中川颯、待望のプロ初勝利　蝦名が2番で躍動

初回、エラーで出塁した蝦名が盗塁を決め、2アウト2塁。牧のライナーが投手の小笠原の左肘付近を直撃し、一二塁間へ転がる間に内野安打となり、蝦名が還って先制。5回は、桑原と蝦名の連打でノーアウト1、3塁とし、佐野の併殺打の間に1点を追加した。中川颯は、テンポの良い投球で5回まで1安打。6回のピンチを切り抜けたが、7回に連打され、右前腕の張りを訴えて降板した。伊勢、山崎、森原がリードを守り通し、中川颯はプロ初勝利。

ポジ [Good]

プロ最長の6イニングを1失点

昨オフにオリックスを戦力外となった中川颯は、1軍での登板はルーキーイヤーの1試合、帯広での1イニングだけ。ファームでは好成績を収めていたが、3連覇を果たしたオリックス投手陣の層が厚かった。

地元であるDeNAから声がかかり、しかも支配下登録。拾ってもらった恩返しをしたいと意気込んで迎えた今シーズン。練習試合、オープン戦と結果を残し、開幕ローテーションに名を連ねた。4月4日の京セラドームでの阪神戦でプロ初先発。2失点とゲームを作ったが5回を投げ切れなかった。

その後はリリーフに回り、10日の中日戦ではプロ最長を更新する5イニングを投げた。24日の阪神戦では、2イニングを投げたところで味方が逆転。勝利投手の権利が転がり込んで来たが、9回に山崎が再逆転され、プロ初勝利はならなかった。

この日は2度目の先発マウンドに立った。初回から1点の援護をもらい、その裏を6球で片付けると、ゾーン内に投げ込むテンポの良い投球で、5回まで1安打に抑え球数は43球。プロ最長となる6回のマウンドに上がったが、先頭の村松のセカンドゴロを牧がエラー。三好にもライト前ヒットで繋がれ、ノーアウト1、2塁のピンチ。

岡林がバントで送り、一塁は際どいタイミングで、中日からリクエストがあったが、アウトのまま変わらず。1アウト2、3塁で代打の大島が起用された。今季はまだ1割台ではあるが、2000安打を達成している打者に対して、1ボール1ストライクから、インサイドの高めへ浮き上がるようなボールを投げ、ピッチャーゴロに打ち取った。狙って投げられたこのボールは、この日のベストピッチではないか。

続くカリステもショートゴロに打ち取り、大きなピンチを乗り越え、プロ最長の6イニング。7回のマウンドにも上がったが、打ち取ったあたりがいずれも外野の前に落ちるヒットとなり、ノーアウト1、2塁。ここで右前腕の張りを訴え、治療のためにベンチに下がったが、そのまま交代となった。

伊勢が急遽登板し、このピンチを1点で凌ぎ、山崎、森原と繋いで1点差のまま逃げ切った。中川颯に待望のプロ初勝利が付いた。高校時代に評判の高かったバッティングでも、内野安打という形でプロ初ヒットをマークした。一度はアウトとなったがリクエストで覆った。プロ初勝利とともにプロ初ヒットも同時にゲットした。

右前腕の張りで大事を取って交代とのことだが、次回はどうなるか。今週は6試合が組まれているが、来週から2週間はまた週5試合になる。他の投手との兼ね合いにもなるが、じっくりと次に備えることになりそうだ。

中川颯のプロ初勝利を支えた先輩たち

6回のピンチを中川颯が無失点で切り抜け、球数はまだ62球だった。7回のマウンドにも中川颯が上がったが、中田、細川と詰まったフライがポテンヒットとなり、ノーアウト1、2塁。さらに中川颯が左前腕の張りを訴え、治療の為ベンチへ下がったが、大事を取って交代。

急遽登板したのは伊勢。上林を初球のストレートでライトへの浅いフライに打ち取ると、代打の宇佐見はストレートで空振り三振。2アウトまで漕ぎ着けたが、村松への初球のフォークが浮いてしまい、ライト前タイムリーで1点を失う。しかし、福永を初球のカットボールでピッチャーゴロに仕留め、リードを保ってバトンを繋いだ。

24日の阪神戦では中川颯のプロ初勝利を消してしまう形になった山崎は、8回に登板。この日はストレートにキレがあり、思ったところに投げられていた。岡林をストレートで見逃し三振、カリステからはスプリットで空振り三振を奪った。この日は非常に良い投球だった。何とか面目躍如で森原へバトンを繋ぐ。

森原はストレートの伸びが素晴らしかった。テレビで見ていても、低めへキレイに一直線に伸びて行くような軌道だった。中田は、1ボール2ストライクからアウトサイドのボールゾーンへのストレートに思わず振らされて三振。細川も同じくインサイド寄りのストレートに遅れ、空振り三振。上林には3球目、151キロのストレートで詰まらせ、ショートへの小フライ。

11球全てストレートだったが、十分な球威があった。20日以来、10日ぶりのセーブを挙げたが、この投球を見ると当面は森原をクローザーとして固定しても良いのではないか。

蝦名は、前日に代打として途中出場し、マルチヒットをマーク。大敗の中で大きなポジ要素となっていた。この日は左腕の小笠原が先発ということもあり、2番レフトでスタメン出場。初回にカリステのエラーで出塁すると、盗塁を決めてチャンス拡大。牧のピッチャー強襲ヒットの間に、きっちりとホームを陥れた。まずは足で先制点を奪う活躍を見せた。

2打席目は、3回の先頭打者としてレフトへの二塁打。3ボール1ストライクのカウントから真ん中のストレートをミスショットせずに捉えることができた。5回の3打席目は、桑原に続いてヒットを放ち、ノーアウト1、3塁とチャンスを拡大し、2点目の追加点を呼び込んだ。

昨年は攻守に結果が出ず、悪い面が目立ってしまったが、この2日連続のマルチヒットは大きなアピールになった。3戦目は右腕の涌井だが、現状の調子を考えると優先して使いたい選手だと思う。

ベテランの大和が、今季初の3安打猛打賞。昨日のブログでベテランを使うべきと書いたが、宮崎が休養でスタメンを外れることになり、石上がサードへ回り、ショートに大和が入る形になった。技ありの3安打は健在ぶりを見せてくれたが、大きなチャンスだった第2打席だけ凡退という、ちょっと大和らしくない結果ではあった。この大和の3度の出塁を1つも還せなかった打順の並びは、オフェンスとして反省点。

ヤジ [Bad]

初回はエラーで出塁したランナーが盗塁し、内野安打で生還するという幸先の良い得点となったが、その後はここ最近の拙攻が繰り返された。3回は、蝦名の二塁打と佐野のヒットでノーアウト1、3塁で4番を迎えたが、力んだのかファウルフライ。得点圏の鬼も内野フライに終わり、まさかの無得点。

5回は1、2番の鮮やかな連打で再びノーアウト1、3塁としたが、佐野が併殺打。結果的に決勝点となった1点が追加できただけマシなのだが、もう少し上手く攻めたかった。1点差とされた後の8回は、1アウト1、2塁から代打の宮崎が併殺打。

この日は投手陣が頑張ってくれたので、勝利を収めることができたが、流れとしてはいつ逆転されてもおかしくない展開になってしまった。中川颯をもう少し楽に投げさせられる点差を付けるべき試合だった。チームの連敗が止まったことで好転するか。

キジ [Other]

4月最後の試合に勝利し、11勝14敗1分という成績になった。まだ順位を気にする時期ではないが、ヤクルトと並ぶ5位タイで最下位。それよりも阪神が6つの貯金を作り、2位に2.5ゲーム差を付けて一歩抜け出している。前年の優勝チームだけに走らせてしまうと追い付かない可能性もある。何とか5月は止めたいところだ。

近年は4月の首位チームは優勝していない。重要なのは夏場まで貯金を持って乗り切り、秋にかけてどれくらい勝てるか。まずは5月反攻を見せ、5割ラインを超えた位置に付けたい。

5月最初の試合は、今季初登板となる石田健が先発する。FA残留したが、開幕ローテーションには入れなかった。ようやく調子が上がって来たようなので、石田らしい投球を期待したい。涌井は4試合で2勝0敗、防御率0.77と非常に良いスタートを切っている。月が変わってどうなるか。