10/16 CS Fin 読売0-2横浜DeNA(東京D)
CSファイナルステージの開幕戦は、戸郷とケイの投げ合いで始まった。4回、佐野が戸郷のスライダーを捉えてライトスタンド中段への先制ソロ。ケイは、4四球でランナーを出すものの、落ち着いた粘りの投球で6回を1安打無失点の好投。7回表1アウト1、3塁でケイへの代打筒香がレフトへタイムリーを放って追加点を挙げると、7回裏は山崎と坂本でピンチを脱し、8回は堀岡、最後は伊勢が締めて完封リレー。重要な初戦を取り、アドバンテージを含む1勝1敗のタイに戻した。
ポジ [Good]
堀岡の抜擢もハマり完封リレー
ケイが素晴らしい投球を見せた。この日は、本田球審がややストライクゾーンが狭いかなというジャッジで、ケイとしてもストライクと思った投球がボールと判定されることも目立った。いつもはイライラを露わにしていたが、この日は落ち着いた表情で粘り強く投げた。
ケイも前日の会見でコメントしていた通り、丸と岡本に打ち込まれており、そこをマークしていた。丸は初回にスライダーで泳がせてファーストゴロに打ち取ると、3打席全て内野ゴロに抑えた。岡本は長打を警戒する中で2度歩かせてしまったが、最後は、6回裏102球目で渾身の154キロストレートで見逃し三振に取った。
初回は2四球も大城を打ち取ってピンチを切り抜け、4回は岡本の四球の後に大城が併殺打。5回も先頭の坂本を歩かせ、門脇がようやくチーム初ヒット。戸郷が送って、2アウト2、3塁となり、丸は歩かせる手もあったが、しっかりと打ち取った。
9月19日の東京ドームでは5回5失点、9月26日はハマスタで1回2/3で6失点と、読売打線に打ち込まれた。ホーム最終戦となった阪神戦で登板した後、CSに向けて調整して来た。ファーストステージの第3戦での先発を予定していたが、連勝でこの日にスライドする形となった。読売との対戦で厳しいかなと思っていたが、6月に月間防御率1.00をマークした時のような良い投球が戻って来た。戸柱のリードも奏功したと思う。大事な試合でベストピッチに近い内容を見せてくれた。
7回は山崎が登板。ストレートに力があり、スプリットも使って2三振を奪った。しかし、坂本と門脇にヒットを浴び、2アウト1、2塁のピンチを招き、代打の中山が起用されたところで三浦監督が出た。左腕の坂本に交代したが、坂本は左打者に3割以上打たれているが、右打者は1割台という投手。
だが、中山が今季は代打起用が中心で、スタメンでも右腕を相手に起用されている為、右投手.341の高打率を残している一方、左投手には3打数ノーヒットだった。代打の代打で右打者が出て来れば相性が良いし、あくまでも1軍ではという話ではあるが、左腕との対戦に慣れていない中山との対戦になる。3球目のストレートをきっちりと捉えた打球は、強烈なライナーだったが、サード宮崎の守備範囲。このあたり、運にも助けられて策がハマり、ベイスターズの流れで試合が進んでいた。
森原がベンチ入りしていないので、8回と9回はウェンデルケンと伊勢で繋ぐのだと思った。どちらが先になるのかと思ったら、8回のマウンドに上がったのは堀岡だった。これは全く予想していなかった。森原の緊急事態があったとは言え、ファイナルステージ初戦に2-0とリードした8回、1番から始まる打順で堀岡を投入するとは凄いなと思った。堀岡には悪いが、自分だったら起用する度胸はない。
必要に迫られた部分はあるが、確かにレギュラーシーズンの終盤に登板した時の内容は良かった。7月に支配下登録された直後にもディアスと揃って1軍に合流したが、ほとんど出番なくファームに戻ることになった。その後もファームで失点を重ねる試合もいくつかあり、あまり良い印象は持っていなかったが、10月に3試合で登板し、いずれも内容が非常に良かった。ファームでの再調整で何か掴んだものがあるのかも知れない。
ファーストステージでも2戦目の8回を三者凡退で抑えていた。現状のブルペンの中では最も良い状態の投手と言ってもいいのかも知れない。1番から始まる打順で、いきなり丸にストレートをライト前に弾き返され、やはり厳しいのかと思ってしまったが、増田大はフォークを打ち上げさせてセンターフライ。
痛い一発を浴びているオコエには、ストレートでファウルを取ると、フォーク2つで空振り三振。そして、一発同点の場面でラスボスとして岡本を迎えるが、フォークでタイミングを外してライトフライに打ち取る。
ちょうど1年前に戦力外を通告されたチームを相手に、ファイナルステージの8回にセットアッパーとしてマウンドに上がっている。育成契約で拾われたところから、この日を想像することは難しかったと思う。堀岡の気持ちを考えると涙が出る思いだった。
まさにベイスターズが今、目指している下克上をマウンドで成し遂げた。ここからが再スタートであり、ゴールではない。来年以降にリリーバーとして戦力になるためにも、今後の登板で結果を積み上げて行きたい。この試合においては、この8回は本当に大きかった。
最後は伊勢が締めた。先頭の大城を追い込むも粘られ、ペイオフピッチとなった。先頭を歩かせたくないのでストレートで勝負すると思ったが、フォークを低めに落とし切って空振り三振。伊勢が自ら選んだように見えたが、この1球は大したものだと思う。坂本は高めに浮いたスライダーを打ち損じてレフトフライ。最後は、モンテスがインサイドへのフォークに詰まり、打球がセンターの前に落ちそうだったが、森敬がスーパーキャッチでゲームセット。
2-0というロースコアのゲームで、両チームの守備が締まっていて、好ゲームになった。ファイナルステージの開幕戦に相応しい内容のゲームができたと思う。こういう試合はチームを成長させる。このCSの中でも強くなって行き、ペナントレースでは敗れた読売を上回って欲しい。
元キャプテン2人が貴重な得点もたらす
佐野が貴重な先制点をもたらした。4回、戸郷に2球カーブでストライクを取られたが、3球目のスライダーが抜けて真ん中に入って来たところを打ち損じることなく捉え、完璧な打球はライトスタンド中段へ届いた。
ファーストステージ第2戦から2戦連発となった。レギュラーシーズンでは、10月が14打数1安打と最後に調子を落とした形で終わっていた。CSに入ってどうかと思っていたが、打線を支える存在になっている。昨年は有鉤骨骨折でCSには出場できなかった。その分、存分に暴れている。また、11月のプレミア12の代表メンバーにも選ばれ、モチベーションも高いと思う。菅野にも相性が良く、さらなる爆発を期待したい。
そして元キャプテンがもう一人。7回に先頭の桑原がヒットで出塁すると森敬が送って1アウト2塁。戸柱が戸郷のフォークを捉え、ライト前ヒットで1アウト1、3塁となった。ケイのところで筒香を代打起用。ここで阿部監督が出て、戸郷の交代を告げた。
左には強さを見せる高梨が登板。筒香は2打席対戦して1打数ノーヒットだったが、犠牲フライを1本打っていた。左打者の背中から大きく曲がるスライダーに筒香も空振りしたが、2ボール2ストライクから少し中へ入って来たスライダーに合わせ、打球はレフト前へ。低めのボールゾーンだったが、上手いバットコントロールを見せた。軽打で何としても1点という気持ちが見えたバッティング。
2点目をとったことで、7回から繋いだリリーフ陣にも勇気を与えたと思う。今後の試合も考えると、筒香にも1本出たことは大きいと思う。現状は代打という役割で、ベンチの中ではコミュニケーションを取ってチームを陰ながら支えている。筒香が打てば若い選手たちも盛り上がる。アドバンテージの1勝をはね返すには勢いも必要で、この一打はさらに勢いを生むものになるかも知れない。
ヤジ [Bad]
言うまでもなくもっと得点できればベストだったが、相手も読売のエース戸郷。佐野が数少ない甘いボールを逃さず捉えて一撃で仕留め、7回は少ないチャンスを筒香の勝負強さでものにした。得点がなかなか取れない中で、投手陣が見事な完封リレーを見せてくれた。投打が噛み合った試合で文句なしだと思う。
この日、森原がベンチを外れた。ファーストステージの初戦で登板し、1点を失ったがセーブをマークした。2戦目は大量リードとなり登板はなかった。2日空いてファイナルステージの初戦でベンチを外れるというのは、アクシデント以外に考えられない。
試合後、肩のコンディション不良と三浦監督がコメントした。様子を見ている段階で、今後の登板についてはまだ分からない。昨年もレギュラーシーズン最終盤に離脱し、CSでは登板したもののクローザーでは行けなかった。かなり不安は残るが、この日堀岡が起用に応えたように、ブルペンみんなでカバーするしかない。
現在31名が出場選手登録されており、17日は大貫の先発が発表されているので誰かは登録抹消となる。ケイを中4日で第6戦に投入するつもりがないなら、ケイかも知れない。森原は1日様子を見たので、17日の状態を見て入れ替えの可能性もある。
ファーストステージ初戦の東、2戦目の宮崎、そしてファイナルステージ初戦の森原。毎試合、誰かが欠けて行くのはあまりにも厳しい。宮崎は幸い大事に至らなかったが、森原も数日休むことで戻れれば良いのだが。この時期、多くの選手が満身創痍で無理をしながらやっている。ウェンデルケンも本来であれば、もう少し戦列を離れる状態なのかも知れない。それでもチームが日本シリーズへ進むために必死にやっている。これ以上の離脱者が出ないことを祈るばかりだ。
キジ [Other]
昨日のブログでも書いた通り、2018年以降のCSファイナルステージでは、2019年第3戦の阪神以来となる、ファーストステージ勝ち抜きチームの勝利。初戦の勝利は2015年に読売がヤクルトに勝って以来ということになる。
しつこいくらいに書いたように、打てなければ負けるという展開を想定していたが、先発のケイが素晴らしい投球を見せ、森原が肩のコンディション不良でベンチを外れている中で、リリーフ陣も素晴らしい内容で完封リレーを完成させた。とりわけ、堀岡を抜擢しそれに応えた8回は非常に大きかった。
予想などほとんど当たりはしないのが野球の魅力であり楽しさ。とは言え、始まるまでにいろいろと思いを巡らせるのもまた楽しみでもある。甲子園では想定外の猛打で阪神を撃破したが、今度は読売に何度も痛打されてきたケイが無失点の好投を見せ、チームの弱点とも言われたリリーフも奮起した。全く予想できない展開で、CS3連勝。リーグ優勝には届かなかったが、ここ一番で勝てないという部分で、確実に進化を見せ始めている。
ファイナルステージで一つ勝つのも難しいので、1試合でも多く見られたらと思っていたが、初戦を取ることができた。タイに持ち込んでアドバンテージが消えた形でここからが本当の勝負になる。
2戦目は、最多勝投手の菅野と対戦。菅野には一度、ハマスタで完封されている一方、7月には東京ドームで初回に4点を奪う猛攻を見せている。セ・リーグの各チームには防御率0点台、1点台が並ぶ中で、DeNA戦は2.25とその初回4点が効いている。中日に5勝0敗、ヤクルトに4勝0敗、広島に3勝0敗と圧倒的な強さを誇るが、DeNAと阪神には1勝1敗。15勝3敗と圧倒的な数字を残した今季だが、隙がないわけではない。ここまで予想もしない展開が続くCSで、菅野を相手にどんな試合をするのか、非常に楽しみだ。
そして、DeNAは大貫が先発する。10月6日のレギュラーシーズン最終戦で素晴らしい投球を見せた大貫は、その時にも紹介したが、10月に強い。昨年は10月にハマスタ最終戦でマダックスを達成、2022年はCSで無失点の好投を見せ、唯一の勝利を挙げている。今年は4月に2度、読売と対戦しているが、それ以降は登板がなかった。東が肉離れで離脱し、選手会長として、先発投手の柱として、思うところはあるだろう。「10月の大貫」を見せ、菅野との投げ合いに勝ってもらいたい。
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