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苦しみ抜いた先にあるもの キャプテンが導いた歓喜

09/06 読売1-2横浜DeNA(東京D)

キャプテンの佐野が、攻守に気を吐きチームを引っ張った。3回、牧のタイムリーで30イニングぶりの得点を挙げるも、今永が吉川に同点ソロを浴びる。その後のピンチは佐野の好捕で切り抜け、菅野と今永の投げ合いで1-1のまま終盤へ。DeNAは8回からエスコバー、伊勢、入江と繋ぎ、再三のピンチを凌ぐ。11回に佐野がクローザーの大勢から値千金のソロを放ち、山崎が締めて逃げ切った。

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ポジ

長い呪縛を破ったのは4番

10年ぶりの3試合連続完封負け。同一カードに限れば1989年以来33年ぶりという屈辱。週が明け、相手も場所も変わり心機一転。しかし、そこに立ちふさがるのは菅野。初回、先頭の桑原がヒットで出塁も、関根が自身の判断でバントを試みたが失敗。2アウト1、2塁としたが、宮崎の打球はライトの正面で得点ならず。連続無得点は28イニングに伸び、またもゼロ行進が続くことを予感させられる。

3回、またも桑原が先頭でヒットを放ち、今度はサインで関根がバント。1アウト2塁で、菅野と相性が良い佐野が打席に立つが、最後はインサイドへ食い込んで来るスライダーにバットが出て空振り三振。あまりにもエグいボールだった。2アウトとなって牧を迎える。

2球で簡単に追い込まれ、後がなくなる。しかし、ファウルで2球粘った後、高めに浮いてきたスライダーを打ち返し、打球はセンターの右で弾んだ。桑原が還り、30イニングぶりの得点となった。先制点を取られようものなら、一方的な試合になってもおかしくない雰囲気で、非常に価値のある一打だった。

菅野と投げ合い試合を作ったエース

試合前から厳しい投げ合いになると覚悟していた今永。初回はストレートで押した。丸への5球目まで13球連続でストレートを投じ、強烈に印象付け、フルカウントから最後はカットボールでタイミングを外した。2回は先頭の岡本和を警戒して歩かせたが、後続を断った。

先制点をもらった後の3回は、ウォーカーの三遊間へのゴロを柴田が捕れず、レフト線へ転がる間に二塁打となった。しかし、丸をストレートでライトフライに打ち取った。4回は3つとも外野フライで簡単に片付けたが、ややボールが甘くなっていた。

5回先頭の吉川に1ボールからのカットボールをライトスタンドに運ばれ、同点。これはアウトサイドの低めに決まっており、打った吉川が見事だった。弾道も低めだったのでフェン直かと思ったが、ギリギリでフェンスを越えて行った。打たれた後の今永も、これは仕方ないと割り切っていたように思えた。

7回まで108球、6安打1失点。菅野との投げ合いで、最少失点で凌いで試合を作った。8回表の攻撃で代打を送られ、リリーフに託した。次回は中5日で12日のヤクルト戦と言われている中で、HQSをマークする好投を見せ、少しだけ余力を残して降板した投球はさすがというエースの投球だった。

味方が延長戦で勝利し、自身には勝ちが付かなかったが、今永が先発した試合はこれで13勝3敗1分。自分に勝ちが付いていなくても、試合を作ってチームを勝利に導く。それがエースの仕事。一時は、今永らしくない投球もあったが、今年はケガからの復帰後、見事にエースとしての役割を果たしている。

過去にも書いたが、ベイスターズは今永のチームだと思っている。彼がエースとしてどっしりとローテーションの真ん中にいれば、チームは安定する。今永の成績とチームの順位もリンクしている。次回は首位ヤクルトを倒し、3年ぶりの2桁勝利を手にして欲しい。

絶体絶命のピンチを切り抜けたリリーフ

先週は3連勝の後、3連敗。エスコバーは珍しく週1の勤務。ただ、逆に空き過ぎて怖いなと思っていた。連投は心配になるが、あまり投げないのも彼にとっては良くないことが多い。嫌な予感は的中し、コントロールが定まらなかった。

3四死球で2アウト満塁のピンチを背負い、代打の中島との対戦。2-2のカウントからストレートを投げ込むも3球ファウルで粘られた。しかし、ストレートで押すしかない。最後は真ん中高めの155キロストレートで押し切ってセンターフライ。何とか切り抜けた。

日曜のマツダで4失点だった伊勢は、9回に1アウトから増田陸にヒットを許したが、坂本とウォーカーを打ち取って延長戦へ突入。

10回は入江が登板。途中、代走から入った3番の重信はファーストゴロに打ち取ったが、入江がベースカバーに入る際、かなり減速してしまい、重信と同時にベースを踏む形になった。延長で一度しか使えないリクエストを使うも、判定は変わらずセーフ。

中田は強烈な当たりだったが、入江がグラブで弾き、ファーストはアウトに取った。1アウト2塁で岡本和を申告敬遠し、若林との勝負を選択するが、フォークが抜けてボールが先行。結局歩かせて満塁としてしまう。

10回裏1アウト満塁という絶体絶命のピンチとなったが、北村にはストライクを先行させ、最後はフォークを絶妙な高さに投げ切り、空振り三振。しかし、大城には2-2からのストレートが、力んで高めに大きく外れてフルカウントとなり、もうボール球も許されない状況となる。

最後は渾身のストレートを高めに投げ込み、詰まらせてライトフライ。大城もフルカウントからバットを出さざるを得ないコースだった。1球のミスで試合が終わるという絶体絶命の状況で、力みはあったが落ち着いて投げられた。8月もセットアッパーとして成長を実感していたが、本当に成長したと思う。この姿には感動したし、何よりも嬉しかった。

11回表に勝ち越したことで、入江に4勝目が付いた。昨年のルーキーイヤーは開幕ローテーション入りも4連敗でファーム落ちし、その後右肘のクリーニング手術を受けた。今年は役割は変わってリリーフになったが、4連勝。これで自身の通算も5割に戻した。

サヨナラ負けのプレッシャーがある中で、大ピンチを凌いだことは、また大きな経験、自信になると思う。終盤、どんな展開になるか分からないが、今年のうちにプロ初セーブも挙げる機会があると良いのだが。

キャプテンが再び上昇気流を呼び込む

5回、今永が同点を許した後、なおも2アウト2、3塁のピンチで丸。初球を弾き返した当たりはレフト前ヒットかと思ったが、佐野が果敢に飛び込み、スーパーキャッチを見せた。原監督がリクエストを要求したが、打球は佐野のグラブにしっかりと収まり、地面には付いていなかった。

2アウトだったので、突っ込まずにヒットにすれば2点が入ってしまう場面。一か八かで突っ込んで捕りに行った。ギリギリでグラブの先に入り、上手くハンドリングしてボールをこぼさずに拾い上げた。

マツダでは頭を越されそうな打球で再三、ナイスキャッチを見せていたが、この日は勝ち越し点を許す大ピンチでのビッグプレー。ファーストを兼務しながら、外野でも良い守りを見せてくれている。ここで2点が入っていたら、この日の菅野であれば反撃は難しく、大勢が締めて終わっていたのではないか。

守備でチームを救ったキャプテンが、最後に値千金の一発を放った。11回表、プロ入り初の回跨ぎとなったクローザーの大勢から、初球をきっちり捉え、左中間スタンドまで打ち込んだ。初対戦ではないにせよ、右の変則フォームからの153キロストレートは、そう簡単に捉えられるものではない。

10回は嶺井、オースティン、桑原が簡単に6球で片付けられた。それもあって続投となり、関根も3球三振。ヒットすら出る気配がない中で、1球を見事に仕留めた集中力。

ダイヤモンドを一周してきたキャプテンを迎える三塁側ベンチはお祭り騒ぎ、最後はもちろんカメラ前でのデスターシャ。エスコバー、大田も参加し、桑原の追いシャーも見られた。いろいろ物議を醸したが、ベイスターズファンが一番見たかったシーン。苦しかった3試合連続完封負けを越えた先に、こんな歓喜が待っていようとは。キャプテンが再びチームに上昇ムードをもたらした。

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ヤジ

3試合連続完封負けで迎え、調子の良い菅野に苦しめられたが、投手陣が粘って凌ぎ、最後はキャプテンが決めた。苦しい試合だったが、一丸となって掴み取った勝利。文句なしでしょう。

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キジ

立ち上がりの菅野を見た時、ストレートがしっかりと指にかかっていて力強く、スライダーのキレもあった。今年はあまり良くない菅野だが、この日は非常に良いと感じた。これは4試合連続完封負けもあるのではないかと弱気になった。

だが、牧が少し甘くなったところを見逃さずにタイムリーを放ち、呪縛が解けた。だが、この日の菅野が相手では、一気に爆発とは行かない。今永が同点を許しながらも、佐野の守備にも助けられて投げ合いに持ち込んだ。

球数と次回の予定、打順の巡りもあって、今永としては不本意だろうが、7回で先に降板となった。だが、菅野は9回も続投。2アウトからソトが歩いて、神里が盗塁を決めたが、大和がカットボールで空振り三振に倒れた。大勢が出て来る10回も得点は難しく、それまでリリーフが踏ん張れるか、というところ。

入江が10回裏に1アウト満塁とした時は、覚悟していた。彼がこういう場面でどんなボールを投げるのか、できれば押し出しで終わるのではなく打たれて糧にして欲しいと思っていたが、見事に凌いだ。だが、大勢が続投。これは良くても引き分けかなと思っていたところで、キャプテンが殊勲の一打を放った。

山崎が気合の入ったマウンドで、3者連続三振で締めた。特に坂本に対しては、2ボールからスプリットでストライクを取り、ストレートで行くのかなと思ったところ、スプリットで空振りを取った。3ボールにはしたくないところだったが、振って来るという読みは、嶺井のリードも見事だった。さらに、2-2からスプリットがよぎるところ、ストレートを投げ込んで振り遅れの空振り三振。見事な配球と投球だった。

だが、ウォーカーに対しては1-1からスプリットが抜けて、高さ危険太郎に。コースがインサイドだった為に空振りとなったが、非常に危ないボールだった。そして、4球目はアウトサイドのギリギリを狙い、ボールでも良いという配球だったように思うが、中に入ってしまった。しかし、コースが良かったので空振り三振。最後の2球は投げた瞬間にヒヤっとしたが、気迫が押し切ったと捉えよう。

この日から始まった9連戦。1日置いてさらに10連戦という過密日程。広島に3試合連続完封負けを喫し、このまま大型連敗となれば優勝どころかCSすら危うくなる。特にここから9試合の直接対決がある読売戦で大きく負け越すようなことがあれば、それが現実のものに近づく。

この試合の重要さを選手が十分に理解し、それぞれが必死に役割を果たした。うまく行ったところ、行かなかったところもあったが、一丸となって目の前の試合に集中できた。好投を見せた今永の意志を繋いだリリーフ陣。特に入江が成長した投球を見せ、キャプテンの一打で競り勝ったこの試合。

これからどんな戦いが待っているか分からないが、これまでで一番の試合だと思う。いろいろな要素が込められていてチームの成長が感じられる、途轍もなく大きな1勝。安堵と感動。ベイスターズの試合を見て涙するのは、2016年のCS 1stステージ第3戦以来か。あれも東京ドームの試合だった。

無得点の呪縛からも開放され、初戦を取った。優勝に僅かな望みを繋ぐとともに、CS争いでも大きな1勝となった。今永が奮闘し、佐野がもたらした上昇ムードをさらに膨らませて行きたい。

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