横浜DeNAベイスターズは、梶谷選手のFA移籍に伴う人的補償として、田中俊太内野手を獲得したことを発表した。14日にフリーエージェント宣言選手契約締結合意が公示されてから、僅か4日という早期決着となった。
兄のFA動向を調査していた
今年FA権を取得した広島の田中広輔を獲得調査ということがあったので、結果的に弟かーい!という感じ。ドラフトで牧と高校生の小深田は指名したものの、足のある好守の内野手は補強ポイントだった。だからこそ田中広輔を調査していた。
もちろん兄の実績には及ばないものの、走攻守に高いレベルにある選手。ベイスターズには縁のない東海大相模出身ではあるが、神奈川県出身のフランチャイズプレイヤー。ファンとしても受け入れやすい選手には違いない。
ただ、これちょっと邪推してしまうと、読売側が意図的に置いたのではないか。確かにFAで移籍したのは外野手の梶谷と投手の井納だが、ベイスターズが田中広輔を狙うという話を知らないとも思えない。俊足タイプの選手を狙ってくることは予想できたはずで、田中俊太をプロテクトリストから外せば獲得される可能性は高かった。
もちろん、他の選手をプロテクトした結果、どうしても田中俊太が入らなかったというところなのだろうが、長野や内海を獲得された過去があることから、プロテクトから外れた誰かから注目を外すために敢えて餌を撒いたというのは考えすぎか。
読売ではルーキーイヤーの99試合から年々出場が減り、出番が失われつつあった。原監督の後輩にあたる東海大相模、東海大出身で口がききやすい。そして、ベイスターズのフランチャイズである神奈川県出身でもあり、ポジティブな移籍にもなる。
12月14日に梶谷のフリーエージェント宣言選手契約締結合意が公示された。プロテクトリストは2週間が期限なので12月28日まで。ベイスターズは、梶谷が支配下選手に登録公示されてから40日以内に人的補償を決めることになる。これは越年もあるかなという感じだったが、まさかの4日での決着。
あまりにも出来過ぎな結果に、これは最初から話が出来ていたのではないかと思ってしまう。それでも、プロテクトリストは当事者にしか知る由もないが、ベイスターズにとっては良い獲得になったのではないかと思う。
特に期待したい「足」
来季が4年目だが、大卒社会人でプロ入りしており、来季は28歳を迎える。チームの中心となる世代。ルーキーイヤーに99試合の出場と順調なスタートを切ったが、2年目は苦しんで打率.224で62試合出場にとどまった。
今年は吉川尚を中心に湯浅や若林、北村の台頭もあり、競争の中で1軍に定着できなかった。打率は.265と改善したが48試合出場にとどまった。それでも日本シリーズはベンチ入りし、2戦目で代打起用されてヒットを放った。4戦目はスタメン出場して最初の打席でヒットを放っている。
ファームでは40試合で打率.275ながら出塁率が.383とまずまずの数字。1軍で毎年ホームランを放っており、決して非力ではない。打力で出塁し、武器である足を使うことはできる選手。1軍では3年で10盗塁と多くないが、盗塁の失敗がない。ファームでも今年は5盗塁で失敗なし。
梶谷が移籍してしまったため、足を使った攻撃ができるのは神里くらい。そうした中で彼の足はチームに新たな攻撃をもたらす期待がある。
個人的にも可能であれば足のある選手が必要と思っていたので、重信がプロテクトされていなければ是非獲得してもらいたいと思っていた。ドラフトでもその部分の補強はされていなかったので、非常に良いチョイスなのではないかと思う。
1993年組がチームの中心に
1993年生まれの田中俊太。1993年は横浜ベイスターズの最初のシーズン。横浜大洋ホエールズからカッコいい球団に生まれ変わったことは鮮明に記憶している。その年に生まれた選手たちが、三浦監督の新しいベイスターズの中心になろうとしている。
今永、大貫、高城、柴田、桑原、神里、乙坂と1軍の戦力になっているメンバーが非常に多い世代。ここに田中俊太が加わり、この世代を中心に再び優勝を争うチームを再構築していく。そんな流れになるのではないか。
今年も、何度となく好守を見せた柴田も、期待されたバッティングは思う程の結果を残せず、レギュラーは取れなかった。同じ歳の田中俊太の加入はさらなる刺激になるだろう。内野手を獲得したということは、柴田で万全とは思っていないということだ。
渋い活躍を見せる大和、今年は復調し守備も安定してきた倉本はいるが、さらなる競争激化は三浦監督の考えにも合致する。
梶谷が抜けた外野、ロペスの退団に伴いソトがファーストに移ることによる二遊間で、ポジションを掴むチャンスが生まれる。田中俊太も加えた競争が今から楽しみだ。
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