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クローザーとして本当の勝負 三嶋と山崎にかかる重責

ベイスターズは2021年、三嶋をクローザーに据えて開幕した。開幕戦で同点の9回裏にサヨナラホームランを打たれ、黒星でスタートした三嶋だが、前半戦は16セーブをマークした。9月に入りセーブシチュエーションでの失敗が続き、山崎にクローザーの座を明け渡した。山崎も本来の投球ができず、最後はクローザーが定まらぬままシーズンを終えた。クローザーの安定は、2022年の大きな課題として残った。

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セーブ失敗で本当の難しさを知った三嶋

2020年の開幕時点でベイスターズのクローザーは山崎以外に考えられなかった。

2年連続でセーブ王を獲得し、プロ5年で積み上げたセーブは163。日本を代表するクローザーから歴史に残るクローザーへと歩みを進めていた。他球団を見渡してもこれだけ実績のあるクローザーはいない。

だが、その山崎が苦しんだ。新型コロナウィルスの影響で開幕が3ヶ月延期となり、6月に開幕を迎えた。約1ヶ月で6セーブをマークしたが、7月半ばから打ち込まれることが増えた。7月26日は1点リードの9回、會澤にグランドスラムを浴びるなど5失点し、ショッキングな逆転負け。

7月29日の読売戦、1点リードの9回には三嶋がマウンドに上がっていた。2つの三振を奪い三者凡退に抑え、プロ初セーブをマークした。思いもよらない、シーズン途中でのクローザーへの配置転換。三嶋はそれまでと同じように9回のマウンドで腕を振り続けた。

クローザーの出番はある程度、限定され準備も逆算はしやすい。それが奏功したのかは分からないが、クローザーに転向してからの投球は、それまでよりも凄みを増した。セーブシチュエーションで次々とアウトを奪い、セーブを重ねて行った。

失敗と言えるのも9月4日のマツダでの乱戦、8回1アウトからイニング跨ぎで登板したが、9回に2失点して12-12と追い付かれたことくらい。クローザーとして3勝18Sの大活躍だった。

迎えた2021年、三浦新監督もクローザーに三嶋を指名。管理人も三嶋には期待していたが、開幕からクローザーとして迎えるのは初めてで、途中で急に転向した前年と同じようには行かないと思っていた。2020年がうまく行きすぎていた面があり、クローザーとして試合をひっくり返され、仲間が積み上げてきたものを無に帰してしまうという経験をしていなかった。

2021年の開幕戦は、9回表に2点差を追い付き、その裏のマウンドに三嶋が上がった。しかし、先頭の亀井にサヨナラホームランを喫した。クローザーとしての登板では初めての敗戦だった。4月はチームが10連敗を喫するなど大きく負け越し、三嶋がセーブシチュエーションで登板することがあまりなかった。

同点のマウンドで上がったケースでも、守備に足を引っ張られることもあり、交流戦までで3敗を喫し、セーブは6と伸びなかった。交流戦からチーム状態も上向き、三嶋が本来のセーブシチュエーションで登板することも増えた。

そうした中で、7月12日の甲子園で初めての経験を味わう。大貫が好投し3-0で9回に三嶋が登板。しかし、2アウトランナー一塁から5連打で4点を失い、逆転サヨナラ負け。マルテの打席では、2ストライクから際どいと言うかストライクをボールと判定されたシーンもあったが、全体的にボールが甘く入り集中打を浴びた。これが初めてセーブシチュエーションでひっくり返された試合だった。

前半戦は1勝4敗16S、防御率2.97とまずまずの数字を残したが、勝ちゲームをひっくり返されて台無しにしてしまったという怖さ、そして年間を通してクローザーを務めるという精神的な疲労もあったのか、後半戦も9月に入ってセーブシチュエーションでの失敗が続いた。

9月18日はセーブシチュエーションで山崎が登板。三嶋と再び配置転換となった。しかし、山崎もクローザーを守れず、最後はクローザーを決めずに回して行く形でシーズンが終了。三嶋はリーグ4位タイの23Sを挙げたが、防御率が4点台とクローザーとしては不安定さが残った。

2020年はクローザーとしては無敗だったので、開幕戦でいきなりサヨナラホームランを打たれて負けたことも影響したかも知れない。その打たれた相手である亀井を筆頭に、読売戦では苦労した。下記の通り対戦別の成績でも読売戦はダントツの悪さ。阪神戦は、前述のサヨナラ負けの4失点が効いているが、他では抑えている。

相手
読売11.171103039.212
ヤクルト2.45101013113
中日0.7113110412.21
阪神6.75701046.25
広島4.15900048.24
交流戦1.04910058.21
合計4.08593512357.126
2021年三嶋の対戦別成績

クローザーとして特定のチームに通用しないというのは厳しい。亀井は引退となったし、年が変われば流れも変わるが、別の苦手を作ってしまう可能性もあるわけで、クローザーとしてはそれは避けたいところ。

技術的にはもちろんだが、クローザーはメンタルに大きく左右されるポジションのように感じる。BLUE PRINTの2021 Issue 4には、逆転負けを経験して本当のクローザーを知ったという気持ちが語られている。

https://www.baystars.co.jp/blueprint/2021/issue4/pdf/blueprint_october.pdf

即戦力ルーキーとしてドラフト2位で入団し、1年目で6勝(9敗)。2年目にして開幕投手を任せられたが、初回7失点で轟沈。ローテーションにも定着できず、チームがCSや日本シリーズへ進出する中、出番を失って行った。

2018年にリリーフへ転向し、年々登板数を増やし、信頼を勝ち得てクローザーを任せられるまでになった。そんな栄光と大きな挫折を経験した三嶋ですら、クローザーとしてチームの勝利を台無しにしてしまう怖さを感じるポジション。だからこそ、山崎がルーキーから5年務めて来た凄さを理解できる。

心の底から応援しているとは言っても、観ているだけのファンでさえあれだけ悔しいのだから、打たれた本人の悔しさは計り知れないものがある。想像することはできても、本当の意味で理解することはできないだろう。だが、この2年でクローザーの光と影を経験した三嶋だからこそ期待したい。そして、お互いの気持ちが分かるからこそ、山崎と良い意味での競争をして欲しいと思う。

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念願の復権果たすも模索続く山崎

三浦監督は、春季キャンプの1軍メンバーから山崎を外した。期待していないわけではなく、何とか本来の投球に戻れるようにファームで向き合って欲しいという思いだったのだろう。

ファームの嘉手納キャンプが終わっても山崎の1軍合流はなかった。横浜へ戻りファームの教育リーグで調整を続ける中で、オープン戦最終盤で開幕1軍が決まった。3月23日のロッテとの練習試合で、2021年ハマスタ初登板。3者連続三振の好投で、勝ちパターンの7回を務めることが決まった。

開幕カードでは2試合に登板していずれも無失点、ホールドを1つマークした。迎えたホーム開幕戦、7回1失点と好投した大貫の後を受けて石田が登板したが、1点を失って2アウト1、2塁という場面で山崎が登板。しかし、塩見に同点となる二塁打を打たれると、代打の川端にも二塁打を浴び、逆転を許した。3点リードをひっくり返され、山崎に黒星が付いた。

ヤクルトに対する6勝17敗2分という流れを作り、塩見の台頭と川端が代打の神様となる、優勝への流れを作ったと言っても過言ではない、痛い逆転負けだった。

しかし、山崎はこの後11試合連続無失点をマーク。4月はチームが苦しむ中、12試合で6勝1ホールド、防御率0.75とエスコバー不在の勝ちパターンを支えた。前半戦は18ホールドをマークし、オリンピック代表にも選ばれた。

後半戦もセットアッパーとして8回を投げていたが、9月中盤に三嶋がセーブ失敗を繰り返したため、9月18日に配置転換となりクローザーに復帰した。その日に2020年7月以来、1年2ヶ月ぶりのセーブを挙げた。

しかし5連敗中の9月26日、2点リードの9回に4点を奪われて逆転負けを喫すると、9月29、30日の神宮で2日続けてセーブシチュエーションで登板しながら途中交代。ファームで再調整となった。

リリーフで我慢しながらクローザーの座を奪還する機会を待ち、待望の復権を果たしながら、1セーブを挙げたのみでファーム落ちとなってしまった。それまでのストレート、ツーシームの2球種だけでなく、カットボールやスライダーを織り交ぜてモデルチェンジを図っているが、なかなかうまく行かない。新たな山崎康晃の模索は続いている。

自主トレではストレートを磨くことをテーマに準備をしているようだ。球速よりも回転数、ホップするような球質に拘りを見せている。甘くなったストレートを打たれているため、コントロールを気にし過ぎていたように思う。打者が遅れたりファウルになってしまうような球質があれば、それがツーシームなどの変化球にも効いて来る。

昨年も150キロを超えるような球速が出ている日もあれば、140キロそこそこという日もあって、あまり安定しなかった印象。春季キャンプでどこまで精度の高いストレートを仕上げることができるか。新たな山崎康晃を作り上げ、今度こそクローザーの座を奪還して欲しい。

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新たな力の台頭はあるか

三嶋に代わる山崎もセーブシチュエーションで不安定な投球が続き、ファームで再調整となった。チームは将来も見据えて新たな力を求めた。

10月9日、1点リードのマウンドに上がったのは伊勢だった。山崎の登録抹消以来、クローザーは固定せずに状況に応じてと三浦監督はコメントしていたが、将来的なことも考えて伊勢にクローザーの経験を積ませたかったのだろう。

この日は現地で、BAY SIDEの内野指定Cにいたのだが、伊勢が同点を許し、砂田も止められず逆転された後で、結局三嶋が登板して2つのアウトを取ると、周りからは「最初から三嶋を出せ」というヤジが飛んだ。この試合だけを考えればそうだろう。

前述の通り、三嶋でさえも逆転負けを経験して初めて本当のクローザーというものを学んだのだから、2年目の伊勢もこういったマウンドを経験しなければ学ぶことはできない。上記の投稿でも書いたが、クローザーを育てることは容易ではない。勝ちゲームの9回に投げさせて経験を積ませる必要があり、失敗すればチームの勝利が消えることになるのだから、安易にはできない。

現状のベイスターズの構成であれば、三嶋や山崎の次を担うのは伊勢になって来るだろう。だから、彼をクローザーで試したことには何ら異論はない。あっさりとプロ初セーブを挙げて、その座を奪ってくれたら言うことはないが、そんなに簡単でもない。だからこそ、栗林の凄さは特筆ものであり、牧が新人王を獲れなくても納得させられてしまう。

エスコバーをクローザーにという声もあるのだろうが、エスコバーの最大の魅力は厳しい場面で登板し、連投が利くこと。セーブシチュエーションに限定されるクローザーでは、彼の持ち味を十分に生かせないと思う。他の投手がきっちりとクローザーを務めることで、エスコバーをジョーカーのように使うことができ、ベイスターズのリリーフ陣は強固なものとなる。

2022年は新外国人投手のクリスキーを獲得したが、コロナの影響でまだいつ来日できるか目途が立っていない。よほどのことがない限り、クローザーとして期待することは難しいだろう。伊勢の成長を期待しつつも、2022年については三嶋と山崎が高いレベルで争ってくれることを期待する以外にないだろう。

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優勝へ向けて絶対的守護神が必要

他球団のクローザーの防御率を見ると、新人王を獲得した栗林は0.86、退団したがスアレスは1.16。2.06のR.マルティネスも加えて、このレベルは絶対的守護神と言っていい。山崎も1、3、5年目に1点台を残しており、絶対的守護神として君臨していた。マクガフは途中で石山から配置転換となり、14ホールドに31セーブで防御率も2.52という数字を残し、優勝に貢献している。

クローザーであれば悪くても2点台前半はマークしたい。三嶋も山崎もそれだけの力はあると思う。2021年のチーム投手成績で、27セーブは5位の読売と6つ差の最下位。ホールドは僅差で4位だったが、首位のヤクルトとは52もの差があった。チームの勝利数も少ないわけだから比例する傾向にはあるが、接戦を取って勝率を上げて行くために、近年の野球では強力なリリーバーは不可欠だ。

勝ちパターンのエスコバーやそこへ割り込みたい伊勢も含め、1点台~2点前半のリリーフを備えることができれば、先発の充実によって一気に投手陣が整う。前の記事の通り、先発投手陣にも明るい兆しはあるので、三嶋と山崎が本来の力を発揮すれば2021年のヤクルトのように、前年から投手陣を大幅に改善させての優勝争いというのは夢ではない。

厚木で一緒に自主トレを行った二人。ライバルでバチバチの関係というよりも、お互いをリスペクトし、足りない部分を学び合い、チーム力を高め合うことを考えているようだ。二人の気持ちが、結果となって表れてくれることを願っている。

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