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ラミレス監督が退任 5年間の足跡を振り返る

横浜DeNAベイスターズの監督就任5年目のシーズンとなったラミレス監督。開幕から5割前後を行ったり来たりしたまま、9月には首位の読売から大きく離され、10月23日に優勝が完全消滅。昨年2位となり、「優勝しかないシーズン」でのV逸により、自ら退任を申し入れたラミレス監督の5年間をまとめる。

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現役時代

ヤクルト→読売→DeNA

ベネズエラ出身で、インディアンズにスカウトされてプロ入り。1998年にメジャーデビューを果たした。2000年途中にパイレーツに移籍したが、MLB3年で56安打、9本塁打と活躍したとは言い難い成績だった。

2001年にヤクルトに入団。当時はお金を稼いですぐに帰るつもりだったが、日本の野球のレベルの高さを痛感し、必死に研究した。日本の文化などに触れるうちに、ずっと日本で活躍したいと思うようになった。

初年度は、序盤は日本の投手のコントロールの良さ、アウトサイド低めへの変化球で三振が増えて行ったが、徐々に配球にも慣れ、29本塁打88打点でチームの優勝に貢献した。3年目の2003年には、本塁打王、打点王の2冠に加えて最多安打も獲得。リーグを代表する強打者としての地位を確立した。

2007年は3年連続となる全試合出場。204安打を放って外国人選手そして右打者として初の200安打をマーク。打点王も獲得し、キャリアハイと言える成績を残した。ラミレスが希望した複数年契約が叶わず、オフに読売へ移籍となった。

読売でもその打棒がさらに凄みを増した。2010年まで6年連続となる全試合出場。移籍初年度に打点王、2年目に首位打者、3年目の2010年は49本塁打で本塁打王と打点王も獲得。三冠王も可能なくらい高いレベルの成績を残し続けた。

しかし、もともとレフトしか守れないくらいの低い守備力だったが、2011年に統一球でいわゆる「飛ばないボール」に変わったこともあって成績が落ち、スタメンを外れることが増えた。

2011年で読売を退団することとなり、ちょうどそのタイミングで横浜DeNAベイスターズが発足した。前年の内川に続いて村田もFAで移籍したDeNAは、ラミレスの獲得に動き、ラミレス自身もセ・リーグの方がそれまでに蓄積したデータを生かせるということで、移籍が実現した。

DeNAでは開幕は出遅れたが4番として、中村紀洋と中軸を形成した。ボールの影響もあり19本塁打に終わったが、打率3割は確保した。しかし、中畑監督は現状の守備力では使わないと明言し、奮起を促した。2013年は4月6日に神宮球場で外国人選手として初めての2000安打を達成。元チームメイトの石川からホームランで決めた。これ以降は不振もあって来日初の2軍落ちを経験するなど、成績を残せずに戦力外となった。

2014年は独立リーグの群馬で選手兼コーチとして契約したが、この年限りでの現役引退を表明した。

強打だが守備と走力は

選手としては、打撃型で守備力はかなり低かった。バッティングとしては、強力なスイングで最高49本塁打をマークした一方、広角にヒットを打つことができ、3割以上のアベレージを常に記録。204安打を放った2007年は.343を残している。首位打者も1度獲得しており、長打だけではなく総合力が高かった。そして、何と言ってもチャンスに強く、8年連続で100打点以上をマークした。

実力もさることながら、ヤクルト時代から明るいキャラクターで数々のパフォーマンスを見せ、人気選手となった。日本の文化に溶け込もうという気持ちもあり、日本のお笑い芸人のパフォーマンスを次々と取り入れた。志村けんのアイーン、ダンディ坂野のゲッツが代表的なもので、居酒屋で店員が声をかける「喜んで!」も取り入れたりしていた。野球に詳しくない人や子供たちからもゲッツの人と覚えられ、ダンディ坂野よりも有名になることすらあった。

ケガをしにくい選手で、試合を休むことが極めて少なかった。全試合出場したシーズンがほとんどで、それ以外のシーズンも欠場したのは数試合だった。強打者の宿命でもあるが、足は遅い方だったため、併殺打も多かった。最終的にはレフトを任せるにも疑問符が付く守備力と打撃での貢献が一致しなくなり、戦力外となった。DHのあるパ・リーグのチームで獲得も検討されたが、年俸と年齢の判断から見送られた。

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コーチそして監督へ

兼任コーチとして現役最終の球団となった群馬でそのままシニアディレクターに就任し、本格的に指導者の道を歩み始めた。2015年には、群馬に所属していた外国人選手が入団した、オリックスの巡回アドバイザーを3か月間務めた。そして、オリックスからは正式な打撃コーチへの就任要請があったとされ、他球団もコーチとしての招聘を検討していたようだが、ラミレス自身は監督に強い拘りがあったとされる。

2015年、DeNAは交流戦前に貯金11をマークして首位に立っていたが、それ以降は一気に転落し、史上初めてオールスター時点での首位チームが最下位となった。この責任を取って、続投要請されていた中畑監督が急転辞任。後任選びに入る中で、OBであるラミレスも候補となり、高田GMを含めた球団首脳と面談し、自身のプランをプレゼンしたという。

結果、ラミレス監督が誕生し、DeNAは第2幕に入った。

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DeNA監督としての足跡

いきなりの快挙

DeNAの新監督としてスタートを切ったラミレス監督。現役時代のパフォーマンスは、立場もあって封印したが、チームとしてはリラックスムードの中、中畑監督が築いた明るいカラーをより推し進めた。ただし、2015年のドラフト1位で今永を指名し、挨拶に訪れた時は2人でゲッツをするシーンもあった。

2016年の開幕はマツダで迎え、ルーキーの柴田、戸柱をスタメンで使い、柴田の2点タイムリーで初陣を飾った。しかし、残り2戦は連敗。ホーム開幕はルーキーの今永を先発に抜擢したが、3発を浴びて沈み、3連敗。さらにその後、2度の5連敗で借金は2桁に。新監督がいきなりの試練を迎えた。

5月3日の時点で借金11の最下位。セ・リーグの借金を全て抱え、5割の4位タイとは5.5ゲーム差。早くも最下位独走という状況になった。しかし、翌日あの男が戻り、流れが一気に変わる。梶谷が復帰即スタメンで先制タイムリーなど2安打。さらに5日には初回に三盗、本盗を連続して決め、連勝に貢献。梶谷がチームに足りなかった足を武器に流れを作り、ムードを変えた。

5月は石田が先発として大活躍し、月間MVPを獲得。期待のルーキー今永も5月6日にプロ初勝利を挙げ、そこから4連勝。この二人に山口、井納、モスコーソを加えた先発ローテが機能し、梶谷が戻って得点力が格段に上がった打線が援護。5月を16勝7敗と大きく勝ち越し、一気に借金を返済した。

7月に筒香が日本初の3試合連続マルチ本塁打を放つなど、月間6回のマルチ本塁打をマークし、こちらも日本記録。さらに月間15本塁打で球団新記録も樹立する活躍を見せたが、チーム成績は5割前後で一進一退。オールスター時点で首位の広島に11.5ゲーム差を付けられ、優勝争いはできず。

残るはCS10年目での球団初の出場。8月末の時点で4位ヤクルトと1.5差の3位に付けていたが、9月は疲れの見えていた今永が復調。山口も11勝目を挙げるなど先発投手が活躍し、ヤクルト以下を引き離して、球団史上初のCS進出を決めた。

CS決定後、三浦が引退することが発表され、9月29日の最終戦で引退試合が行われた。勝てば5割という試合だったが、順位が確定していることもあり、三浦が10失点しても続投させ、最後はラミレス監督の計らいで、7回表の先頭の雄平にだけ投げて、マウンド上でナインやファンに送られる形での降板となった。前例がないように、感動的な引退試合となった。

初出場のCSは、東京ドームで2位読売との対戦。初戦、筒香の逆転2ランで競り勝ったDeNAは、2戦目は落としたものの、3戦目で延長戦を制し、初出場でファイナルステージへ進出となった。しかし、3戦目で梶谷が死球を受けて左薬指を骨折。戦力ダウンは必至だった。

ファイナルステージでマツダに乗り込み、スタメンには何と梶谷の名前があった。骨折したまま強行出場。しかし、その甲斐なく1勝3敗(アドバンテージで4敗)で敗退した。

開幕直後は躓いたものの、初年度で球団初のCS進出に導いた。2005年以来、11年ぶりのAクラス入りを果たし、翌年へ優勝の期待も高まった。

さらに躍進を遂げる

2017年は、山口がFAで読売に移籍し、先発ローテに不安を抱えたが、野手では前年レギュラーに定着した宮崎、桑原、倉本、戸柱が活躍。大きな波がなく安定した戦いを続けた。新外国人のウィーランドが先発ローテに定着。さらに、野手顔負けのバッティングも披露した。4月14日に、ウィーランドを8番で起用し、9番に倉本を入れた。2年目で初めての8番ピッチャーのオーダーを組んだ。5月4日に再びウィーランドを8番に入れると、翌日からは他の投手も8番で起用。残りのシーズンは8番投手、9番倉本のオーダーを組み続けた。

6月13日の時点で借金5を抱えていたが、オールスターまでに完済し、貯金を作った。しかし、その間に首位の広島は独走態勢を作り上げ、オールスター時点で10.5ゲーム差と前年に続いて、大きく水を空けられた。

8月以降は阪神、DeNA、読売で激しいCS争いとなったが、最後はDeNAが読売を振り切って3位を確保。2年連続でCS進出を決めた。貯金8で終え、2001年以来16年ぶりのシーズン勝ち越しとなった。2年目の今永が11勝と飛躍を遂げ、新加入のウィーランド、ルーキーの濵口がそれぞれ10勝を挙げてチーム成績を押し上げた。石田、井納は6勝止まりだったが、ローテを支えた。

2017年のCSは、歴史的な戦いとなった。ファーストステージでは、甲子園で阪神と対戦。初戦を井納で落とし、2戦目は試合前から雨が降り続く中で強行された。今永が先行を許す展開だったが、雨でぬかるんだグラウンドでDeNA打線が爆発。乙坂の3ランなどで13点を奪い、終わってみれば大勝。泥んこ試合と呼ばれる、プロ野球とは思えないコンディションの中での試合は、なかなか見ることのできない歴史的な試合となった。翌日を雨で流し、予備日に組まれた3戦目は、打線が初回から得点を重ね、ウィーランドが好投。追い込まれた状況から2年連続のファイナルステージ進出を決めた。

移動日なしでマツダに乗り込んだが、初戦は雨の中行われ、5回コールドで敗れた。泥んこ試合を経験したDeNAにとってはまだまだできるコンディションだったが、コールドとされて闘志に火が付いた。濵口、井納の好投で連勝し、アドバンテージを入れて2勝2敗のタイに持ち込んだ。

土日は雨天中止となり、雨に祟られたCSは翌週に流れた。4戦目は広島が初回に3点を先制する苦しい試合だったが、5回に逆転。中止による延期で、今永をリリーフ起用する采配を見せ、これが見事に当たって広島の反撃を封じ込め、日本シリーズに王手をかけた。5戦目も石田が初回に2失点だったが、打線が5本塁打と爆発し、広島を圧倒した。ここでも先発の石田を早々に諦め、先発要員の三嶋、濵口をリリーフ起用し、広島に反撃の隙を与えなかった。

ファイナルステージで広島に4連勝し、19年ぶりの日本シリーズに進出した。

日本シリーズはソフトバンクと対戦。ヤフオクドームで迎えた開幕戦は、井納が2回までに3失点。5回は井納と代わった田中が四球を連発し、一挙7点を奪われ試合が決まった。初戦で格の違いを見せつけられた。2戦目は今永が初回の1失点で持ちこたえ、5回に梶谷、宮崎のホームランで3点を奪い逆転。CS突破の原動力となったリリーフで逃げ切りを図るが、パットンが打ち込まれ、守備の乱れも出て逆転負け。連敗の苦しいスタートとなる。

ハマスタに19年ぶりの日本シリーズが帰って来た。満員に膨れ上がったスタンドの大声援を受けた3戦目はウィーランドが3点の先行を許すが、ロペスのホームランなどで1点差に追い上げる熱戦。しかし、あと一歩届かずに3連敗となり、後がなくなる。

ストレート負けもよぎった4戦目で、ルーキーの濵口が8回1アウトまでノーヒットに抑える好投。殊勲の活躍により快勝。これで蘇ったDeNAは、翌日の第5戦でシーソーゲームを制し、連勝。勢いを付けて、再び福岡へ戻った。

今永を先発に立てたDeNAは、1点を先行されたが白崎にホームランとロペスのタイムリーで逆転。3-2と1点のリードで9回に守護神の山崎を投入した。しかし、内川がツーシームをレフトスタンドに運び、同点。7戦目の寸前で振り出しに戻された。延長戦となり、打線が3イニングを投げたサファテから得点を奪えない。11回、川島のライト前ヒットで2走福田がホームへ突入。ライト梶谷からの送球は、タイミングはアウトだったが、アンツーカで大きく跳ね、嶺井が取れずにサヨナラ負け。

19年ぶりの日本シリーズは熱く盛り上がったが、悔しい結果となった。

挫折の1年

日本シリーズ進出を果たし、残るはリーグ優勝での日本一しかないと意気込んで迎えた2018年シーズン。しかし、前年の躍進を支えた今永、濵口、ウィーランドが故障で開幕に間に合わず。ルーキー東を加えたフレッシュな開幕ローテでスタートを切った。

そんな中、4月に8連勝をマークして首位に立つ。ここから今永、ウィーランドが戻ればと期待が高まったが、戻って来た彼らは2017年とは別人のようだった。今永はフォームを崩して本来のボールが投げられず、打ち込まれる登板を繰り返した。ウィーランドもストレートを打たれる試合が続いた。

何とか5割ラインを維持していたが、交流戦で5連敗するなど、徐々に借金がかさんだ。オールスター時点では借金4の4位と、2014年以来4年ぶりにBクラスで迎えた。8月に10勝15敗と負け越し、ついに最下位に転落。9月16日に阪神にハマスタで20失点して敗れ最下位転落。ラミレス監督就任初のBクラスが濃厚だった。

しかし、そこから4連勝の後すぐに3連勝で急浮上。読売とのCS争いに加わる。10月1日に阪神に大勝して3位に浮上。3年連続のCS進出が見えて来た。しかし、神宮で連敗して自力CSが消えると、最後は読売が阪神に勝利して4位が確定した。

CS、日本シリーズ進出と順調に成績を向上させてきたラミレス監督だったが、挫折を味わった1年だった。成績の悪化に伴い、周囲からはコーチや選手とのコミュニケーションの問題が指摘された。ラミレス監督も責任を取るという発言をし、シーズン最終戦で南場オーナーと会談したが、その中で3年間の実績を評価されて留任を打診され、快諾した。

初めての優勝争い

挫折を味わい、コーチとのコミュニケーションなど、さまざまな改善を図ったラミレス監督。2019年の開幕は、再起をかける今永に任せた。開幕戦、今永が8回無失点の好投を見せると、筒香が均衡を破る2点打に3ランで快勝。素晴らしいスタートを切った。

5球団との最初の1巡目は4カードで勝ち越し、9勝6敗の順調なスタートを切った。しかし、2巡目で広島にマツダで3タテを食らうと、ハマスタで阪神にも3タテされるなど10連敗。一気に最下位まで転落する。

1年目と同様に5月に流れが変わり、6月も連続で月間勝ち越して借金を着実に返済する。オールスター時点では首位の読売に9.5ゲーム差をつけられていたが、オールスター明けにラミレス監督で2番目に長い7連勝をマークし、読売に迫る。8月最初の直接対決で3連勝し、その差は0.5ゲームに。優勝の機運が一気に高まった。

しかし、そこからスパートをかけた読売に対し、DeNAは2度の5連敗を喫するなど、付いていけなかった。結局最大貯金は9月4日の9で、そこを突破してマッチレースに持ち込むことはできなかった。9月21日の直接対決で目前胴上げを許し、何とか2位を死守するのが精いっぱいだった。

2年ぶりのCSは、球団初のハマスタでのCSとなった。シーズン最後に6連勝で広島を抜いてCSへ出場した阪神が相手。シーズンでは大きく負け越した相手だったが、初戦に打線が爆発し、5回までに7点を奪った。しかし、継投に隙があり、7、8回の2イニングで7失点で逆転負け。2戦目は乙坂のサヨナラ2ランで辛くも勝利したが、3戦目で阪神の投手陣に封じられ、地元で無念の敗退となった。3回目のCSで、初めてのファーストステージ敗退。

22年ぶりに2位となり、初のCS開催だったが、結果的にファーストステージで敗れ、悔しさだけが残るシーズンとなった。

コロナで異例尽くめの年

2020年、筒香がFAでMLBレイズに移籍。4番キャプテンというチームの大黒柱が抜け、低迷を危ぶむ声も多かった。ラミレス監督は早々に新しい4番キャプテンとして佐野を指名し、スローガンを「NEW GENERATION IS HERE.」としてフレッシュなメンバーで戦っていくことを打ち出した。

筒香の穴を埋める存在として、ヤンキースでメガプロスペクトと言われたオースティンが新加入。キャンプの実戦で規格外のパワーを見せ期待が高まる。オープン戦は4本塁打で12球団トップ。佐野も打点トップで終え、梶谷も復活傾向。前年を上回る重量打線が期待された。

しかし、2020年の初頭から中国の武漢などで新型コロナウィルスの感染が拡大。2月から徐々に日本でも広まり、3月のオープン戦は全て無観客での開催となった。3月に入っても感染拡大は広がる一方で、ついにNPBは3月20日の開幕を延期することを決断した。

当初は1ヶ月程度の遅れを見込んでいたが、感染の拡大は衰えず、4月には緊急事態宣言が出て開幕は白紙となった。選手も全体練習はできず、入れ替わりでハマスタやDOCKを使って練習することになった。

5月末、緊急事態宣言が解除され、6月19日の開幕が決まった。十分な練習ができず、選手たちも調整遅れが否めなかったが、6月から12試合の練習試合で急ピッチな調整を行った。そして、史上初の無観客試合による開幕戦が行われた。

エース今永が2年連続の開幕投手を務めたが、本来の投球ではなく大瀬良の好投の前に敗れた。連敗で迎えた3戦目は、広島のルーキー森下に封じ込まれ、0-1で9回裏へ。3タテ目前だったが、新外国人のスコットから4連打でサヨナラ勝ち。2カード目は中日を相手に、スタメン復帰したオースティンが起爆剤となり3タテ。阪神戦まで5連勝し、まずまずのスタートとなった。

それでも、波には乗り切れず一進一退が続いた。一時、読売に6.5ゲーム差とされたが、8月10日には最多の貯金5で2ゲーム差まで詰め寄り、前年に続いて読売との優勝争いが繰り広げられるかに思われたが、8月15、16日に左右エースの今永、平良で連敗。今永は左肩の違和感で離脱し、結果的に10月に左肩のクリーニング手術を受けたため、これが最後の登板になった。平良も翌週に背中の違和感で離脱。最終盤に復帰したものの2ヶ月ほど離れることになり、勝負どころでローテの柱を失うことになった。

これがラミレス采配を狂わせたのか、9月2日からの東京ドームでの首位読売との直接対決で、パットンをオープナーとして先発させ、ローテに入って連勝していたピープルズをリリーフに起用するという奇策に出た。これがものの見事に外れ、パットンは1回1/3で9失点。4-13の惨敗で3タテが決まった。一気に8.5ゲーム差まで開き、DeNAも3位に転落。読売は8月25日から20試合で17勝2敗1分という圧倒的な成績でマジックを点灯させ、早くも優勝が決定的な状況になった。

DeNAはシーズン終盤に調子を上げて来た中日にも抜かれてBクラスへ転落。読売が優勝目前となった10月末にハマスタで3タテし、目前での優勝決定を阻止するなど、あの「オープナー・パットン」以降は9勝3敗で対戦成績を五分としたが、あまりにも遅きに失した。

10月23日に優勝が完全に消滅すると、ラミレス監督は球団へ退任を申し入れ、これが受理されて10月24日に正式に発表となった。チームのAクラス入り、勝ち越しが残る状況で、最後まで勝利を優先して戦ったが、5割まであと1勝足りずに借金2の4位で5年目のシーズンを終えた。

11月14日の最終戦は終盤に逆転を許したが、9回裏に神里が逆転サヨナラ2点打を放って劇勝。試合後には退任セレモニーが行われ、多くのファンが5年間の功績を労った。その最終戦から数時間後、You Tubeに「ラミちゃんねる」を開設するとともに最初の動画がリリースされ、ファンを驚かせた。球団からポストを用意された模様だが、これを固辞。2021年はYou Tubeなどで活動し、家族サービスに努めるようだ。

5年間で優勝はならなかったが、最終年はコロナ禍で難しいシーズンを戦い、4番キャプテンに指名した佐野が首位打者を獲得する飛躍を遂げた。最後の試合は期待する細川を4番起用し、三浦新監督が就任する未来のベイスターズにエールを送って、その役目を終えた。

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球団の監督としては歴代3位

球団歴代の監督成績5傑

監督成績勝率Aクラス
1別当薫9494勝498敗67分.4984
2三原脩8461勝490敗21分.4853
3A.ラミレス5336勝337敗19分.4993
4大矢明彦5259勝328敗3分.4411
5中畑清4239勝319敗17分.4280

監督としての在位は、複数期の通算や休養を含めて、9シーズンの別当薫、8シーズンの三原脩に次ぐ3番目で、大矢明彦の5シーズンと並んでいる。そして、勝利数も同じく3位で、球団3人目の300勝監督となっている。

こうして見ると、DeNA初代監督の中畑清が5位に入るくらいのチームで、いかに監督が短命か分かる。Aクラスに一度も入れなかったにも関わらず4年間指揮を執り、5年目も要請されたのだから、いかに人気を集めていたか分かる。6位が権藤博で、3年間で219勝186敗2分の.541。優勝を含み3年全てがAクラス。

ラミレス監督の年度別成績

勝率
2016369713.493
2017373655.529
2018467742.475
2019271693.507
2020456586.491

ラミレス監督は、2019年までで勝ち越しが1つだけあったが、2020年は5割まであと1勝足りずに借金2で終えたため、最終的には5年間で僅かに一つだけ負け越した。

上記に名前のある監督以外は、ほとんどが2年で、長くて3年といったところ。黎明期には1年での交代もあった。弱小で監督の首を挿げ替えることを続けて来た球団史にあって、成績としては非常に素晴らしいと言える。

ただ、優勝争いは2019年の一度だけで、悲願の優勝も成し遂げられなかった。5年という期間と、優勝を狙うと言うことに対して、球団がどのように判断するか。

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外国人監督ではない

最近でも「外国人監督」と発言している解説者やアナウンサーがいるが、2019年に日本国籍を取得しており、戸籍上は日本人である。表現するなら「外国出身監督」が正しい。帰化の前に日本人と再婚しており、子供が2人いる。また、息子がダウン症であることを公言し、社会活動も行っている。

2001年に来日してから約20年ほど日本にいるため、通常の会話であれば日本語で話せる。ただし、コメントやミーティングなどの重要な場は、意図が正しく伝わらないリスクなどを考慮し、戦略的に通訳を介している。2017年から丸山通訳に代わり、以来4シーズンは常に丸山通訳を介してメッセージを発信している。

選手との日常的コミュニケーションや、親しいOBなどとの会話はほとんど日本語だと言われている。

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まとめ

功績

  • CS開始10年目にして、球団史上初のクライマックスシリーズ進出(2016)
  • 3位からCSを通過し、19年ぶりの日本シリーズ進出(2017)
  • 2001年以来、16年ぶりの勝率5割超えを達成(2017)
  • ホエールズ、ベイスターズ合わせて史上3人目の監督通算300勝(2020)
  • 中畑監督が呼び込んだ観客を、チーム成績を向上させることでさらに増加させた(2019年228万人)
  • 中畑前監督が指名したキャプテン筒香をより成長させ、メジャーリーガーに育成
  • 外国人選手とのコミュニケーションが良く、エスコバー、ソトら多くの選手が活躍
  • 守備がネックでレギュラーに定着し切れていなかった宮崎を主軸に育成
  • 桑原、倉本もレギュラーとして起用し、CSや日本シリーズ進出の原動力となった
  • 筒香の次のキャプテンとして佐野を見出し、4番キャプテンとして成長させた
  • 2016、2017年は戦力的にもやや他チームに劣るという評判の中、上手くやり繰りをして、得失点差以上の成績を挙げた
  • 短期決戦では先発投手の中継ぎ起用などの思い切った采配で強さを誇り、CS Finalステージではアドバンテージを跳ね返して勝ち抜き、日本シリーズでもソフトバンクを苦しめた
  • DeNAの初代の中畑監督からの約束事として、敗戦後でも監督のインタビューを中継することになっており、どんなに負け方をしても、大型連敗中でもインタビューを受けている
  • インタビューやコメントなどで選手を非難することがほとんどなく、ポジティブなコメントが多い
  • 現役時代からファンを大切にし、サービス精神が旺盛。メンバー交換の際もファンに手を振って笑顔を見せ、敗戦後でもファンには明るく接している

罪悪

功績の反対語である罪悪と言うほどのものではないかも知れないが、よく言われる指摘事項を挙げる。(管理人の主観もあり)

  • 現役時代に配球を学んだことを強みとして、就任当初からキャッチャーへ配球についてのサインを出すことを明言。そうした背景もあり、ルーキーの戸柱を開幕スタメンで起用
  • その後も先発ピッチャーを代えずにキャッチャーだけを交代する采配を何度か見せている。2020年は伊藤光がミーティングとは異なる方向性のリードをしたことで、途中交代させた上、翌日に登録を抹消した
  • 先発投手を非常に早く代える傾向があり、信頼の浅い投手の場合は短いイニングでの交代を厭わない。完投させるのは一部の投手に年1~2回くらいで、基本的に100球前後で交代する
  • 早く交代していても先発投手から毎年のように故障者が続出。先発としてイニングを投げることをさせないことも一因のひとつという見方もある
  • ブルペンと連携し、肩を作るタイミングやブルペンでの球数をコントロールするなどの工夫をしているが、リリーフには連投させる傾向にある。因果関係は証明できないが、2年連続で60試合登板の田中はトミージョン手術を受けるに至り、同じく2年連続で61、70試合を投げた砂田も不振になり2020年後半まで1軍に戻れなかった
  • 打順はラミレス監督曰く、データ8割、インスピレーション2割で毎試合のように変更する。相手先発、左右別、球場や対戦相手との相性も考慮に入れる
  • MLBで主流の2番に強打者を入れる打線を好む。梶谷や宮崎、ソトを入れたりしていたが、2019年には筒香を2番として起用。しばらくの間、これによって結果が出ていたが、否定的な意見が多かった
  • 8番に投手を入れ、9番に勝負強い打者や足のある打者を入れ、1番への繋がりを重視することが多い。8番投手が送った得点圏での打率を考え、大和を9番に入れることが多かったが、2020年は9番戸柱という起用が増え、当初の目的から迷走しているとの見方もある
  • 負けた試合でもインタビューに応じるが、「トゥモアナ」、「これも野球」、「今日の結果を変えることはできない」などの同じコメントが多く、どこか他人事に聞こえるために印象が良くない
  • 2017年からMLBに倣って申告敬遠の制度がNPBでも採用されたが、2018年から多用するようになったため、ラミレス監督が12球団でダントツの使用回数を誇る。打者の左右や相性、その日の調子などで勝負を避けるべきと判断した場合は躊躇なく使用する。早いイニングからも使い、うまく行っても次の回の打順が1番からとなるようなケースもあり、否定的な意見も多い。投手OBからはコントロールに不安のある投手は委縮するという声もある
  • 自らの意思決定のため、球団のアナリストからデータを得て、準備に多くの時間を割いている。そのため、コーチの意見を採用せず独断で決定することが多い。2018年に初のBクラスに終わった際、最終戦後にコーチの仕事をさせていなかったと反省の弁を述べた
  • 現役時代の自身を重ねているのか、強打の選手を優先してラインナップに並べる傾向がある。俊足の選手をあまり重用して育てることをせず、盗塁ができる選手は常に限定的で、ヒットエンドランなどの足を使った攻撃をほとんどしない。守備力より打撃力を優先し、キャッチャーも先発投手の相性ではなく、相手先発との打撃成績で選ぶこともある。基本的にスタメンを決めた後は、打線が打つのを待つスタイル
  • ケガ人の状況をポジティブにコメントし過ぎで、「10日間で戻れる」「翌日にはスタメンに戻る」というような発言をした後で、もっと悪い結果になることが多い。ラミレス監督の願望ということなのかも知れない
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参考文献

  • Wikipedia
  • NPB.jp 日本野球機構
  • 横浜DeNAベイスターズオフィシャルサイト
  • 横浜ベイスターズ メディアガイド(1999、2011)
  • Rocky個人用記録集

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