた。
今週の爆発は本当に凄いものがあった。8月の成績は以下の通り。
日 | 相手 | 球場 | 打 | 安 | 点 | 振 | 球 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
1 | C | マツダ | 5 | 2 | 0 | 1 | 0 | 三振 | 左飛 | 右安 | 一安 | 捕ゴロ | |
2 | T | 横浜 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 一ゴロ | 中安 | 左飛 | |||
3 | T | 横浜 | 5 | 1 | 1 | 3 | 0 | 左安 | 三振 | 三振 | 三振 | 二ゴロ | |
4 | T | 横浜 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 三振 | 遊直 | 三邪飛 | 二ゴロ | ||
6 | D | 岐阜 | 5 | 1 | 0 | 3 | 0 | 右安 | 三振 | 三振 | 二ゴロ | 三振 | |
7 | D | バンド | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 右安 | 三振 | 三振 | |||
8 | D | バンド | |||||||||||
9 | S | 横浜 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 中安 | 右本 | 遊安 | 三振 | ||
10 | S | 横浜 | 6 | 5 | 2 | 0 | 0 | 二ゴロ | 左安 | 中安 | 右3 | 左安 | 右安 |
11 | S | 横浜 | 4 | 2 | 0 | 1 | 0 | 三振 | 中安 | 右2 | 左飛 | ||
12 | C | マツダ | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 右2 | 右安 | 二失 | 中飛 | 投ゴロ | |
13 | C | マツダ | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 左2 | 左飛 | 二併 | 遊ゴロ | ||
14 | C | マツダ | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 一安 | 右安 | 左邪飛 | 二ゴロ | 投犠 | |
17 | G | 横浜 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 左安 | 二ゴロ | 右安 | 右安 | ||
18 | G | 横浜 | 5 | 3 | 1 | 1 | 0 | 二安 | 左安 | 右本 | 三振 | 中飛 |
7月も打率.361、OPS.803の好成績を残していたが、8月に入って少し調子を落としていた。3日の阪神戦から4試合で9三振。8日はスタメンから外れ、出番がなかった。だが、この休養が奏功したのか、相性の良いヤクルト戦で1試合5安打を含む大活躍。そのままのバッティングが続き、9日からの8試合では36打数21安打で.583の大当たり。
7月は61打数27安打で.443、OPSは1.066と凄まじい数字。残り11試合が予定されているが、大きく調子を落とさない限り月間MVPは十分に狙える状況だ。2020年9月に梶谷がマークした球団の月間安打数42の更新も期待される。前回の対戦で苦戦した中日戦、打率.227と打てていない阪神戦が鍵になるだろう。
ケイは、6イニングで4度先頭打者を出塁させた。そのうち2つは四球。そして、4回は2つの死球で満塁のピンチを迎えた。しかし、これまでに見られていたストライク、ボールの判定に対してのリアクションや、歩かせてしまった時のイラつきを表すことなく、終始冷静に投げることができていた。
ケイは、試合では闘争心が強いが、普段は穏やかでクレバーなナイスガイ。向上心も高いので、自分の投球を分析し、チームもメンタルスキルコーチを始めとしたスタッフがサポートしたのだろう。この落ち着いた投球で6回無失点の結果を出せたことは、彼にとっても一つ成長できただろうし、手応えもあったかと思う。今回は援護が少なく、勝ち投手の権利は消えてしまったが、次回以降どんな投球を見せるか楽しみだ。
ヤジ [Bad]
6回99球のケイを降板させ、7回から継投に入る決断をした。ランナーを出しながらも粘っていたが、苦しい投球が続いたので、この判断は妥当だと思う。ただ、ここ最近は7回を山崎、8回をウェンデルケンが務めて来たが、この日は7回にウェンデルケンが登板した。
8回を投げていたわけだから、現状はクローザーの次に信頼できる投手がウェンデルケンということになる。仮に7回が中軸に当たるということであれば、柔軟に7回をウェンデルケンにすることも理解できるが、7番からの打順だった。データ上、ウェンデルケンが読売の中軸にネガティブなものがあるのだろうか。
確かに、この日のウェンデルケンはコントロールが乱れていて、先頭の浅野にボールが先行した。真ん中のストレートを捉えられたが、押し込んでセンターフライに取ったが、2アウトから代打大城に初球を捉えられ、左中間を破る二塁打。丸も何とかセンターフライに打ち取ったが、あまり良くはなかった。この日の調子がブルペンから伝えられ、登板の順序を変えたのだろうか。
8回に登板したのは伊勢だった。前回は、山崎がピンチを迎えた場面で復帰登板となり、1人を打ち取っている。しかし、復帰2戦目の登板がいきなり1-0の8回というのは少し理解しがたい。しかも左の吉川から始まるところで、案の定力んだのか歩かせてしまった。
モンテスにはインサイドのストレートを打ち返されたが、力で押してレフトフライ。ここで三浦監督が出て山崎への交代を告げた。最初からモンテスまでと決めていたようだった。となると、ハマスタで5割以上打たれているモンテスに伊勢をぶつけるがための継投になっていたというのだろうか。
このイニングに伊勢と山崎を注ぎ込んでしまうと、9回は森原としても、延長戦になってしまったら勝ちパターンが一人もいない。結果として、ウィックが2イニングを抑えてくれたが、投げてみないと分からない側面もある投手で、僅か1点のリードで延長戦を考慮できていない継投が結果オーライだったとしか思えない。
山崎は、岡本和に対してはスプリットで空振りを取った後、アウトサイド低めのコーナーに最高のストレートを投げ込んだ。見逃し三振となり、岡本和も参ったというようにベンチへ戻って行った。
坂本にも同じような投球を期待したが、1ボール2ストライクからアウトサイドへのストレートが2球外れ、最後はスプリットで勝負したが、低めへ落とし切れなかった。歩かせて得点圏に走者を進めたくないという気持ちが出てしまったと思う。サードの横を鋭く抜く打球で、自動スタートを切っていた吉川はホームを突く。深めの守備位置から追い付いた佐野が、中継の林に送球するも逸れ、林が捕れなかった。吉川が同点のホームを踏み、慎重を期した継投の甲斐なくケイの勝ち星は消えてしまった。
ただ、同点に追い付かれたのは継投や山崎の投球だけの問題ではなく、坂本のサードの横を抜く速い打球で吉川の生還を許したことだ。山崎に責任があるとすれば、良い形で追い込みながら決め切れず、ペイオフピッチとしてしまったこと。これによって吉川が自動スタートとなり、長打で還る可能性が高まった。
そして、坂本へのスプリットが低めに投げ切れなかったこと。岡本和にはストレートもスプリットも良いボールが投げられていたのに、坂本には続かなかった。再現性、集中力のどこに問題があるのかは分からないが、10球前後で1イニングを抑え込むのがセットアッパーの役割なので突き詰めて欲しい。
1点差で2アウト1塁という場面で、外野は長打での生還を防ぐために深く守り、左中間と右中間を詰める。ファースト、サードはライン際を抜かれないように守る。そのため、坂本の強烈な三遊間のゴロは京田がダイビングするも届かずに抜けて行った。左中間に寄って深く守る佐野は、ボールへの到達が遅れる。スタートを切っていた吉川は三塁を回ってホームへ突入した。
タイミング的には厳しいところだったが、佐野の送球が逸れ、林がジャンプするも捕れず。送球はホームまで到達することなく、同点となった。記録は坂本に打点が付くタイムリー二塁打となったが、個人的には佐野に悪送球のエラーを付けたい。前述のような焦りを生む背景はあるにせよ、きっちりと林へ送球できれば刺せるタイミングだったはず。
ベンチとしても、8回裏は1番からの打順であり、まだ1-0で逃げ切るゲームと判断するのは難しく、佐野を守備要員に代えていなかった。よりによってその位置へ飛ぶかという打球で、ツキもなかった。
9回裏は、先頭の牧が死球を受けてノーアウト1塁。ここで山本にバントをさせた。リーグ7位の打率をマークしている選手だが、一打サヨナラの場面になれば外野も前に出るという部分もあるので、ここはベンチの考え方次第。だが、続く京田に代打筒香を起用。当然ながら読売は申告敬遠。林の打席では左腕に代えて来る。林には代打はなく、そのまま打って凡退。投手のところで蝦名を起用したが、高梨のインサイドへのスライダーを3球空振りし、三振。
申告敬遠されると分かっていたはずなのに、代打起用。後ろに宮崎などの有力な打者が控えていればまだ分かるが、既に7回で起用していた。仮に京田がそのままだったら、そこで左腕の高梨に交代し、代打の蝦名や西浦を送ることができた。左腕でも打てると思うなら勝負せざるを得ない場面で筒香を起用すればいい。筒香を使わずに11回を終えたくなかったのか理解に苦しむが、9回の攻撃は三浦監督の野球を象徴していたという印象。
最終的には監督采配の要らないホームランで決着。継投にしても、1点を取る攻撃にしても、采配をウィックとオースティンがカバーし、勝つことはできた。だが、接戦での弱さが浮き彫りになる展開だった。
キジ [Other]
ハーラーダービートップに立つ菅野が相手なので、苦戦が予想された。ケイが思っていたよりも遥かに落ち着いた投球で、6回まで無失点に抑えてくれたので、勝てるとしたら1-0のまま逃げ切りと思った。しかし、不可解な継投と守備のミスで追い付かれ、リリーフ勝負では厳しいかと思ったが、ウィックがチームを救う2イニングの好投を見せ、オースティンが決めた。
日曜のハマスタで勝つのは6月9日以来で、2度目。現状の日程では日曜のハマスタは残すところ9月22日だけ。苦しめられた日曜から一時解放され、穏やかな48時間となるだろうか。今後はビジターで勝てるようにしたい。
初戦を流し、2戦目で井上にまたも敗れた時点で厳しいかなと思ったが、神奈川ユニフォームの最終日で菅野を相手に勝てたのは、CSを諦めない上では大きかったのではないか。上とのゲーム差よりもまず、5割に戻すことがとにかく重要。4つある借金をどうにか返済するためにも、カード勝ち越しを重ねて行きたい。
20日からは、ハマスタの中日3連戦で、横濱漢祭が行われる。角田総長に気合を入れてもらって、何とか勝ち越したい。初戦は防御率のタイトルを狙い、ハーラーダービーでも2位タイにつけている高橋宏斗の先発が予想される。DeNAは、中6日で東、ジャクソン、読売3連戦での先発が雨で飛んだ大貫という先発投手の顔ぶれになりそう。中日戦では特に先発投手の安定が勝敗を左右するので、HQSを目指して投げて欲しい。
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