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1997年7月の横浜ベイスターズ 振り返り

1997年7月の横浜ベイスターズを振り返る。4月に借金8を背負って最下位に低迷したベイスターズは、5月反攻で貯金1をマークし、2位まで浮上する。しかし、6月は故障者が相次ぎ、阪神戦で8連敗を喫するなど、今季ワーストの借金9となり、再び最下位へ。良い形でオールスターを迎えるべく、奮闘が続く。

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4月のレビュー

最初から読みたい方は、こちらの記事からどうぞ。

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阪神の呪縛から解かれ5連勝

新星の福盛ら先発が好投

6月最後に阪神戦の連敗を8で止め、呪縛から解かれたのか、先発投手の好投が続いた。

まずは野村。1日のナゴヤドームでの中日戦では、8回を1安打無失点の好投。5回まではパーフェクトピッチングだった。ストライクが常に先行し「久し振りに気持ち良く投げられた」という野村が、5回の鈴木尚のタイムリーで挙げた1点を守った。この投球が他の投手にも続いていく。

2日は、ルーキーの川村が5回1失点で6勝目。ルーキーでは沢崎を抜いてトップの勝利数となった。しかし、立ち上がりから苦しみ、何とか5回まで投げたという内容に「無駄な球数は減らさないと」と反省を口にしていた。

そして、新星が現れる。3日は、福盛がプロ3度目の先発。緊迫感のある1点を争う展開で、6回まで無失点の投球。3安打と3四球に加えボークもあって、再三のピンチを招いたが、シュートを武器に3併殺で切り抜けた。五十嵐、島田、河原から最後は佐々木に繋いで、この日も1-0の完封リレー。先発投手陣の安定で中日を3タテした。

5連投の佐々木に限界が

5月に大車輪の活躍を見せた戸叶だったが、その好投は続かなかった。4日のハマスタでの広島戦では、初回から3失点。味方が沢崎を打ち崩し、すぐさま4点を取り返して逆転。5-3とリードした4回には、再び3点を奪われた逆転を許し、戸叶はこの回途中で降板する。

4回裏、横浜はローズ、駒田、進藤とタイムリーが飛び出しで一挙4点。9-6と再逆転する。4回途中からリリーフした関口が4回2/3を投げ、ゲームを作り直した。最後はピンチを招き、4連投となる佐々木のリリーフを仰いだ。

なかなか結果が出ていなかった関口だったが、ロングリリーフで好投し、チームの5連勝に貢献した。4日連続登板となった佐々木は、暴投で1点を失ったが、一発逆転の場面を何とか切り抜けた。

5日は、佐々木を使わない展開に持ち込むことが必要なゲームとなった。その思惑通り、2点リードで迎えた6回裏に4点を追加して7-1とした。先発の三浦は4~6回を三者凡退で抑えており、ワンサイドゲームの展開に持ち込めたかに思えた。

しかし、7回に三浦がピンチを招き、左の前田に対して河原を投入するが、3ランホームランを打たれるという最悪の結果。一気に1点差と試合は分からなくなる。何とか佐々木を使うまいと島田に8回からの2イニングを託すが、1点差の9回に1アウト1、3塁のピンチを迎え、堪らずに佐々木を投入。

5日連続登板の佐々木がここを乗り切るには限界を超えていた。町田は三振に抑えたが、2アウト2、3塁となり、代打の木村に2点タイムリーを打たれて逆転。佐々木を5連投させながら6点リードを守れず、5連勝は嫌な形で止まった。

広島との馬鹿試合で勢いに乗る

その不安は的中。前日に手痛い3ランを浴びた河原をプロ初先発させるという奇策に出た横浜だったが、その河原が初回から3失点。リリーフした盛田も3失点し、7回を終わって1-6と敗色濃厚になった。

8回に4点を返して1点差に迫ったが、9回は簡単に2アウト。しかし、宮里のラッキーなポテンヒットから石井琢がヒットと盗塁で繋ぎ、2アウト2、3塁のチャンス。この場面で波留がセンターへ逆転サヨナラタイムリー。2イニングで6点を奪っての劇的勝利。この頃の広島戦は、ノーガードの打ち合いになることが多く、数々の「馬鹿試合」が繰り広げられていた。6点差を守れなかった横浜が、5点差をひっくり返して、勢いに乗った。

8日は、その勢いのままに、まだ勝っていない甲子園で阪神に8-2の快勝。野村が7回途中まで1失点で好投し、打線が終盤に効果的な追加点を奪った。9、10日は雨で流し、そのまま首位ヤクルトとの2連戦へ。

この年2度目の北海道遠征は、釧路、帯広での試合。12日の釧路での試合は、7回まで石井一に10三振を奪われて無得点だったが、投手が交代した8回にセルビーのホームランなどで追い付き、10回に鈴木尚のサヨナラタイムリーで劇的勝利。

7月に入って7勝1敗の快進撃で借金を2まで減らし、3位に浮上してきた。大矢監督が「夢かもしれないが、オールスターまでに5割に戻したい」と言っていたのが現実的になってきた。

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オールスターまでに5割

緊急先発の三浦がやっと2勝目

13日の帯広でのヤクルト戦は、0-4から1点差まで追い上げるも届かずに惜敗。週明けの15日は東京ドームへ乗り込み、最下位の読売と対戦。ここでアクシデントが発生する。先発を予定していた野村が腰痛のため、急遽登板を回避。13日に中継ぎで2イニング39球を投げていた三浦が、試合前のミーティングで中1日となる先発を告げられた。

「今日は始めから短いイニングのつもりで全力で飛ばしたのが良かった」という三浦は、5回まで4安打を浴びながらも5三振を奪って無失点の好投。5月18日の完投勝利以来の2勝目を挙げた。開幕に出遅れたとは言え、7月半ばで2勝目に「今までチームに迷惑をかけっ放しでしたらか、嬉しいです」と今後の活躍を誓った。

翌日は、川村が読売打線に3本塁打を打たれ、4回4失点で降板。しかし、打線が5回に岡島を捉えて爆発。鈴木尚の三塁打などで反撃すると、代打佐伯が逆転2ラン。さらに6回には満塁男の駒田が自身通算10本目となる満塁本塁打。集中攻撃で連勝を飾り、ついに借金1として5割復帰が目前に迫ってきた。

新戦力マホームズ現る

1997年は新外国人投手としてキャンベルを獲得したが、肩の故障で早々に帰国。キャンプでは特技として手品を披露していたキャンベルは、「手品だけして帰国した外国人」と言われることもある。キャンベルの代わりとして6月末に獲得したのが27歳のマホームズ投手。

マホームズというこの名前、最近ニュースにもなったので、知っている人も多いだろう。息子のパトリック・マホームズ選手が、アメリカのスーパーボウルでMVPになった。1997、1998年とベイスターズが一番熱かった時期に在籍した選手だったので、マホームズのことを覚えている人もかなりいただろう。

父親のパット・マホームズは7月に来日し、15日の読売戦で2番手としていきなりデビュー。6回に2四球と石井浩郎の二塁打などで2失点。3点リードが危うくなり、大矢監督も「ちょっと遊んじゃったかな」と苦笑いだった。17日にも中継ぎで登板し、3イニングを投げた。清水に2ランを打たれて2失点と結果は出ていなかった。

それでも大矢監督は、5割復帰のかかった20日の広島戦で先発に指名した。ハマスタ初登板が来日初先発。「今のいい雰囲気を壊さないように投げた。初先発の割に緊張しないで投げられました」というマホームズは、6回をロペスの2ランだけに抑え、権藤コーチも合格点を与える内容だった。

打線が広島の黒田に1失点完投勝利を許し、援護に恵まれなかったマホームズは、初先発で黒星となったが、戸叶ら先発投手の調子が落ちている中、後半戦に向けて好材料だった。

5割届かずも後半に期待大

オールスター前最後の試合は、1-1の同点で迎えた5回に沢崎を攻略して一気に4得点。投げては三浦が6回途中まで1失点の好投で3勝目。その後は、盛田、関口、五十嵐、佐々木と繋いで逃げ切り。ベイスターズの形で完勝し、借金1で折り返しとなった。5割復帰とはならなかったが、「自分たちの目標にチャレンジしてきて、この結果は評価できる。後半戦は貯金を増やしたいね」と大矢監督も自信のコメントをしている。

何と言っても1番から5番までの5人が全員、打率ベスト10入りしていることが強み。半分が横浜勢で占められている。ホームランはローズの13が最多とハマスタが本拠地である割には物足りないが、連打、連打の応酬で大量点を奪う破壊力は脅威。この打線をバックに、何とか投手陣が佐々木へ繋げばという期待が、後半戦に向けて高まった。

オールスター時点の打撃10傑

選手球団打率
1鈴木尚横浜.344
2石井琢横浜.342
3ローズ横浜.342
4古田ヤクルト.339
5駒田横浜.321
6松井読売.315
7ホージーヤクルト.315
8和田阪神.313
9ロペス広島.309
10波留横浜.309
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ついに借金返済し3位浮上

再び苦手の阪神が立ちはだかる

オールスター明け最初のカードは甲子園での阪神戦。26日は中止となり、27日に仕切り直し。ここでも阪神が横浜の前に立ちはだかる。横浜の先発はマホームズだったが、2回に平塚の2ランで先制されると4回にも失点し、3点のビハインド。5回の打席で代打を送られて交代した。

打線は、苦手の湯舟の前にゼロ行進。6回に鈴木尚のソロで1点を返したが、8回途中から伊藤、9回田村の継投で逃げ切りを許した。チャンスは作りながら1本が出ない展開に「そう簡単には行かないということ。名古屋でやり直しだ」と大矢監督はコメントした。

中日に5連勝

借金2でナゴヤドームの中日2連戦を迎える。7月頭の3連戦では、先発投手の好投でスイープしているカード。借金返済への期待が膨らんだ。

初戦は、広いナゴヤドームらしいロースコアの展開となった。初回に石井琢のソロで先制も追加点は奪えず、5回まで無失点の三浦に代打を出し、得点を狙ったが実らず。7回には西が山崎に一発を浴びて同点。9回に佐伯のタイムリーで1点を勝ち越すと、佐々木を投入して逃げ切り。再び5割に王手をかけた。

5割復帰がかかった2戦目の先発はそのカードでプロ初勝利を挙げている福盛。再びナゴヤドームで7回まで1失点、自責点ゼロの好投。打線は古池に手を焼きながらも、同点の7回に波留が2ランを放って勝ち越し。その後は関口、佐々木のリレーで逃げ切った。オールスター前に防御率が0点台に突入した佐々木は、2日連続のセーブ。この試合で3年連続となる20セーブをマークした。

中日戦を5連勝と伸ばし、念願の5割復帰を果たして7月を終えた。例年、8月にはBクラス濃厚になっているチームが、3位とAクラス争いに加わり、ファンのボルテージも上がった。しかし、その想像を超えるような夏が待っていた。

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鈴木尚が7月月間MVP

鈴木尚がセ・リーグの打撃部門で月間MVPに選ばれた。1996年4月の斎藤隆、佐伯以来の受賞となった。

7月の月間成績は、18試合 打率.371 1本 12打点。勝利打点5で、リーグトップの13勝5敗と好成績だったチームへの貢献が評価された。

「ホームランは少ないですが、大事なところで打点を稼げたのが大きい」とコメントし、現在首位打者に立っていることについては、「スコアボードを見ないようにしています。安心感が出てしまいますから。以前は首位打者を意識して自分のバッティングができなかったが、今は落ち着いて打席に立てます」と自信を見せていた。

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7月末の勝敗表

チーム勝率
1ヤクルト8653321.624
2広島8141400.50610.0
3横浜8040400.5000.5
4中日8641450.4772.0
5阪神8339431.4760.5
6読売8536490.4244.0

ヤクルトは2位に10ゲーム差を付ける、完全独走態勢。オールスター明けに借金を完済した横浜が3位に浮上。ヤクルトを追うのは広島か、横浜かといったところ。

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8月のレビュー

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