横浜DeNAベイスターズは11日、現役ドラフトで指名した佐々木千隼と、ソフトバンクから戦力外となっていた九鬼の入団会見を行った。背番号は佐々木が41、九鬼は116。また、戸柱が契約を更改した。既にFAを行使せず残留することを公表していたが、4年契約を結んだ。
大学時代に憧れあった
現役ドラフトで移籍することになった佐々木千隼が入団会見。2016年のドラフトでは2回目の入札でベイスターズも含む5球団が競合し、ロッテが交渉権を獲得した。桜美林大では、先日のドリームマッチでもBAY DREAM STARSから出場したOBの野村弘樹氏が特別コーチを務めていたので、ベイスターズに入りたいという気持ちもあったようだ。
横浜で「佐々木」と言えば大魔神。それ以来の佐々木投手には恐縮していたが、ハマスタに佐々木投手が戻り、活躍する姿が見られると良い。
佐々木は今年、1軍では2試合の登板に終わった。開幕1軍に入り、4月1日に0-5の7回から4番手として登板。甲斐に2点タイムリーを許したが、8回は無失点で切り抜けた。2回5安打2失点(自責1)で翌日に登録抹消となった。
開幕2カード目から先発投手を登録して行く中で、競争に負けた形になり、そこからファームでの登板が続く。先発で5イニングを投げる登板が多かった。5月27日は5回までに11安打を浴び、7失点(自責6)。その後、7月4日は6回無失点、8月8日も5回2/3を無失点という投球があったが、打ち込まれる試合も目立ち、8月末からはリリーフに回っている。
8月30日に、0-0の4回に3番手として登板したが、2イニング目の5回に6安打1四球で7失点。この後、少し時間を置いて、リリーフとして調整した。記事での紹介によるとシュートを投げるようになって良くなったようだ。9月12日以降に7試合にリリーフで登板し、無失点。
10月6日に出場選手登録され、その日のZOZOでのオリックス戦に8番手として9回に登板。ヒットと1死球でランナーを出したが、併殺で切り抜けた。ロッテはブルペンデーを敢行しており、頭数を揃えるための1軍登録だった。8日には登録抹消となり、ロッテでの最後の登板となった。
9月以降のリリーフに手応えが出ているのであれば、リリーフとして評価しているベイスターズの期待とも一致する。ここから再起するのは簡単ではないが、もう一花咲かせて欲しい。まずは宮國がこなしていたポジションあたりから、昨年の平田の役割くらいまで行ってくれると非常に助かる。
背番号は、ロッテでの11から一つプラスした12も空き番ではあったが、育成ドラフトで楽天へ移籍した櫻井の41ということになった。育成ドラフトで移籍することになった現実を受け止めつつ、ここから再出発をして欲しい。
キャッチャーの増員で起用に幅
ソフトバンクから戦力外となっていた九鬼も、この日入団会見を行った。元気が持ち味ということで、全体的に陽キャが揃うチームに早く溶け込んでくれればと思う。
トライアウトが行われる前から、ベイスターズが獲得調査という報道が出ていたが、森唯斗らを獲得したタイミングから少し遅れての契約となった。FAを行使するか悩んでいた戸柱の状況もあっただろうが、育成ドラフト前に獲得が発表されたので、そこは関係ないと思う。
2024年はイースタンが8球団となり、常に4試合が組まれて空きチームがなくなる。2023年のベイスターズは132試合を戦ったが、少し増える可能性もある。また、オイシックス新潟に選手を派遣する予定で、故障リスクなども考えると選手を少し増やしておく必要がある。それが、球団史上最多となる育成選手の野手の数になっている。
2023年までのようにBC神奈川への派遣、独立リーグや社会人チームとの交流戦も行い、2.5軍的な試合を行うことも考えているのではないか。DOCKのグラウンドを対外試合に対応する形に改修したのもそういった部分を狙ったもの。
ドラフトで育成5位として指名した近藤は、見てみないと分からないが、一般的には高卒の育成キャッチャーは試合に出る前にやることが山積み。オーストラリアに派遣中の東妻は、バッティングで活躍しており、キャッチャー以外でのポジションでの出場も視野に入る。
上甲が既に支配下登録されている状況で、育成のキャッチャーを2人にしておくことは余剰ではないと思う。特殊なポジションなので、他のポジションから簡単に転用が効くわけではない。あらゆることに備えての獲得だが、もちろん持ち前のバッティングで存在感を出し、支配下登録を勝ち取ってもらいたい。ソフトバンクの内側を知っている九鬼の存在は、キャッチャーを始めチームにも影響があるだろう。
本人が語った通り、森唯斗とのバッテリーが実現すれば非常に良いと思う。伊藤光、戸柱の残留もあって良い体制が組めているので、個々が伸びて競争を激化させて欲しい。
FA行使せず4年契約で残留
戸柱は、4年契約での残留となった。3年以上の複数年契約と言われていたが、4年というのはかなり評価した待遇だと思う。チーム生え抜きのキャッチャーとして、今後もベテランの味を出して欲しいという期待だろう。
戸柱を叩いたり不要と言っているのは、野球を知ったような気になっている、何も分かっていない人間なので、4年契約はありえないと言うのだろう。もちろん、野球選手である以上は試合に出て、結果が全て。今年は山本の台頭もあり、70試合の出場にとどまった。4年契約がもらえるような数字ではないと思う。
特に終盤は、バッテリーを組んでいた今永や石田、濵口らが山本と組んで結果を残し、出番が激減した。前半戦は、バッティングでも結果を残し、存在感を見せていた。捕手3人制ではあるが、なかなか代打で起用しづらい部分はあるが、一発もある豪快なバッティングはまだまだ健在。
それよりもベテランとして、試合以外の部分での貢献は大きいはず。コーチが言うのと、同じ選手が言うのでは全く違うと思う。会社でも、年が近い一般社員の先輩には気軽に相談できても、部長に同じようには相談できないだろう。それと同じ。
試合に出ているキャッチャーは、KOされた投手のフォローはすぐにできない。そういう時にベンチに控えるベテランの戸柱や伊藤光が声をかけることは重要。そして、山本も松尾もコーチが教えて勝手に育って行くのではない。こうした先輩からアドバイスをもらい、時には切磋琢磨して成長していく。
かつては細山田武山論争というのがあったが、結局はお手本になり、相談できる先輩キャッチャーがおらず、低いレベルの競争が続いてしまった。その点を忘れるべきではない。
前述の通り、育成で九鬼を補充し、キャッチャーはベテランから主戦、期待の若手にライバル候補と陣容が充実した。古田氏や谷繁氏のように、年間をフル出場する時代でもなくなって来た。リーグを代表するようなキャッチャーを育て上げつつ、周りを固めるレベルの高い陣容が重要になっている。その構築に向けて、戸柱が大きな役割を果たしてくれるはずだ。
小園が7回1失点の好投
台湾で行われているアジア・ウィンターリーグ・ベースボールで、小園が7回1失点の好投を見せた。10日の台湾プロ野球チーム選抜との対戦で先発。立ち上がりはコントロールに苦しんだが、尻上がりに状態を上げた。
ストレートのスピードガン表示は149キロをマークしていたが、数字は数字なので置いておき、打者が遅れたり空振りするシーンが多かった。回転数で非常に良い数字が出ていると言われているが、スピードガン表示以上に速く感じているのは間違いない。東が今年見せてくれたように、150キロ出ればいいってものではない。
そのストレートを速く見せる意味でも、自ら首を振って投げるシーンもあったカーブで、緩急をつけられたことも良かった。そして、定評のあるスプリットも良い高さに決まっていたと思う。90球前後になった7回に、ストレートとスプリットが高めに浮いてしまい、2本の長打で失点したが、105球4安打8三振の投球だった。
フェニックスリーグから好投が続いており、先発投手として大きく伸びて来ている最中。このオフは体を休めつつも上手く過ごして、来春のキャンプから開幕ローテーション争いに加わって欲しい。2023年もオープン戦では結果を残し、1軍デビューもあるかと言われた。2024年は、終盤にお試しで上がるのではなく、ローテーションに定着するくらいの飛躍を見せて欲しい。
大谷翔平はドジャースに決定
世界が注目した大谷翔平の行方は、以前からずっと言われていたドジャースで決着した。世界最高のプロスポーツ選手ということが、評価である金額で示された。野球のジャンルというより、唯一無二の「大谷翔平」という職業だと思っているので、このイメージが付かない金額になっても驚きはしないが、他にもスーパースターを抱えるドジャースが、大谷にもこれだけ支払えるというのに驚く。
ドジャースはまだ山本由伸も狙うと言われている。これだけ規模が違うのだから、みんながMLBを目指すという形で、世界のナンバーワンリーグとして存在し、盛り上がり、世界的に野球がもっと振興すれば良いと思う。世界ではマイナースポーツに過ぎないので。
大谷としても、エンゼルスを出る寂しさはあると思う。エンゼルスがどれだけの条件を提示できたのか分からないが、エンゼルスの場合は大谷に無理をしてしまうと、その他の選手への予算が苦しくなり、結局プレーオフはまたも夢になってしまう。
今年、史上最高額の契約でドジャースに移るのか、1年エンゼルスに残るのかという部分もあったとは思うが、ヒリヒリした9月を過ごすには最良の選択なのだろう。
これで一番の関心事が落ち着いたので、他の選手の動きも出て来るだろう。山本、今永と数週間のうちに決まって来るかも知れない。それ以外のMLBの有力なFA選手たちも動きが出て来るだろう。そうした場合に、補強がうまく進捗しないチームが、バウアーに声をかけるか。そして、その条件をバウアーが受け入れるかどうか。残留の線も出て来ているのだろうが、まだまだ状況を見守って行きたい。
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