横浜DeNAベイスターズは12月7日、ロメロと2022年シーズンの選手契約を結ぶことを発表した。推定年俸1.2億円の1年契約で、球団側に1年契約延長が可能なオプションが付いていると見られる。また、山崎も国内FA権を行使せずに残留することが発表された。
適用能力の高さで新スタイルを確立
シーズン終盤にも来季に向けた発言もあったし、コロナ禍ではあるが日本での生活にも馴染んだ様子を見せていたロメロ。既に保留選手名簿に載り、ロメロのマネジメント会社がInstagramで発表していたが、正式決定した。
14試合に登板して5勝3敗、防御率3.01という通年の数字で見ると物足りない感じはあるが、後半戦の活躍は素晴らしかった。コロナの影響で来日が遅れ、新外国人ながらキャンプ、オープン戦に参加できず、1軍合流もゴールデンウィーク明けという状況も考慮しなければならない。
それよりもプラスに評価したいのが、その適応能力の高さ。5月に1軍デビューした際は、MLBで投げていた通り、150キロを超える動くボールとシンカー、スライダーを中心に投げていた。しかし、ボール球をなかなか振らない日本の打者に手を焼き、結果が出なかった。
三浦監督からカットボールを使うことをアドバイスされ、6月にファームで大家コーチから習得。エスコバーにもチェンジアップの有効性をアドバイスされると、これも素直に取り入れ、日本で新たなロメロの投球を作り上げた。
後半戦は1軍のローテーションに定着。9月4日に待望の来日初勝利を挙げると、先発する度に球威と安定感は増して行き、9月20日には来日初完封もマークした。後半戦は防御率1.93の安定感で、5勝1敗。エース今永を凌ぎ、ローテーションの柱だった。
チームメイトとも打ち解け、上茶谷や山崎から教わった日本の芸人のネタをヒーローインタビューでも披露。たちまち人気者になり、来季の残留を望むファンも多かった。
価値ある球団オプション
今年の新外国人投手で活躍できたのは、ロメロの他にはサイスニードくらい。シーズンが始まってからの来日となり、非常に難しいシーズンだった。ロメロは12月24日で27歳とまだ若いし、後半戦の活躍を見ると、ここから複数年契約を結んでも良さそうなところではあるが、後半戦の投球が来年1年間続くかどうかは、未知数でもある。
そうした意味で、もともと昨年の契約時に1年プラス球団オプションとなっていたところを来季1年契約に加えて、さらに球団オプションを1年付加して契約したことは非常に価値がある。来年良ければそのまま延長できるし、不調に終われば自由契約にできる。
今年の推定年俸7,500万円からは大幅アップとなるが、新たに球団オプションを追加するという条件とトレードオフであれば、妥当な金額と言える範囲ではないか。成績の数字以上に期待値も高くなっていると思う。まだ続くであろうコロナ禍で、新たな外国人選手よりもリスクは格段に低い点もポイントだ。
後半戦の投球は、十分なポテンシャルと実力があることを見せてくれているが、やはり通年で活躍していない選手は計算できない。来年の今頃、ロメロとオプション1年を延長しておいて良かったと思えるような活躍を期待したい。
まずは、オミクロン株の影響でどうなるか分からない中、キャンプ前に予定通り来日できるか。できれば春季キャンプから合流して1年間見てみたい投手だ。
山崎は国内FA権を行使せず
2021年のFA権行使の手続き締切は12月7日となっており、既に海外FAを含めて権利を取得した宮崎、伊藤光は行使せず残留、大和は行使した上で残留を表明していた。残る山崎も行使しないことが発表された。
ここ数年の契約更改では、ポスティングによるMLB移籍の希望を伝えていた山崎だが、この日の発表は締め切りまでに手続きを行わず、FAを行使しないという事実のみ。しかし、今オフのポスティングについては、時期的にもMLBのロックアウトを考えてもなさそうな気配だ。来季も残留する可能性が高い。
来季も1軍登録日数を満たせば海外FA権を取得する。そうなればポスティングではなくFAでの移籍が可能となる。昨年よりは復調したが、シーズン終盤でクローザーに戻った途端に打ち込まれてファーム落ちの屈辱を味わった。まずは来季、ベイスターズで再びクローザーの座をかけて競争となる。
今年は春季キャンプを2軍でスタートし、開幕直前に1軍に昇格。当初は勝ちパターンに入るかどうかという立ち位置だったが、エスコバーの不在もあり8回を任された。ストレートの力が戻り、新たなスライダー、カットボールを駆使した投球で、オールスター前最後の試合で2失点する直前には、防御率1点台をマークする好成績で前半戦を終えた。
後半戦もエスコバー、山崎、三嶋の勝ちパターンを形成していたが、9月に三嶋が打ち込まれる試合が続き、9月18日にクローザーとして今季初セーブをマークした。しかし、9月26日に2点リードをひっくり返されて敗れると、翌週の神宮でも2試合続けてセーブシチュエーションで登板しながら、不安定な投球で途中交代。その後ファームでの再調整となった。
どうしてもシーズン最後のイメージが悪かったので評価が下がるが、60試合登板でリーグ6位の27ホールドは悪い数字ではない。ただ、クローザーとしての活躍が目覚ましかったので、その頃から考えれば物足りない状態であることは否めない。
今後、ポスティング申請を希望しないのであれば通常通り契約更改を行うことになる。現時点でチームトップの年俸をもらっている投手なので、少し下がることになるかも知れない。来季に活躍をしてFAでMLBを目指せるよう、復活のシーズンにして欲しい。
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