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佐野がFA行使せず残留を決断 辻野手コーチが就任

国内FA権を取得した佐野が、11月13日のFA宣言の手続き終了を前に、FA権を行使せずに残留することを決めた。球団を通じてコメントを発表し、ベイスターズ愛を示した。13日からはプレミア12が開幕。佐野は侍ジャパンとして優勝へ向けた戦いに集中する。

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ドラフト9位指名への感謝

2024年はクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズの6戦目で日本一に輝いた。CSファイナルステージも6試合戦い抜き、FA宣言の期間まで考える時間はあまり取れなかったかと思う。それでも、ある程度はシーズン中から考えていたはずだし、球団からの条件提示も受けて、最終的に答えが出せたようだ。

球団を通じての佐野のコメントは以下の通り。

「2016年のドラフト会議で横浜DeNAベイスターズから指名をしていただいて、自分のプロ野球人生はスタートしました。指名待ちをしていたあの時の長く、苦しく、悔しい時間は今も自分の原動力となっています。ドラフト会議で指名してくれた恩を活躍することで返せるのであればベイスターズのために活躍をしたい。その思いが変わることはありませんでした。ファンの皆さまと一緒に勝利を分かち合えるようチームのために頑張っていきたいと思います!

やはりドラフト会議でなかなか指名されず、9位でようやく指名されたことに対する感謝が大きいようだ。育成指名を拒否していたかどうかは分からないが、指名漏れもよぎる中で9位ではあるが支配下での指名をもらえたことは、本人としても忘れられない瞬間だったのだろう。

2016年のドラフトで9位指名を行ったのは、日本ハム、DeNA、楽天、オリックスの4球団のみ。それ以外のチームは選択終了していた。9位指名は逆ウェーバーでDeNAが2番目に指名。明大の佐野恵太という声に安堵したことだろう。ちなみに、その次に楽天が指名したのが、今は読売で活躍する高梨。

オリックスが根本を指名し、9位指名が終了。10位指名は楽天だけが行い、西口を指名。これで支配下選手は全ての選択が終了した。佐野は、支配下では最後から4番目の指名となった。

育成指名では、ソフトバンクからヤクルトに移籍した長谷川、読売では西武に移籍した松原と、今年からDeNAへ移籍した堀岡が指名されている。8年前となると、ほとんど残っていないのが現実。

佐野と同期のドラフトでは、1位の濵口と4位の京山が残っているだけ。細川と尾仲は移籍している。京田がトレード、DeNAが抽選で外した佐々木が現役ドラフトで移籍して来ている。既に退団したが、有吉、笠原も2016年のドラフト指名選手だった。

9位指名ではあったが、ラミレス監督が打力を評価し、代打として1軍で起用。結果を残し、2年目には73試合に出場。3年目はスタメンの機会も増え、215打席ながら.295をマークした。キャプテンを務めていた筒香がMLBへ移籍し、ラミレス監督は次期キャプテンに佐野を指名した。

2020年はコロナ2019の影響で6月末に開幕が延期となる難しいシーズンだったが、筒香からキャプテン、4番レフトをそのまま受け継いだ佐野は、首位打者を獲得する活躍を見せた。その後は3年連続で3割をマーク、2022年は最多安打のタイトルも獲得した。

2023年はレギュラーになってからは初めての不振で、打率は.264に終わった。シーズン最終盤で有鉤骨骨折により離脱。CSには出場できなかった。2024年は復活を期したが、リーグ全体が投高打低という中で.273、8本塁打に終わった。

2023年オフには、国内FA権取得を前に球団から複数年契約を提示されたが固辞し、1年契約。一部ではFA行使を視野に入れていると言われたが、一番成績が振るわない年に長期契約するとベースが下がるため妥当な判断だった。

2024年に国内FA権を取得し、去就が注目される中でFAを行使せずに残留を決めた。本人のコメントを見る限りは、長期の複数年契約を結んだのかなという雰囲気ではある。球団も4年規模の契約を打診したとの報道もあった。だが、そのあたりはまだはっきりと報道されていない。

個人的には、2024年もFAを行使せずに1年契約と予想していたし、それが一番良いと思っていた。日本シリーズまで進み、侍ジャパンにも選ばれたこともあり、十分に考える時間がなかったというのもあるが、やはり前述の通り成績が振るわないシーズンに大型契約を結んでもベースが下がるという点がある。

もちろん、翌年以降にさらに成績が下がるリスクもあるが、佐野もまだこれから30歳を迎えるところで、投高打低とは言え本人も成績を上げることができると考えているだろう。そうであれば、しっかりとした成績を残した年にFA権を使うことを考えた方が良い。

ファンとしては、もちろん残って欲しいし、来年もハマスタでデスターシャのパフォーマンスや、サワヤンとのコラボを見せて欲しいと思っている。まずは残ってくれたことが嬉しいし、感謝したい。ここで長期契約を結んでいれば、今後も永く応援したいし、1年契約で来年また考えるとしても、残ってくれることを期待したいと思う。

サワヤンやデスターシャだけで残ったということはないかも知れないが、昨年のサワヤンとのコラボでドッキリをかけられ、デスターシャはNGと言われながらも「それでもデスターなんで」と言った佐野だけにありえなくもない。ただ、今年は日本一にはなったがまだリーグ優勝をしていないので、このチームでそれを狙いに行きたいという気持ちも大きいはずだと思う。

ただ、レギュラーとして出場できるかどうかは競争になる。オースティンが無事な前提で言えば、外野は引き続き激戦。日本シリーズでも大きな存在感を見せた桑原が健在、梶原が大きく飛躍した。筒香もNPB復帰2年目、体のコンディションを整えればレギュラー争いに入って来る。2年目を迎える度会も飛躍を期している。

本人としては当然常時スタメンで出たいだろうから、その争いに勝たなければならない。ファンとしては最悪代打としてでも勝利に貢献してくれれば、チームとしての厚みになると思う。日本一にはなったが、やはり佐野もリーグ優勝の歓喜の輪にいて欲しいと思う。

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その他のFA動向

ベイスターズが獲得調査と言われていた楽天の酒居は、FAを行使せずに残留が決定。広島の九里は、海外FA権を行使するが、MLBを優先にするとのこと。MLBとの交渉が不調に終わった際に名乗りを挙げるか分からないが、長期戦にはなりそうだ。中日の高橋周は、12日の時点では特に報道がなかった。こちらは何となくFA権を行使せずに残留なのかなと思っている。

MLB移籍を前提に海外FAを行使する菅野も含めて、阪神の大山、原口、ソフトバンクの甲斐、石川、中日の木下、楽天の茂木と行使残留ではなく、他球団の評価を聞く目的での行使が、今年は多い印象。これらの選手の行方にも注目したい。

ベイスターズからは京田もFA権を取得しており、以前には残留見込みという報道になっていたが、その後の報道はない。ショートは森敬がシーズン後半に飛躍したが、まだまだ林や石上も含めてレギュラーは定まっていない。京田としてはサードやファーストも含めたユーティリティとしての立場になっているが、レギュラーへの想いが強いとしたら、他球団の評価を聞くという決断もありうるかと思う。最終的には13日に分かると思うので、彼の決断を尊重したい。

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捕手経験者の辻コーチが就任

先日の2025年のコーチングスタッフで、主にファームで捕手を担当するコーチが不在である点を指摘したが、少し遅れた形で辻俊哉コーチの就任が発表された。

2001年のドラフト5位でロッテに入団。捕手としてルーキーイヤーに41試合の出場。その後は1軍に定着できず、2006年に52試合に出場した後、2007年からはトレードでオリックスに移籍。ファーストの守備に就くこともあったが、2009年の25試合が最高で、1軍には定着できないまま引退となった。

引退後は、母校である国士舘大学のコーチに就任、2014年12月に監督へ抜擢されると2022年まで務めた。2024年は、クラブチームのマツゲン箕島硬式野球部で投手コーチを務めた。捕手出身で、代打や一塁手としても出場していたが、投手コーチというのが面白い。

ベイスターズでは捕手経験も生かしながら野手コーチとして、選手のパフォーマンス向上や育成に携わる。メインとしては二軍ということになるかも知れない。プロ野球での指導は今回が初ということにはなるが、国士舘大で指導経験は豊富であり、他のコーチと違った観点も期待される。

発表の時期がズレたことには、本命の捕手出身コーチがいたのかなと邪推してしまうが、ベイスターズがコーチとして迎え入れたので、彼自身の成長も含めて期待したいところ。八木投手コーチは、NPBでプレーした経験のない異色のコーチだし、ベイスターズらしさがここにも出れば良いと思う。

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