03/12 WBC 2023 第1ラウンドB組 オーストラリア1-7日本(東京ドーム)
初回、ノーアウト1、2塁から大谷が特大の3ランを放って先制。2回にもヌートバー、近藤のタイムリーで点差を広げた。先発の山本は、4回で8三振を奪う快投で無失点。2番手の高橋奎も2回を1安打に抑えた。9回に高橋宏がホールにソロを浴びたが、完璧な試合運びで4連勝、1位通過を決めた。
ポジ [Good]
初回、最高の1、2番が出塁し、大谷の前にノーアウト1、2塁のチャンスメイク。球場、日本中の期待を一身に背負った大谷が、2球目の甘くなったカーブを振り抜くと、当たった瞬間にそれと分かる3ランホームラン。打球はライト上部にある自らのSalesforceの看板を直撃した。
強化試合では、最初の試合でいきなり2打席連続ホームランを放ち、日本のファンの度肝を抜いたが、WBC本戦に入ってまだホームランは出ていなかった。牧が2発、近藤も打った中で、やっと世界レベルの長距離砲が本領発揮。
当然、この大会では勝つことこそが全てで、勝てるのであればホームランはいらないが、それでも一発打ちたいという思いはあったはず。それが最高の場面で飛び出した。
開幕戦の中国戦で先発し、投打に渡る活躍でヒーローとなり、4連戦最後となるオーストラリア戦で決勝3ランを放ってヒーロー。最初と最後をきっちりと締めた。初戦では東京ドームの声援にまだまだと煽り、この日は「まあまあです」とさらに煽った。勝負の16日に向け、東京ドームのヴォルテージをさらに上げる活躍とメッセージを届けた。
16日の先発は大谷と予想されている。マイアミでのラウンドへ進むためにも、投手力でイタリアを封じ込めて、打線の援護を待つ形にしたい。優勝を目指すと宣言した彼が、その先へ導いてくれることを信じている。
先発の山本も、初回に大谷の3ランという最高の形での援護を受け、守りに行くことなく攻撃的な投球を展開した。先頭のケネリーをフォークで空振り三振に取ると、2アウトからグレンディニングも高めからのフォークで見逃し三振。
3回に1アウトからパーキンスが、初球のスライダーをレフト前に運んでヒットを打ったが、それ以外は毎回2つずつ三振を奪い、4回60球の好投。着実にリードを広げる日本の流れに対して、付け入る隙を全く与えなかった。
5回からは第二先発として高橋奎が初登板。流れに乗って2イニングをヒット1本に抑えた。7回には大勢も初登板し、先頭をヒットで出塁させたが併殺でピンチの芽を断ち、最後はキャンベルをストレートで見逃し三振に取った。湯浅、高橋宏も力のあるストレートで圧倒した。
順番はさておき、日本の4人の先発がこれだけ高いレベルで揃い、さらに第二先発にも今永や宮城らハイレベルの投手を擁す。栗林が腰の張りで登板を回避したことは心配だが、圧倒的な投手力でプールBの他チームの追随を許さなかった。
攻撃ではヌートバーがリードオフマンとして申し分ない活躍を見せ、3番の大谷が期待通りの活躍。その間に入る2番の近藤が見事な繋ぎ役を果たした。1番に大谷を推す声もあったが、今回のオーダーがものの見事に決まった。
この試合では中村が3安打し、上位にチャンスで回しつつ自らも走者を還した。源田が骨折したという情報があり、非常に残念だが代わりに出場した中野も合わせて、下位が出塁するとチャンスで1番に戻るので、どこからでも得点できるような流れになっている。準々決勝以降でもこの攻撃を維持したい。
侍ジャパンの理想的な試合運びが続いた4試合。接戦でのプレッシャーはあまりかからない展開が多かったことだけが気がかりではある。準々決勝以降のピリピリとした試合の中で、どれだけ力を発揮できるか。これだけのメンバーが揃っているし、きっと準決勝、決勝と駒を進めてくれるだろう。
ヤジ [Bad]
この試合も言うことなし。プールBでは強打を誇って来たオーストラリアの打線を完璧に封じた投手陣が素晴らしかった。高橋宏が一発を浴びたが、打ったホールが素晴らしかった。2回までに5点取れたのでコールドに持ち込みたかったが、4回のライナーゲッツーはハードラックだった。仕方がないが、1点を争う場面でのライナーの飛び出しは、再確認して防いで行きたい。
キジ [Other]
終わってみれば1次ラウンドのプールAは、侍ジャパンが4連勝。初戦の緊張感や韓国戦でダルビッシュが3点の先行を許す場面もあったが、完勝が続いた。これで当初より最初の勝負どころと思っていた16日の準々決勝に駒を進めることができた。
油断はできないし、絶対はないが、プールBの顔ぶれを見れば、少なくとも準々決勝への進出は堅いところだった。1位通過でいかにマイアミでの準決勝へ進むかがポイントだった。ともにプールBを戦った相手には敬意を表するが、優勝を狙う日本としては、本戦に入った中でのウォームアップ。本番は16日の一発勝負になる。
ここまでの素晴らしい戦いが消えてしまうことはないが、4連勝していたとしても、準々決勝で負けてしまっては意味がない。監督、コーチ、選手たちもみんな分かっていると思うが、一発勝負の16日こそ重要。ここまで思い通り活躍できている選手、活躍できていない選手もいるが、この日に照準を合わせて欲しい。
相手となるプールAは、予想以上の混戦となった。最終日に全チームが2勝2敗となる可能性を残していたが、最後の試合でオランダがイタリアに敗れ、それが現実となった。全チームが並んだので対戦成績で優劣は付かず、失点率で決着した。2連敗から2連勝のキューバが、失点が一番少なく1位通過となった。
オランダから7点を奪い、引きずり降ろしたのが、野茂氏がドジャース時代にバッテリーを組んだマイク・ピアッツァ氏が監督を務めるイタリア代表。彼のようなイタリア系アメリカ人が多く、実質はアメリカ出身のメジャーリーガー、マイナーリーガーが中心となっているチーム。準決勝以降の強豪との対戦に向け、越えなければならない最初の壁になる。
それだけに、大谷を始め、ダルビッシュ、ヌートバーらの知識も必要。13日から3日間の調整に入るが、しっかり研究して臨んで欲しい。
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