球団がポスティングによるMLB挑戦を容認している今永が13日、ハマスタで会見を開き、正式にMLB挑戦を表明し、現在の心境を語った。また、ドラフト1位指名された度会が社会人野球日本選手権に出場し、マルチヒットをマークした。
自分の生き方を変えるのは今しかない
投げる哲学者と言われる今永らしい会見となった。ファンに対しては応援への感謝だけでなく、優勝できなかったことを謝罪した。特に今季に関しては、今永自身がもう少し勝てていればという思いもあったのだろう。だが、チーム全体として力が及ばなかったということ。彼だけが背負うものでもない。そこはエース、大黒柱、選手会長、永遠寮長としての責任感だろう。
大学時代には世代ナンバーワン左腕だったが故障もあり、入札で指名したのはDeNAだけだった。競合間違いなしと言われた左腕を一本釣りできたことは、チームにとって大きかった。開幕4連敗と苦しんだが、5連勝で星を戻し、ローテーションに定着。石田や井納、山口もいたが、しっかりとしたローテーション投手がチームに加わったことで安定した。2016、2017年と連続Aクラスで日本シリーズにも出場した。
肩の不調で苦しんだ2020年、2021年を脱し、2022年は久しぶりに2桁勝利。2023年はWBCで活躍した後、エースとしての投球を見せていたが、8月以降は彼にとっても不本意な投球が続いた。そうした中で、MLBへの移籍には葛藤も多かったかも知れない。
最終的には、チームメイトを始めとして多くの人と話し、行くチャンスを得られるのだから行ってみるべきという結論に至ったようだ。ネガティブな意見も耳に入り、弱気な部分も出たようだが、最終的に「自分の生き方を変えるのは今しかない」と一歩踏み出す決意をした。このあたりも今永らしさなのだろう。
MLBへ移籍することは少し前から分かっていたこと。チームとして本来は備えをしているべきなのだろうが、実際には東が復活して来て、あとは左腕という意味では濵口に加えて、石田が残るのかどうか、そして坂本あたりをきっちりと1軍の戦力にしたいところだが、今のところうまく行っていない。
今年のドラフトでは即戦力の先発投手は、最重要視していなかったので、FAの山﨑福などの補強で賄うか、現有戦力の底上げしかない。森下あたりがこういう時に出て来てくれると将来も明るいが、高卒2年目になるので無理はさせられないだろう。
今永がMLBで投げること自体は非常に楽しみだ。ホームランはたくさん浴びることになるだろうが、その分、三振も取って行くはずだ。どの球団でもOKとしているが、どのユニフォームを着て投げることになるか。例によってベイスターズから離れた選手をそれほど観ることはないが、陰ながら応援したいと思う。
ここ数年、Aクラス常連という成績を収められたのは、今永の存在が大きい。チームの為に投げてくれたことを感謝するとともに、MLBでの活躍を祈っている。
FAは動きなし
FAの行使について熟考している石田、戸柱は、この日動きはなかった。他球団でも注目されている西川、中田、田口、山川らに動きがなく、結論は最終日に持ち越されたようだ。
他の選手の動向を見ているのか、球団と最後まで話し合いをしているのか。宣言した場合に獲得に来るチームの動向を見ているのか。最終日まで行使するかどうかを決めていないというのは、残留する気持ちが薄いようにも思える。残留したいなら早めに決断できるだろうし、他球団の話も聞いた上で残留もあるのなら、ギリギリまで悩む必要もない。
あるとしたら、宣言せずに残留し、もう1年頑張ってみてから、というパターンか。そうするのか、今行使するのかで揺れているといった感じか。
ベイスターズとしては、石田も戸柱も残ってくれることがベストで、既に行使している山﨑福を全力で獲得に行くだろう。今永の移籍がほぼ確定した状況で、普段はマネーゲームをしないチームとしても、チャンスがあるなら全力で行くべきところかと思う。ただ、一部で言われているように、これまでの実績を見ても過度な待遇というのは悩ましいところ。ソフトバンクが参戦するようだとそうも言っていられないのだろうが。
14日にFAが締め切られ、翌15日から交渉が解禁。そして、15日には合同トライアウトも行われる。その後から戦力外となった選手の獲得も解禁されるので、今週後半から動きが出て来そうだ。
度会がマルチ、ENEOSが8強に
この日、ENEOSが社会人野球日本選手権の2回戦に登場。度会は、2回先頭で迎えた最初の打席、左腕の変化球を巧く三遊間へ運び、ショートが弾く内野安打。逆方向にも広角に打てるところを見せた。
4回の第2打席は同じようなボールを引っ掛けてしまい、セカンドゴロ。俊足でギリギリのタイミングだった。5回は2アウト1、3塁と先制のチャンスで、ストレートを逆方向へ強く弾き返したが、ショートが追い付き、セカンドをフォースアウトにする好守に阻まれた。
7回の4打席目は、前の2人の打者をストレートで見逃し三振に取っていた北畑に対し、追い込まれた後のフォークが浮いたところをきっちりとセンター前へ運んだ。ストレートも当然マークしていたが、甘く入ったボールに反応できた。9回の5打席目はストレートに押され、レフトフライだった。
守備でも前に守っている場面で、ライトへの深いフライに追い付いてキャッチするなど、無難な動きを見せた。9回の打席はもう1点を取るために、初球にバントヒットを狙う工夫も見せたが、ストレートを引っ張りきれず、レフトフライになってしまった。追い込まれる前から進塁打狙いで行く必要はないが、もう少し引っ張る意識があっても良かった打席だった。
ENEOSは、西武からドラフト7位指名された糸川が、三菱自動車岡崎の打線を6回まで2安打に抑えた。身長はないが、ストレートに力があり、落ちるボールが有効だった。6回にENEOSが柏木のタイムリー二塁打で先制したが、7回に変わった柏原が先頭の長打をきっかけに追い付かれてしまった。しかし、直後の8回に村上のタイムリーで勝ち越し、そのまま逃げ切った。
ENEOSは準々決勝進出。次の試合は16日(木)14時から、Honda熊本と対戦する。
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