10月16日からセパともにクライマックスシリーズのファイナルステージが始まる。セ・リーグは、3位から連勝で勝ち上がったDeNAが読売と、パ・リーグは2位で初戦を落としながらも連勝で勝ち上がった日本ハムがソフトバンクと対戦する。近年は、リーグ優勝のチームが圧倒して日本シリーズ進出を決めているが、どうなるか。
2018年以降は阪神の1勝のみ
セ・リーグの2017年以降のCSファイナルステージの勝敗は以下の通り。2020年は、コロナ2019の影響でCSが中止となり、リーグ優勝の読売がそのまま日本シリーズに進んでいる。
年度 | リーグV | Final勝敗 | 1st通過 | 1st勝敗 |
2017 | 広島 | 2勝4敗 | DeNA(3位) | 2勝1敗 |
2018 | 広島 | 4勝0敗 | 読売(3位) | 2勝0敗 |
2019 | 読売 | 4勝1敗 | 阪神(3位) | 2勝1敗 |
2020 | 読売 | CS中止 | ||
2021 | ヤクルト | 3勝0敗1分 | 読売(3位) | 2勝0敗 |
2022 | ヤクルト | 4勝0敗 | 阪神(3位) | 2勝1敗 |
2023 | 阪神 | 4勝0敗 | 広島(2位) | 2勝0敗 |
2024 | 読売 | ? | DeNA(3位) | 2勝0敗 |
2017年のみ1st通過のDeNAが日本シリーズ進出
2017年は3位から勝ち上がったDeNAが、ファイナルステージでも初戦を落とした後に4連勝し、日本シリーズに進出した。ファーストステージでは3位チームの勝ち上がりも目立つが、日本シリーズへ進出したのは、セ・リーグではCSが始まって16シーズンで唯一。
しかし、ご覧の通り2018年以降はリーグ優勝を果たしたチームが日本シリーズへ進出している。そればかりか、ファーストステージを通過して来たチームが勝ったのは、2019年第3戦の阪神しかない。2021年は、第4戦で9回表を終わって同点となり、ヤクルトの引き分け以上が確定し、日本シリーズ進出が決まったため、そのまま試合が終わった。
ファイナルステージでは、アドバンテージをはね返して勝ち上がるどころか一つ勝つことさえ難しい。2位、3位のチームは、まずファーストステージを戦うが、ここを落とすと先がないので、エース級を投入する。連勝でファーストステージを突破しても、すぐに始まるファイナルステージでは初戦にエースを投入できない。一方、リーグ優勝のチームはエースが満を持して登場する。
従って、ファイナルステージは、初戦がエース対3番手、2戦目が2番手対4番手のマッチアップとなり、リーグ優勝のチームが勝ちやすい状況になる。ファーストステージが3戦目まで縺れるとより厳しくなる。今年は、新庄監督が伊藤大海をファーストステージに登板させないという賭けに出て、ファイナルステージに備えている。
1勝というアドバンテージの他にも日程的なメリットがある。ただ、唯一の心配はレギュラーシーズンから実戦の間隔が空いていること。ここ最近のファイナルステージを見る限りはその不安は顕在化せず、エースがきっちりと投げて勝っている。
ベイスターズは、セ・リーグで唯一の3位から日本シリーズ進出を果たしたチームだが、なかなか厳しいのが現実。選手は入れ替わっているが、勝ち抜けた実績はあるし、CSでの東京ドームは、2016年に初進出した際のファーストステージの舞台で、勝ち抜けている。今年のレギュラーシーズンは8勝16敗1分と相性が悪いが、ファーストステージで見せた打線の破壊力で突破して欲しい。
打てなくて負けたレギュラーシーズン
前述の通り、レギュラーシーズンでは読売戦に8勝16敗1分と大きく負け越した。最下位に終わった中日よりも多くの貯金を献上し、優勝に貢献してしまう結果になった。DeNAは打力のチームだが、打線が読売の投手陣を打てず、得点が取れなかったために勝てなかった。それは数字を見ても明らか。
まず、現時点で出場選手登録されている選手の読売戦の成績。
選手 | 打率 | 打 | 安 | 点 | 本 | OPS |
梶原 | .309 | 68 | 21 | 3 | 1 | .706 |
牧 | .265 | 98 | 26 | 7 | 3 | .736 |
佐野 | .230 | 87 | 20 | 10 | 1 | .582 |
オースティン | .271 | 59 | 16 | 8 | 3 | .919 |
宮崎 | .237 | 76 | 18 | 11 | 4 | .788 |
桑原 | .235 | 68 | 16 | 3 | 1 | .621 |
森敬 | .250 | 32 | 8 | 0 | 0 | .607 |
伊藤 | .053 | 19 | 1 | 1 | 0 | .153 |
戸柱 | .174 | 23 | 4 | 0 | 0 | .426 |
京田 | .226 | 31 | 7 | 2 | 0 | .477 |
蝦名 | .125 | 16 | 2 | 1 | 0 | .388 |
筒香 | .000 | 11 | 0 | 1 | 0 | .294 |
松尾 | .250 | 4 | 1 | 0 | 0 | .500 |
林 | .188 | 16 | 3 | 0 | 0 | .438 |
柴田 | .250 | 4 | 1 | 0 | 0 | .500 |
知野 | .000 | 2 | 0 | 0 | 0 | .000 |
神里 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | .000 |
フォード | .200 | 10 | 2 | 1 | 1 | .773 |
打率で見ると梶原はまずまず打っているが、OPSで見ると全体的に低く、チーム別の成績では一番芳しくない数字となっていた。首位打者を獲得したオースティンでさえ打率.271と苦戦。OPSこそ.919とまずまずの数字だが、3本塁打8打点はかなり寂しい数字。宮崎も打点、本塁打はチームトップだが、打率.237と苦戦している。
キャッチャー陣も惨憺たる数字が並ぶ。実は離脱している山本も、読売戦は54-6で打率.111、OPS.285と極端に低い数字に終わっている。今年の攻撃面では山本の打力がチームの得点を押し上げた面があり、CSでも戸柱が5打点の活躍を見せた。読売戦はキャッチャーがバッティングでは完全に封じ込められている。
選手 | 打率 | 打 | 安 | 点 | 本 | OPS |
梶原 | .211 | 38 | 8 | 0 | 0 | .500 |
牧 | .333 | 45 | 15 | 5 | 2 | .895 |
佐野 | .214 | 42 | 9 | 5 | 0 | .505 |
オースティン | .250 | 36 | 9 | 5 | 2 | .886 |
宮崎 | .152 | 33 | 5 | 6 | 1 | .615 |
桑原 | .179 | 28 | 5 | 1 | 0 | .385 |
森敬 | .333 | 15 | 5 | 0 | 0 | .842 |
伊藤 | .000 | 11 | 0 | 0 | 0 | .083 |
戸柱 | .091 | 11 | 1 | 0 | 0 | .258 |
京田 | .294 | 17 | 5 | 2 | 0 | .572 |
蝦名 | .143 | 7 | 1 | 0 | 0 | .393 |
筒香 | .000 | 1 | 0 | 1 | 0 | .000 |
松尾 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | .000 |
林 | .167 | 6 | 1 | 0 | 0 | .500 |
柴田 | .333 | 3 | 1 | 0 | 0 | .667 |
知野 | .000 | 1 | 0 | 0 | 0 | .000 |
神里 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
フォード | 0 | 0 | 0 | 0 |
東京ドームだけの数字にすると、これどうやって勝ってるの?というレベル。牧は打率.333、OPS.895としっかり数字を残しているが、オースティンにしてもやや厳しく、宮崎、佐野も封じられてしまっている。これではなかなか得点が取れないのも無理はない。
甲子園ほどではないが、ここでも打数は少ないものの京田がまずまずの数字を残している。宮崎が離脱ならサードに入れる選択肢もあったが、どうやら足がつっただけということで、スタメンで出場できそうな雰囲気。甲子園でも出番が全くなかった京田をどう生かすか。
ファーストステージでも、阪神の投手陣を甲子園で打つのは難しいと思っていたが、蓋を開けてみれば想定外の猛打だった。もはや何が起こるかも分からないし、やってみないと分からない。ただ、打たなければ勝てないということには変わりない。
先発ローテーション
東が、ファーストステージの初戦で左ハムストリングを痛め、登録抹消となった。少なくともファイナルステージで登板することはできない。ジャクソンも日曜に100球を投げているので、中4日だとしても金曜以降の登板となる。それ以外の投手が先発するしかない。
DeNAとしては、ジャクソンをどこに持って来るかがまず1つのポイントだろう。3連敗すれば18日の第3戦で終わってしまう。中5日で19日に登板させるのであれば、どこか1つ勝つことが前提となる。ジャクソンを使わずして敗退してしまう状況を作るかどうか。
日付 | 読売 | DeNA |
16水 | 戸郷 | ケイ |
17木 | 菅野 | 吉野 |
18金 | グリフィン | 大貫 |
19土 | 山崎伊 | ジャクソン |
20日 | 井上 | 濵口 |
21月 | 戸郷 | ケイ |
ジャクソンは前回が100球だった。MLBでは中4日に慣れているとは思うが、NPBに来てからはなかったので、万全な状態で投げてもらう意味でも、他の投手と打線を信頼して中5日にするかなという予想。
一方、読売は阿部監督がどう考えるか。初戦の戸郷は、最終戦まで縺れた場合にもう一度という考えはあるだろう。2戦目を菅野で確実に取り、3戦目は左腕で少し変化を与えて、最悪1つ落としても相性の良い山崎伊が4戦目に控えるのが良いのではないか。そこを越えても、さらに相性の悪い井上が待っているという絶望を与える先発陣。
DeNAは、阪神に連勝して突破したので、ケイをファイナルステージの初戦に回すが、読売戦は1勝5敗で防御率4.64。しかも、前半は割と好投していたが、シーズン終盤は攻略され、かなり打ち込まれていただけに不安は大きい。相手は戸郷だが、5回までに3点は取られると思っているので、打つしかない。試合を壊さないでくれればという感じ。
大貫は17日に登録可能となる。吉野が先か、大貫が先かというところだが、東京ドームでの投球内容を考えると吉野かなと思う。最終戦はケイを中4日で持って行くとして、第5戦はなかなか厳しい。現状はリリーフとしてベンチ入りしている濵口を先発として、短いイニングでブルペンデーのように乗り切るしかないか。そこまで行ければ良いのだが。
先発だけでなくリリーフも苦しい。ウェンデルケンはファーストステージの第2戦から復帰したが、まだ本来のボールとは言えない。リードした8回に投入するには怖い。伊勢や山崎、佐々木ら全員で投げ抜いて行くしかないだろう。おそらくウィックはファイナルステージも厳しそうだ。
そう考えると、ファーストステージで2試合とも2桁安打をマークし、第2戦では2桁得点を奪う破壊力を見せた打線がそのままの勢いで打つしかない。打って得点が取れなければ負けという連戦になりそうだ。相手の先発陣を見ると苦しいが、前述の通り1つ勝てるかどうかの戦いなので、開き直って思い切り行って欲しい。3戦目以降はチケットを確保したので、最初の2試合はテレビの前から応援したいと思う。
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