06/02 横浜DeNA1-1福岡ソフトバンク(ハマスタ)
プロ初勝利を目指し、今季3度目の先発マウンドに上がった中川。初回2アウト2、3塁のピンチで、中村晃を打ち取って切り抜けた。3回にオースティンのタイムリーで1点をもらった中川は、力のあるストレートを中心に攻めの投球でゼロを並べて行った。自身最長となる5回も抑え、プロ初勝利の権利を手にした。6回も続投となったが、1アウト1、3塁のピンチで柳田の併殺崩れの間に同点。その後の満塁のピンチは切り抜け、最少失点で投げ切った。終盤は両軍のリリーフが素晴らしい投球を見せ、締まった好ゲームはドローに終わった。
ポジ
何と言っても中川の好投に尽きる。
前々回、前回と少しずつ良くなっていたので、3度目の先発には期待をしていた。しかし、何とか5回を2、3点で行ってくれればという期待だったが、それは良い意味で裏切られた。
初回、2アウトを簡単に取ったが、前日に特大のホームランを放っている栗原を警戒して歩かせた。続く柳田は2球目のストレートを打ち上げてくれたが、レフトの佐野が薄暮でボールを見失い、打球はレフトとショートの間にポトリ。2、3塁の大ピンチとなる。しかし、慌てることなくフォークを打たせ、サードファウルフライ。
2回以降は150キロ近いストレートに、スライダーとフォークを効果的に使い、ソフトバンク打線を打ち取って行った。3回は1番の牧原大を歩かせ盗塁を決められ、2アウトながら再び三塁に走者を背負う。ここで最初の打席で警戒していた栗原に、高めのストレートを左中間へ弾き返された。破るかという打球に桑原が猛然とダッシュし、ダイビングキャッチ。スーパープレーで失点を防いだ。
ちょうど1週間前、大貫がKOされた後に登板した中川が、2アウト満塁から打ち取ったフライを、桑原が落球し、走者一掃となった。その借りを返したというわけではないだろうが、今度は中川を救うプレーになった。
そして、3回裏にオースティンのタイムリーで1点の援護をもらうと、4、5回はいずれも三者凡退で抑え、いよいよプロ初勝利の権利を手にした。5回1安打無失点という素晴らしい投球に、6回も続投となった。
ここまで良い形の展開だったが、6回の先頭、牧原大に真ん中に入ったストレートをレフト前へ運ばれ、この試合初めて先頭打者を出塁させた。今宮は打ち取ったが、栗原に初球、見事にランエンドヒットを決められて1アウト1、3塁。ここで柳田を迎える苦しい場面となった。
だが、伊藤光が中川を引っ張って逃げなかった。初球インサイドにストレートを投げ込み、2球目はフォークに合わせ切れずファウル。3球目は再びストレートを目一杯投げ込んだ。高めに行ったが、球威が勝り弱いゴロが、シフトしていた大和の左へ転がった。大和がジャンピングスローでセカンドをフォースアウト。牧も難しい体勢からファーストへ送球したが、柳田の足では併殺に取れず同点。大和も牧も最高の守備をしたが、これは仕方ない。
中村晃の打席で柳田が盗塁。カウントを悪くしたため、無理をせずに中村晃を歩かせて2アウト1、2塁で長谷川。フォークを連投し、当たり損ねのゴロが三塁線に転がった。中川が処理するも間に合わず内野安打。また不運な形でピンチが広がってしまった。
最初に先発した時であれば、もう既に交代していただろう。だが、この日の素晴らしい投球を見て、ベンチは我慢した。甲斐にはボールが2つ先行し、苦しくなった。ここで、開き直れたのか、最後だという気持ちでリミッターが外れたのか、3球目のストレートは154キロと計時された。このボールを見た伊藤光は4球目もストレートを続けた。153キロに詰まらされた打球は、ライトのオースティンが下がり、グラブに収まった。
5回1安打無失点という投球も、文句が付けようがないほど素晴らしいが、同点に追いつかれた後の大きなピンチで、逆転を許さなかったことが何より素晴らしい。「先制してもらったのに追いつかれてしまい申し訳ないです」とコメントしていたが、申し訳ないのは打線の方。
6回4安打1失点で初めてのQSをマークし、チームに大きく貢献したのだから、誇っていいし、自信にして欲しい。初のQSがソフトバンク戦なのだから。ストレートが走っていて、ある程度思ったところに投げられれば、これだけのピッチングができる。5年先を行くという、速いボールを投げる投手が揃っているパ・リーグの首位チームに示した力は、今後に大きな期待が集まる。
これだけのピッチングを現在1軍で最年少の投手が見せたのだから、先輩が打たれるわけには行かない。前日に温存出来たエスコバー、山崎を投入し、ソフトバンクに逆転を許さなかった。そして、最後は三嶋も連投。前日とは打って変わって、力みのない投球。甲斐には、低めの決して甘くないストレートをレフト線へ二塁打されたが、2三振を奪って無失点に抑えた。この内容であれば心配はないだろう。
前述したオリックス戦での落球以来のスタメンとなった桑原。守備では再三、中川を助け、攻撃でも初回にヘッスラで内野安打をもぎ取る闘志を見せた。2打席目は巧く打って右中間への二塁打。チャンスメイクをし、先制点をもたらした。プレーで返すしかないのだから、こういった姿を続けてもらいたい。
ヤジ
できればもっと点を取って中川を勝たせたかったが、東浜の投球も良かった。キレのあるストレートがコーナーに決まっていたし、多彩な変化球で的を絞れなかった。3回に先制し、4回も先頭のソトを出したが牧が併殺打。その後に大和が二塁打を放つチグハグな攻撃になってしまったが、前日のヒーローが積極的に打ちに行った結果で、やむを得ないだろう。
リリーフの津森、嘉弥真、坂東も良かったし、そして岩崎は素晴らしいボールだった。締まった好ゲームで、ドローもやむなしという印象だった。
キジ
6月2日は、横浜市民にとってはお馴染みの開港記念日。今年はコロナ禍ではあるが、7時45分頃から臨港パークで花火が上がった。気になった長谷川がタイムを取る場面もあった。最後、7時54分頃からは、横浜市18区全てで一斉に花火が上がり、フィナーレを迎えた。鶴見区の我が家からも複数の花火を肉眼で確認できた。
ハマスタでの花火にも期待されたが、この試合は締まった投手戦になった。結局、ホームランは両軍ともになし。先週のオリックス戦ではハマスタで花火が乱発されたが、こうした白熱の試合も見所がある。
当初、木曜は雨の予報だったが、少し雨雲が来るのが遅れて、日付が変わった金曜から降り出しそうだ。今年の場合は天気以外に、新型コロナウィルスへの感染など不測の事態での中止はありうるが、そういったことがない前提で、ソフトバンク戦を全て消化すればロッテ戦には月曜の予備日もあるため、ハマスタは6月6日(または7日)の試合をもって、8月31日までの3ヶ月弱お預けとなりそうだ。
ソフトバンク戦が中止になった場合は、14日から17日までの予備期間に組まれることになっていたので、既にハマスタが使えない期間。他球場で代替する必要があるが、同じ屋外の神宮はヤクルト戦との兼ね合いがあるため、東京ドームで開催することになっていた。交流戦での東京ドーム開催はなさそうで、球団史上初の東京ドームでの主催試合は18日の広島戦ということになる。
広島でのクラスター発生で、交流戦開幕当初は日程の消化が不安視されたが、ここまでは雨天による中止はなく進んできている。3日は西日本の球場で雨が心配されるものの、セ・リーグの主催で行われる今週は、天気が良い日が多く何とか日程を消化できそうだ。来週はパ・リーグ主催での6連戦になり、ドーム球場が多いので、アクシデントがなければ順調に日程を終えられそうだ。DeNAはメットライフドーム、札幌ドームと続く。移動は発生するが、天気に左右される心配はない。
デスパイネ、グラシアル、モイネロのキューバ勢に千賀や森など主力が多数離脱しているとは言え、日本シリーズ4連覇中で、交流戦も15回中8度優勝しているソフトバンクを相手に、1勝1分としたことで負け越しはなくなった。楽天戦も最後の試合で敗れてしまったが、ソフトバンクに勝ち越すチャンスはそうそうないので、金星を挙げたい。
3日は坂本が中5日で先発。中川の攻めの投球に続いて行きたい。対するは来日初登板となるレイ。196cmと長身の右腕でMLB8勝。コントロールがあって、ボールを動かしてくる先発タイプということだが、初見でどれだけ攻略できるか。角度がありそうなので、最初はボールの出所や球筋を見る必要はあるだろう。球威で押すというタイプではなさそうなので、低めのボールでゴロを打たされないようにゾーンを上げて行きたいが、長身なので高めの見極めも苦労しそうだ。
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