横浜DeNAベイスターズは2月1日、1軍は宜野湾、ファームは嘉手納でそれぞれキャンプイン。久しぶりにユニフォームを着た選手たちが溌溂とした動きを見せた。移籍の大田、高卒ルーキーながら1軍メンバーに入った小園が、コロナ陽性となったチームスタッフと濃厚接触者の疑いがあるということで自己隔離。アクシデントは発生したが、それ以外の選手は順調なスタートが切れたのではないか。
練習メニューは濃く長く
球春到来。プロ野球界ではお正月とも言われる、キャンプインの日。選手たちは新たな年に意気込み、フレッシュな気持ちで白いホームユニフォームに袖を通し、練習に勤しんだ。ファンとしても、やっとこの日が来たかという感じで、キャッチボールをする姿を見るだけで嬉しくなるという日。
7:30と早い時間から各種撮影を行い、その後安全・天候祈願に続いて、10:00からウォームアップ。初日の声出しは期待の森が「美」と書かれた紙を持ってスピーチした後、ネタを披露して笑いを誘った。滑ったのかどうかは分からなかった。
例年だとウォームアップの後はキャッチボールなのだが、今年はベースランニングからスタート。ここも昨年以上に走塁の意識を植え付けたいという首脳陣の意志の表れか。ホイッスルが鳴ってから3秒後にスタートする練習では、個人ごとに全然スタートが異なっていた。これがキャンプ終盤にはビシッと揃ったりするのだろうか。
そして、一塁ベースを駆け抜ける練習、通常のベースランニングとは逆回りでベースを蹴る練習など、今までにないものが見られた。このあたりは野手総合コーチの色が出ているのだろうか。
練習メニューも公式サイトで公開されているが、初日のテーマは「確認・観察」。秋季トレーニングから自主トレを通じてやってきたことの確認と、自分自身のコンディションの確認、チームメイトとのコミュニケーションの確認など、いろいろな意味があると思う。
練習メニューも例年は15時以降は個別として詳細は書かれていなかったが、今年は17時まで個別のメニューも明記されており、そこからさらに若手はスイング、ウェイトトレーニングなどを行う。春季キャンプはあまり練習させられないと言っていた石井コーチだが、若手にはかなり練習をさせるキャンプになりそうだ。
前日夜の全体ミーティングでは、1.投手は80%以上の確立で投手優位のカウントを作れる、2.全員がチームバッティングをできる、3.一つでも先の塁を狙う走塁ができるという3つのゴールを設定した。いろいろと細かいテーマが与えられ、練習の前には石井コーチや田中コーチから説明がなされていた。若手には量も強いるが、質も高い練習ができそうな印象を受けた。
1.7億円の新ブルペンは壮観
初日のブルペンは主力の先発投手陣が揃い踏みとなった。今年新設されたブルペンは、これまでよりもメイン球場に近いそうで、スコールで水浸しになってしまうこともなさそう。ちょっとした室内練習場にも使えそうなくらい広く、6人が同時に投げられる。
1軍キャンプはルーキーイヤー以来となる東、今年は1軍スタートの今永、大貫、坂本、濵口、上茶谷、石田、砂田、ルーキーの三浦、そしてこちらも1軍キャンプに帰って来た山崎。初日にしては思ったよりも多くの投手がブルペンで投球を行った。第1クールはストレートのみで、各自課題を意識しての練習となる。
上茶谷は、中でも意気込みが伝わるような力のこもった投球を見せていた。小谷コーチングアドバイザーも沖縄入りしており、木塚コーチも交えて坂本や上茶谷に声をかけていた。上茶谷には、午後のシャドウピッチングでも小谷アドバイザーが声をかけていた。
ケガのリスクを負ってでも自分の投げ方を貫きたいと決意を見せていた上茶谷に対し、投げ方が気になったのだろうか。このあたりは、納得が行くまで話をしてもらいたいところ。名伯楽には第三の解決策があるかも知れない。
東は、この時期に1軍のブルペンで投げていてくれるだけで、こちらも嬉しくなる。帰って来たなと感慨深い。そして、山崎は自主トレでの様子から明らかに減量したと分かるくらいだったが、三浦監督のアドバイスで8キロほど落としたようだ。
体重を重くするのが全て悪とは思わないが、ボールのキレがない原因が、体のキレにあるとしたら、必要なこと。体重が重過ぎるのは、膝などへの負荷も高まってケガの原因になる。大魔神も体重を増やして力強いボールと、年間を通して投げ切る体力を得たが、晩年は膝の故障でどうにもならなかった。山崎は食生活の甘えを断ったということだが、それが自身のボール、投球にどのような影響があるか。今後に注目したい。
ファームでは、有吉、中川らがブルペン入り。特に中川はキャッチャーを座らせて、力の入ったボールを投げ込んでいた。1軍を狙って早い段階でのアピールが必要な立場。来週の紅白戦には100%で投げられるようにしたいところだ。
キャンプクラスターを警戒しながらの運営
南場オーナーもコメントしていたが、オミクロン株による新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大の中、予定通りにキャンプがスタートできる準備を整えてくれた関係者に感謝したいと思う。そして、あまりにも高い感染力なので、ここから感染を拡大させないよう、細心の注意を払っての運営は、本当に大変だと思う。監督、選手、コーチもそうだが、裏方さんの存在なしにキャンプは運営できないので、彼らの努力に敬意を表したい。
しかし、残念ながらチームスタッフの方が、この日に陽性が判明し、濃厚接触者の疑いがあるということで、大田と小園が自己隔離で練習を欠席した。濃厚接触者の隔離期間は段階的に短縮されているが、1週間程度は練習を離れることになるだろう。第2クールの後半でどうかといったところ。
大田は、同じ移籍組の藤田、ベテランの宮崎、オースティン、ソトの両外国人とともにD班に組まれており、もともとAT指示という形の別メニューだったが、ランチ特打は藤田、桑原、佐野とともに名前が入っていた。
ランチ特打には三浦監督が今年も初日にして登板。石井コーチも投手を務めたが、三浦監督は石井コーチからの指名で投げたと明かしていた。しかし、特打が始まっても大田の姿は見えなかったが、午後になって濃厚接触者の疑いで練習を欠席していることが発表された。
大田自身も反撃に向けて意気込んでいただろうから、悔しい離脱になってしまったが、これは仕方がない。感染に至ってしまうかどうかまだ分からないが、できることをやって、合流に備えてもらえればと思う。
小園もエスコバーら外国人投手と同じC班に入っており、AT指示での練習予定だったが、自己隔離で参加ならず。ブルペンで主力クラスの投球を見るだけでも勉強になるという1軍メンバー入りだったが、その機会は第2クール以降になりそうだ。調整遅れは避けられず、2月の練習試合での実戦デビューは再考を余儀なくされることになりそう。無理はせず、じっくりと歩みを進めて欲しい。
大田、小園の新戦力はファンとしても注目していただけに、姿が見られなかったのは残念だが、やむを得ない。その分、藤田の10年ぶりのベイスターズのユニフォーム(横浜ブルーは初)に感慨深いものを感じたし、石井琢朗コーチは意識してなのか終始ユニフォーム姿を見せてくれていた。
自主トレ中に新型コロナへの感染が明らかになった宮崎は、外国人選手とともに別メニュー調整。姿はあまり多く見られなかったが、問題はなさそうだ。コロナへの感染がなくても宮崎クラスのベテランであれば、別メニューでのスロー調整は問題ない。これからというところだろう。
キャンプ直前に感染が判明した牧、大和、京山、浅田、そして濃厚接触者の伊勢はまだ沖縄入りしていない。全員揃ってのキャンプインにならなかったが、彼らもまだキャンプ序盤なので、焦らずに調整してもらえればと思う。
今年のキャンプは、選手に感染者が出るかどうかで言えば、昨年よりも数段難しい運営を強いられる。オミクロン株の感染力が高いため、少しでも入り込めばキャンプクラスターのように、濃厚接触者も含めて一度に多数のメンバーが抜けることも想定される。
最善を尽くすしかないが、これからも離脱者が出ることはやむを得ない。そういった状況下で、いかに有意義な時間を過ごすか。見えない敵とも戦いながらのキャンプになりそうだ。
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