梶谷のFA移籍に加え、新型コロナウィルス感染拡大の影響で外国人選手の来日メドが立っていない。キャンプの出遅れどころか、長引けば開幕にも影響が及ぶ。そうした中、昨年ファームで3部門のトップをマークした細川が、レッズの秋山と自主トレを行い、レギュラー獲りに意欲を見せた。
ソト、オースティンが欠ければ打力重視
阪神などでは、昨年から引き続き在籍する外国人選手の一部が既に来日しているが、ベイスターズでは、エスコバーやソト、オースティンといった残留組も来日のメドが立っていないという。ビザの関係や自治体などいろいろな事情があるのだろうが、誰も来日できないというのは思ったよりも痛手になりそうだ。
現在の緊急事態宣言は1ヶ月ということで発出されているが、感染状況が収まらなければ延長されると見られる。また、海外からの入国をストップしているのはイギリスやブラジルなどで検出された変異種の流行によるものなので、こちらの状況次第では入国がまだしばらく入国が難しくなることが考えられる。
2月末まで行われるキャンプにどれだけ参加できるのかが不透明になっている。最悪を想定すれば来日が3月以降までずれ込み、調整遅れから開幕に間に合わないといったことも考えられる。そうした場合、4番佐野の前後を担う強打のソト、オースティンを欠くことも想定しなければならない。打力という意味では、細川にかかる期待も大きくなる。
昨年はファームで64試合に出場し、打率.318、13本塁打、53打点、出塁率.448をマーク。本塁打、打点、出塁率でリーグトップに立った。ルーキー時代に三振の山を築いた粗さは年々改善され、選球眼も上がった。小さくまとまりつつあるのかと思ったが、1軍に上がった11月1日の阪神戦では、ハマスタのレフト最上段へのホームラン。飛距離の魅力は変わらない。
細川にとっても、ここからは1軍で結果を出すことしかない。ファームでやることはない。あとは1軍レベルの投手からいかに安定した成績を残すか。年間を通して試合に出るスタミナも十分だ。ポジションが空いたこの機会に奪取し、そのまま不動のレギュラーを手にしたい。
秋山と4年連続の自主トレ
細川は2018年から当時西武の秋山翔吾と合同自主トレを行っており、今年も4年連続で参加した。12日から20日まで静岡・下田で行われていた。細川とは同級生となる西武の鈴木将平、ソフトバンクの上林、阪神の板山という外野手を集めた合同自主トレになっている。ベイスターズのベースボールスクールのコーチを務める加藤優ら女子野球選手も参加していたようだ。
今年は、1都3県で緊急事態宣言も出ており、取材に行くことが難しかったために情報が少なかったと思われる。22日はDOCKに戻って来たところで、取材に対応した。
昨年からレッズに移籍した秋山。年々高みに挑んで行く先輩と貴重な時間を過ごしている。細川自身の努力と才能もあるだろうが、毎年ファームでの成績が向上しているのも、この合同自主トレが無関係ではないはずだ。
今年も秋山にたくさんの質問をし、秋山もそれに応えてくれたようだ。メンタル面のこと、打席に入る準備段階などの質問の他、1軍でファウルになることが多い点も相談したようだ。この質問を見ても細川がまた一つ上の段階へ進んでいることが分かる。
秋山からは、昨年よりも飛距離が伸びた、高めへのバットの出し方が良くなったという言葉をもらったという。さらに、テークバックの時に力が入らないようにすること、8割の力で振るイメージなど具体的なアドバイスもあったようだ。確かに細川のパワーがあれば、力み過ぎる必要はない。本当に力を入れるのはミートポイントだけで、振り出しから全力で振る必要はない。昨年まではどちらかというと、力感が強かったので、このあたりのアドバイスが今年のバッティングに対して、どのような影響を与えるか楽しみだ。
レギュラー獲りへ心は熱く。スイングは8割の力で。勝負の年に静かな闘志を燃やし、結果を残してもらいたい。
出遅れなくキャンプから存在感を
冒頭に書いたように、外国人選手のキャンプ合流が大幅に遅れることから、キャンプ中の実戦では彼らが試合に出る分が空くことになる。梶谷が抜けたセンターは神里が筆頭候補になるが、オースティンが入る想定のライトでアピールをし、神里に代わってセンターを奪うくらいの気持ちでやってもらいたい。本人も1軍でレギュラーを獲りたい、守備はどこでもやるという決意を口にしている。
次々のFAで選手が抜けて行った西武が、その力を大きく失わなかったのと同じように、誰かが抜けたところに代わりの選手が出てくれば、単に穴を埋めるだけではなく、その後長く戦力になる存在が大きな力をつけるということ。
そう甘いものでもないが、梶谷が移籍してオースティンが間に合わないという非常事態に、今年の大卒ルーキーと同じ23歳の細川が一気に飛躍すれば、それはチームにとって大きな財産となる。
ラミレス前監督もルーキーイヤーから期待を寄せ、自身最後の試合に4番起用した。三浦新監督も昨年ファームで4番として起用し、3冠に輝く成長を目前で見続けた。ファームでこれだけの成績を残せるレベルにあるのだから、もし大学生なら1位で競合する即戦力。ましてや実際にプロの1軍のレベルを体験しているのだから、彼への期待はそれを上回る。
少し個人的な推しの気持ちが入っていることは否定しないが、キャンプは彼がどんな成長を見せてくれるのか非常に楽しみだ。
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