10/12 CS1st 阪神1-3横浜DeNA(甲子園)
CSファーストステージ初戦、初回に才木から1アウト満塁のチャンスも得点できず。3回に1アウト満塁から桑原の併殺崩れでようやく先制するも、3回まで7残塁の拙攻。先発の東は50球で4回まで無失点も、ヒットを打った際に左太もも裏を痛めて降板。5回から継投に入り、山崎、佐々木、坂本がパーフェクトリリーフで繋ぐ。7回にオースティンの2点タイムリー二塁打で貴重な追加点を奪い、終盤は伊勢と森原がヒットを打たれながらも反撃を1点で食い止め、逃げ切りで初戦を取った。
ポジ [Good]
東が4回で降板するという緊急事態だったが、5回から5イニングを継投で繋ぎ、リードを守り切った。東は、3回まで毎回ヒットを打たれたが要所を締めていた。4回表の走塁で足を痛め、4回裏は三者凡退で片付けたが、大事を取って降板ということになった。
5回、マウンドに上がったのは山崎。東が一度ベンチに治療に戻った時点で、早いイニングでの登板に向けて準備する時間があったとは思うが、東が先発で5回に登板するとは思っていなかっただろう。木浪を2球で追い込んでから、低めへ糸を引くようなストレートを投じ見逃し三振。代打の糸原には10球粘られたがストレートで押してショートゴロ。近本も低めのスプリットでセカンドゴロに取った。ストレートが良かったし、スプリットに頼り過ぎない投球ができた。
6回は佐々木。中野をレフトのファウルフライに打ち取った後、森下にはペイオフピッチからスライダーがやや甘く入った。強振した打球は同点ホームランかなと思ったが、ややバットの先だったのか、ライトからレフトへの風に押されながらも、フェンスギリギリで佐野がキャッチ。大山はスライダーで引っ掛けさせて三者凡退。1球、コントロールミスはあったが役割を果たしてくれた。現役ドラフトでの移籍から、最後にこういう場面で投げているとは。本人の努力の結果だと思う。
7回は坂本が素晴らしい投球を見せた。今年はファームで開幕を迎えたが、5月8日に1軍に昇格。リリーフで結果を残し続け、一時は勝ちパターンを担った。7月のオールスター前の神宮で逆転サヨナラ負けの展開を作ってしまうなど不振に陥り、重要な場面での投球は減っていた。ハマスタでは25試合で自責点0の投球を見せ、リリーフとして台頭したこの1年の集大成をCSで見せるべく、気合のマウンドだった。
先頭の佐藤輝には2ボールとなったが、きっちりとアウトサイドのコースにコントロールされ、カットボールで空振り三振。続く前川にもストライクを先行させ、チェンジアップで連続三振を奪った。梅野はストレートで押し込んでライトフライ。リードが3点に広がったこともあるが、ゾーン内で勝負する攻めの投球が見られた。打たれることもあるが、これを続けて欲しい。
8回は伊勢。ウェンデルケンはこの日、出場選手登録されなかったので、伊勢にかかる期待は大きい。しかし、先頭の木浪を歩かせてしまった。8番からランナーを溜めて上位に回すと、9月29日のように一気に大量点での逆転もよぎる中、代打の渡邉は3球三振。しかし、近本には詰まりながらもライト前に落とされた。中野は打ち取ったが併殺崩れで、一発同点の場面で森下を迎える。
1ボール1ストライクからの3球目は、フォークが抜けてインサイドへ入り、ファウルとなった。初球もフォークでストライクを取っており、森下の中で変化球への意識が大きくなっていた。最後はアウトサイドのコースいっぱいへ渾身の151キロを投げ込み、森下は反応できなかった。展開の中で大きな勝負だった。
最後を締めたのは森原。先頭の大山にフォークを2球続けたが、高めに浮いてライト前へ持って行かれた。フォークがあまり良くないなという印象の中で、佐藤輝にはストレート勝負で空振り三振。これは助かった。しかし、レギュラーシーズンで3打数3安打だった前川には、ストレートを狙われてライト前ヒット。またも一発同点の場面となる。
梅野にはスライダーで入り、3球目もスライダーを引っかけさせてサードゴロ。2アウト2、3塁から木浪にストレートを三遊間に運ばれ、1点を奪われてなお1、3塁と今度は一発逆転サヨナラの場面になる。ここで代打の原口が起用され、スライダーが甘く入ったが、やや低めだった分レフトのほぼ正面へのフライとなり、辛くも逃げ切った。フォークが良くない分、どうしても配球的にストレートに偏りがちだが、スライダーを上手く使って凌いだ。
ポストシーズンはホントに「勝ちゃえんよ」と思うが、8回、9回で4安打され、ヒットの出ていなかった打者にも一本出て、1点が取れたということは阪神にも2戦目に向けて少し勢いを与えたと思う。完勝するのは簡単ではないが、その流れをはね返すような2戦目にしたい。
バッティングでは結果は出なかったが、東から6人の投手をリードした伊藤の貢献も忘れてはならない。特にこういう一発勝負ではキャッチャーは7割くらい守備が重要だと思うので、その役割は果たしたと思う。打席の結果だけで批判している人は、野球を分かってないと思う。投げ切った伊勢も見事だったが、森下へのストレートは痺れた。
先日、11月に行われる第3回プレミア12に牧と佐野が選出された。その新旧キャプテンのコンビが、ともに3安打と勝利に大きく貢献した。初回、牧が才木のフォークをうまく拾ってセカンドの頭を越えるヒット。佐野は3球目のフォークが浮いたところを捉え、ライト線への二塁打。
3回にも先頭の牧が6球目のストレートをセンターへ弾き返すと、佐野が今度は初球の入って来るスライダーをレフト線へうまく運んだ。ノーアウト2、3塁のチャンスメイクで先制点に繋げた。そして、7回は1アウトから牧が桐敷のスライダーをレフトへ二塁打。佐野は初球の速球を三塁線へ弾き返し、破った。この日3度目となる、二人でのチャンスメイク。初回以外はきっちりと得点に繋がった。梶原が出ればというところはあるが、二人の状態が良いことはポジティブな材料。
勝利を大きく引き寄せたのはオースティンの一振り。初回は1アウト2、3塁で申告敬遠。3回はノーアウト2、3塁で才木のフォークに空振り三振。3打席目もフォークでやられていた。7回は1アウト1、3塁で投手が石井に代わった。初球のスライダーを見ると、2球目のストレートがアウトサイドの高めに浮いたところをきっちり捉えた。打球は右中間の真ん中を目がけて飛んで行き、一塁ランナーの佐野も還って来る2点タイムリー二塁打となった。この1打席で全てを持って行く4番の一打だった。
1アウト満塁のチャンスを逃した直後の1回裏、先頭の近本はインサイドのストレートに詰まったが、打球はフラフラと三遊間へ。落ちれば近本の足で内野安打というところだったが、森敬がダイビングキャッチ。流れとしてもここをアウトに取ったのは非常に大きかった。この日は派手さはなかったが、土のグラウンドで堅実な守備を見せた。バッティングでも才木のフォークをうまく拾ってセンター前に運び、アウトにはなったが島本の変化球も対応していた。9月以降の良い形が残っていたので、この後の試合も楽しみだ。
牧も近本の2打席目で、二塁ベース付近のゴロを逆シングルで追い付き、捕ってから素早い送球でアウトにした。この日は心配していた守備面のミスはなく、堅実な守りで無失点のリレーをする投手陣を支えた。投手を含めたディフェンスで勝った試合だと思う。
ヤジ [Bad]
打線は初回、牧と佐野が才木のフォークを捉えて1アウト2、3塁のチャンスを作った。岡田監督は初回から申告敬遠でオースティンを歩かせ、満塁で宮崎と勝負。併殺に取れる可能性を考えてのことだったのだろう。3ボール1ストライクからインサイドのストレートでペイオフピッチ。
立ち上がりフォークがあまり良くなかったのでストレートの可能性が高かったが、押し込まれてファウルフライ。紙一重の勝負とは思うが、ストレートは良かったので捉え切れなかった。桑原は、初球にあまり投げていなかったスライダーが外れた後、もう1球スライダーが浮いて来たところに手を出して打ち上げてしまった。相性も良かっただけに、狙っていない球に反応してしまったのは勿体なかった。
3回はその桑原が何とか叩きつけて併殺崩れで1点を先制したが、その後の2アウト満塁では伊藤が凡退し、3回まで才木を押しながらも7残塁の拙攻で1点止まり。逆転される展開と思ったが、投手陣が本当によく頑張ってくれた。
東は、4回表の攻撃で先頭打者として三塁線を抜くヒットを放ったが、一塁までの走塁で左ハムストリングを痛めた。一度ベンチに下がり、治療を受けて戻って来た。おそらく患部をテーピングして来たのだと思う。4回裏のマウンドにも上がり、三者凡退には抑えたが、最後に梅野を三振に取ったチェンジアップも本来のフォームと違っていたように思う。
おそらく三浦監督もそれを察して、次回の登板ももちろんあるし、東の来季以降も含めて考え、交代の決断を下したと思う。13日に念のため病院に行くという表現だが、肉離れまで行っていないことを祈る。まだファイナルステージのことを考えるのは早いが、彼なしでの突破は厳しい。
キジ [Other]
昨年は、マツダで連敗して敗退となったCS。昨年と同じく初戦に東を先発に立て、同じ13勝の才木との投げ合い。東が走塁中に左ハムストリングを痛め、4回で降板するアクシデントがありながら、リリーフ陣がリードを守り切って、初戦を取った。クライマックスシリーズの初戦を取るのは、2016年の東京ドームでの読売戦以来となる。その時は、○●○でファイナルシリーズへ駒を進めた。
昨日のブログで、才木に相性は良いが9月、10月と不振だった佐野、宮崎が鍵と書いたが、佐野は才木から2本の二塁打を放ったが、宮崎は初回1アウト満塁からストレートに差し込まれてファウルフライ、2打席目は申告敬遠だった。3打席目で一本出たことは一安心。
一方、阪神側のキーマンと思った森下にはやはりやられた。2打席連続ヒットの後、3打席目は僅かにバットの先だったのでスタンドに届かなかったが、良い形で捉えていた。4打席目は伊勢が渾身のストレートで見逃し三振に取ったが、この打者が一番警戒すべき相手だろう。結果的に東が早く降りることになったが、井上はベンチ入りしなかった。
そういう場面がなかったというのもあるが、昨日書いたように中軸にバントさせるとか、いつもやっていない野球をやらずに、ベイスターズらしい点の取り方ができた。序盤は3回まで7残塁の拙攻だが、単打や四球を得点に絡めるには長打が必要。結局は、7回に牧とオースティンの長打が絡んでの2点。良くも悪くもこの形でしか点が取れないチーム。それで3位という結果なのだが、急に別のことをやっても上手く行かない。先制点が取れたからこその野球ではあるが、
阪神戦、甲子園とも数字が悪かった梶原は5打数ノーヒット。短期決戦は調子が上向くのを待っていられない。左腕相手の方が数字は良いが、高橋遥人を相手に蝦名を使うなど動いて来るかどうか。昨日も書いたように高橋遥人とは2020年以来、公式戦での対戦はない。初見で打つのは簡単ではない投手だが、ストレートに強い打者が揃っている強みはある。
DeNAはジャクソンが先発。こちらも9月以降の好調さと阪神戦、甲子園での相性の良さを考えれば、最少失点で試合の後半まで行ってくれるのではないかという期待がある。2戦目こそロースコアになると予想しているだけに、リリーフ陣は全員連投するくらいのつもりでいて欲しい。
ファーストステージで初戦を取った場合の突破率は80%を超えているが、まだまだ阪神には強力な先発投手が控えており、ここから1つ勝つことが難しい相手。特にジャクソンで落とすと後が心許ないだけに、一気に勢いで突破したい。高橋遥人という分厚い壁を破らなければ、その先の東京ドームも勝ち抜くことはできない。この日のように全員で力を合わせ、締まった試合を見せて欲しい。
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