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1997年5月の横浜ベイスターズ 振り返り

前回に引き続き1997年の横浜ベイスターズを振り返っていく。今回は5月。開幕から投手陣の崩壊が続き、早くも借金8を背負って1弱という展開になった。そんな中、月末から首位ヤクルトとの3連戦で3連勝し、5月反攻の兆しが見えてきた。

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4月のレビュー

まだ読んでいない方は、こちらから。ちなみに画像は我が家に1993年から2018年の分まであるメンバー下敷き。

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1弱を返上へ5連勝!

鈴木尚が3番で打線を牽引

オープン戦でのケガの影響で開幕スタメンを外れた鈴木尚が、3番に座って打線を牽引した。11日まで13試合連続安打をマークし、好調のローズ、駒田へチャンスを繋げた。さらにこの間、6本塁打と量産。開幕直後に低迷していた打率も3割が見えてきた。

4日のハマスタでの読売戦では、初回に桑田から先制3ラン。この試合は先発の森中がピリッとせず3回で降板すると6人の投手を繋ぎ、最後は佐々木が2イニングを投げて逃げ切った。翌日の5日も初回にガルベスから逆転2ラン。3打点の活躍で連勝に貢献した。

さらに6日の広島戦でも7回に勝ち越しのタイムリーを放つなどマルチヒットをマークすると、2試合の雨天中止を挟み、10日、11日のヤクルト2連戦ではいずれもマルチヒット。11日は先制の2点タイムリー二塁打を放ち、首位ヤクルトに連勝しての5連勝に大きく貢献した。

「打てるかな、という不安の方がどうしても先に立ってしまう」という状態だったが、「だいぶ自信を持って打席に入れるようになった」という余裕が好結果を生んでいた。石井琢、波留の1、2番をローズに繋ぐ上で、打線の重要なピースとなった鈴木尚が、横浜の得点力をさらに高めて行った。

もう一人、5連勝の立役者になったのが進藤。4月の成績は、打率.253、4本塁打だったが、5月に入ると打棒が爆発。1日のヤクルト戦で3安打を放ってチーム3連勝を呼び込むと、3日の読売戦では敗れはしたものの2試合連続の3安打猛打賞。

一気に調子を上げると、チームの5連勝の間もヒットを量産。11日には打率を.340まで上げて打率6位に食い込んだ。連続試合安打は、17日には鈴木尚と同じ13試合まで伸びた。「5月に入ってようやくスピードに慣れてきた。今は状況に応じたバッティングができている」という進藤は、課題のスタミナに触れ「夏バテしないように、ゆっくり風呂に入るようにしています」と語っていた。

戸叶が大車輪の活躍

1日のヤクルト戦で今季初先発し、6回途中まで無失点で先発初勝利を挙げた戸叶。開幕投手の盛田と入れ替わる形で先発したが、結果を出した。そこから僅かに中2日で4日の読売戦でリリーフし、1回2/3を5人で打ち取りチームの逆転を呼ぶと、翌5日にもリリーフで登板し3回2/3を無失点に抑え、勝利投手となった。

これには権藤コーチも「一味違うね。殻を破ったんじゃないか」と絶賛していた。戸叶は読売戦での初勝利となり、「最高です。谷繁さんのミットを目がけて投げているだけです。まだ二十歳だから、どんどん投げるだけ」とコメント。本当は22歳の若い戸叶がその言葉通りに、10日のヤクルト戦で再び先発登板し、5回を2失点で4勝目を挙げた。

戸叶の5月の登板は下記の通り。先発、中継ぎと大車輪の活躍で、チームは4月末からの3連勝に続いて5連勝。1弱を返上した。

日付場面勝敗イニング失点
5/1(木)先発5 1/30
5/4(日)中継1 2/30
5/5(月)中継3 2/30
5/10(土)先発52
5/15(木)中継10
5/20(火)先発6 0/31
5/27(火)先発6 2/33
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ついに2位浮上で貯金へ

若手の活躍に主力が発奮

5連勝で借金1として、苦手の阪神戦を迎えた。しかし、倉敷、甲子園と2試合連続で中止。唯一行われた15日の試合は、関口が6回1失点の好投も、古溝、伊藤、田村、葛西という渋いリレーに封じられて見殺し。

そんな中、ギックリ腰での登板回避や登板日の雨天中止が続き、20日ぶりの登板となった野村が結果を出した。「こんなに間隔が開いたのは初めて」という登板だったが、3回の江藤の2ランだけに抑え、味方が6回に逆転すると7回を投げ切り、2勝目を挙げた。

「長かった。チームがいい時にボケっとしているのは辛かった」という野村が、戸叶ら若手の活躍に奮起し、存在感を見せた。

翌日の18日には、三浦が先発。3回までに6点の援護をもらうと、江藤のソロなどで2失点は許したがチーム今季初完投。2度目の先発で今季初勝利を挙げた。背番号46、6年目の24歳というまだ若手の三浦だったが、1995年には8勝を挙げて既に主力の先発投手。戸叶や川村、関口らの活躍に刺激を受けていた。「やっとチームに貢献できた」という、リリーフ陣を助ける完投だった。

この試合で最大8だった借金を完済し、5割復帰。中日、広島と並んで2位に浮上した。その勢いのまま翌日は、大車輪の活躍だった戸叶の好投で、4連敗中の読売に勝利し、ついに貯金1をマークした。

3割打線がマシンガン打線の礎に

18日の広島戦、12安打で8点を奪い、三浦の完投で快勝した。その時点でのチーム打率が.296と3割目前まで上がっていた。リーグ2番目の打率が.270の首位ヤクルトだから、ベイスターズの安打数は際立っていた。この時点ではまだその名はついていないが、翌年のマシンガン打線の礎は既に作られていた。

鈴木尚、進藤の好調に加え、4月末に打ちまくっていたローズも好調をキープ。駒田も開幕から安定してヒットが出ており、隙のない打線になっていた。

チーム打率.296をマークした18日のスタメン。完全に見たことのあるメンバーになっている。

選手打率
8波留.2993
6石井琢.3203
7鈴木尚.2717
4ローズ.40410
3駒田.3573
9佐伯.2610
5進藤.3365
2谷繁.2686
1三浦.4000
※6番ライトで偵察メンバー戸叶が起用されていた

この抜け目のない打線で2位タイに浮上、首位ヤクルトまで3ゲーム差となり、いよいよ首位戦線に躍り出るかといったところまで来た。

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快進撃一休み?4連敗

好調打線に急速な陰り

21日の読売戦では、岡島の前に3安打と封じ込まれる。9回に石井琢の犠牲フライで1点を取るのがやっとで、岡島にプロ入り初完投勝利を許した。翌日はガルベスに対して初回の1点、いわゆるスミ1だけで4安打完投勝利を許した。2日で2人の投手に封じ込められてしまい、5連敗だった読売にカード負け越し。上昇ムードが萎んだ。

盛岡での中日戦は、このシーズン開幕から無傷の6連勝だった山本昌に苦しみ、8回まで無得点。4-0となった9回にやっと反撃し、2点を返してなおも2アウト満塁とするが、波留が三振でゲームセット。この試合も4安打に終わった。

25日の仙台でのゲームは中止となり、ハマスタに戻った27日は12安打と久々に2桁安打をマークした。しかし、石井琢、波留の1、2番がいずれも3安打し、3番鈴木尚もマルチヒットだったが、再三のチャンスを潰して3点止まり。チームは逆転負けで4連敗。

ミスが目立ち始める

4連敗となった27日のヤクルト戦は、5月絶好調の戸叶が先発し、低調だった打線が何とか2点のリードを取っていた。6回まで2安打無失点に抑えていた戸叶が、7回のマウンドに上がった。ここまで先発、中継ぎと大車輪の活躍で、先発では早めにマウンドを降りていた。前回も7回に1アウトも取れずに降板していた。戸叶を先発として育てたいという気持ちもあったのだろうが、続投は裏目に出て継投ミス。連敗で勝ちパターンの投手も残っていただけに悔やまれる敗戦となった。

首位のヤクルトには相性が良く、28日の2戦目は延長12回に鈴木尚のサヨナラ2ランで5時間16分という長いゲームを取り、29日も13安打7得点の攻撃で連勝した。

しかし、30日からの広島3連戦で3タテを食らってしまう。初戦は、野村が立ち上がりから4失点で劣勢となったが、4回に逆転。野村は6回まで投げるが、この回、エラーが相次いで逆転を許してそのまま敗れた。この試合は3エラーと、27日のヤクルト戦で頭部死球を受けて離脱したサード進藤の不在も響いた。

連敗で迎えた3戦目は、2回までに4点を奪い、先発の三浦が6回途中まで2失点。2番手関口がリードを保ち、8回盛田が登板する。2アウトを取ったが、ランナー2人を背負って4番の江藤。初戦でも2発打たれているリーグトップタイのホームランバッターに対して、そのまま続投。3ランを打たれて逆転負けとなった。

当時の佐々木は8回からでも回跨ぎで投げていた。この日も江藤の場面では肩が出来ていたようで、大矢監督自身も「俺がミスをしてしまった」と認めていた。

5月反攻から一転、月末にかけてはミスも重なり、再び暗雲が垂れ込めてきた。6月に踏ん張ることができるか、シーズンの正念場を迎える。

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5月末時点の勝敗表

チーム勝率
1ヤクルト4527180.600
2広島4323200.5353.0
3中日4422220.5001.5
4阪神4522230.4890.5
5横浜4119220.4631.0
6読売4418260.4092.5

一時、貯金1を作り2位まで順位を上げたが、月末に連敗が続いて5位まで逆戻り。読売も月末に連敗が続き、最下位に転落した。

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6月のレビュー

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