10/16 横浜DeNA2-1読売@ハマスタ
井納、今村の好投で7回まで無得点の緊迫した展開。8回代わったパットンが吉川尚の二塁打から坂本の犠牲フライで1点を許し、均衡が破れる。苦しい展開となるが、その裏に佐野が大江の初球をライトスタンドへの同点ホームラン。球団タイ記録の5試合連続ホームランが願ってもない場面で飛び出した。その後、大和のタイムリーで勝ち越し、三嶋がノーアウト3塁から3者連続三振で締め、鮮やかな逆転勝ち。
ポジ
球団史に名を残した佐野
ホームランゼロが続き、繋ぎの4番と呼ばれたのは今や昔。打ち始めた頃の、ホームランを期待していいですよね?に対する「期待しないでくださーい」は、もはやフリでしかなくなっている。
佐野恵太が球団タイ記録となる5試合連続本塁打を記録した。今村をなかなか打ち崩せず、無得点の思い雰囲気の中で、8回の第4打席。今日はちょっと難しいのかなという感じだったが、代わった大江の初球、真ん中に入って来たストレートを強振。打った瞬間に分かるライトスタンドへの貴重な同点ソロだった。
この日も、本人がヒーローインタビューで大和に乗っかって「しょうもない」と言ったようにチャンスで併殺打に倒れるなど、井納を援護することができなかった。4回に放ったヒットと合わせ、10月8日以来6試合ぶりのマルチヒット。それでも、その後は1本ずつだがヒットが出ており、打率を一気に下げることはない。そして、この5試合はホームランが続けて出ている。昨日の投稿で書いた通り、不振と言えないくらいの結果が出ている。
田代コーチ、ウッズ、ブランコ、村田といったホームランバッターが名を連ねる球団記録に並んだ。このホームランで20本の大台にも乗り、もう球団史に名を残すホームランバッターになっている。今季はまずレギュラーに定着し、あわよくば20本というところまで行ければ、という感じで開幕を迎えたと思うが、その数字を達成し、首位打者と最多安打でトップを走る状況。
最初は懐疑的だった評論家やファンも、もはやリーグ屈指の好打者という目で見るようになっている。もちろん彼をキャプテンに指名し、4番で使い続けたラミレス監督の功績だと思うが、昨年の時点でもバッティングに関しては結果を残せる状況にあった。ただ、レフトには筒香がおり、常時佐野も併用するのは守備の関係で難しかった。キャプテンで4番という立場が、佐野をさらに成長させたということもあるが、そこまで信じられないというほどのことでもないと思う。
好打者佐野の一歩を踏み出したシーズン。最後まで完走し、数字を積み上げて終えて欲しい。
ここまでの苦労がもたらした冷静さ
変に力み上がることもなく、冷静に配球を考え、その通りに投げていた。
佐野の同点ホームランで流れを引き寄せ、大和が粘って勝ち越しタイムリーを放った。その流れで9回はクローザーの三嶋がマウンドに上がる。読売の打順は7番の田中俊から。初球、150キロのストレートが外角低めいっぱいに決まる。このボールなら行けると思った後の3球目、スライダーが真ん中に入った。打球は右中間に転がって行き、フェンスまで到達。俊足の田中俊はサードを陥れた。
いきなりのノーアウト3塁。同点は覚悟せざるを得ない。だが、三嶋は冷静にどうやって打者を打ち取るか、考えることができていた。スライダーは甘くなったが、ボールは悪くない。打順も8番の大城で、ここを打ち取ることができれば、無失点も見えて来る。大城に対して、ストレート2球で追い込み、最後は少し甘く入ったがフォークで空振りを取った。まずひとつ。
立岡に対して初球に選んだのは、何とカーブだった。カーブの配球割合は非常に低いし、1アウト3塁の場面で投げるのは非常に勇気がいる。高めに行ってしまったが、立岡も予想していなかったが甘く来たために手を出してしまったという感じのファウル。フォークを挟みストレートでファウルを打たせて追い込むとフォークを連投して空振りを取った。カーブを見た後のストレートが効いているから、フォークを見極めることができない。これで2アウト。逃げ切りが見えて来た。
8回に勝ち越し点のチャンスメイクとなる二塁打を放っている吉川尚。スライダーで入り、ファウル。続くストレートも前に飛ばせない。3球目、インサイド低めに構えた戸柱のミットに、153キロのストレートが収まった。吉川尚も反応することができない。ストライクのコールに、三嶋も笑みをたたえ、センターバックスクリーン方向にガッツポーズ。
ノーアウトでランナーを3塁に置いても、三振3つで無失点で切り抜けられる。クローザーとして必要な要素を持っている。山崎の不振から配置転換になったが、もはや完全にクローザーに定着したと言っていい。開幕前に、三嶋のクローザーを誰が予想したか?
リリーフから回すとなると、三嶋が有力候補。国吉はまだちょっと怖いね、マウンド上がってみるまで分からないところがある。ただ、三嶋がクローザーになってしまうと7、8回があまりにも苦しい。
クローザーは代えが利かないと書いているから当たってはないが、山崎が不在なら三嶋だろうとは思っていた。
ドラフト2位で入団し、ルーキーイヤーから先発として活躍。2年目にして開幕投手を任される。ここまでは順風満帆。しかし、この試合については何度も当ブログでは登場するが、2回9失点KO。このシーズンを不振のまま終えると、先発にはなかなか定着できなかった。同期の井納や後輩の今永、濵口らが活躍する中、ファームで苦しい思いをした。チームがCSや日本シリーズへ進んでも、満足な投球はできなかった。
そんな中で、リリーフに転向し、短いイニングで腕を目一杯振ることで、ストレートの球威が戻り、スライダーも冴えた。2018年は60試合、2019年は71試合に登板し、重要な場面で投げさせてもらう喜びを感じつつ、自分自身も進化して行った。
リリーフも最初から抑えられたわけではない。敗戦処理ではロングリリーフで好投するも、同点の場面やリードしている場面では力が入り、痛打を打たれたことは数えきれない。そうした苦労を重ねたからこそ、今年急にクローザーを任されても、自分を見失うこともない。そして、ノーアウト3塁と言うような場面でも冷静に投げられる。昔の三嶋なら、力んでコントロールを乱し、満塁までピンチを広げていただろう。
数々の失敗を重ねて今がある。三嶋にとっては回り道ではなく、この姿にたどり着くために必要だった経験だ。人によってそれは違うのだろう。2年目でできてしまう人もいれば、時間がかかる人もいる。われわれファンは、文句を言いながらも、そういうプロセスを見て来て、この日の姿を見ると涙が出そうになる。手のひら返しと言われるかも知れないが、本気で勝ちを望み、本気で応援しているからこそだ。こういう日があると、順位とかそういうものではなく、応援してきて良かったと思う。
ベテランがきっちりと仕事
ちょっとここまでで書き過ぎたために端折るわけではないが、井納と大和もベテランとしてきっちりと仕事をしてくれた。
井納はここ数試合、不甲斐ない投球が続いていたが、相性が良いハマスタで、気合の入ったピッチング。3回の1アウト3塁も得点を与えず、7回にソトのエラーから迎えたピンチも、気持ちで乗り越えた。7回を109球で無失点。ホントに勝たせてあげたい内容だった。昨日の投稿で書いた、前回のBLUE FRIDAYの好投を上回るような素晴らしい投球だった。この日の勝利を呼んだのは、間違いなく井納の好投あってのものだ。
そして、大和がしぶとく勝ち越しタイムリーを放った。左腕に強い倉本ではなく、大和がスタメン起用されたが、4回にノーアウト満塁で戸柱が三振した後、低めのフォークに手を出して三振。次が投手の井納だけに大和に何とかして欲しかったが、「しょうもない三振」になってしまった。だからこそ、8回の打席は何とかしたいという気持ちがバッティングに表れていた。ビエイラの速球に食らいつき、ライト線へ落とした。勝負強さが発揮された打席だった。
ヤジ
「今年のベストゲーム」と言っていたが、4回のノーアウト満塁のことは忘れてはならない。7番から下位に向かっていく難しいところではあるが、こういうところで下位を打つ打者が、得点が入るようなアウトになれるかどうかが、得点力の差になる。9番戸柱はやっぱり、投手よりも打てないということなのだろうか。この日は7番に入れたが、それが裏目に出たか。
キジ
BLUE FRIDAYでは、佐野の劇的なホームランが出る。広島戦での逆転サヨナラグランドスラムも、スコアボード直撃のホームランも青いビジターユニフォームだった。そしてこの日、球団記録に並ぶ節目の20号は、貴重な場面で飛び出した。
tvkは、解説が山下大輔氏だった。tvkでの解説は初めてだという。確かに、現役引退後はTBS系だったし、1998年の優勝後はNHKでも解説していた。あとは2軍監督やフロントも含めて、球団の中にいることが多く、さらに楽天にも行き、メジャーでもコーチをするなど解説者として活動している時間がそれほど長くなかった。現在もBCリーグ神奈川のGMなのだが、このタイミングで登場することになるとは。
本人も言っていたが、解説というよりは内部の人間として観に来ているという感じだった。もちろん解説もするのだが、チーム愛を非常に感じる話がたくさん聞けた。実況も吉井さんだったので、優しい感じに包まれた中継になっていた。
土曜日は天気予報が悪く、試合ができるか微妙なところ。濵口が登録抹消となったため、京山が予告先発として発表されている。彼にも何とか手ごたえを掴んで来季へ繋げて欲しい。読売の畠には、前回は封じ込まれている。その反省を踏まえた攻撃ができるか。
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