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初の現役ドラフト 細川と笠原の交換トレードに

NPBで初となる現役ドラフトが12月9日に行われ、12球団の移籍選手が発表された。2巡目以降は実施されず、1巡目だけで終了した。DeNAは、中日の笠原を指名し獲得。また、細川が中日から指名され、結果的に両チームの交換トレードのような形となった。

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まずは第1回の開催で一歩

選手会からの要望で、出場機会に恵まれない選手が移籍しやすい形を作るために開催することとなった現役ドラフト。選手会の希望する形にはならなかったが、ある程度対象が絞り込まれ、各球団が少なくとも1人を放出し、1人を獲得する形で実現した。まだ制度自体に課題はあるのだろうが、まずは一歩踏み出したといったところだろうか。

指名球団指名選手位置所属
1日本ハム松岡投手西武
2西武陽川内野手阪神
3阪神大竹投手ソフトバンク
4ソフトバンク古川投手日本ハム
5広島戸根投手読売
6読売オコエ外野手楽天
7楽天正隨外野手広島
8中日細川外野手DeNA
9DeNA笠原投手中日
10ロッテ大下内野手オリックス
11オリックス渡邉外野手ヤクルト
12ヤクルト成田投手ロッテ
現役ドラフト2022結果

公表されるのは、指名された選手と移籍先だけであり、リストアップされた選手や指名の経過などは全て非公表。スポーツ紙などの関係者への取材で、指名順などが予想として出ている。

まず、開催の一週間前となる12月2日までに、各球団が現役ドラフトの対象とする選手を2名以上リストアップし、NPBへ提示。12月2日にNPBがまとめて12球団へ開示。12球団は、指名を希望する選手を1名予備投票する。この投票で1位となった選手が所属する現球団が、指名順のトップとなる。

今回は、日本ハムが指名順トップだったとされる。日本ハムで指名されたのは古川だったが、彼が一番得票を得たのかも知れないし、結果的に指名はされなかったが、他にリストアップされていた日本ハムの選手にも得票が集まっていたかは分からない。

日本ハムがまず最初に西武の松岡を指名し、そこから指名された選手の所属球団が順次、指名して行く形となる。ソフトバンクが古川を指名したところで、日本ハムは最初に指名を終えていたので、一旦流れが切れた。

まだ指名をしていなかった8球団で、得票とウェーバー順から広島の指名順となった。ここで、楽天、読売との間で三角トレードのような形になり、再び途切れた。次の指名順は中日で、DeNAの細川を指名。DeNAが中日の笠原を指名した為、この2球団は1対1の交換トレードのような形となった。最後は残るロッテ、オリックス、ヤクルトで三角トレードになった。

2巡目の参加を希望した球団もあったようだが、獲得を希望した選手が所属する球団が参加しなかったため、結果的には実施されなかった。最大で4選手をリストアップした球団もあったとされる。

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期待の大砲は新天地で輝くか

育成ドラフトの前日に書いた投稿ではまず最初に細川の名前を挙げた。

ベイスターズでは、やはり人数的に飽和状態の外野手が考えられる。フェニックスリーグの起用法を見ても、細川は年齢を重ねたとは言え、これまでの強化指定選手のような扱いではなかった。

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今年、現役ドラフトが開催されることとなり、フェニックスリーグでの起用を見た時から、そういうことなのだろうなと感じていた。細川の場合は出場機会に恵まれないというよりも、環境を変えることで殻を破って欲しいという意味合いもあるかも知れない。

来季のベイスターズの外野手を考えると、佐野、センターの守備には桑原、そしてオースティンが不在の間は楠本の起用が見込まれ、大田も移籍2年目でさらなる活躍を期す。今年はキャリアハイの出場となった関根もレギュラーを窺い、数年、不振に苦しむ神里も背水のシーズン。今年結果を出した蝦名がいて、4安打デビューの梶原も1軍を狙う。育成組も勝又が外野手として支配下に復帰しそうな状況で、村川も足を武器にスペシャリストの立ち位置を狙う。

宮本が退団したのみで、現時点で増員はない外野であっても、来季も細川がチャンスを掴むのは厳しい状況だ。オースティンが手術明けであることを考えると、ここから外野手の新外国人を獲得する可能性もゼロではない。細川にとっては、環境が変わることのタイミングはまたとない機会だろう。

当ブログをずっと読んでいただいている方はご存じかと思うが、管理人は細川に期待していて、2020年から一新された現在のビジターユニフォームも52番を選んでいる。

2016年のドラフトで、神奈川大から濵口が指名されて嬉しかったのとともに、5位で指名された細川にも注目した。ハマスタという現在では狭い球場ということもあるので、一発を打てる日本人選手は魅力に感じる。ほとんどは茨城で過ごし、明秀日立高出身ではあるが、出生は神奈川県ということもあり、フランチャイズプレイヤーとしてチームの主軸を担う期待があった。

優勝した後は、古木氏のファンだったし、その後は吉村氏のファンだったこともあり、粗削りながら一発の魅力のある原石が好きなのかも知れない。2017年の1月に、当時の長浦で行われていた新人合同自主トレを観に行き、濵口とともに細川にも直接サインを書いてもらった。尾仲や松尾大河にもサインをもらったが、この二人が本命だった。

細川がプロ1年目で、シーズン最後に1軍の試合に出場し、2試合連続のホームランを打ったことは、本当に嬉しかった。2リーグ制が始まった1950年以降の公式戦においてデビュー戦から2試合連続で本塁打を放った高卒の新人選手は細川が初めてだった。これ以上ないスタートで、ハマの大砲としてやがては筒香を超えるような長距離砲に育つことを期待していた。

その勢いのままCS、日本シリーズにも出場。高卒新人野手の日本シリーズ出場は、立浪氏以来29年ぶりとなり、さらに期待は高まったが、2年目は11試合の出場にとどまった。それでも、ファームでじっくりと着実に成績を上げて行った。

時折呼ばれる1軍ではなかなか結果を残せなかったが、4年目となった2020年は、ファームで.318、13本塁打、53打点を挙げ、本塁打、打点、出塁率でイースタンのタイトルを獲得した。高卒4年目の外野手としては順調な成長と言っていい。

あとは1軍で結果を出して定着するのみというところで、2021年は三浦新監督に代わり、大卒で同級生の牧が加入したことで、一気に世代交代を進めて行きたいところでもあった。新型コロナウィルスの影響で、オースティンら外国人選手の来日が遅れ、前年レギュラーだった梶谷もFAで移籍し、十分にチャンスがあった。

しかし、細川は開幕から11打数連続ノーヒットで早々に登録抹消。その後は何度か代打でのチャンスをもらったが、打率.154と低迷し、プロ入り初めてホームランのないシーズンとなった。2022年もオースティンが右肘の手術で不在となる中、またも開幕からヒットが出なかった。楠本、関根、蝦名らの後塵を拝し、7月の甲子園で伊藤将から放ったホームランが唯一のヒットとなった。

ラミレス前監督もその素質を高く評価し、同僚でもあるオースティンもオフにアメリカでのトレーニングに誘うなど、力強い打撃は魅力。現在のベイスターズの日本人外野手の中でも20発を期待できる選手は佐野くらいで、細川の存在は貴重だが、どうしても自分のバッティングというものが確立できなかった印象。

ボールを飛ばすという才能に関しては、チームどころかプロ野球でも有数のものがあると思う。だが、タイミングを合わせるという部分に大きな課題がある。2022年の唯一のヒットも低めの変化球に泳ぎながら、片手一本で運んだような打球だった。変化球への対応をしているうちに、高めのストレートも捉えられなくなってしまった印象がある。本人が納得して取り込んだのだろうが、2021年オフに習得した打法も自分のものにはできなかった。

移籍先となる中日は、本拠地がバンテリンドームであり、セ・リーグではホームランが最も出ない球場になる。しかし、中日は阿部を放出しており、攻撃力は外国人選手頼みになりそうな状況。大島、岡林は別格として、鵜飼やブライトらライバルはいるが、平田が退団した後の右の代打、外野のポジションは狙う余地がある。

もちろん一発長打が魅力の細川だが、強肩で足もある。それを生かしてバンテリンドームの外野で輝き、チームに少ない長打で得点力不足の解消に貢献できるチャンスはある。個人的にも同リーグで複雑ではあるが、このままDeNAにいてもキッカケを掴む気がしないので、中日で彼の才能が開花すれば良いと思う。ただ、現状だとその道のりは厳しいと言わざるを得ないだろう。

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2019年の開幕投手を獲得

今回の現役ドラフトでは捕手の指名はなかった。細川を出して、別の外野手を獲るというのも考えづらいところで、内野手に関しては京田の獲得でメドは立ってきた。投手の指名と言うのは悪くない選択ではないか。

基本的には、レギュラークラスを獲得する場ではないので、他球団では出番のない控え選手を獲得することになる。DeNAは、中日が細川を指名した直後、その中日の笠原を指名することになった。現役ドラフトの場ではあるが、1対1のトレードと同じ結果になった。

その前のトレードと併せ、砂田・細川⇔笠原・京田という捉え方にもなる。坂本をリリーフで考えているのであれば、再来年にもMLB移籍の可能性がある今永も考慮すると、先発の左腕の獲得はプランとして悪くない。

笠原は2018年に17試合で先発し、6勝を挙げた。2019年にはハマスタでのDeNA戦で自身初の開幕投手を務めている。この試合では、今永と投げ合い5回無失点に抑えたが、88球で交代して勝ち負け付かず。4月に2勝を挙げる好スタートを切ったが、不整脈の症状で登録抹消となり、8試合の登板に留まった。

その後は故障もあり、なかなか1軍に定着できていない。近年はDeNAが中日に相性が良いこともあり、正直なところ笠原が出て来れば点が取れるかなくらいの印象になってしまっている。この3年は防御率5点台から6点台と厳しい数字。好投している試合もあるようだが、援護にも恵まれずに僅か1勝。

厳しい言い方になってしまうが、今年に戦力外になっても不思議はないし、このままの状態が続けば来年オフにはほぼ確実に、という立場だろう。今年掴んだ3年ぶりの勝利を復活へのキッカケにできるか。

同じ2016年のドラフトで入団した京田と一緒に移籍する形となった。今永、濵口、石田、東とさまざまなタイプの先発左腕がいるDeNAで、キッカケを掴み、復活そしてさらなる高みに登れるか。新潟出身ということで、まずは5月の新潟のゲームを目指し、心機一転頑張って欲しい。

奇しくも同じ2016年のドラフトで指名された細川と入れ替わる形となり、2017年のルーキーイヤーでは直接対決で細川がプロ初打席初ホームランを放ったという不思議な縁。トレードではないが、初年度の現役ドラフトで成功例となることを期待したい。

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