09/28 ファーム 横浜DeNA8-0千葉ロッテ(横須賀)
マジック1として迎えた本拠地での試合。初回、石上が先制の4号ソロを放ち、さらに松尾のタイムリー二塁打で2点を先制。3回には井上のタイムリー二塁打と松尾の犠牲フライで2点を追加。6回には、西浦のタイムリーの後、連続の押し出しと松尾の2本目の犠牲フライで4点を追加し、試合を決めた。先発の庄司は変化球を低めに集めて6回4安打で8勝目。石田健、山崎から渡辺に繋ぐ完封リレーで、42年ぶりのイースタンリーグ優勝を飾った。
1982年の横浜大洋ホエールズ時代以来
あくまでも目指すのは1軍の優勝であって、ファームが優勝しても意味がないと考える人もいるだろう。実際、横浜ベイスターズが優勝したのは1998年であって、1982年のファーム優勝を経験した選手はいなかった。だが、ファームとは言え、チームを勝たせるプレーが日々できていたからこそ、貯金を20も作って優勝に達した。初年度で勝率.345と苦戦したオイシックスの存在はあるが、良い成績が残ったと思う。
誰もが1軍で優勝しなければと分かった上で、一つのステップとしてこの42年ぶりに訪れた優勝を喜び、経験として生かせればという思いだろう。ファーム優勝で喜んでるとか、キャップとTシャツまで作っちゃってるとか、言いたい人には言わせておけばいいかなと思う。
ベイスターズの運営も、DeNAスポーツ事業の企業活動なので、このグッズを販売することで売り上げをあげて行く必要があるし、需要があるなら商機とするのは何ら問題ない。1997年から横須賀をメイン球場とし、2019年にはDOCK OF BAYSTARS YOKOSUKAが完成。横須賀市との連携が進む中で、「横須賀初優勝」となったことは、今後の活動にも良い影響を与えるだろう。
この優勝が、本当に価値あるものになるのは、今年ファームで活躍した選手たちが1軍の選手となり、数年のうちに1軍の優勝を達成した時だ。ファームが優勝と言っても、本来は1軍で活躍するべき中堅が2軍止まりになってしまった結果、1.5軍の選手が活躍して優勝するケースもある。
今年のベイスターズにおいては、ベテランの大田、西浦と中堅の楠本、神里あたりはもう少し1軍で活躍して欲しかった部分があるが、ファームの主力として活躍したのは、これからチームの中心となることを期待されている選手、とくにルーキーが多かったと思う。そういう意味では、ベイスターズにとってはNEXT PLAYERが成績を残しての優勝というのは、来季以降に繋がるものだと考えている。
野手では、松尾が筆頭に挙がるだろう。開幕1軍に入ったが、4月14日に登録抹消。その後、7月15日から1ヶ月、1軍に帯同した。それ以外はファームで経験を積んだが、打率.326、3本塁打、42打点の成績を残した。バッティングは既に1軍に呼ばれるべきものになっており、山本が代表級の捕手に成長した状況でどう起用して行くかというところ。ルーキーについては後述するが、井上も3割をマークしつつチームトップの8本塁打、49打点。育成の村川は出場機会は減ったが、打率.320をマークし、バッティングで成長を見せた。
投手では深沢がトミージョン手術、森下もシーズン途中で手術を受ける誤算があった。小園も途中、脇腹を痛めて離脱していたが、ルーキーの庄司が年間を通して先発ローテーションを守った。松本隆もリハビリ明けからだったが、シーズン後半には結果も残した。シーズンの途中で1軍に昇格して初勝利を挙げた石田裕、吉野もファームで結果を残した。
リリーフでは、胴上げ投手となった渡辺が47試合登板で7勝9セーブ、防御率2.25をマークした。1年間投げる体力は示したので、支配下登録を待つばかりだろう。シーズン中に支配下登録されたディアスも1点台と安定していた。投手は、濵口や石川、大貫、三嶋ら苦しんでいた1軍の投手陣を支えるべき面々が多く登板することになり、若い力がやや物足りない面があった。
1982年当時は、ファームに日本選手権がなかったので、ベイスターズは初出場ということになる。来週10月5日(土)に宮崎のサンマリンスタジアムでソフトバンクホークスとの対戦となる。当日は1軍もバンテリンドームでの試合を残しており、状況によっては一部の若手選手はそちらに回る可能性もある。だが、通常のファームの公式戦とは異なる一発勝負の雰囲気を多くの選手に経験して欲しい。
ルーキーが優勝の原動力に
1軍でも出場、活躍できているルーキーが、初年度から十分な戦力になったことも大きい。ドラフト1位の度会は、1軍で鮮烈なデビューを飾ったが、その後マークされて数字が落ち、守備と走塁の課題が露呈した。5月から1ヶ月ほどファームで過ごし、結果を残した。交流戦の最終週に1軍に復帰したが、8月に再びファームで再調整。9月22日に再び1軍へ戻るまで、ファームが首位に立つ原動力にもなった。
ドラフト2位の松本凌は、開幕こそ1軍で迎えたが、ゴールデンウィーク明けに登録抹消。7月に一度、1軍へ上がるも結果を残せなかった。ファームでは32試合に登板し、防御率2.70を残した。体の強さはあるので、あとはいかにコンスタントに精度の高いボールを投げるか、左打者をどう打ち取るか。陣容が苦しくなっているリリーフの中心に入って欲しい。
高卒の武田は手術の影響があり、打者として4試合に出場しただけ。フェニックスリーグでは二刀流に挑戦する話も出ているので楽しみだ。
オープン戦で大活躍し、開幕スタメンに名を連ねた石上は、ファームではなかなか結果が出ずに苦しんだ。300打席を経験し、打率は.221と低調だったが、優勝を決めた試合でも先制ホームランを放ったように、長打力も秘めている。来季は、森林コンビに割って入って欲しい。
石田裕は開幕からファームでローテーション入り。6月9日にプロ初登板し、そこから4勝を挙げたことは周知の通り。9月に入ってファームで再調整となり苦しんでいるが、来季に向けてまた成長してくれるだろう。
そして、素晴らしい活躍をしたのが井上。梶原に負けず、ハマのギータと呼ぶべきフルスイングを見せながらも、打率.300をマーク。フォードと並ぶ8本塁打と、チームトップの49打点。だが、3度1軍に昇格したが、定着はできなかった。大卒で独立リーグから入団しているので、来季には1軍の戦力になりたい。その片鱗は十分に見せていると思う。
育成選手は、高卒が多いのでまだトレーニングの段階なので出場は少ない。その中で、高見澤は45試合168打席の出場と、育成の高卒としてはかなり多くの実戦経験を積んだと思う。今後の成長が楽しみな選手だ。
そして、育成の中では何と言っても大卒の庄司が素晴らしい活躍だった。ドラフト指名時点でも早い段階での支配下登録が期待されている投手だったが、7月末までに登録されてもおかしくはなかった。残念ながら1軍デビューは来季にお預けとなったが、現状のローテーションであればチャンスがあっただけに惜しまれる。
21試合に登板し、8勝5敗。107.1イニングを投げて防御率2.35と素晴らしい数字。派手さはないが、変化球を低めに集める投球で安定感があった。フェニックスリーグでも活躍を続け、支配下登録を勝ち取ってもらいたい。
素晴らしいルーキーイヤーとなった選手が多い印象だが、重要なことは1軍で長く活躍する選手になること。これまでの時点では神ドラフトと言えるが、5年、10年先に振り返った時にどうなるか。だが、この優勝の原動力となったルーキーたちが近い将来、1軍の優勝をもたらしてくれることに期待が高まる。
29日は最後の試合になる選手も
歓喜の優勝の翌日、ファームは今季最終戦を迎える。あと1ヶ月を切ったドラフト会議などで選手を獲得するため、何人かは確実にチームを去ることになる。発表は10月1日以降になるが、当然ながら当該の選手には既に球団から告げられ、一緒に過ごしたチームメイトにも共有されているだろう。
毎年のことだし、必ず発生してしまう別れではあるが、最優先の起用や様子で分かってしまうこともあるだろう。現時点で、引退する選手の報道等はなく、戦力外通告を受けた選手も現役続行を目指すものと思われる。引退登板ではないが、ベイスターズでの最後の試合となる。最終戦はYou Tubeで無料放送されることになったので、その思いを見届けてもらえればと思う。
ファームの最終戦が終わると、今年はファーム日本選手権に出場することになるが、10月7日からはフェニックスリーグが始まる。そこからはもう2025年シーズンに向けた準備が始まって行く。この優勝を糧とし、来年ハマスタでチームを勝利に導くための力を付けて欲しい。
1軍は読売が4年ぶり優勝
マジック1としていた読売が、マツダでの広島戦に勝利し4年ぶりの優勝を決めた。阿部監督1年目で、見事な優勝だったと思う。菅野の復活とエルナンデスの獲得が大きかったと思う。
菅野が最多勝を獲得する(追う13勝の才木、東が常識的には多くて2試合の登板なので追い付くのが限度)活躍をし、戸郷、山崎伊の3枚が非常に強力だった。シーズンを通してというわけには行かなかったが、グリフィン、井上も先発に厚みをもたらした。
懸念材料だったリリーフも、大勢が不在もありながら28セーブをマーク。代役を務めたバルドナードや高梨、船迫、移籍のケラーなど多様な陣容をうまく運用できた。
打線は、交流戦前までは苦しい状況だったが、丸が1番として役割を果たし、エルナンデスの加入で厚みが出た。ケガをしてしまった後も、モンテスが外野に回り、浅野も高卒2年目にしてしっかりと結果を出した。リーグ最少の57エラーが示す通り、守備も堅かった。
FA移籍の丸は今年、復活して優勝へ貢献したものの、以前までの優勝とは異なりFAに頼らずに戦力を構成したと思うし、最初はどうなのかと思った阿部監督も柔軟で思い切った采配をしたように感じた。
CSファイナルステージは、強力な先発3枚からスタートできるが、山崎伊に疲れが見えて、調子を落としているのは気がかりだろう。だが、グリフィン、井上も控えている。DeNAとしては、まずCSに進出し、ファーストステージを勝ち抜いて対戦することを目指す。シーズンでは8勝15敗1分と負け越しており、優勝の一因となってしまった。ファイナルステージまで駒を進め、リベンジしたい。
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