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これぞ開幕投手!濵口が138球で完封 交流戦勝ち越し

06/11 北海道日本ハム0-4横浜DeNA(札幌ドーム)

濵口が138球の熱投で、日本ハム打線を4安打に抑え2年ぶりの完封勝利。チェンジアップが冴え、7三振を奪った。9回に2本のヒットから2アウト満塁のピンチを招いたが、野村を打ち取り投げ切った。打線はこの日スタメンに復帰したオースティンが初回に2ランで先制。その後は佐野の2本の犠牲フライで着実に追加点を奪った。昨年は中止となった交流戦は、2019年に続いて2回連続の勝ち越しが決まった。

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ポジ

開幕投手として先発陣の意地を見せた濵口

キャンプから開幕投手を目指すことを公言し、今永が離脱した先発投手陣のリーダとして引っ張って来た濵口。ここまで先発投手が結果を残せず、チームの低迷に直結して来た。今週も3人続けて早い回で降板し、リリーフに大きな負荷をかけ、援護してくれた打線の得点をフイにしてきた。

そんな先発投手を代表し、まさに開幕投手としてエースのピッチングだった。8回を簡単に終えて106球。三浦監督、川村コーチに任せたと言われた濵口は、当然のように9回のマウンドに立った。ここまで再三、打者のタイミングを外し、空振りを取って来たチェンジアップが、先頭の淺間に対して甘く入り、狙い打ちされてライトオーバーの二塁打。完封に暗雲が垂れ込める。

万波に3ボールとなったが、ストレート2球でカウントを戻し、最後はチェンジアップで三振。高濱にもボールが先行したが、最後は高めのチェンジアップで見逃し三振。正直、万波の4球目、高濱の最後のボールは微妙な判定だった。よくストライクと言ってくれたなというレベルだが、審判も味方に付けた。

横浜高校OBが4人並ぶ日本ハム打線で、ラスボスは近藤。やはり簡単にはストライクを取りに行けずに3-1。5球目はアウトサイドに外れたかと思われたがストライクコール。ストレートをカットされ、最後はチェンジアップが甘くなって、ライト前ヒットで繋がれた。

右の渡邉を迎えてベンチが動くかと思ったが、動きはない。しかし、濵口はストライクが入らず歩かせて満塁。一発同点の場面を迎えても、三浦監督は動かなかった。右の野村がそのまま打席に入る。2-2からチェンジアップをファウルで逃げられ、インサイド低めに渾身の146キロストレートを投げ込むもボール。決め球はやはりこの日冴えたチェンジアップ。打った瞬間は左中間を割るかと思ったが、センター桑原の守備範囲。少し浮いたが、バットの先だった。ボール2つ分くらい高かったら危ないところだった。

9回にもたついてしまったので、三嶋はいつでも登板できるくらいに肩を作ったと思うが、他のリリーフには負荷のかからない、安定した投球で9回を投げ切った。中5日で3連戦の頭に持って来た三浦監督の思いに、見事な結果で応えた。ドームでの6連戦。先発が早い回で降板して負担がかかっていたリリーフを良いタイミングで救ってくれた。残り2試合を戦えば、4日の休みがある。この2戦に全てを懸けることができるという意味でも大きな完封だった。

もともと肩に故障歴のある投手なので、中5日で138球を投げたことは気掛かりではある。次回は中6日にするのか、もう少し空けるのか分からないが、自身の成績も4勝4敗の五分に戻り、リーグ戦再開後そして後半戦の活躍が期待される。

これで交流戦は、5年間で11試合6勝0敗。日本シリーズでもソフトバンクを相手に8回1アウトまでノーヒットピッチングをしたことも記憶に新しい。速球を投げる投手が多く、それに対抗する為に振って来る打者が多いパ・リーグにはチェンジアップが効果的だ。左腕でこういうボールを投げる投手はあまりいないということもあるだろう。数年に一度くらい交流戦で当たるだけでは、なかなか慣れずに振ってしまうのかも知れない。

パ・リーグキラーの開幕投手が2勝0敗で防御率0.90と貢献し、今年の交流戦の勝ち越しが決まった。

オースティンが復帰いきなり2ラン、11球団制覇

9日の走塁時に左足を痛めて途中交代し、10日はベンチから外れたオースティンが4番DHでスタメン復帰。初回、最初の打席でいきなり金子の高めに浮いたチェンジアップをフルスイングし、低い弾道のライナーが、ライトポール際のギリギリに飛び込んだ。

打った瞬間は入ると思わなかったというオースティンは全力疾走を見せたが、途中からはゆっくりと走って還って来れる結果となった。これで交流戦はパ・リーグ6球団全てのカードでホームランを放った。交流戦前までに、セ・リーグの5球団からもホームランを放っており、2019年山田以来4人目となる、交流戦終了時点での11球団からのホームランをマークした。偏って打っているのではなく、万遍なくホームランが出て活躍している証にもなる。

残りの2打席で申告敬遠と敬遠気味の四球によって出塁。7回は三振に倒れたが打率を.333に伸ばした。欠場した為、再び規定打席まで3打席足りないが、現在の首位打者、菊池涼の.319を大きく上回っている。出塁率も村上の.427を上回る.438をマークしている。ケガを悪化させずに乗り切れれば、交流戦明け、そしてオリンピックの中断期間後の後半戦でタイトル争いに絡んで来そうだ。

桑原が二塁打で出塁し、伊藤光が送ったが、佐野が浅いセンターフライで還すことができなかった。それだけにオースティンの2ランは佐野を救い、チームを勢いづける、非常に価値のある一打だった。

救われた佐野は、3回と5回にも伊藤光が1アウトで走者を三塁に進めるバントを決めての打席。ここでは最低限の犠牲フライを2本打ち、貴重な追加点をもたらした。オースティンが初回に救ったからこその追加点。やはり打線の中でオースティンの存在は大きい。

桑原が3安打で、いずれも得点に絡む活躍だった。良い当たりが守備範囲だったり正面を突いたりということが目立ったが、この日は結果が出た。伊藤光も小フライになる場面もあったが、3つバントを決めた。この試合は濵口が先発ということもあり、確実に1点ずつ取りに行くというベンチの明確な意思があった。2番としてきっちり役割を果たした。

濵口が好投し、主導権を握っての試合ということで、牧、楠本が盗塁を仕掛ける画面があった。いずれも刺されたが、こうした意識は重要だ。8回にはヒットの宮崎に代走の宮本を起用し、打者がソトだったがランエンドヒットを敢行。ソトがセンター前ヒットを放って成功したが、センターの淺間が完璧な送球で宮本を刺した。これは送球が見事だったとしか言いようがない。作戦としては良かったと思う。

ケガの悪化は気になりつつも、やはり打線の中心はオースティンになっている。彼が真ん中でどっしりしていることで、他の選手も自分の役割をこなし、良い形の攻撃が生まれる。残り2試合を戦えば、交流戦予備期間は4日休める。何とか、悪化させることなく乗り切って欲しいという祈る気持ちだ。

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ヤジ

12安打で4点というところはあるが、積極走塁の裏返しでもある。走塁の精度を磨いて行きたい。

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キジ

2019年に続き勝ち越し、最高勝率なるか

2021年の交流戦はこれで8勝5敗3分となり、2試合を残して勝ち越しが決定した。2019年に続いて連続での勝ち越しとなる。2回連続での勝ち越しは球団初となる。

年度順位勝率
200563619170.528
2006103615210.417
20073241491.609
200812246180.250
200912246180.250
201012246180.250
201111247134.350
201210249141.391
201312247170.292
201452413110.542
201512183141.176
20169187110.389
2017718990.500
20188188100.444
20194181071.588
2020中止
2021316853.615
合計1237014721211.409
2021年は6月11日現在

これまでの最高勝率は2007年の.609となっている。残り2試合を負けずに終われば交流戦での球団の最高勝率となる。2試合連勝で終えれば球団初の優勝の可能性も出て来る。リーグ最下位で突入した交流戦を過去最高の形で終えることができるか。

交流戦優勝争いはオリックスがM2

この日、オリックスが広島戦に勝利。山本由伸が7回まで完全試合を続けるという試合。8回の広島の攻撃でチャンネルを変えた途端に、鈴木誠也のヒットが出るという、何だか申し訳ない気持ちになった。しかし、試合は完勝し最速の10勝目を挙げて単独首位に立った。

オリックスは残り2試合で連勝すれば、他のチームの勝敗と関係なく優勝が決まる。よってマジック2が点灯したことになる。

チーム勝率相手1213勝率
オリックス1051.667広島×1161.647
中日952.643西武×1062.625
DeNA853.615日本ハム1053.667
楽天961.600阪神○*○*1161.647
阪神970.563楽天○*○*1170.611
DeNAが残り連勝のパターン。*:楽天と阪神は直接対決の為、どちらかしか発生しない

この日のオリックスの勝利で交流戦優勝はこの5チームに絞られた。6位のヤクルトが連勝しても、楽天と阪神が直接対決のため、両方を抜くことはできない。DeNAが連勝した場合、オリックスと中日が1敗ずつすれば、DeNAの優勝となる。楽天と阪神のどちらかが連勝となっても届かない。

チーム勝率相手1213勝率
オリックス1051.667広島××1071.588
中日952.643西武××972.563
DeNA853.615日本ハム×963.600
楽天961.600阪神×1071.588
阪神970.563楽天×1080.556
DeNAが1勝1敗のパターン

ひとつ負けてしまうと非常に苦しい。オリックスが交流戦の最下位に低迷する広島に連敗することが条件で、中日も連敗か1敗1分でTQB次第ということが条件になる。楽天と阪神もどちらかが連勝してしまうと上回って来るため、1勝1敗、2分(ただしTQBでは楽天が圧倒的優位)、阪神の1勝1分が条件になる。

勢いを欠いている日本ハムをこのまま一気に連破し、優勝へ駆け上がりたい。まずは2戦目、順番を入れ替えた京山が、濵口の作った流れに乗れるか。最終回にもたついた分、少し日本ハムに流れが傾いた状態でスタートするが、得点が入ったわけではない。初回を乗り切れば試合に入って行けるはずだ。

池田は防御率2.92ながら2勝6敗と打線の援護に恵まれていない。交流戦でもヤクルト、読売に敗れている。一方、京山が先発した4試合の平均得点は7点という結果になっており、どちらの展開になるか。最終戦に先発してくると思われるルーキーの伊藤は、9回の先発で7回QSをマークしており安定している。復調して来た今永とのマッチアップが予想されるが、2戦目も勝って最終戦を迎えたいところだ。

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