10/05 ファーム日本選手権 福岡ソフトバンク2-6横浜DeNA(サンマリン)
3回までランナーを出しながら好守にも阻まれて無得点に終わっていた打線は、4回に益子のラッキーなポテンヒットで2点を先制する。6回は、フォードの2ランを含む6連打で3点を追加し、試合の主導権を握る。先発の庄司は立ち上がりから低めへの変化球が冴え、6回4安打無失点の好投。7回にフォードが2本目のホームランを放ち、終盤は石川、三嶋とリレーし、最後は森唯が2ランを浴びながらも締めて、球団初のファーム日本一を決めた。
庄司が気迫のこもった投球
何と言っても庄司の投球が素晴らしかった。育成選手として入団したが、ルーキーイヤーからファームの先発ローテーションに定着し、最後まで守り切った。イースタンリーグ優勝を決めた9月28日も先発し、6回無失点。イースタンではヤクルトの阪口に次ぐ8勝を挙げた実績を引っ提げ、堂々と日本選手権のマウンドに上がった。
初回、先頭の佐藤航にヒットを打たれたが、続く笹川のバントを素晴らしいフィールディングで二塁をアウトにする。笹川に二盗を決められたが、すぐさま三盗を狙ったところを益子が刺した。初回を3人で終え、リズムに乗った。
2回は死球とヒットでピンチを招くも併殺で切り抜け、3回は再び益子が盗塁を刺してアシスト。先制点をもらった4回は三者凡退に抑えた。5回は、吉田のヒットの後、リチャードのショートゴロを西浦がエラー。広瀬が送って1アウト2、3塁と同点のピンチだったが、谷川原と野村を連続三振に取って吠えた。
6回も三者凡退に抑え、井上を三振に取って吠えながらベンチへ。しかし、益子が後逸しており、事なきは得たがちょっと降りるのが早過ぎた。6回無失点、6三振を奪う好投でMVPにも選ばれた。
いろいろな背景があるのだろうが、庄司を7月末までに支配下登録しなかったことを後悔させるような活躍だった。松本隆も終盤はイースタンリーグ優勝に貢献する結果を残したが、庄司が支配下登録されていれば、終盤に1軍でのチャンスをもらえたのは庄司だっただろう。先発の駒不足を考えれば、結果によってはCSでの抜擢もありえた。
しかし、結果として育成選手のままだったことで、ファームでじっくりと投球を磨くことができたし、ファームとは言え日本選手権という舞台でも好投できた。これだけの投球を見せられて支配下登録しないということはないだろう。契約更改の段階で支配下へ移行されるものと思う。フェニックスリーグでも経験を積み、来季は1軍のローテーションを争うような投手になって欲しい。期待してるぜ、ウッディ!
2番手は石川。石塚を追い込むも当ててしまい、吉田にこの日3本目のヒットを打たれてノーアウト1、2塁のピンチ。リチャードをチェンジアップで空振り三振に取り、広瀬はフォークで浅いセンターフライ。代打で嶺井が登場したが、フォークで2つ空振りを奪い、最後はストレートで押してファウルフライ。無失点で切り抜けた。
8回は三嶋が登板。1アウトから代打三森、笹川に連打を浴び、村川のエラーも絡んで1アウト2、3塁とされたが、井上を浅いセンターに取り、石塚を3球三振に仕留めた。
9回は、リーグ優勝と同じくクローザーとして貢献した渡辺かと思ったが、森唯斗。昨年はソフトバンクの投手として先発したが、1年経ってDeNAの選手として古巣相手に胴上げ投手として2年連続の登板となった。リチャードに粘られて歩かせ、広瀬には初球をレフトスタンドに運ばれたが、最後はイヒネを空振り三振に取り、日本一を決めた。
森唯斗は、1軍でもブルペンのムードメーカーとなり、若手を支えて来た。先週、登録を外れてファームに回っているが、CSでも状況によってはブルペンに入る可能性もある。ただ、この試合は渡辺も含めてもう少し若い投手に経験しておいて欲しかったなというのが正直なところではある。庄司が早めに降りることになれば小園らも準備していたと思う。
手術を受けてリハビリ中の深沢、森下らも来季戻って来て、投手力で再びファーム日本選手権への出場を勝ち取るようなチームになってもらいたい。
フォードが2発、関根は4安打
打線では、関根が4安打を放つ活躍を見せた。本来は来週からのCSでも活躍を見せなければならない選手だが、今は置かれた立場でしっかりと結果を出すことに専念している。守備でもセンター前に落ちそうな打球をダイビングキャッチ。1番センターとして攻守に躍動した。
そして、試合を決めたのはフォード。ケガによる離脱が多いオースティンのバックアップも考慮し、7月に獲得。オールスター明けの6試合は1軍でも出場したが、その後はオースティンが活躍し続け、外国人選手枠の関係からファームでの調整が続いた。チームトップタイの8本塁打も、打率.211でOPSは.709に留まった。
この日は、最初の打席で四球を選んで出塁。ワンバウンドの投球で積極的に二塁を狙ったがアウト。6回の3打席目は、井上を一塁に置いてアウトサイドのスライダーを捉え、打った瞬間というライトへの大きな2ラン。4点リードとなり、試合の主導権を握った。6回にはカーブを振り抜き、ライトスタンドへ。一度、フェンスに当たって跳ね返ったと判定されたが、その後ホームランに訂正された。6点目はダメ押しとなった。
ここでの2発でフォードをCSに、という声もあるかと思う。この日に松本隆が登録され、抹消されたのはディアスだった。10月15日まで再登録できないので、少なくともCSファーストステージには出場できない。現状、オースティン、ジャクソン、ケイが登録されているが、外れているウィック、ウェンデルケンが間に合う見込みと思われる。
今、フォードを登録してしまうと、ウィック、ウェンデルケンが登録できなくなるため、すぐに登録されることはないだろう。CSの期間、オースティンらのアクシデントに備えて調整するのだろうか。以前から声をかけていて、今季途中に加入が実現したが、今後どうなるのか注視したい。
先制打を放ったのは益子。大田のヒット、西浦の四球で2アウト1、2塁とし、益子はストレートに詰まり、セカンドとライトの間へ打ち上げたが、広瀬がグラブに当てながら落球。記録はヒットとなり、2点タイムリー。ラッキーではあったが、振り抜いた結果だった。
6回は6連打で試合を決定付けた。先頭の井上がストレートをライト前に運ぶと、フォードが2ラン。さらに西浦、益子がセンター前ヒットで続き、蓮はバントヒットでノーアウト満塁。ここで関根がタイムリーを放って6連打。イースタンでも最多の得点をマークした打線が火を噴いた。14安打6点の攻撃で日本一の栄冠を掴み取った。
最後はベテラン、中堅で日本一
10月1日に2025年シーズンの契約を結ばない旨を通知された大田、楠本、西浦、村川が、ベイスターズのユニフォームを着て最後の試合となった。大田が4打数2安打、西浦は1安打1四球。村川も二塁打を放った。彼らの貢献に報いるためでもあるし、新天地に向けてのアピールの場でもあったと思う。若手に経験させたい場でもあったが、何とか両立させたと思う。
また、本来であれば1軍で戦力になって欲しい関根が、1番として4安打。オースティンのバックアップとして獲得し、外国人枠の関係もあって1軍で出られないフォードが2発3打点。投手でも、1軍のリリーフの中心として期待された石川、ベテランの三嶋、森唯斗のリレーとなった。
この試合だけ見ると、本来1軍で結果を残して欲しい選手がファームにいる結果、日本一になったようにも思える。ただ、レギュラーシーズンにおいては、ルーキーたちの活躍、この日は1軍で出場していた松尾や松本隆に加えて、森敬、林、梶原、知野らも貢献した。
42年ぶりのイースタンリーグ優勝、そして、ファームとは言え4軍まであって、精鋭揃いのソフトバンクを倒しての日本一まで導いたのは青山監督。選手時代に横浜大洋に移籍し、そのままコーチに就任。1998年のリーグ優勝、日本一はコーチとして貢献。一度ロッテに移籍するも、2016年に復帰。ラミレス監督、三浦監督のもとでヘッドコーチを務めるなど、長きに渡ってベイスターズを支えて来た。
ロッテ時代の2012年に2軍監督を務め、ファーム日本選手権で同じくソフトバンクを破って優勝しており、青山監督にとっては12年ぶりの日本一となった。
ファンにとってはなかなか分からない部分で貢献されていると思うが、これだけ長く現場を任されるということは、選手からはもちろんフロントからも信頼されているのだと思う。昨年までは仁志氏が監督を務めたが、今季はいかに三浦監督と連携して1軍に戦力を送り込むか、将来の1軍選手を作り上げるかという年だったが、同時にファームとは言え勝つための野球、そして勝つための起用も意識した結果、日本一まで到達したのではないかと思う。
この日、期待のルーキーたちは、度会と石上がノーヒット。井上は好守に阻まれ1安打と振るわなかったが、こういった舞台の経験を糧に、7日から始まるフェニックスリーグでさらにレベルアップし、来年の戦力となってもらいたい。
ファームが日本一になって喜んでいる場合ではないことは、みんなが承知している。それでも1年間やって来たことの結果であり、この日ばかりはそれを讃え、喜びを表しても良いと思う。当然、球団も選手たちもいかに1軍での優勝に繋げていくかを考えていると思う。まずは、クライマックスシリーズを勝ち抜き、1軍も日本一になることを目標に戦ってもらいたい。
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