横浜DeNAベイスターズは12月1日、2022年シーズンのコーチングスタッフを発表した。既に発表されていた、古巣への復帰となる4コーチが新たに加わった一方、4名のコーチが退団もしくは異動。人数は変わらないが、1軍と2軍のコーチ配分が変わった。
コーチングスタッフの変更一覧
ポジション | 2021 | 2022 |
監督 | 三浦大輔 | 三浦大輔 |
ヘッド | 青山道雄 | 青山道雄 |
野手総合 | – | 石井琢朗 |
打撃 | 坪井智哉 | 鈴木尚典 |
打撃 | 嶋村一輝 | – |
投手* | 川村丈夫 | 斎藤隆 |
投手 | 木塚敦志 | 木塚敦志 |
内野守備走塁 | 永池恭男 | 田中浩康 |
外野守備走塁 | 小池正晃 | 小池正晃 |
バッテリー | 新沼慎二 | 相川亮二 |
バッテリー | 藤田和男 | – |
巡回打撃 | 田代富雄 | 田代富雄 |
ファーム監督 | 仁志敏久 | 仁志敏久 |
ファーム総合 | 万永貴司 | 万永貴司 |
打撃 | 大村巌 | 大村巌 |
打撃 | – | 嶋村一輝 |
打撃 | 下園辰哉 | 下園辰哉 |
投手 | 大家友和 | 大家友和 |
投手 | 牛田成樹 | 小杉陽太 |
投手 | 藤岡好明 | – |
守備走塁 | 柳田殖生 | 柳田殖生 |
守備走塁 | 田中浩康 | 永池恭男 |
バッテリー | 鶴岡一成 | 鶴岡一成 |
育成 | – | 藤田和男 |
昨年のコーチングスタッフ発表は下記の記事を参照。
新任の4コーチについて、ポジションは後ほど発表となっていたが、想定および報道通りの結果になった。
石井琢朗コーチについては、ヘッド兼打撃という報道もあったが、最終的には読売で務めていた1軍の野手総合コーチという形になった。最下位となったが監督1年目の三浦監督は留任が基本線。青山ヘッドコーチが自ら責任を取ると言い出すのではないかと心配していたが、来年も監督をサポートし、各コーチの調整役を務める。
青山コーチも1998年は外野守備・走塁コーチとして優勝メンバー。この中では唯一、コーチとしてベイスターズでの優勝経験がある。石井琢朗コーチや斎藤隆コーチという、1998年組でも三浦監督よりも先輩に当たるコーチが就任し、ある程度意見を言って行く形になるだろうから、間に経験豊富で人格者の青山コーチが、ラミレス時代からの流れを踏まえつつ存在しているのは重要なポイントだろう。何から何まで変わってしまうと選手も混乱するし迷走する。2017年から継続して1軍を見て来ている存在は必要だ。
斎藤隆コーチは、チーフ投手コーチという形になった。川村コーチが退団してBCリーグ神奈川FDの監督に就任。引退後、ずっと投手コーチを務め、多くの投手を把握している木塚コーチと連携しながら、MLBも経験し、ヤクルトで投手コーチも務めた斎藤隆コーチが、ベイスターズ投手陣の底上げを図る。
ユニフォームを着ず、帯同しない為、上記の表には入っていないが、小谷正勝コーチングアドバイザーの存在もあるので、投手に関してはさらに充実したコーチングスタッフになっている。
鈴木尚典コーチは、1軍打撃コーチ。坪井コーチが退団し、嶋村コーチがファーム担当へ配転となったため、ここは一新される。巡回打撃コーチとしてこれまで通り田代コーチがいるので、ここも安心感がある。野手総合コーチの石井琢朗コーチも打撃部門のコーチとして実績があることから、3名で1軍の打撃を見て行く形になるだろう。
バッテリーコーチも新沼コーチが退任し、ブルペン担当だった藤田コーチがファームの育成担当となった。ここは読売での経験がある相川亮二コーチが、現役時代も含めた経験を注ぎ込み、課題と言われる捕手の底上げに努める。現役時代に切磋琢磨した鶴岡コーチが引き続きファームを担当するので、ここの連携にも期待したい。
藤岡コーチは退団が発表されていたが、ちょうど12月2日に火の国サラマンダーズで選手兼コーチとして現役復帰することが発表となった。引退して1年コーチを務め、まだ投げたいという気持ちが強くなったのだろうか。納得行くまで投げて欲しいと思う。
新任の小杉陽太コーチが、後任のファーム投手コーチとなる。こちらはデータを活用して数値化した指導、アドバイスが期待される。大家コーチはそのまま留任するので、小杉コーチの加入で新たな風が吹きそうだ。
その他、田中浩康コーチが1軍内野守備走塁コーチに配転。永池コーチが入れ替わってファームを担当する。NEW COACH COMING BACK TO YOKOHAMAと華々しく発表された4人の新しいコーチが就任し、坪井、川村、牛田、藤岡の4コーチが退任することになった。1軍は打撃、バッテリーが1名ずつに減ったが、野手総合コーチが新たに追加された。
1軍のコーチが1名減った分、嶋村コーチと藤田コーチがファーム担当になった為、ファームのコーチは1名増となった。遠征に帯同しないと思われる小谷アドバイザーもシーズン中はファーム中心になることが予想される為、ファームのコーチングスタッフはさらに手厚くなった印象。ただ、外野守備に特化したコーチは増員されなかった。
野手総合コーチによる走攻守の底上げ期待
就任発表時から書いている通り、今回のコーチングスタッフの変更で期待が大きいのはやはり石井琢朗コーチ。3球団でのコーチ経験はもちろん、現役時代に投手から野手へ転向し、走攻守揃った名選手にのし上がった。足の速さや肩の強さなど、天性のものもあるが、その努力と学んだ知識は豊富。本人が言う通り数々の失敗も重ねてきているので、それらの経験をアドバイスし、1人でも多くの選手がキッカケを掴んでもらえればと思う。
特に走塁面については、既に元ヤクルトの上田剛史氏のYou Tubeチャンネルに出演してコメントしている通り、改革の必要性を十分に認識されている。
特に「盗塁は教え事じゃないと思うし、実戦でじゃないと絶対覚えられないと思う」という部分。今季は三浦監督も前年までの攻撃にプラスアルファということで、関根や宮本を1軍に置き、キャンプやオープン戦ではかなり走らせた。だが、なかなか結果は出なかった。 結局、開幕して負けが込んで、どうしても結果を求めて思い切った走塁はできなくなった。尻すぼみと言われても仕方ない。
来季はそこをどれだけブレずに徹底できるか。そして、石井琢朗コーチも言っているように走塁は盗塁だけじゃない。ソトや佐野は、足が遅いのは分かっているが、それでもやれる限りの走塁というものがあるはずだ。オースティンがあれだけの走塁を見せているのだから、もっとチームとして徹底すべきだ。
打撃に関しては田代コーチが巡回しながら今までのコーチング方針を連携しつつ、鈴木尚典コーチがメインで対応して行く形になるだろう。石井琢朗コーチも打撃コーチの経験も豊富なので、選手によって、あるいは気づいた点をアドバイスするような動きになるだろう。
そして石井琢朗コーチはセンターラインの守備についても言及していた。1998年にベイスターズが優勝した時、マシンガン打線と大魔神が目立っていたが、守備が鉄壁だった。12月2日に2021年のゴールデングラブが発表されたが、ベイスターズからは誰も選ばれなかった。桑原も、スーパープレーを連発していたがチームの不振とミスが目立って投票数は全く伸びず、外野手で8番目だった。
記者の投票なので、ほぼほぼ印象点で決まるし、守備のはずがやはり打撃も含めたトータルの印象が影響を与える。チーム成績ももちろんだ。今後、ベイスターズからもゴールデングラブを獲得する選手が生まれるよう、野手総合コーチとして底上げを期待したい。
新任の4コーチは、古巣への復帰と言うことでオールドファンを中心に注目、期待が高まっている。12月4日に行われる2021年のファンフェスにも参加予定ということなので、特に久しぶりに戻って来た石井琢朗、斎藤隆両コーチはどんな言葉をファンに語るのか注目したい。
繰り返しになるが、プレーするのは選手。こうしたコーチングスタッフの充実は、彼らにとっても成長のチャンスとなる。ドラフトで選手を獲得し、自前で育てて行くしかないベイスターズだけに、この体制は非常に重要。そうした意味ではかなりの充実が図れている。一朝一夕で結果が出るわけではないが、良い方向へ進めてもらいたいと思う。
コメント