横浜DeNAベイスターズは10月15日、クライマックスシリーズのファーストステージに連敗で敗退。2023年のシーズンが終了した。明けた16日、去就などストーブリーグの報道が相次いだ。コーチ人事やFAの動向、今永の去就と多数の記事が配信された。同じく去就が注目されるバウアーは、DOCKで取材に応じた。
バウアーはソフトバンク移籍が有力か
この日は、今季の総括や来年以降のことについて、DOCKで報道陣に語った。先発を予定していたCSファーストステージ第3戦がなくシーズンが終わってしまったことに対して、残念に思いながらも全力で戦ったチームメイトを労った。一問一答は、サンスポさんの記事を参照。
既にシーズン中からソフトバンクが資金を準備していることや、アメリカでの裁判が和解に至ったことからMLBへの復帰など、夕刊紙や週刊誌を中心に報道が出ており、去就が最も注目を集めている。特に残留とも移籍とも明言せず、来季プレーするチームに求める条件を語った。
- 優勝が狙えること
- 個人タイトルに協力的であること
- 多くのファンを喜ばせることができること
優勝を狙えるというのは当然だと思う。アメリカでも有力選手はそういう考えで移籍を考える。大谷がエンゼルスを出るのか出ないのかという点もそこにある。自分の力で優勝させるくらいの気概はないのかという人もいるが、個人でチームを優勝させるには限界がある。
現役生活は限られた期間しかないので、現状で優勝を狙える戦力や戦略のないチームに移籍することは普通は希望しないだろう。チームが勝てないということは、自分自身の成績にも影響がある。特に先発投手にとっては援護がなく勝利が付かないというのは大きな要素で、2番目の条件にも関わって来る。
バウアーは、サイヤング賞と沢村賞を両方獲得した投手となることを確実に狙っている。このタイトルに協力的というのは、中6日が主流の日本において、他の投手のローテーションをズラしてでも中4日で登板させて、タイトルに近づくことを協力するかということ。そして、彼が求めるのであれば完投させること。沢村賞に必要な条件を整えることが求められる。
このインタビューではDH制のことに触れていないが、打席が回って代打が出て交代すること、投球に集中できないことから、セ・リーグを避けたい気持ちはあると思う。今年に関しては、ベイスターズへの移籍を決めたので、バントやバッティングを楽しんでいたが、沢村賞を狙うならDH制が有利に働きそうだ。
最後の多くのファンを喜ばせるというのは、観客動員という意訳をしている報道もあった。チームや個人にお金をもたらすという発言があるので、観客動員によって球団の資金が潤沢であることを指していると思う。
ベイスターズについて、バウアーがどう思っているか。25年間優勝がないことを理解しており、そのベイスターズを優勝させるということも、バウアーのやりたいことリストには入っていると言っているし、Win-Winの関係であり、やりやすかったことは言ってくれているが、優勝を狙えるチームとして映っているか。
そして、DH制に関してはセ・リーグへの導入は予定されていないので、ここは覆しようがない。観客動員に関しては十分な数字を残しているが、資金力が十分にあるかというと疑問も残る。
この条件を考えると、当てはまるのはソフトバンクになる。オリックスも資金がないわけではないが、3連覇にも関わらず観客動員は少し疑問がある。そして、パ・リーグはドームが多く、雨の中で投げたり登板がズレにくい点も魅力だろう。ベイスターズを出るならリーグも違えば非常にやりやすい。
日本での移籍を考えれば、という前提だがソフトバンクへの移籍が有力だろう。しかし、MLBのチームもオファーを出す可能性はあり、このタイミングでMLBに戻ることも選択肢の一つ。出場停止は解けており、和解に至った暴力問題がアメリカ国内でどのような見方になっているか。
個人的には、もちろんベイスターズに残って欲しい。だが、入団した時から今年1年限りの思い出だと思っていたので、移籍するものと思っている。彼が今年見せた魂の投球と、考え方が少しでもベイスターズの他の選手に影響を与え、チームが成長することを期待したい。バウアーがどのような決断を下しても支持するし、応援するだろう。
最終的には、バウアーのやりたいことリストの並びがどうなるかだと思う。これは彼しか分からないので、決断を待つだけだ。
齋藤隆、木塚両コーチ退任へ
正式発表はされていないが、齋藤隆コーチと木塚コーチが退任の意向であることが報じられた。1998年組として復帰した齋藤隆コーチは、昨年と今年、チーム防御率が改善したことで結果を出している。しかし、昨年はキャンプ中に小脳の脳梗塞を発症するなど、体調面の問題もあるだろう。
詳細は分からないが、本人から退任の意向であるなら、これは仕方ない。体調面もあって何とか2年はやりたいと思って尽力してくれたのかも知れない。長年ずっとベイスターズの投手コーチを務める木塚コーチも退任するようだ。スカウトやアナリストなど他のポジションへ転身する可能性もあると思う。
継続性も重要だが、木塚コーチもまだまだ若いし、これからのベイスターズを支えて欲しい人材なので、本人のキャリアアップのために他の部門を経験することは、一般社会と同様に重要なことかも知れない。
後任には小杉コーチが2軍から異動し、現在ブルペンを担当している大原投手コーチ補佐がそのまま務める見込み。小杉コーチは、動作解析などのデータを駆使してピッチングの見える化を図り、ファームでも一定の成果を挙げているようだ。
小杉コーチが取り組んでいる分野からすると、1軍の投手のマネジメントやアドバイスをするのは少し違うような気がするが、球団の考えや本人の意向が合致しているなら、1軍投手コーチを務めることは問題ないのだと思う。
1軍の投手コーチがいずれも退任する見込みで、本人の意向などもあるのだろうが、今年の失速の原因となった打撃部門よりも先にこういう話が出たのは意外だった。代えればいいというものでもないが、打撃部門も何らかの変革は必要ではないかと思う。
コーチの評価や実績は、われわれ外部の人間にはほぼ分からないこと。結果で評価されるのがプロではあるが、コーチとして優秀だとしても選手が育つとも限らないし、チームが勝つわけでもない。ここは実際に現場で見ている人が判断するしかない。
さすがに今時は考え方も変わって来ているだろうが、選手としての実績はほとんど関係なく、アナリストのデータをどう噛み砕き、選手と対話しながら「コーチング」をしていくか。指導とよく言われるが、プロ入り数年の若手はともかく、1軍にいる選手にティーチングはほぼ不要。いかに的確なコーチングができるか。最終的にやるのは選手だし、自分に合ったプレーを見つけるのも選手次第。
ファームは、仁志監督が退任。読売への移籍が噂されたが、この日発表された読売のコーチングスタッフには名前はなかった。球団として3年を経過しての評価かも知れないし、仁志監督が進みたい道があるのかも知れない。後任には青山巡回コーチが就任する見込み。三浦監督との風通しとしては、その方が良いのかも知れない。
そして、今年引退し、15日で現役最後の試合を終えた藤田が、ファームの育成コーチとして指導者の道を歩み始める。ここは当然の起用であり、今後球団がどんなプランを考えるか分からないが、将来の監督候補になってくると思う。
その他、大家コーチが退任した関係で、アナリストを務める東野氏がコーチに就任という話もある。このあたり、コーチングスタッフも決まり次第発表されると思うので、注目して行きたい。
今永はポスティングでMLBへ
筒香の場合は、CSファーストステージで敗退後すぐに発表されたが、今永に関しては現時点ではまだ決めていないとコメントしている。今年急に検討したわけではないので、ある程度準備もしていて答えは出ているだろうが、最終的な決断と発表はもう少し後になるだろう。
今年は7勝に終わり、8月以降は本来の投球ではない部分も多かった。その分、MLBからの評価は少し下がってしまったかも知れないが、ポスティング申請をすれば入札する球団はあるだろう。最多奪三振のタイトルを獲得しているし、WBC決勝での投球もまだ記憶に新しい。被本塁打は増えるだろうが、選球眼がアバウトで振って来るMLBならば三振はタイトル争いに加わる可能性がある。1年間、中4日で回れるかという体調面が課題になるだろう。
個人的には、MLBでやってみたいと思っているなら、今オフ行くべきだと思っている。30歳を迎え、年々能力は下がって行く域に入っているので、行くならなるべく早い方がいい。来年日本でやったからと言ってそこまで何か変えられるとは思えないし、MLBにアジャストするために結局また変えることになる。現状からMLBにアジャストした方がいい。
球団としても、来年海外FAで何もなく出られるよりも、ポスティングによって移籍金を得られた方が良い。今永が腹を決めるかどうかだが、決断したらポスティングを許可するだろう。これはもともと分かっていたことで、覚悟していること。残ったらこれまで通り応援するし、MLBに行くなら尊重し、応援したいと思う。
ソト、エスコバーは退団が基本線
今年で3年契約が切れるソト、同じく2年契約が切れるエスコバーは、退団が基本線になっているようだ。これも想定できたこと。正式決定を待ってコメントしたいと思うが、当然残留となるなら嬉しいが、現実的には難しいと思う。
エスコバーは、今年の前半は不振に苦しみ、ファームでの調整が続いた。後半は復調したが、昨年までのような勝ちパターンからは外れた起用になっていた。155キロを超えていたストレートも少し速度が下がり、変化球も含めてモデルチェンジしたような形。新たな投球スタイルを模索しているところではある。
ファンに愛され、彼もYOKOHAMAを愛してくれているが、CS前にも意味深なポストがあった通り、残留交渉は不調なのだろう。当然ながら戦力としても必要であることは間違いないが、年俸の予算も無限ではない。
彼も代理人がいてビジネスだし、球団も通常の査定を超える減俸を提示することは難しいだろう。今季2.6億円で、ウェンデルケンの1.2億円の倍以上であることを考えると、功労者であるにしても厳しい。50%程度のダウンの提示ができるのかというところ。
外国人野手は近年、レギュラーとして定着できる選手が乏しい。そうした中で、ソトほどの選手を見つけて来ることは容易ではない。ファーストの守備は非常に信頼感のあるものだ。だが、数字を見ると年々下降しており、来年もさらに下降することが想定される。もちろん復活する可能性はゼロではないし、来年もプレーを見たい選手でもある。
だが、3億2500万円の3年契約、昨今の円安を考えるとドル換算だと大幅な減額でないとコストに見合わない。予算が無尽蔵であれば残ってもらいたいが、オースティンが2024年まで契約があり、外野の守備が難しいとすればファーストでの起用も考えられるため、守備位置が重複する選手にどこまで予算をかけられるのか、ということになる。
ファンとしては来季も残って欲しいと思うのは当然だが、予算が見えているわけでもないし、どう配分されたのか分かるわけでもない。一人の選手との契約を打ち切るということだけを批判しても意味がない。何とか落としどころで合意に至れば良いが、なかなか難しい状況だと思う。
少なくとも契約延長は難しいと思うので、一度自由契約になって、それでも所属球団がなければ新たな契約を結ぶという可能性は残る。まだ退団が決定したわけではないので、今後の推移を見守りたい。
ウェンデルケンは来年、球団がオプションを持っているはずなので、よほどのことがない限り残留する見込み。ガゼルマンとアンバギーは未定だが、契約延長は厳しそうだ。
FAの戸柱、石田は熟考、楽天・松井ら調査
FA権を取得した戸柱、石田らの動向は他球団も調査しており、行使するか否かを熟考という報道。これはそうだろう。ただ、実際にどの程度獲得に乗り出すのか、彼らがFAを行使して交渉に臨むのかは今後、検討して行くことだろう。日本シリーズが終わるまでは動かないので、報道に一喜一憂しても仕方がない。
戸柱も石田も必要な戦力だと思っている。3位に終わり、CSも敗退したので、不要な戦力などないと思っている。ただ、年俸の予算には限りがあるので、ドラフトの指名や補強、既存の選手の年俸アップも含めて、他の選手とのバランスが崩れるほど好待遇を出さなければ合意できないなら、その限りではない。
石田は現状、推定6200万円で、単年だとダウンになるだろう。複数年も含めて出せるのはある程度限られていると思う。他球団がそれ以上の待遇で引き抜くのであれば深追いはできない。昨年、複数年契約の提示を固辞しているので、FAは行使するのではないかと思っている。
戸柱は、昨年嶺井が移籍しているだけに、絶対に食い止めたい。球団も複数年契約を提示するようだ。ファンから叩かれることが多く、山本の台頭があるので不要と言う人も多いかも知れないが、試合に出場すること以外での貢献も大きいと思っている。
山本も今年は素晴らしい活躍だったが、まだ1人でレギュラーを張れるところまで行っていないし、松尾がすぐにレギュラーになるわけでもない。生え抜きとして日本シリーズも経験したキャッチャーであり、代打としても期待できるので、何とか残ってもらえるように交渉して欲しい。石田と戸柱を両方残す予算がどうしてもないのであれば、個人的には戸柱が優先だと思っている。
一方で、今永やバウアーも含めて戦力の流出に備え、FA権を持つ選手の調査も進めているようだ。報道で名前が挙がったのはオリックスの山崎福、日本ハムの加藤、楽天の松井。楽天の松井は、WBCではボールに苦戦したが、MLB移籍を目指しているようだ。横浜出身の選手だし、ドラフトの際は絶対に来て欲しい投手だったが、抽選に外れた。
縁があるなら横浜でプレーして欲しい選手だが、まずはMLBだろう。MLBとの移籍交渉が不調に終わるとか、MLBに移籍し数年後に日本に戻る際に縁があればなと思うが、普通にFAで獲得できる選手ではない。
山崎福、加藤も調査はしておくべきと思うが、現実問題としてまずFAを行使するのかどうかという感じだし、どれほどの予算を取れるのかといったところ。こちらも日本シリーズ後までは動かないので、経緯を見守りたいと思う。
フェニックスリーグ
本当は16日のIPBL(日本独立リーグ)選抜戦を単独記事で書こうと思っていたのだが、1軍のシーズン終了翌日からかなり話題が出たことと、ベイスターズに全く良いところがなかったので、ニュース記事とした。
育成の今野、マルセリーノが登板したが、いずれもコントロールが乱れ、ランナーを溜めてから長打などで大量失点した。ディアスも立ち上がりはコントロールに不安が出たが、力のあるボールで押して2回無失点。櫻井は、2安打は許したが腕の振りが良く、ストレートにも力があった。スライダーを中心とした変化球のコントロールがもう少し良くなれば1軍も見えて来る。
打線はIPBL選抜の先発、松江に7回まで4安打。コントロールよくコーナーに投げ込んで来るボールを捉え切れなかった。東妻が唯一のマルチヒットだった。参加している野手が少ないため、東妻がライトに入り、内野は小深田がセカンド、粟飯原がショート、西巻がサードとシャッフルして出場していた。それも影響したのか守備の乱れもあった。
4連勝でスタートしたフェニックスリーグだが、1-9の大敗で連敗となった。
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