横浜DeNAベイスターズは11月5日、村田修一氏、河田雄祐氏、上田佳範氏と2025年シーズンにおいてコーチ契約を結ぶことを発表した。担当も含めて正式な陣容は追って発表される予定。日本シリーズが終了し、2025年の陣容についてさまざまな報道が出ているので、まとめておく。
コーチングスタッフ
球団から正式な発表があったのは、小池コーチの退団と前述の3コーチの入団のみで、あとは全て報道されている不確定の内容となる。
まず正式発表となったコーチについて。村田コーチは今季までロッテで打撃コーチを担当。2011年オフにFAで読売へ移籍して以来、14年ぶりの古巣へ復帰となる。DeNAに変わってからは初めての在籍となる。担当は未定だが、1軍打撃コーチが有力。報道では、今季チーフ打撃を務めた石井コーチは、育成担当に配転されるとのこと。
古巣を挑発する発言があった内川氏には未だに拒否反応が多く聞かれるが、村田コーチもFAで読売に移籍した選手ではある。ただ、内川氏もそうだが、あの頃のベイスターズは力のある選手が、自ら勝ち取った権利でチームを出てもやむを得ないくらいに、全てがどうしようもなかった。
個人的にはチームの歴史を彩った選手でもあるし、戻って来てくれるのは歓迎だし嬉しい。あの頃は夢にさえ描けなかったリーグ優勝を一緒に分かち合うことができれば、この上ない喜び。昨年末、ロッテのコーチでありながらドリームマッチに参加し、DeNAベイスターズのユニフォームを披露したあたりからレールは敷かれていたのかも知れない。
続いて、河田コーチは、言うまでもないくらいコーチ経験が豊富。2002年に西武で引退後、2015年まで西武でコーチを務めた。2016年に広島へ移籍し、連覇に貢献。2018年から石井コーチとともにヤクルトに移籍し、3年間コーチを務めた。2021年から2年は広島に戻ってヘッドコーチも経験。2023年からはまたもヤクルトに移籍してコーチを務めている。
現役引退後、1年も空くことなくコーチを務め続けているスペシャリスト。ここで初めてベイスターズのユニフォームを着ることになったが、これは石井琢朗コーチの存在も影響しているのではないかと推測される。小池コーチが退団となったので、そのまま1軍の外野守備走塁コーチなのか、石井コーチとともにファームで育成する役割になるのかは不明。豊富な指導経験に期待は大きい。
上田コーチは、2016年からラミレス監督時代の5年間、一軍外野守備走塁コーチを務めた。その後、日本ハムと中日で2年ずつコーチを務め、5年ぶりの復帰となる。中日では打撃コーチを担当し、ファームの打撃コーチだった嶋村、下園両コーチが退団していることから、ファームの打撃コーチかも知れない。外野守備走塁コーチも青山監督が兼務していたので、大村コーチが打撃を務め、外野守備走塁を担当する可能性もある。
上田コーチも2008年に引退してから1年も空けずにコーチを務め続けている。現役時代の古巣である日本ハム、中日でコーチを務めた経験を踏まえ、今のベイスターズでどのように選手を育てるか注目される。
4日に退団が発表された小池コーチは、中日の打撃コーチを務めることが発表された。現役時代に中日へ移籍し、FAで戻って来た小池コーチは、もしかしたらその際に井上監督と強い結びつきがあるのかも知れない。結果的に、小池コーチと上田コーチがトレードのような形となった。
ファームは、青山監督、鶴岡コーチ、嶋村コーチ、下園コーチの退団が既に発表されている。10月に行われたフェニックスリーグでは、桑原義行ハイパフォーマンス部長が監督として指揮を執ったが、そのまま2025年のファーム監督に就任する模様だ。
2000年代からのファンにとっては、「面白い桑原」と言えば元祖は彼だろう。1軍では35試合の出場に終わり、選手として成功したとは言えないかも知れないが、湘南シーレックスではプレーはもちろん、パフォーマンスなどでもファンを喜ばせてくれた。
その後、主に現場ではなく球団内でさまざまな役割に就き、2024年から謎の組織、ハイパフォーマンス部の部長に就任して話題となった。内容はよく分からない部分が大きいが、育成のスペシャリストということで良いのだろうか。
2024年は1軍でオフェンスチーフとして靏岡コーチ、ディフェンスチーフとして相川コーチがそれぞれ独立して担当し、三浦監督への進言などを行った。ファームでも2025年からこれを取り入れる方向のようで、オフェンスを中井コーチ、ディフェンスを藤田コーチが担当する模様。
桑原監督は、これらの情報をもとに意思決定を行う。監督が全てを担うのではなく、あくまでも最終決定の責任を持つ本当の意味のマネージメントとしての役割に特化する形。だからこそ桑原氏が就任するのだと思う。
ベイスターズは、他チームとは異なり、監督の役割がより意思決定にフォーカスされて行っている。数値化、定量化されたデータに加えて、フィジカル、メンタル面の把握をコミュニケーションの中で行い、総合的な判断を下す。ひと昔前の勝負勘とか、監督の経験や感性に頼らない、サステナブルなチーム作りを考えているのではないかと思う。この取り組みが今後、どのような結果をもたらすのか注目したい。
前述の通り、石井コーチも主にファームになると思うが、育成コーチに配転される。監督との不仲説とかは夕刊紙ネタなのでどうでもいいが、退団する可能性もあるのかなと思っていたので、残ってもらえるなら非常に嬉しい。河田コーチも呼んでいるなら、まだまだリーグ優勝に向けて力を尽くしてもらえるのかなと思う。ファームで育って欲しい野手はたくさんいるので、三浦監督が1軍に呼ぶ選手を悩むくらいの状況にしてもらいたい。
最終決定後に正式発表されると思うが、新任および変更となるコーチングスタッフについて、現時点での予想は以下の通り。
【1軍】
打撃コーチ 村田修一
外野守備走塁コーチ 河田雄祐
【ファーム】
監督 桑原義行
オフェンスコーチ 中井大介
ディフェンスコーチ 藤田一也
打撃コーチ 上田佳範
投手コーチ補佐 加賀繁
育成野手コーチ 石井琢朗
外国人選手
既に続々と帰国している。基本的には9月末あるいは10月末までの契約で、日本シリーズの為に延長した形だとは思うので、終わり次第すぐに帰国の途に就いている。
オースティンは以前にも投稿した通り、2022年から2024年までの3年契約が終了したが、球団が選択できるオプションを持っており、これを行使する方向のようだ。今年の活躍と円安を考えれば今季推定の4億3500万円からアップすることになるので、当時のオプションで同等の年俸での契約延長であれば行使した方が良い。
本当はここから2年以上の複数年契約を結び直したいくらいだが、ベースが非常に上がってしまうので、2025年を終えたところで新規の延長契約を交渉した方が良いかも知れない。来年も1年間フルで出場できるかどうかは分からないが、オースティンほどの選手がNPBに来ることは稀なので、絶対に契約延長すべきだろう。これまでの3年も費用対効果はどうかなと思うが、今年だけでもかなり効果はあったと思う。
そして、ジャクソン、ケイ、ウィックは残留の見通しであることが報じられている。正式発表は契約を詰めて合意してからなので、今月末から来月になるかも知れないが、朗報を待ちたいと思う。個人的にもジャクソン、ウィックは絶対に手放したくないと思っている。ケイはCSと日本シリーズで再び評価が高まったと思う。
ウェンデルケンは好きな選手だし、貢献度が高く実力も申し分ないが、今年のケガの影響が心配ではある。フォードも途中加入で、最初からある程度オースティンのバックアップというイメージながら、ファーム日本一に貢献し、1軍の日本一にも携わる形になった。選球眼もいいし、長打力が魅力なので、手放すと特にDHのあるパ・リーグは声をかけるのではないかと思う。外国人選手枠の関係で、二人は微妙なところだと思う。
ディアスも含めて既に7名が在籍しているが、報道では以前から中日のライデル・マルティネスの獲得を調査していると言われる。森原が素晴らしい活躍でクローザーを担ってくれているが、マルティネスも加わればリリーフは強固になる。ソフトバンクも、確かにオスナに代わるクローザーとして検討するのも分かるという日本シリーズだったが、中日残留を含めてキューバ案件なので不透明だ。
さらに、一部ではバウアーとの再契約も検討中と報じられた。今年は結局、メキシコで1年間プレーする形になり、MLBからは声がかからなかった。DV問題は潔白になったが、結局のところそういう問題ではなくMLBからは敬遠されている状況で、いくら実力を見せても復帰への道は開かれない。
また開幕後まで門戸を開いておくような形になるのか分からないが、悲願のリーグ優勝に向けてできることは全てやって欲しい。日本一効果も手伝って、DeNAのスポーツ事業はさらなる増収が見込まれるので、マルティネスなりバウアーなりに資金を投入できる状況にはあると思う。本業が振るわないDeNAだが、スポーツ事業が挙げた収益を他に回すのではなく、しっかりとベイスターズに投資して欲しいと思う。株主としては増配にも期待したいが、それはポケポケに期待ということで。
今季、特にポストシーズンに入っての外国人選手の活躍は素晴らしいものがあった。外国人選手のスカウティングも上手く行っているが、2025年については活躍した選手の残留と移籍選手の獲得という方向性になりそうだ。特にジャクソン、ケイ、ウィックはまだ若く伸びしろもあって、今年大きく成長したと思うので、来季以降が楽しみだ。
特にジャクソンは本人が良ければ3年くらいの長期契約を結びたい。アメリカにはない胴上げも、しっかりと一番近いところで番長を上げていたし、シャンパンではなくビールを使う日本の祝祭も楽しんでいた。奥様も近々出産されると思うが、日本での生活に不自由を感じていなければぜひ。
FA
ベイスターズで既にFAを取得している選手はほとんどが複数年契約で残留が決まっている。大田は残念ながら戦力外となった。今季取得した佐野は、行使するかどうか熟考。これはそうだろう。ここまで本人が努力して取った権利なので、よく考えてもらいたい。
昨年は球団からの複数年契約の打診を固辞したと言われる。昨年は成績が下がってしまったので、そのタイミングで複数年契約を結んでもベースが低いので得策ではない。決して移籍ありきの単年ではないと思う。今年も、佐野本来の能力からすると物足りないかも知れない。筒香の復帰、梶原の台頭、度会の加入で外野の争いも厳しくなった。オースティンが年間を通してファーストを守るようだと出場機会が限られる可能性はある。どのチームでのレギュラーは競争だが、佐野がどう考えるか。
岡山県出身で広陵高卒ということもあり、地元の広島が獲得に乗り出すのではと言われている。打力のある選手が少ないチームには魅力があるだろう。ファンとしても、来季以降も横浜でデスターシャをして、リーグ優勝へ導いて欲しいが、本人がどんな決断を下すか。
京田にも残留オファーが出ており、報道では残留見込みとなっている。中日時代のように不動のレギュラーではなくなっているが、スーパーサブとして役割を変えながらチームに貢献している。若手からも慕われているし、チームに溶け込んでいる感じがある。森敬の成長でますます出番は難しくなるが、いざという時に頼りになる存在。自身としても初のリーグ優勝を横浜で経験してもらいたい。
獲得を検討として名前が挙がったのが、楽天の酒居、中日の高橋周、広島の九里。いずれの選手もまだFAを行使するかどうかは熟考中。酒居はCランクと報じられており、リリーフ強化には打って付けの存在。高橋周も神奈川出身の選手としてずっと気になっているが、31歳左打ちの内野手は、Bランクだとなかなか厳しいか。報知ではB、日刊ではCと報道されており、微妙なラインなのだろうか。
九里も年間を通して先発を任せられる存在で、魅力的だがハマスタであまり良くない印象なのが引っかかる。こちらもBランクとなっているので、もしFAを行使したらという前提ではあるが、慎重な判断が必要だ。
それ以外の選手だと、日本シリーズ第4戦で苦戦したソフトバンクの石川もFAを行使するのではないかと言われている。こちらは高年俸選手がズラリと並ぶソフトバンクで、今季1億2000万円ながらCランクと報じられていて、そこも含めて魅力的。今季は7勝2敗ながら63.1イニングなので、残れば減俸の可能性もある。
大卒の育成指名で、比較的遅咲きでもあり、来季34歳なので長期の契約は難しいかも知れないが、条件次第では獲得もありうるか。他球団も狙っていると思うので、今後の行方に注目したい。
戦力外
阪神を戦力外となった左腕の岩田の獲得を検討していると報道があった。左腕は補強ポイントでもあるので、岩田を含めて調査している段階だろう。逆にその左腕で育成契約への移行が不調に終わったと見られる石川は、読売が調査という報道があった。楠本も代打として阪神が獲得を検討していると言われており、去就が注目される。
今年で最後となる合同トライアウトは、14日にZOZOマリンで行われるので、そこから再契約が解禁となる。ベイスターズから戦力外通告を受けた選手たちの新天地も気になるところで、どのような動きがあるのか注目したい。
選手枠
2024年はフォードを獲得し、支配下登録の選手が69名となり、そのままシーズンが終了した。戦力外通告を受けた支配下の選手が7名なので、62名。ドラフトでの支配下の指名が6名なので68名となる。
外国人選手も入れ替えの可能性はあるが、大きく減ることはなさそう。追加で戦力外通告を受ける選手がいないのであれば、育成契約に移行となる選手が複数名出て来ない限り、新たな選手を獲得する枠もないし、庄司ら支配下登録されそうな選手のための空きも足りない。
トミージョン手術を受けた深沢、8月20日に左肘のクリーニング手術を受けた森下、ケガが続いて今季はファームで5試合登板のみの橋本あたりが育成契約に変更となる可能性がある。このあたりも契約更改が進んだ段階で明らかになるかも知れない。11月末に保留選手名簿が出るので、そこで一旦自由契約となった上で育成契約を結び直す流れになる。
日本シリーズが終わって間もないが、チームは悲願のリーグ優勝に向けて来季の準備に入っている。ストーブリーグの開幕となるが、プレミア12を観つつ、その動きにも注目して行きたい。
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