横浜DeNAベイスターズの選手ごとに2026年の期待や展望を独断で書いて行くシリーズ。今回は内野手編。キャプテンに就任した筒香が、内野手登録に変わり、サードに加えてファーストも守る。セカンドに拘りを持つ牧が年間を通して守れば、ショートの争いも激化するだろう。
林琢真
2025年はキャリアハイの95試合に出場。打率.242で3年目にして最も良い数字を残したが、プロ初ホームランも放ち、長打率も.318、OPS .615とパワーも付いて来た。牧が手術で離脱した後は、大学時代に守っていたセカンドでスタメン出場を続け、穴を埋める活躍も見せた。5月9日の涙のサヨナラ打も印象深い。
筒香がファースト、サードで使われる見込みで、牧が拘りを持つセカンドに入ることになりそう。林はショートで石上らと争い、スタメンを勝ち取らなければならない。ある程度速い打球でないと内野の間も抜けないので、スイングの強さは必要だが、林が求められるのはCSファーストステージ第2戦で見せた粘りと、しぶとくレフトの前に運んだバッティング。そして守備の安定感。
守備に関してはもともと悪くない選手だが、年々成長していると思う。肩の強さを比較すると他の選手よりやや劣るが、そこは反応と足の運び方で補って行きたい。バッティングはやはり左腕への対応になってくるだろう。右腕の.303に対して、左腕は.155と大苦戦。球種でもスライダーの数字が悪いので、左腕のスライダーをどう見極め、粘っていくかが課題。
対戦チーム別でもヤクルト戦で4割台だったが、上位の阪神、読売には1割台で全く通用しなかった。チームをリーグ優勝へ導く上でも打ってほしいところで打てる選手に成長してほしい。
牧秀悟
2025年は、開幕直後は状態が上がらなかったが、5月は打率.343を残して月間MVPを獲得。しかし、その後は再び状態が下降。7月末に登録抹消となり、左MP関節尺側側副靭帯修復術の手術を受けた。CSでは復帰したものの、プロ5年目で初めて長期離脱となり、93試合で打率.277、16本塁打、49打点はいずれもキャリアワーストとなった。
ここまで実績を積み上げてきた選手なので、コンディションさえ整えばあまり心配は要らない。2026年は3月に行われるWBCのメンバーに選ばれており、セカンドで出場することが期待されている。まずはここでしっかりと戦力になれるように、少し早めに仕上げているだろう。4月に28歳とまだまだ若いが、それでも早めの仕上げからシーズン最後までケガなく完走できるかどうか。
投高打低になって牧に限らず打者たちの数字が悪くなっている中で、年々数字を落としているようにも見えるが、相対的には価値の高い選手であることは変わりない。相川監督の構想では1番に置くことも想定されている。ハマスタであれば20発は十分にクリアできる選手だが、右方向への巧さなどバッティングの柔らかさを生かし、再び3割を超えてチームに得点をもたらして欲しい。
以前にも書いたが、相手の投手が大ピンチで牧を迎えるシーンで、ビビって勝負できないという光景をあまり見ない。牧の長所でもある積極性だが、相手が追いつめられているはずの場面で自分の方が焦ったように仕掛けてしまい、失敗するケースが散見される。どっしり感がなく、本当の意味での怖さがない。そういう意味でも「日本古来から言われている4番」のタイプではないと思っていた。
そういう意味で、OPSが高い良い打者から並べるという打順の構成は悪くないと思う。ただ、セ・リーグは2026年もDH制がないので、9番に投手を入れる場合に1番牧がどれほど機能するかどうかはよく考える必要がありそうだ。
まずはWBCで活躍し、侍ジャパンの連覇に貢献してもらいたい。そして、キャプテンを筒香に譲った中で、牧にはもう一度個人として大きくチームに貢献し、リーグ優勝を勝ち取ってほしい。打点王も目標として素晴らしいが、今一度出塁の重要性を見直し、打率と出塁率を高めてもらいたい。他にも良い打者が並ぶので、牧だけが還す必要はないのだから。
森敬斗
2024年はシーズン終盤にショートのレギュラーとして定着し、日本シリーズでも活躍を見せた。2025年は年間を通してショートで出場することが期待されていたが、僅か25試合の出場と大きく裏切った。バッティングで苦戦し、守備でも送球難の部分が出てしまった。
フェニックスリーグではセンターも守り、他のポジションというオプションも考慮した。11月に右肘のクリーニング手術を受け、2026年は勝負の年となる。ショートは2025年に石上が台頭し、林もキャリアハイをマークしており、競争はさらに厳しくなっている。
センターとして出場するにも、現状の打力では勝負にならない。類稀なる強肩と足の速さを生かすには、とにかく打つしかない。ベイスターズにおける立ち位置としても、かなり厳しいというのは本人も分かっているはず。その中でどこまで自分を追い込んで、結果に繋げられるか。
手術明けで嘉手納からスタートを切るが、期待されたドラフト1位の高卒7年目、残された時間は多くない。
筒香嘉智
2024年は4月にベイスターズへ復帰したが、打率1割台とアジャストに苦しんだ。日本シリーズでホームランを放つなど手応えを得て臨んだ2025年だが、開幕スタメンに名を連ねるも不振が続き、調整のため2度の二軍落ちを喫した。8月は8本塁打と復調し、9月は宮崎の離脱でサードに入り打線を支えた。CSでも2発の活躍で、健在ぶりを見せた。
2026年は、7年ぶりとなるキャプテンを務める。MLBへの移籍があったとは言え、佐野と牧という2代のキャプテンがいる中での再任というのは超異例。そのキャプテンシーや影響力は絶大ということだろう。
2016年に、DeNA初代キャプテンだった石川から引き継ぎ、キャプテンに就任した筒香が言っていたのは、活躍する選手は数多くいてもチームを勝たせる、優勝させるという選手は多くないということ。結果として活躍すれば優勝の原動力にはなるが、キャプテンとしてチームを導くというところに意欲を持っていた。
その優勝は叶わずMLBに移籍し、復帰したチームでは牧がキャプテンを務めていた。そうした中で、現状を打破する意味でも相川監督が筒香を指名し、それを快諾した。筒香の中でも何かを変える必要があると感じていただろうし、かつて言っていた優勝に導く選手になるチャンスがもう一度巡って来たということだろう。筒香はチームのことを一番に考えているから、自分が役に立てるならという思いだろう。
バッティング面でも、なかなか直らなかったいわゆる踵体重が修正できたことにより、8月以降はホームランを量産した。まだまだ長打力は衰えていないし、現状の飛ばないボールでもスタンドまで持っていける。投手に威圧感を与えられることで四球による出塁も増えて来るだろう。打率以上に価値のある打者で、OPS .900台を期待できる。
セ・リーグでは、広島戦で.167、0本塁打と極端に数字が悪かったので、ここは対策が必要だろう。また、左腕に対して.153、3本塁打とかなり苦戦した。2019年以前はここまで極端な数字ではなかったと記憶しているので、左腕への対策も引き続き必要になって来る。35歳になる年で、NPBへアジャストとともに年齢とも向き合っていく必要がある。
2026年は内野手登録に変わり、ファースト、サードでの起用が想定されている。宮崎の状態次第ではファーストがメインになるかも知れない。ピンチを迎えた投手への声掛けという意味でも内野に筒香のいることの大きさを相川監督も認めている。ファンもずっと待っていた筒香と一緒にリーグ優勝という夢を成し遂げてもらいたい。
加藤響
ルーキーイヤーは、二軍で87試合336打席に立ち、実戦経験を積んだ。9月7日に出場選手登録され、一軍で3安打も放った。独立リーグを1年経ているが、大卒と同じ年齢でプロ入りしており順調な1年だったと思う。
石上、林、森ら左打ちの内野手も多い中で、右打ちとしてアピールして行きたいところだが、2026年は宮下、成瀬とポジション的にも近い選手が加入してきた。特に宮下は東洋大時代にも一緒にプレーしており、ライバルとして負けられない存在。
ここ数年ずっと言われている宮崎の後釜というサードも、筒香が入ったり、ドラフト1位で小田が入ったりと争いは常に熾烈。本人も十分自覚していると思うが、競争に勝つために攻守で一段、二段ステップアップが必要。
二軍ではセカンド、サード、ショートをおよそ30試合ずつ守っているが、ショートを守れる守備力はある程度維持したい一方で、パンチ力のあるバッティングをさらに向上させたい。2026年の春季キャンプは嘉手納からスタートを切るので、青白戦や練習試合でアピールし、オープン戦で呼ばれるようにしたい。
石上泰輝
2025年は開幕一軍を逃すも4月26日に出場選手登録され、内野の控えとしてベンチに入った。なかなか結果が出なかったが、7月に少ない機会で.429を残しチャンスを得る。8月にはプロ初ホームランをマークし、9月はスタメンに定着した。CSファーストステージ第2戦では、初回に同点3ラン。11回裏2アウトランナーなしから内野安打で出塁し、盗塁を決めて林の同点打を呼び込んだ。
2024年に森がそうだったように、シーズン終盤にスタメンに定着し、ポストシーズンでも活躍した石上には年間を通しての活躍が期待される。チームとしてもまずは石上がポジションを取る想定で進めていくだろう。2025年に経験したことを踏まえて、さらに成長して行けるかどうか。
どの左打者にも当てはまることではあるが、年間を通してレギュラーを張るなら左腕への対応が不可欠。2025年は.098と極端に悪かったので、ボールの見極め方など工夫が必要になる。CSでの盗塁が印象的だったが、レギュラーシーズンでは企図5回で3回成功。精度を上げ、もっとスタートを切れるようにしたい。
宮﨑敏郎
2025年は開幕から調子が上がらず、3、4月は打率.230、ホームランなし、OPSも.527。5月は.429と爆発したが、6、7月は再び低調。オールスター時点でホームランは僅かに1本。高との対戦で20球粘ってホームランを放った打席が記憶に新しいが、8月は.318、5本塁打と復調したが、9月に下半身のコンディション不良で離脱し、そのままシーズンを終えた。
ここ数年は3連戦で1試合はベンチスタートにして、コンディションの維持を図っている。本人としてはまだまだレギュラーとして全試合に出たい気持ちもあるだろうが、毎年のようにケガがあり、多少の無理をしても出る選手なので心配も尽きない。芸術的なバッティングは健在なので、コンディションの良い状態で出場して活躍してくれる方がありがたい。
離脱していた9月はサードに筒香が入り、穴を埋めた。その筒香が2026年は内野手登録となり、サードでの起用も想定される。宮崎としては自身の出場機会に関わって来るので、安穏とはしていられないだろう。宮崎くらいの選手であれば技術というよりも年間を通してコンディションをいかに維持するかどうか。38歳を迎えるシーズンで、年齢との戦いにもなって来る。
例年であれば春季キャンプはファームでじっくりという形だったが、2026年は一軍でスタートを切る。このあたりもサードのレギュラーを前提に調整を任されたベテランということではなく、サードを争う内野手の一人としての扱い、覚悟が見える。
2027年からDH制が採用されれば、DHでの出場機会も考えられるが、2026年に関してはスタメンで出るにはサードを守るしかない。前年以上に代打での登場も増えそうだが、その勝負強さを重要な局面で発揮してもらいたい。代打に宮崎、ビシエドと置けるくらいにスタメンが充実すれば、チームとしては良いことなのだろう。宮崎本人は当然、スタメンでタイトルも狙うつもりでやっているだろうから、まだまだ健在という姿を見せてもらいたい。
田内真翔
2025年は、高卒ルーキーながら早くから二軍の公式戦に出場。80試合で252打席に立ち、打率.253とまずまずの数字を残した。シーズン最終盤の9月30日に出場選手登録され、一軍で2試合に出場した。10月1日のハマスタでのヤクルト戦で阪口からプロ初ヒットをマークした。
一方、守備では二軍で50試合でショートを守り、セカンドとサードも守ったが、24エラーと課題を残した。桑原二軍監督からは、バッティングで結果を残してもまずは守備だと言われ続けたというエピソードもある。
オフにはドバイで行われるベースボール・ユナイテッドに派遣され、最も優れた守備力を見せた野手に送られるエイドリアン・ベルトレ賞に選出された。同じチームで出場した川崎宗則や中島宏之のプレーを見て学んだところもあるし、リーグのレベルもあるのだろうが、二軍とは別人のような守備を見せた。
ドラフト5位ではあったが、ベイスターズの評価は非常に高かった田内。当然ながら、ここから走攻守全てでレベルアップしなければ一軍は近づいてこないが、高卒1年目を想定を上回って順調に過ごした。2年目の田内がどこまで伸びるのか注目したい。まずは二軍で前年の数字を上回って行くこと。特に守備の安定感は欲しいところだ。
春季キャンプも一軍の宜野湾メンバーに入っており、勢いに乗って石上ら先輩を焦らせるような活躍が見たい。
ビシエド
2024年限りで中日を退団し、メキシカンリーグでプレーしていた。7月19日にベイスターズが獲得したことを発表し、二軍での調整を経て29日に出場選手登録。主に代打で起用され、オースティンが不在の時などはファーストでスタメン出場した。8月17日には、古巣の本拠地であるバンテリンドームで1号ホームランを放った。
レギュラーシーズンは43試合90打席で打率.259、ホームランは2本だった。中日時代には出場できなかったCSで初めてプレーする目前だったが、足の肉離れで離脱し出場はならなかった。
FA権を保有しており、外国人枠からは外れている。全盛期のようなパワーはないが、首位打者を獲得した柔らかさ、巧さがあり、代打としても期待できる。そういった点からベイスターズが契約延長オファーを出し、NPBで11年目のシーズンに入る。
ファーストの守備にも定評があり、37歳で迎えるシーズンではあるが、まだまだスタメン出場は可能。宮崎の状態も見ながら、時にはファーストがビシエド、サードが筒香といったシフトも考えられる。中日時代からチャンスでの弱さは指摘されており、代打としての勝負強さはもう少し欲しいところ。年齢的にも速球への反応が課題になるが、そこは技術で逃げながら甘いボールを捉えて行きたい。
内野手の展望
一塁:筒香、ビシエド、牧、(佐野)
二塁:牧、林、三森
三塁:宮崎、筒香、石上
遊撃:石上、林、京田、成瀬
控え:柴田、森
NEXT:宮下、加藤、小田、田内
2026年の内野手の運用は、宮崎の状態次第ということになりそう。宮崎がサードで出られるようであれば、筒香がファーストに入る。セカンドに拘りも持っている牧は、WBCに出場することもあり、現状コンバートはなさそう。そうなればショートでは石上に加え、林や京田などで争う形になる。
宮崎がベンチスタート、あるいは離脱となれば筒香がサードに回り、ファーストにはビシエドが入る。ビシエドもフル出場は難しいかも知れないので、佐野も含めてファーストをカバーしていく必要がある。牧がセカンドで厳しいようであれば、ファーストに回すことも考えざるを得ないだろう。
柴田はピンチバンターや守備固めとして、三森は代走として控えに回ることが多そうだが、特に三森は状況によりスタメン出場も考えられる。森はまずは手術した右肘も含めてコンディションを上げ、ショートからのスローイングがしっかりとできるようにしてから。控えとしてベンチに置いておく選手ではないが、レギュラー争いに加われないのなら代走でも戦力になって、一軍ベンチに食い込みたい。
ルーキーの成瀬は、守備だけであれば一軍に入ってきてもおかしくはない。あとはキャンプ、オープン戦でバッティングをアピールできるか。宮下も同様。加藤は攻守にレベルアップが必要。伸び盛りの田内も高卒2年目ではあるが、常に一軍ベンチ入りのチャンスを窺っておきたい。
小田に関しては、ケガをしていたことからルーキーイヤーはじっくり行くのではないかと思う。特に守備に関して、大学時代のファーストをそのまま続けるのか、プロとしてサードも守れるように練習していくのか。サードもやるならしばらくは二軍の試合で実戦経験を積んでいく必要があるだろう。ここは全く焦る必要はないと思う。


コメント
オースティン・牧・宮﨑の打点・得点があれだけ減ったのに得点リーグ1位を記録できたのは、それなりに選手層が厚くなってるのでしょう。
ただ、優勝するには得点が全然足りません。リーグ平均プラス100点程度が目標になります。各ポジション争いが高いレベルならおのずと得点力も上がるでしょう。
期待してます。
宮﨑が不在の間に、筒香がサードでそれ以上の活躍を見せたことが大きいですね。2026年はフルシーズンでそういった活躍を見せられるかどうか。
セカンドも、役割は違いますが林が頑張りましたね。桑原の移籍は痛いですが、蝦名が昨年後半に近いパフォーマンスが見せられればまだ何とか。