伊勢がノーアウト満塁で圧巻のリリーフ！完封リレー

前日の田中健、森原に続き、伊勢が好リリーフ。初回に牧のタイムリーで先制し、先発の石田が3回に2アウト満塁のピンチを切り抜けると、6回に宮崎が13号ソロで追加点。7回にも関根の犠牲フライで3点目を奪った。6回無失点の石田から入江、エスコバーと繋いだが、エスコバーがノーアウト満塁のピンチを招き、伊勢が登板。中田を浅いライトフライ、岡本和を見逃し三振、中島もセカンドフライに打ち取って無失点で切り抜けた。最後は山崎が締めて36セーブ目。

ポジ

圧巻！痺れる伊勢の15球

何と言っても伊勢のリリーフ。前日も1アウト満塁から田中健、森原でピンチを断ったが、それ以上に痺れる「伊勢の15球」。

エスコバーが併殺を取れそうなピッチャーゴロで悪送球し、まさかのノーアウト満塁。3点リードとは言え、どうなるか分からない状況になった。ここでベンチはエスコバーを諦め、3連投の伊勢を投入する。頭から登板した方がよっぽど負荷が少ないという登板になってしまったが、伊勢の闘争心にも火が付いた。

中田にはインハイのストレートで空振りを取った後、アウトサイドのスライダーに当てるだけとなり、浅いライトフライ。3点ビハインドの読売は無理に突っ込むわけにも行かず、アウトカウントだけが増えた。ノーアウト満塁は最初のバッターが重要とよく言われる。中田を2球で打ち取り、点を与えなかったのは非常に大きかった。

続く岡本和には、3球目のスライダーがアウトサイド一杯に決まり、1ボール2ストライクと追い込む。ここからストレートを続け、球威で押し込んでファウルとなる。7球目のストレートはアウトサイド低め、コーナー一杯に決まり、岡本和の手が出なかった。見逃し三振で2アウト。

投手のクロールには代打の中島。ここも追い込んでからストレートを続け、完全に球威で押してセカンドフライ。無失点で切り抜け、ベンチに戻る際にガッツポーズで吠えた。オールドファンは、同じ背番号13のヒゲ魔神を思い起こすのだろう。

ストレートがシュート回転して甘く入るボールもあったが、気迫と球威で押し切った。この日は、連投していた伊勢を温存し、エスコバーで8回を乗り切って康晃へという構想だったと思うが、伊勢を投入せざるを得ない状況になってしまった。

リーグ単独トップの67試合目。絶対に疲れはかなり来ているはずだが、気持ちで奮い立たせて腕を振った。故障だけはしないように祈りたいが、本当に頼りがいのある素晴らしいリリーバーに成長してくれた。チーム133試合目で、初のヒーローインタビュー。66試合の登板もヒーローと言える活躍はあったはずだが、中継ぎがヒーローになりづらいことを如実に表している。「よっしゃー！愛してるぜヨコハマ！」と新たな表現を生み出した伊勢が、CSでも勝利に導いてくれることを期待したい。

3回は紙一重でヒヤリも6回無失点

石田は、1、2回はヒットを打たれたが併殺で切り抜けるなど無失点の立ち上がり。1点のリードをもらって3回を迎えたが、1アウトから投手のメルセデスにヒットを打たれた。吉川は打ち取って2アウトとしたが、坂本、丸に対して慎重になり、ボールをきっちりと見極められ、連続四球。

1点を失うことを怖がって、大量失点するパターンだった。何年目だよと思ってしまうような、逃げの投球。中田に対してストレートでストライクを取り、2球目はインハイへの要求。だが、ボールは低めに行き、ややバットの先に当たった打球は桑原のグラブに収まった。逆球だったが、低めに行ったことが良かった。中途半端な高さだったら、グランドスラムにされていたかも知れない。紙一重だった。

3回まではかなりモタつき、球数も多くテンポが悪かった。だが、3回のピンチを乗り切って落ち着いて来た。4回以降は四球1つだけで、パーフェクトに抑えた。6回97球3安打無失点。3回はかなり危なったが、終わってみればQSの好投だった。6勝目を挙げたが、さらに勝ち星を伸ばしてもらいたい。

宮崎が連夜のホームランで貴重な追加点

初回に桑原が二塁打で出塁し、楠本にはバントを命じた。菅野と今永とか、そういう対戦なら1点勝負ということでバントも良いが、石田とメルセデスならある程度、点を取り合うことが予想される。ここは好調の楠本に任せても良かったように思う。1アウト3塁で佐野が凡退したが、牧が投手の足元を抜くタイムリー。

しかし、その後はメルセデスを捕まえられず、1-0のまま膠着状態が続いた。嫌な雰囲気が漂い始めたところ、平内の初球153キロのストレートが高めに来たところ、右方向へ巧く弾き返し、打球はポール際のスタンドに飛び込んだ。ハマスタのポール際は切れないし、フェアゾーンに入れる技術が素晴らしかった。この一打で試合の流れは大きくベイスターズに傾いた。

マルチヒットで打率を.297に戻した。満身創痍、連戦疲れもあるだろうが、何とか3割の大台に乗せたい。

ヤジ

この日も「3点止まりだった」と言っていいだろう。前日に1点ビハインドという展開で勝ちパターンを注ぎ込んだので、リリーフが厳しいのは分かっていたこと。だからこそ、大量点を取って楽な継投をしたかった。

初回に牧のタイムリーで先制した後、宮崎が歩いてチャンスが続いたが、メルセデスに相性が良いソトが三振。3回も1アウト1、3塁で、ソトがストレートを捉えたが、丸の守備範囲で追加点ならず。

宮崎のソロで1点を追加した6回も、1アウト満塁と攻めたが、代打のオースティンが三振、桑原もレフトフライに倒れた。続く7回は1アウト満塁としたが、関根の犠牲フライで1点を追加するだけに終わった。10残塁の拙攻がここまで頑張って来たリリーフにプレッシャーをかけ、ヤクルトとの直接対決の前に浪費してしまう結果を招いた。あと2、3点は取ってリリーフを温存する展開にできた試合だった。

エスコバーは、3点を失って一時逆転を許した甲子園に続き、自身の役割が果たせなかった。吉川にヒットを打たれた後、前回の登板で連打を食らっていることもあり、坂本へ慎重になり過ぎた。それほどコントロールがあるわけではないのにコースを狙い過ぎ、歩かせてしまった。前日のガゼルマンもそうだったが、勿体ない四球だった。

それでも丸は4球目のストレートに押されてピッチャーゴロ。これは併殺が取れるという打球で、思わず「落ち着いて送球！」とテレビの前で声が出てしまったが、ものの見事に引っ掛けて悪送球。大和が倒れ込みながら捕ったが、ベースは踏めておらず、リクエストでも覆らなかった。

打たれるのは仕方ないが、2球で追い込んでから必要以上にコースを狙い過ぎて歩かせ、併殺の取れるピッチャーゴロを悪送球と最悪だった。伊勢がピンチを断ってくれたからこそ、勝って反省できる。感謝し切れないほどだろう。だが、ここはお互い様だし、チームもこれまでエスコバーに何度も救われている。

春秋のエスコバーはあまり良くない。2019年も74試合に登板し、2位でCSに出場したが、初戦の大量リードを逆転されるなど、エスコバーが2敗という形になった。それ以来の登板数となっており、嫌な感じがしている。順位が決まれば休ませたいと思いつつ、エスコバーは逆に登板間隔が空き過ぎない方が良かったりするので、複雑だ。入江、伊勢が3連投となったので、23日はエスコバーに頑張ってもらうしかない。今度はエスコバーがチームを救って欲しい。

キジ

タフな試合をものにした。初回に1点を先制はしたが追加点を取れず、石田もランナーを背負ってテンポが悪く、球数も嵩む投球。そうした中で踏ん張って、何とか追加点を取って逃げ切ったという試合。これで読売戦は12勝となり、5割以上が確定した。

また、2位クリンチは3.0、CSクリンチは2.0となった。下記のCS進出ラインを見ても、ベイスターズはほぼ確定したと言ってもいい。2位もかなり濃厚という状況。

勝数	DeNA	読売	広島	阪神	中日
74勝	5-5
73勝	4-6
72勝	3-7
71勝	2-8	5-0
70勝	1-9	4-1	4-0
69勝	0-10	3-2	3-1	4-0	8-0

3年ぶり2度目となるハマスタでのCS。ファーストステージだとすると、相手はどこになるのか。かなり気になっている人も多いと思う。個人的には、現状のままのベイスターズだとどこが来ても敗退する可能性が高いと思う。残りの2週間でしっかりと立て直して行く必要がある。数字と日程を見ると読売の可能性が高いのかなと思うが、広島は23日の阪神戦に勝てるかどうかでかなり違って来る。

もちろん数字的にはまだリーグ優勝の可能性は残されている。マジック4でヤクルトとの直接対決3連戦。それは2敗すれば、目前での胴上げを許すことを意味している。ここで勝ち続けてマジックを減らさず望みを繋いで行きたいし、胴上げ阻止のために是が非でも勝ち越したい。

ただ、前述の通りエスコバーの乱調もあって、リリーフをかなり使い切ってしまったことが痛い。2020年に4セーブを挙げている森原、今度こそリベンジして欲しいエスコバーを中心に、ロメロ、タナケンあたりで回すしかない。

ヤクルトは今季初先発となる大西。これはどういう意味なのか。リリーフだけで41試合に登板している大西はブルペンデーの最初ということなのか、先発テストなのか。もともと予定していた投手にアクシデントがあったのかも分からないが、とにかく打線は彼を打たなければならない。優勝の行方を決める上で言うまでもなく初戦が重要。濵口がしっかりと試合を作り、打線が大西を攻略し、最後は中川が締めるくらいの試合が理想。

週末は台風も接近して来る予報となっており、3試合が予定通りできるか分からないが、ここまで来たら勝つしかない。ヤクルトは比較的、神宮では勝てていないので、2位通過となった場合のファイナルステージも視野に入れて戦いたい。村上の56号にも注目が集まる試合。10連戦最後の3試合でキツいと思うが、思い切り戦って欲しい。