03/15 WBC 準々決勝 日本5-8ベネズエラ(ローンデポ)
1回表にアクーニャJr.が先頭打者本塁打を放って先制するが、その裏に大谷も先頭打者本塁打ですぐさま同点。2回表にトーレスのタイムリーでベネズエラが再びリードするが、3回裏に佐藤輝のタイムリー二塁打で同点とすると、森下がレフトへ3ランを放って逆転。しかし、5回表にはガルシアが2ラン、6回表にはアブレイユが3ランを放って再び逆転。ベネズエラは2番手以降の6人の投手が無失点でリレーし、準決勝進出。
代役の活躍で流れ掴む
初回、いきなりアクーニャJr.が2球目を先頭打者本塁打。ボールになるカーブで慎重に入ったが、4シームが真ん中に入り、ライトスタンドへ運ばれた。一発勝負なので先制点は重要だが、1点、2点の勝負にはならないと思ったので、その後の3人を抑えてくれたことは良かった。
1回裏は1点を追う展開で、こちらもいきなり大谷が先頭打者本塁打。これでまだまだ全然行けるというムードを作った。しかし、山本のコントロールが甘く、2回表にもホームランかという当たりをトーバー、トーレスに打たれ、連続二塁打で再びリードを許す。アブレイユを歩かせ、ここで一発打たれると試合が決まってしまうという場面だったが、何とか踏ん張った。2点以上取られてもおかしくない場面で1点にとどめたのは大きかった。
3回裏、源田が四球で出塁し、若月が送って1アウト2塁。大谷が申告敬遠となることは想定通りだっただろう。ここで、この日は近藤に代わってスタメン出場の佐藤輝。東京ラウンドでも少ない機会で結果を残していた。周東を使う手もあったが、代走のスペシャリストとしてベンチに残すことを選んだ。
佐藤輝が、2球ファウルで追い込まれながら、ボールを3つ見てフルカウント。6球目の膝元に来たスライダーを痛烈に打ち返し、一塁線を破るタイムリー二塁打で同点。さらに、初回に盗塁を試みた際に負傷した鈴木に代わって入っていた森下が、チェンジアップに泳ぎながら上手く前で捌き、レフトポール際への3ラン。
近藤に代わってスタメンの佐藤輝、負傷の鈴木に代わって緊急出場の森下という阪神勢の大活躍によって逆転し、日本に大きく流れが来た。4回表は山本が2三振を奪って三者凡退。これで行けるという雰囲気になった。
継投決まらず再逆転許す
4回裏、源田のヒットと若月の四球で1アウト1、2塁のチャンスで大谷に回った。先ほど佐藤輝が打っているだけにここは勝負せざるを得ない。大谷が打てば一気にゲームを決められる場面だったが、アウトサイド低めのスライダーに空振り三振。佐藤輝もほぼ同じような形で連続三振で、少し流れが変わってしまった。
山本は4回まで69球で、準々決勝では80球まで投げられるが、日本ベンチは5回から隅田へスイッチした。事前には山本で行けるところまでと言っていた気がするが、いろいろな制約や事情がある中での判断とは思う。
先頭のチョーリオを歩かせてしまったが、アクーニャJr.は高めのクロスファイアでハーフスイング。一塁塁審がスイングの判定で三振。これにアクーニャJr.を始め、ベネズエラベンチが怒り、一塁塁審に何か言葉を浴びせ続けた。
これでベネズエラの士気が上がってしまった感じもあった。ガルシアに追い込んでからのフォークをファウルで逃げられ、たまらずストレートを投げたところ、失投で真ん中高めに行ってしまった。しっかりと捉えられて1点差に迫る2ラン。ベネズエラを勢いづかせてしまった。
アラエスは空振り三振に取ったが、藤平に交代。ここはE.スアレスをファウルフライに打ち取り、1点リードで5回を終えた。
6回表は、伊藤をマウンドに送った。初球、スライダーでファウルを取るも、2球目にピッチクロックの違反を取られ、少しリズムが狂ったか。ストレートにも強さがなく、真ん中に入ってライト前ヒット。続くトーバーの打席で牽制球を投げると、ベネズエラがヒットエンドランを敢行。見事に決まってノーアウト1、3塁。
ここは同点は仕方ないので、何とか1塁ランナーを還さず抑えたいところだったが、アブレイユへの4球目はインサイド高めへストレートを完全な失投。打った瞬間という当たりがライトスタンドの2階席を直撃した。
日本も森下の3ランがあったが、ランナーを置いての一発で、2イニングで5失点はさすがに想定外。いずれもストレートの失投を見逃さず、確実にスタンドまで持って行くパワーに圧倒された。
何を言っても結果論だし、日本のベンチがここまで見て来た中で決めた継投なので、決まらなかったという結果に悔しさしかないし、難しいことだとは思う。伊藤は前回の経験も踏まえての登板だったと思うが、あまりにも悪すぎたし、ストレートでまともに行き過ぎたかなと思う。
2点ビハインドをはね返したい打線だったが、5回以降はランナーさえ出せない苦しい展開。8回表には、種市の二塁への牽制球が悪送球となり、8点目を失った。完全に逆を突いた牽制だったのに、ランナーを自ら還してしまうとは。その裏に2アウトから岡本、村上の連打でチャンスを作るも、牧がサードゴロに倒れた。
流れも完全にベネズエラへ行ってしまっている中で、9回裏もランナーを出せず、最後は大谷が打ち上げて敗退が決まった。前の大会は大谷がトラウトを空振り三振に取って優勝という形で終えたが、今回は悔しい形で大谷が最後の打者となった。
世界大会で通用する選手の育成を
プールCは4戦全勝で1位通過し、プールD2位のベネズエラと対戦。ドミニカ共和国はもちろん、ベネズエラも大会前に辞退をチラつかせてはいたが、強力なメンバーが集まっていた。一発勝負の決勝トーナメントで、何が起こるか分からない中、当然敗退の可能性も小さくなかったが、一度は完全に流れを掴んだだけに、悔やまれる敗戦となった。
結果として負けで、ベスト4にも入れなかったことは、前回の優勝国として到底納得のできるものではない。選手はもちろん、関係者も本当に悔しい思いをしていると思う。いろいろな原因、背景はあると思うが、今後に予定されている世界大会に勝ち切るために、どうするべきか考えてもらいたいと思う。
今回は、村上と岡本も含めたメジャーの野手が5人スタメンに名前を連ねた。源田とキャッチャーを除くと、基本的に長打も含めて打力に特化した人選になっていたと思う。MLBのメンバーを集めているアメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラなどの強力な打線と渡り合うには、相応の打力が必要だったとは思う。大谷の存在である程度対抗できるものを持っていたとは思うが、今後の大会でそういう方向性で行くのか、日本のスモールベースボールを押し出すのかは検討の余地があるだろう。
NPBがあまりにも飛ばないボールを使っているので、強打者が育ちに行く土壌になってしまっている印象が強い。特に日本は打率が重視される傾向があり、現状のボールでは長打も出にくいことから当てに行くバッティングになりがちなのではないか。
本当に試合時間を短縮したいから飛ばないボールにしているのなら、ピッチクロックを採用した方が良い。個人的に以前からピッチクロックは賛成なのだが、さすがに余裕がなさ過ぎるので20秒はあっても良いと思っている。WBCの試合を見た後で、NPBのオープン戦を見ると、はっきり言って早く投げろよと思ってしまう場面もある。
ある程度、シーソーゲームになって、面白い展開で試合が長いことは歓迎なのだが、間合いが長いだけで試合時間が長くなるのは無駄なので排除して良い。間合いを楽しむとか言う意見もあるだろうが、それはピッチクロックの範囲内でやって欲しいかなと。
2027年11月にはプレミア12が開催される予定で、2028年のロサンゼルスオリンピックでは野球が復活することになっている。いずれも従来であればMLBの選手は出場しないので、NPBは相対的に優位になるかも知れないが、プレミア12では前回台湾に敗れている。
今回も限られた出番で活躍した森下は、プレミア12で4番を打ってさらに成長したように思う。これからもそういった国際大会で活躍する選手を育成して行かなければならない。NPBのルールも、拡大ベースや両リーグでのDH制など、MLBのルールを追従する形になるのだから、意味もない拘りは捨てて国際標準に合わせれば良いと思う。
NPBを批判したり、改革を求める声が多くなっているが、個人的にはNPBには何も期待していないし、偏見かも知れないが一般社団法人であるが故に何ら規模の拡大に取り組んでいないと思う。一般の会社ではありえない。オーナー会議の下にある組織で何の権限も持たないのでやむを得ない部分もあると思うが、このあたりの構造が変わらない限り何も起きないと思う。
Netflixの中継自体は特に問題はないし、有料にはなるがそれほど高いわけでもないので、日本戦以外も含めて好きな時間に後からでも観られるのは良かったと思う。ただ、多くの人がNetflixの契約はせずにライブでは観なかった大会になったが、準々決勝敗退という結果も含めて野球界にどのような影響があるのか。世界的にはマイナースポーツで、日本でもマイナーとなる懸念が増す中で、NPBを始め日本の野球界がどのように進んでいくのか。
前回、大谷翔平を中心として出来過ぎた物語のような優勝があり、栗山監督の後任を務めた井端監督は、プレミア12の準優勝に続きWBCでも残念な結果となったが、よく受けてくれたと思う。経緯は当事者しか分からないが、他の候補の辞退もあった中で受けたのかなと推測している。次のプレミア12に向けてどうするのか分からないが、ここまで大きなプレッシャーとも戦っていたと思う。本当にお疲れ様でした。
そして、選ばれた選手たちも必死に戦ったと思う。準々決勝で負傷した鈴木は軽傷であることを祈りたい。MLB初年度となる岡本、村上も参加してくれたし、菅野や菊池といったベテランも日本のためにと早めに仕上げて来てくれた。それぞれ、これから開幕に向けた準備に入るが、ここまでの戦い、お疲れ様でした。牧、シーズンで爆発頼むよ。


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