02/11 中日0-4横浜DeNA(Agre北谷)
今季初の対外試合で、ルーキー加藤が内野安打を含む3安打とアピール。3番に入った井上は、3回に先制タイムリーを放ち、7回にはライトへ特大のソロ。度会も鋭い当たりを連発してマルチヒット。若手野手を中心に12安打を放つ活躍を見せた。投手陣は、石田裕が制球に苦しみながらも3回無失点。庄司はピンチを迎えるも後続を断ち、5人で完封リレー。幸先の良いスタートを切った。
徳島IS出身の二人が揃い踏み
春季キャンプは11日から第3クールに突入。第3クールは3日間で、いずれも練習試合が組まれている。11日は北谷で中日戦、12日は中日の二軍がキャンプを張る読谷で二軍との対戦。13日は宜野湾で楽天戦が予定されている。

今季初の対外試合となったのは、宜野湾から海を挟んですぐ隣の北谷でキャンプを張る中日戦。2023年のオープン戦で現地へ行ったこともあるが、隣に大きなイオンがあり、アメリカンビレッジなどもある大きな街だ。

スコアボードの右奥に見えるのが、ベイスターズがキャンプを行っている宜野湾になると思う。ユニオンですからスタジアム宜野湾も海沿いにあるが、Agreスタジアム北谷は、外野の奥に海が見えて景色が良かった。
その北谷で目立ったのは、いずれも四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックスから入団した加藤と井上の二人。
加藤は、8日の紅白戦でプロとしての初実戦を踏んだが3打数ノーヒットだった。この日は2回に先頭打者として打席に立つと、2ボール1ストライクからのストレートについて行き、ピッチャー返し。松木平のグラブが僅かに届かずに弾き、内野安打となった。
プロ初の対外試合でヒットをマークすると、2打席目は3回に1点を追加してなお2アウト1、3塁という場面。1ストライクから甘く入ったストレートを強く振り抜き、強烈な打球はワンバウンドでサードの石川を強襲。左胸付近に当たり、ボールが転々とする間に一塁を駆け抜けてまたも内野安打。
6回には左腕の岡田から、中へ入って来たスライダーをセンターへ運び、いきなり3安打猛打賞となった。最初の打席は飛んだところも良かったが、初の対外試合でしっかり振って行けるのは良いところ。強打がウリの選手でもあるので、まずはしっかりと結果を出せたことは、次に向けて大きな勇気になったことだろう。宮崎のバックアップとして、開幕1軍の争いがこれから続いて行く中で、ルーキーとは言え貪欲に開幕1軍を狙って欲しい。
加藤は東海大相模高から東洋大に進み、2024年に徳島インディゴソックスに入団しているため、井上とは在籍が重なっていないが、同じ独立リーグで成長し、プロ入りを決めた。その先輩である井上も、しっかりと結果を残した。
最初の打席では、1アウト2塁でストレートをきっちりと引っ張り、ファーストゴロも進塁打になった。2打席目は3回2アウト3塁の場面。ノーアウト1、2塁から三森が併殺打に倒れ、チャンスが萎みかけていたが、真ん中に入って来たカットボールを打ち返し、打球はショートの頭を越えてレフト前に弾んだ。練習試合ではあるが、こういう場面でのタイムリーは非常に大きい。
そして、7回には本領発揮。左腕の岡田の高めストレートを強振すると、打球はライトポール際へ。打った瞬間という当たりは後方のネットに当たって跳ね返って来た。井上らしい豪快な特大ホームラン。やはりこのスイングと飛距離は期待が膨らむ。
井上はこの日、サードでスタメン出場し、試合途中からファーストに回った。加藤はDHからサードに回っている。左と右の違いはあるが、サードのレギュラーである宮崎のバックアップ、後継者を期待される両者。
ファンとしてはもちろん、宮崎がサードで出場して首位打者を獲ってくれるのが一番。だが、2024年を見ても、高いパフォーマンスを維持するために、週1回程度スタメンを外れる起用となっている。宮崎は少々のケガは押して出るタイプだが、ある程度サードで出場できるバックアップは用意しておく必要がある。
柴田の守備力は高いが、宮崎の打力を考えると、代わりのサードがあまりにも打力で劣るのは厳しいものがある。井上と加藤が高いレベルで争い、あわよくば宮崎を代打に回せるような状況になれば、チームは強くなるだろう。加藤はショートでのスタメン、井上はファーストや外野でのスタメンも視野に入れながらということになるが、二人の打力がチームの大きな戦力になる日が楽しみだ。
梶原は初回長打も2三振
ライブBPや紅白戦では、昨年台頭したバッティングの良さをさらに進化させたように見えた梶原。この日も最初の打席は、松木平の低めのストレートを拾い、打球は意外に伸びてライトの濱が僅かに届かず、二塁打となった。2打席目は低めの際どいボールを見極め、珍しい四球。
しかし、最後の2打席は左腕のアウトサイド低めへ逃げて行くスライダーにバットが止まらず連続三振。梶原らしいところではあるが、ここは引き続き課題となって来る。昨年後半のバッティングをさらに向上させられるか。開幕戦のスタメンを取るためにもオープン戦ではある程度の結果が求められるだけに、練習試合のうちにいろいろ試しておきたい。
紅白戦で活躍した三森は、2番として役割を果たせなかった。この時期の練習試合なので、過度にチームバッティングをする必要はないが、初回のノーアウト2塁で高めのストレートを打ち上げての内野フライは残念だった。梶原と三森の俊足が揃っているだけに、違った形を観たかった。
3回のノーアウト1、2塁は、引っ張ってランナーを進める意識があったのかは分からないが、カットボールに合わせ切れず、セカンドゴロで併殺に取られてしまった。軍師と呼ばれる三森なので、公式戦であればまた違った内容を見せてくれるとは思うが、ワクワクするプレーを期待したい。
度会は、スイングが力強く打球も鋭かった。センター、ライトへ2安打をマークし、6回もノーアウト1、2塁から岡田の甘いストレートをきっちり捉えた。打った瞬間に右中間を破るタイムリーと思ったが、ライトの上林がダイビングキャッチ。これは素晴らしいプレーだった。度会としては3安打だったと考えても良い内容だった。守備も含めて精度を上げ、開幕スタメンを手にして欲しい。
松尾はスタメンマスクを被り、初回に完璧な送球で村松の盗塁を刺した。打っても3回にカーブをレフト前に運んだ。山本の存在もあり、開幕スタメンは険しいが、二人が争って行くことでチーム力も上がって行く。もちろん戸柱ら他のキャッチャーも黙ってはいない。松尾の存在がレベルを高めてくれることを期待したい。
森敬も甘いボールをしっかりと弾き返していたし、逆方向へのバッティングは、当てただけということはなく、しっかりと捉えられている。蝦名にもヒットが出て、バッティングの状態は悪くないと思う。外野は贅沢な悩みが続きそうな気配だ。
石田裕3回無失点、庄司も粘投
先発した石田裕は、コントロールに苦しんだ。と言っても、ストライクが取れないという話ではなく、勝負球も微妙なコントロール。序盤は特にスライダーが決まらずに苦労した。カウント球はまずまずだったが、勝負球が甘く3回までに4安打を許した。
際どいコースを突くのが石田裕の投球だが、コントロールの精度がもう一歩なので、打者に見られて歩かせる場面も目に付いた。3回で4安打3四球とかなり塁上を賑わせたが、粘りの投球はできたと思う。特に2回に尾田から見逃し三振を奪った、インサイドへのストレートは彼らしいボールだった。
ローテーションを争う立場からしても、2月の練習試合の段階から結果が欲しいところではあるが、細かいコントロールの調整に課題も見つかった。次回の登板までに精度を上げ、ローテーション争いに名乗りを挙げたい。
2番手の庄司も2安打と2四球でピンチを招いたが、無失点で切り抜けた。石田裕もそうだが、庄司も完璧に抑えるタイプではなく、ランナーを出しながらも最少失点で切り抜ける先発タイプ。現状、育成選手なので、石田裕にも増して結果を残す必要がある。まずは無失点でスタートが切れたので、支配下登録に向けて結果を積み重ねて行きたい。
紅白戦で好投した岩田は、1アウトから尾田を歩かせてしまい、盗塁も決められた。しかし、上林に続いて右の辻本も打ち取って無失点。求めるのは左キラーだが、右打者にもある程度投げられるなら1イニングを任せることもできる。今後、中軸との対戦を見て行きたい。
8回から2イニングを投げた宮城は、紅白戦に続いて良い投球だったと思う。カーブが良く、効果的に使えていた。9回先頭へのストレートの四球は反省点だが、ストレートにも力があるし、カーブで緩急をつけながら、フォークで勝負できる。リリーフの1軍争いに加わって来て欲しい投手。
この時期の練習試合なので、中日も若手主体のメンバーだった。しかし、開幕戦の相手でもあるので、まずは最初の試合で完封リレーという形で完勝できたことは好材料。12日は読谷で二軍との対戦があり、15日は宜野湾で再び対戦する。良い印象でオープン戦に入り、開幕を迎えたい。
12日は中日の二軍と読谷で対戦
DeNAの二軍は、嘉手納球場の建て替えにより2023年から奄美大島でキャンプを張っている。嘉手納で実施していた時は、中日の二軍が嘉手納の隣の読谷で行われていることもあり、二軍の練習試合が行われていた。今回は、DeNAはA班が読谷で二軍との練習試合になる。
ベテラン、主力である桑原、牧、オースティン、佐野、戸柱、筒香、三森、山本は帯同しないが、森敬や梶原などのスタメン候補と若手選手が出場する。既にベイスターズ公式サイトの練習メニューでスタメンが発表されている。
9 度会
6 森敬
D 松尾
3 井上
2 九鬼
5 加藤
8 梶原
7 東妻
4 知野
梶原は7番に入り、度会を1番で起用。北谷でホームランを放った井上が4番に入る。北谷には帯同していなかった柴田がゲーム途中から出場すると思われる。
(継投)
吉野
森唯
三嶋
ディアス
堀岡
(予備)
山﨑
浜地
颯
投手は吉野が先発で3イニング前後を投げると予想される。その後、森唯、三嶋のベテランも読谷で登板することになった。紅白戦では打ち込まれた二人が、この登板で生き残りを懸ける。終盤はディアスと堀岡が登板。予備に山﨑、浜地、颯と豪華。3人は帯同し、読谷のブルペンに入る。アクシデントなどがあった場合は登板することになる。
北谷では活躍を見せた若手野手が、読谷の中日の若手メンバーを相手にどのような試合を見せるか。ローテーション争いに向けて吉野も結果が欲しいところだ。
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