09/29 阪神7-6横浜DeNA(甲子園)
初回に佐野のタイムリーで先制し、3回にも佐野のタイムリー二塁打で2点をリード。しかし、東が5回に中野のタイムリーで同点とされる。6回に宮崎の2点タイムリー二塁打と牧の本盗で3点を勝ち越し、7回表にも牧のタイムリーで4点リードとする。東は5回で降板し、6回から登板した中川颯が回跨ぎで7回裏も続投するが、1点を失ってノーアウト1、3塁でディアスに交代。ディアスが2アウトを取り、森下のところで伊勢を投入するが、大山のタイムリーで1点差とされ、佐藤輝の2点タイムリー二塁打でこの回5点と大逆転を許す。9回のチャンスであと一本出ず、痛い星を落とした。
ポジ [Good]
佐野が4安打2打点の活躍。初回は、1アウト3塁から前進守備の二遊間を抜く先制タイムリー。3回には1アウト1、2塁で才木のアウトサイドのストレートを上手くレフトの左へ運んだ。二塁ランナーが投手の東だったので、楽に還れる一打になった。だが、佐野は二塁を狙って挟殺された。ホームには送球されないタイミングで、1アウト1、3塁ならさらなる追加点が狙えただけに、これは反省点。だが、これで7試合連続ヒットとなり、終盤に佐野の状態が上がって来たことは頼もしい。
宮崎が6回に勝ち越しとなる2点タイムリー二塁打を放った。直前の牧のセンターオーバーの打球は、近本が捕れそうなフェイクを入れ、桑原はノーアウトだったこともあって犠牲フライで三塁へ進むことを重視し、二塁ベース付近で見ていた。打球が近本の頭上を越えてからスタートしたが、還れなかった。それをカバーし、宮崎らしいストレートを右方向へ運ぶ一打だった。
その後、スクイズの場面でワンバウンド投球を後逸したため、ダブルスチールという記録になり、宮崎にプロ2つ目の盗塁も記録された。昨年、ヒットエンドランが盗塁という形になったが、それまではこうしたプレーもなかった。思わぬ形で2年連続の盗塁となった。
梶原も久しぶりの3安打。7月、8月の打率.360という絶好調から9月は1割台まで落ちる不振を味わったが、前の試合でマルチヒットをマークし、この試合では2本の二塁打とゲラの速球をセンターへ弾き返すバッティングを見せた。1番打者の復調はチームにとって明るい材料。
牧は9月に4割近い打率を維持しており、この日もマルチヒット。7回には貴重な追加点となるタイムリーを放った。同じく9月は4割近い、残暑漢の桑原もマルチヒット。1番から4番までが全員マルチヒットで11安打を放った。逆転は許したが上位打線が活発になっており、この日はベンチスタートのオースティンが復調すれば得点力は申し分ない。
ウィックに代わって1軍に昇格したディアスが、いきなりノーアウト1、3塁のピンチで登板となった。近本には初球ストレートを捉えられたが、桑原が追い付いて犠牲フライ。中野はファーストゴロに打ち取り、ベースカバーが遅れたが、佐野のファインプレーで事なきを得た。ベースカバーは反省だが、タフな場面で投げた経験は今後に繋げてもらいたい。
ヤジ [Bad]
2点を先行するも、東が5回に追い付かれてしまった。だが、6回にノーアウト満塁から宮崎の2点打で勝ち越し、スクイズが空振りになるも結果的に牧のホームスチールでさらに1点。7回にも牧のタイムリーで4点リードとし、勝利に向けて良い展開で進んでいた。
6回裏に中川颯が7球で投げ終えた。7回表はその中川颯から始まる打順だったので、おそらく最初から回跨ぎの予定ではなかったと推測する。7球で終えたので、もう1イニング行かせることを決めたのではないかと思う。そういう意味では中川颯が期待に応えられなかったと言えるが、今季前半は先発やロングリリーフとして複数イニングも投げていたとは言え、リリーフ経験が豊富なわけでない中川颯で、急な回跨ぎは難しい部分があっただろう。それが先頭打者への四球という結果になってしまった。
4点リードで先頭の右打者を歩かせるというのは、一番困る。一発を警戒する場面でもないし、2割そこそこの打者で、考えすぎる必要はなかった。続く木浪の鋭いゴロは、一二塁間で牧が飛び付いて止めた。無理な体勢から二塁へ送球しようとしたができず、今度は寝た状態のまま一塁に投げたが、それが逸れてノーアウト2、3塁となってしまった。
4点差ということを考えれば、最悪なのはアウトを一つも取れないこと。捕るのが精一杯で、二塁へ送球するのに十分な体勢ではなかったら、立て直して一塁だけをアウトにするべき場面。まずその判断ができていない。これは準備の問題で、捕った一瞬だけで判断するのは難しい。前から書いているが、一生懸命全力でプレーするのはもちろんだが、頭を使って野球をして欲しい。
さらに、二塁へ送球できずに焦ったのか、体を起こさずにそのまま一塁へ送球し、それが逸れて2人のランナーが進塁してしまった。一塁へ投げても間に合うかどうかのタイミングで、雑に投げてしまった。単純な技術の問題もあるが、こういった判断力も足りていない。簡単には上手くならないが、判断をするための準備、確認はもっと徹底できるはず。
牧の守備指標はそれほど悪くないと言われていたが、今年はエラーが4年間で一番多く、守備のミスが負けに結び付くシーンも目立つ。かと言って、今すぐに牧が他のポジションに入れるわけではないので、当面はセカンドで頑張ってもらうしかない。
セカンドに強打者を入れられることはストロングポイントだが、本来はセカンドがアウトにする打球がアウトにならないと、トータルでは失点が増えてマイナスになる。昨年はエラーの数という意味ではリーグワーストの阪神が優勝したが、今年は一番少ない読売が優勝だった。エラーの数以外にも守備範囲も重要な要素。近い将来にセカンドをどうして行くか考える必要があるだろう。
四球とエラーで、甲子園は完全に逆転できるという雰囲気となり、代打の糸原にも繋がれてアウトを取れずに1番に返ってしまったことで、ビッグイニングに繋がった。ディアスは近本の犠牲フライで1点は返されたが、中野も佐野の好守により2アウトを取った。
森下のところで伊勢を投入したが、どちらかと言うと左の近本、中野には当てづらいということでディアスを出した感じもあったので、これはベンチの想定通りなのだと思う。ただ、森下を早めに追い込んだが、勝負し切れなかった。インサイドへのストレートも、狙い通り投げられず外一辺倒になってしまい、変化球を見られた。
大山には最後はインサイドへ配球したが、セカンドの牧がかなり二塁ベースに寄って守っていた。しっかりと詰まらせたが、緩めの打球が一二塁間を抜けてしまった。守備位置と配球が合っていない感じだった。こうなると、雰囲気は完全に阪神へ。佐藤輝にも初球インハイのストレートから変化球を読まれ、レフトの左へ運ばれた。筒香がほぼ無理な打球にダイビングし、三塁打となって逆転。2アウトなのでクッションを処理に行っても逆転のランナーが還るということで勝負したのだろう。
四球2つとエラーが失点に結び付き、一気に5点を奪われての逆転。前回は東を引っ張ってひっくり返され、今回は早めに代えてもひっくり返された。結局、負けられない試合が続きリリーフを注ぎ込むことで登板過多となり、先発を引っ張ったり、球数が少なかったリリーフを回跨ぎさせたりしたことで、本来は4点リードで回の頭から楽に投げられたはずなのに、逆効果になっている。
毎度のことながら結果論にしかならないが、2位の可能性を残すために絶対に負けられない試合であれば、7回から伊勢、ウェンデルケン、森原を全部使うべきだった。まだ3点リードの時点で中川颯を打席に立たせて回跨ぎをさせた時点で、リリーフの温存を考えてしまっている。勝ちながら次の試合のことも考えなければならないが、絶対に勝たなければならない試合でやることではない。
それなのに、1点ビハインドとなった8回裏にウェンデルケンを投入している。そこまで絶対に勝ちたいのに出し惜しみしたことは辻褄が合わない。最近は状態が良かったとは言え、投げてみないと分からない伊勢よりも、6回の投球が良かった中川颯が回跨ぎした方が良いと考えたのかも知れない。22日も伊勢を回跨ぎさせて奏功していたことも背景にあっただろう。
単に継投だけが悪いとは言い切れず、ミスも重なっている。甲子園は30日がレギュラーシーズンは最終戦となるが、CSに進出するのであれば10月12日にまた戻って来る球場になる。もう一度チーム全体で隙の無い、当たり前のことを当たり前にやる野球を確認し、一人一人が集中して試合に臨んで欲しい。
キジ [Other]
最後の8連戦の初戦からウィックの不在を痛感することになった。夏場以降、伊勢や山崎らの不振もあり、リリーフの中で欠かせない大きな存在となっていたウィックが、右内腹斜筋肉離れで登録抹消となった。伊勢に復調気配は見られていたものの、8連戦の中で彼の不在が懸念されていた。
代わりにディアスと堀岡が登録されたが、ディアスはまだ1軍経験は少なく、堀岡は森唯と入れ替わりなので、先発が早めにKOされた場合のいわゆる敗戦処理が想定される。その1枚いなくなった部分と、東を1イニング早く降ろしたという部分で、結果として中川颯を回跨ぎで使う決断に至り、それが守備のミスも重なって崩れてしまった。
今季はハマスタで完封負けを喫している才木を中盤に打ち崩し、5点を奪った。リリーフに不安があるのでなるべくリードを広げたいところで、7回に牧のタイムリーで4点リードを取ったのは非常に大きいと思ったが、8回からのウェンデルケン、森原に繋ぐ手前で暗転してしまった。才木を攻略しただけに痛いどころではない逆転負けになった。
前回の3点リードに続き、東が先発した試合で終盤に4点リードをひっくり返される結果となった。東頼みの先発ローテーションの中で、援護点を取りながら勝ち切れなかったことは、非常にダメージが大きい。2位もなくなったが、必然と言えるだろう。試合前の時点で、阪神戦残り3試合に全勝した上で、それ以外を4勝1敗以上で行く必要があったので、極めて難しい状況になっていた。5割以上、3位を死守することを考えるしかない。
この日も広島は敗れ、9月は5勝20敗。DeNAは10勝9敗と貯金を1つ増やしただけなので、3位に上がったというより、広島が下がったというだけ。月が変わって10月1日の直接対決を落とせば、DeNAの方が窮地に立たされることになるだろう。
その試合を1ゲーム差で迎えるのか、2ゲーム差で迎えるのかは大きく異なる。30日は、青柳と吉野のマッチアップで、この日に勢い付けてしまった阪神打線を吉野がどこまで抑えられるか。そして、前回のハマスタでは早い回に得点を重ねたが、苦手の青柳から得点できるか。4点リードで終盤を迎えてもひっくり返されているので、大量点で勝つしかなくなっている。
コメント
こんなチームがCSにいっても2タテされるのが関の山です。本来ならBクラスなのに、広島が勝手に転げ落ちただけの棚ぼた3位では、話になりません。
牧のセカンドはそろそろ考えなければならないでしょうね。今年、牧のエラーから逆転負けした試合は実に6回あります。牧のエラーから勝ち越された直後に牧がミスを取り返す反撃をしてサヨナラ勝ちした試合もありますが、牧のエラーが出て失点した試合はありえないぐらいの確率で負けています。彼がエラーするとチーム全体がわかりやすく動揺し、まともに戦えなくなってしまっている証拠です。セカンドでエラー18回、そのうち負けにつながるエラーが6回もある現実、いくら打てても釣り合いません。真面目にコンバートすべきでしょう。事実、侍では栗山監督がファーストに回していました。
去年の佐野もそうですが、キャプテンを任されるとそのプレッシャーに押しつぶされてか、なぜか大幅に成績を落としています。メンタルトレーニングはしてるんですかね?
そして中継ぎ補強をしなかったフロントは責任を取って欲しいです。ネットでは三浦監督辞めろの声が日に日に強まっていますが、辞任すべきなのは三浦監督ではなく、中継ぎ補強を怠ったフロントの編成責任者だと思います。
DeNAも広島も、お互いにこれじゃCS進出できない、できても連敗で終わると思っているでしょうね。
連敗で終わるから出なくて良いとは思いませんし、あと2週間弱でできることは限られているので、変に戦い方を変えることなくできることをやれば良いと思います。
牧のコンバートは本文に書いた通りです。
佐野がキャプテンを任されたのは2020年で、首位打者を獲得しています。牧は確かに8月までは成績を落とした形でしたが、帳尻とは言え現状はリーグ全体の成績を加味すれば昨年並みになっています。メンタルトレーニングしたら100%効果があるわけではないと思います。人間ですし魔法ではありません。
リリーフは以前にも書きましたが、ただ左手で投げるだけでは意味がないにせよ、エスコバーが抜けて石川一人になっている部分は何も手を入れていないのは問題と思います。