横浜DeNAベイスターズの2021年春季キャンプは第5クール3日目、このクールでは唯一の練習日となった。午前中のノックでは、本職とは異なるポジションに就いた選手が多く、複数ポジションや緊急事態での起用を想定した練習を行った。ファーム練習試合では山崎が今年初登板。三浦監督が視察に訪れた。
さまざまなことを想定したポジション
コロナ禍により外国人選手の来日が未定。昨年は感染者を出さずにシーズンを乗り切ったが、今年もいつ発生するか気を抜けない状況。急遽、ポジションが空いてしまうことも想定される。そうした事態にも備え、本職とは異なるポジションでのノックが行われた。
ポジション | 選手 |
キャッチャー | 戸柱 |
ファースト | 伊藤光、嶺井、山本、佐野、関根 |
セカンド | 牧、伊藤裕 |
ショート | 倉本、柴田 |
サード | 宮本、宮崎 |
レフト | 中井 |
センター | 神里、大和 |
ライト | 田中俊、細川 |
二遊間こそ本職の選手が守り、レギュラーの宮崎はサードに入ったが、キャッチャーの3人がファーストの守備に入った。ソトの来日遅れで、ファーストは空いたポジションになっている。練習試合では伊藤裕、牧、田中俊、中井といったところが入っているが、このノックでは異色の顔ぶれになった。
もともと内野手で、今年から外野手になった佐野は、場合によってはファーストでの起用も視野に入るだろう。そして、外野手の関根もファーストでノックを受けた。左投げの関根にとっては、内野で守れるポジションは限定的になる。彼にとってもチャンスを広げる上でファーストを守れるようになることは大きい。この日、Twitterで結婚したことを発表した関根は、より強い決意でシーズンに臨んで行くだろう。チャンスを掴むために貪欲にチャレンジして欲しい。
キャッチャーは、緊急事態に守ることも想定されるが、バッティング好調な嶺井は状況によってはファーストでの出場もないわけではない。伊藤光はオリックス時代にキャッチャー以外での出場経験もある。
プロに内野手として入団したが、2年目から外野に転向した宮本も、サードのノックをこなした。返球のショートバウンドを捕るのは難しそうだったが、もともと内野手なのでグラブ捌きは悪くなかった。日曜の試合でホームへの返球が逸れ、守備力が課題と書いたが、肩が強くない点は個人的に引っかかっているところだった。昨年のフェニックスリーグで桑原がセカンドで出場していたが、同様に何かの機会があれば、古巣である内野を守れるようにしておくのは、危機管理としても必要だし、本人のチャンスを広げることにもなるかも知れない。佐野が外野でレギュラーになるくらいなのだから。
外野でノックを受けた3人はいずれも公式戦で外野での出場経験があるので、特筆するものでもない。大和はセンターでゴールデングラブを取っているし、中井は外野も含めてどこでも守れるユーティリティー。田中俊は外野での出場は少ないが、中井同様に外野も含めてオプションがあれば、彼の価値はさらに高まる。
ラミレス監督時代にもオプションとして、複数のポジションを守れるようにということは考えられてきたが、よりその方針を進める形になる。ただし、守備力が大きく落ちるような布陣は却ってマイナスになりかねない。投手出身の監督だけに守備は重視した起用を考えるのではないか。
三嶋、石田が打撃投手として登板
三嶋は戸柱、佐野に投球。なかなか前に飛ばすことが難しい様子だった。
二人とも「速い」という感想。改めて昨年クローザーを務めた快速球右腕の凄さを実感したようだ。本人も打者に投げることで気持ちが入って、実戦に向けて良い調整になったという手応え。今週末の沖縄は天気予報が良くないので実戦が予定通りできるか不透明だが、登板は予定されるだろう。
石田は嶺井、宮崎へ投球。嶺井はこのキャンプではずっとバットの出が良く、いい当たりを放っていた。宮崎もまだ実戦に出ていないが、打撃投手やマシンと違い生きたボールを打てたのは実戦に向けて良い調整になったのではないか。センター方向へ鋭い打球を飛ばしていた。
石田としてはまだ調整段階だと思うが、コントロールもまとまっていたし、右打者へのクロスファイアに球威もありそうだった。オープン戦で登板しながら調整ということになるだろう。現状の陣容ではリリーフということになりそうだ。
ファーム練習試合で山崎が登板
オキハム読谷平和の森球場で行われた練習試合は、ファームとは思えない面々が登場した。
まずは山崎が実戦初登板。最速146キロのストレートとツーシームを中心に投げて、ヒット1本を許したが無失点で切り抜けた。初登板の出来としては、まず試合で投げられたというレベル。本人も新しい山崎康晃を見せる上で、まだまだ途上ということで継続して状態を上げて行く意欲を見せた。
山崎の登板もあってか、三浦監督は午後、読谷へ視察に行っていた。山崎については、初登板なんで元気に投げられるのが見られてよかったというコメント。状態についてはこれからという感じだった。仁志監督も、以前に山崎康晃としてのボールが投げられるまで、中途半端には1軍へ上げないことを示唆していた。キャンプはファームのまま終え、教育リーグでの登板になるのかも知れない。
さらには、中日では福留がスタメン出場。宮城から2安打を放って、貫禄を見せた。そして5回には山井が登板。1イニングを無失点に抑え、42歳の大ベテランがシーズンに向けて実戦モードに入った。ケガから復帰した福田もスタメン出場しており、豪華な名前が並ぶ練習試合となった。
ベイスターズでは、蝦名が初回に2ランを放った。低めのボールをうまく拾うようなバッティングだった。この活躍もあってか、23日の1軍の練習試合でのスタメンをゲットした。
期待の右腕2人が登板、若い中軸に
そもそも若いベイスターズだが、23日の宜野座での阪神戦は、牧、佐野、蝦名の中軸で臨む。投手も阪口、京山と期待の若手投手が4イニングずつを投げる予定。
8神里 4田中俊 3牧 7佐野 9蝦名 5倉本 6大和 2嶺井 D戸柱 P阪口(4イニング) (控え投手) 京山(4イニング) 伊勢 平田 砂田 池谷 武藤
阪口と京山で8イニングを予定している割には、投手を多く帯同させるという印象。ブルペンでの調整も練習のうちなのかも知れない。特に池谷は、どのようなタイミングで肩を作るかなど、より実戦に近い形を体験するのも良いかも知れない。
21日の試合で武藤をイニングの途中で交代したように、阪口や京山が悪ければ、早めにリリーフ陣にスイッチすることもありうる。先週、餌食となった佐藤輝を抑えることはできるのか、注目したい。
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