08/29 阪神2-3横浜DeNA(甲子園)
3戦続けて序盤から大量点を取られていた今永は、初回2アウトから連続四球を出す慎重な立ち上がり。何とか無失点で切り抜け、中盤のピンチでも得点を与えなかった。7回136球の熱投で無失点に抑えたが、打線が西勇に7回まで3安打に抑え込まれた。8回、ウェンデルケンが坂本とミエセスにタイムリーを許して2失点、万事休すと思われた。しかし9回、岩崎から蝦名のヒットに続いて佐野が起死回生の同点2ラン。さらに牧も2者連続ホームランで勝ち越し。9回裏は森原が何とかピンチを断って10セーブ目。鮮やかな逆転勝利だった。
ポジ [Good]
8月1日のマツダで、5回途中に足がつって降板して以来、3試合連続で大量点を許し、連敗中の今永。ケガなどの体調面も心配されたが、中6日でこの日の先発を務めた。初回、今永らしい伸びのあるストレートを投げ、中野から空振り三振を奪って2アウト。
しかし、森下にはクロスファイアを多用するも、球審に取ってもらえずカウントを悪くし、最終的に歩かせてしまった。大山にもボールが先行し、ペイオフピッチでストレートがアウトサイドへ外れた。ハマスタでは2度、初回に4失点している為か慎重になっていた。
佐藤輝にも追い込んでからの勝負球が決まらずペイオフピッチとなったが、最後はストレートをアウトサイドへ投げ込んで空振り三振に取った。何とかピンチを断って無失点の立ち上がりになったが、初回に30球を費やした。
前回は今永とは思えないようなストレートしか行かず、途中からフォームを変えたり変化球を中心にしたり苦心して5回まで投げた。この日は、ストレートは打者を押せていたと思う。細かい修正は入れているはずだが、ストレートに関しては今永らしいボールだったと思う。
だが、変化球は精度が今一つ。カウント球はかなり見切られて、勝負球も決まらず苦しい投球になった。何とかストレートで押し込んで得点を与えずに粘った。4回は2アウト1塁からサードゴロを林がファンブルし、痛いエラー。坂本を歩かせて満塁となったが、木浪をストレートで空振り三振に取った。ここも球数が嵩んでしまった。
もともと三振が多いので球数はかかる投手だが、勝負球が思ったようにコントロールできず、変化球で早いカウントから打ち取ることができなかったので、余計に球数が増えてしまった。
6回で116球だったので、最近の調子も含めてここで代わると思ったが、7回のマウンドにも上がった。1アウトから近本に左中間への二塁打を打たれ、ピンチを招いた。中野を2球で追い込むも、粘られて8球目のスライダーでレフトフライ。森下には、インサイドのクロスファイアで攻めていたが、この打席は一転してチェンジアップを連投し、拾われたがレフトフライに仕留め、7回を投げ切った。
136球の熱投で7回無失点。前回までの内容を考えれば、首位の阪神を相手によくぞここまで投げられるほどに調整して来たと思う。7回は途中で代えるわけにも行かず、136球まで投げることになった。これが次回以降の登板にどう影響するか。
西勇もシュートを上手く使った投球で7回無失点。今永は援護を得られなかった。ウェンデルケンが2失点した後の9回表、信じられない展開が待っていた。
23試合連続無失点という岩崎がマウンドに上がった。正直ほぼ諦めていたが、先頭の蝦名が2球で追い込まれたところから、ストレートを打ち返してセンター前ヒット。これで一発同点の場面を作った。続く佐野が初球、高めのストレートを振り抜くと、逆風の中で打球はセンター右のスタンドへ飛び込んだ。近本も会心の当たりが風に戻されていたが、この日は左打者が右方向へホームランするのは難しいはずだったのに、届いた。
今季、ホームランを1本も打たれていない防御率0点台の投手から、まさかの同点2ラン。起死回生とはこのこと。甲子園も何が起きたのかという雰囲気の中、三塁側ベンチ前でデスターシャ。余韻が残る中で牧が打席に入り、3球目のチェンジアップをすくい上げた。この打球は風に押され、レフトスタンドに入る勝ち越しのホームラン。
本当に現実なのか?と思うような、2者連続のデスターシャ。甲子園が呆気にとられる中、三塁ベンチとレフトスタンドのビジター応援席だけが異様に盛り上がった。岩崎は今季、セ・リーグで唯一失点していたのがベイスターズ戦だった。それ以外は無敵の投球を見せていたが、本当にまさかの2者連続ホームラン。これだから野球は分からない。
二塁さえ踏めない貧打から、最後の最後に中軸の連続ホームランで鮮やかな逆転勝利。やはりホームランは正義だ。
桑原が1000試合出場。死球で出塁も盗塁に失敗。バッティングでは活躍できなかったが、劇的な逆転勝ちとなった。内野手として入団したが、外野へコンバートされた。中畑監督に見出されて頭角を現し、ラミレス監督時代にレギュラーを掴んだ。その後、不振のシーズンを乗り越えた。センターの守備はプロ野球でもトップクラス。まだまだ試合数を伸ばして欲しい選手。
ヤジ [Bad]
劇的な逆転勝利となったが、熱投を見せていた今永は援護できなかった。試合に勝利したのがせめてもの報いだが、ノーアウトのランナーを出しても打ち上げてランナーが釘付けになるなど、二塁さえ踏めなかった。同じアウトになるにしても、何とかランナーが進むようなバッティングをして欲しい。
西勇が、テンポ、コントロールが良く打たされてしまった。だが、阪神打線と比べるとボール球や狙っていたのか分からないような球に手を出して凡打になることが目立った。選んだ四球が100以上違うのも頷ける内容だった。打者の特性も異なるので、同じことをすれば良いわけではないが、出塁率にして.020違うのは大きし、何より相手の投手に与えるプレッシャーも大きくなる。もう少し考えて野球をやって欲しい。
結果的にひっくり返すことはできたが、8回は2点目を防いで欲しかった。ウェンデルケンが8月は無失点で来ていたが、ついに失点してしまった。勝負球のストレートが高く行って、弾き返された。2アウトだったので、木浪のところで抑えてくれることを期待したが、ヒットで繋がれた。
ミエセスにも三遊間を破られたが、三塁コーチャーは当然のように回し、送球は大きく逸れた。27日はサヨナラの場面で佐野が捕球できなかったが、強めのゴロで坂本に還られてしまうのは厳しい。その分、同点2ランを打って返してくれてはいるが。
9回は、先頭の中野がヒットで出塁。続く森下のセカンドゴロで、牧がランナーを追い込み、ファーストへ送球してしまった。止まっていた中野が再スタートし、ソトから二塁へ送られるもタッチプレーでセーフ。
以前、バウアーの登板時に、ランナーを追い込んでタッチし、併殺に取るシーンもあった。先に一塁をアウトにして挟殺プレーにできると思ったのだろうが、ランナーが中野で1点リードという場面を考えると、確実に二塁をアウトにしなければならない場面だった。難しい判断にはなるが、ここはセオリー通り行かなければならない。自らのホームランで勝ち越した1点だが、森原が糸原にもヒットを打たれながらも、何とか守ってくれて救われた。
代打の切り札となっている楠本だが、8月は24打数2安打の.083と絶不調。現状、勝負どころで使う状態にない。この日も、あと1点欲しい場面で、最初からボールゾーンのシンカーを空振り。追い込まれているのでゾーンを広げなければならないが、ボールが見えていない感じだった。当面は左であれば藤田を切り札とする方が良いように思う。
キジ [Other]
年に数回あるかどうかという、劇的な展開だった。8月としては11日にも東が涙した東京ドームでの逆転勝利はあるのだが、それまでの展開と相手投手も考えると、本当に奇跡のような逆転勝利だった。これで阪神のマジックが一旦消滅した。
現状、DeNAが優勝うんぬんということにはならないが、8月は阪神に3連敗も喫し、1勝5敗と大きく負け越したことで、マジックが点灯して独走状態にしてしまった。セ・リーグの灯という意味では、少しではあるが役に立てたのではないかと思う。
こういう逆転勝利を収められただけに、翌日負けて1勝1敗では意味が薄くなってしまう。バウアーを何としても援護し、連勝したい。大竹は、他の球団と比較すると打っている方だが、簡単な投手ではないことは言うまでもない。9回に逆転した流れをそのまま持ち込んで、リードする展開にしたい。阪神としても、こういうショッキングな逆転負けの後、ズルズル行くことを危惧しているはず。プレッシャーをかけて行きたい。
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