プロ野球は10月30日にオリックスの日本一が決まり、日本シリーズが終了。フェニックスリーグも31日に終了し、実戦は全日程が終了した。日本代表の壮行試合はあるが、各チームは秋季キャンプ・トレーニングと並行して、ファンフェスなどオフシーズンのイベントが始まる。そして、日本シリーズ終了に伴いFA宣言もスタートし、ストーブリーグに突入した。
嶺井はFA行使に含み、西武の森が行使表明
日本シリーズが終了し、まずはFA宣言の期間が始まる。11月1日には、西武の森友哉がFA権を行使することを表明した。西武との残留交渉に加え、他球団の話を聞いてみたいということだ。もちろん宣言残留もありうるが、やはり他球団の話を聞いてしまうと、気持ちがそちらへ動くことが多いと思う。プロ野球とサラリーマンでは全然違うとは思うが、転職でも内定をもらって条件を提示されると、残る選択肢がなくなってくるということもあるのではないか。
森には、オリックスと読売が手を挙げると言われている。DeNAもキャッチャーは3人を併用しているが、打てるキャッチャーというのは補強ポイントではあるが、どうか。週刊誌が先行してDeNAとはキャラが合うだとか書いているが、調査という話もないし、獲りに行かないと思う。オリックスと読売が手を挙げた中で、DeNAに来る要素もほぼないと思う。
大阪桐蔭の後輩である松尾を獲得したが、高卒ですぐにレギュラーというのは簡単ではない。松川の例はあるが、現状で伊藤光や戸柱がいるので、フル出場でなければ彼らの方が力は上。高卒のキャッチャーを使うということにはならないのではないか。
FAを行使するのではないかと言われた選手も、既に行使せずに残留、あるいは宣言残留が決まりつつある。そうした中、嶺井は球団とは話し合いをしているところで、ゆっくり考えるとしている。どこまで嶺井と話をしているか分からないが、松尾の獲得に加えて、仮に森友哉も獲得となった場合は、嶺井としては厳しい立場になることも考えられるので、FA行使に含みを持たせるのも当然だし、宣言した上で残留するか決めるというのは考えられる手段だ。
森の獲得に熱意を見せるオリックスでも、日本一に貢献した伏見がFA行使を検討しているとされるのも、そうした動きに対する備えだろう。今年のFAの目玉となる森の動きによっては、キャッチャーが少し動く可能性がありそうだ。
DeNAとして、今季の推定年俸2,700万円の嶺井に対してどういう条件が提示できるか。93試合244打数50安打5本塁打30打点、打率.205。ほとんどの数字がキャリアハイで、打率はかなり物足りないものの、91試合に出場した2018年が.177だから向上したとも言えるだろう。
打撃面に関しては十分とは言えないが、マスクを被った時の防御率は他の捕手と比べても良く、チーム防御率が大きく改善したのはプロ野球全体の投高打低だけではなく、嶺井の活躍も大きいと思う。開幕当初は山本に次ぐ4番手だったが、コロナの影響で1軍に上がり、チャンスを掴みとった。チームが2位に躍進した原動力の一つと言っていい。
それでも、打撃面も含めて単年であれば倍増の5,400万円まで届くかと言ったところだろう。当然ながら複数年の提示となるが、来季32歳というところで3年契約で1.5~2億+出来高というのが、DeNAが提示できるラインなのではないか。
もちろん嶺井の流出は避けたいが、予算が無尽蔵の球団ではない。他にもっとアップする選手も多い中で、どれだけ配分できるか。伊藤光が1億円プレイヤーであることを考えれば、もっと上げても良いように思えるが、戸柱は今年の出場数だと大幅増は考えづらく、3,740万円から微増になるだろう。そのあたりとのバランスも考えなければならない。
FA宣言すると、ソフトバンクなどが獲得に乗り出すと言われており、条件提示を受けてしまうと、DeNAとの差が大きく、移籍を決断する可能性もあるのではないか。高校、大学と日本一になっており、いつかDeNAで日本一にと思っていたが、ソフトバンクで難なく達成する可能性も出てきた。
FA宣言は日本シリーズの終了翌日から土、日、祝を除く7日目までに申請。8日目に公示となる。今年は11月9日締切、10日公示になるだろうか。そこまでに他に行使に踏み切る選手がいるかどうか。8日に行われるトライアウトとその後も含めて注目して行きたい。
田部が引退 櫻井と松本は育成契約か
10月31日は、田部が戦力外通告を受け、現役引退を決断したことが発表された。第二次の通告期間は日本シリーズ終了の翌日までなので、期限ギリギリの発表となった。ルール上、問題ないが、既に一度発表されており、フェニックスリーグにも参加していた田部が、このタイミングで戦力外通告を受けるのは異例のことで驚いた。
フェニックスリーグで好成績を残せば残留という条件だったとも思えないし、ドラフトで支配下の内野手は1名しか指名していない中で、ショートも守っていた田部を球団側から戦力外にするとは考えづらい。実際のところは分からないが、即現役引退を決断したことからも、田部の意向である可能性も考えられる。育成契約への変更を打診し、それなら引退という話になったかも知れない。
森と同期で、左右とタイプの異なる内野手。良きライバルとして切磋琢磨して欲しいと思っていたし、今年はコロナによる選手の離脱の影響もあるが、1軍での出場も果たした。高卒3年目で80試合出場、.258というのはそこまで悪いとは思わない。先日のフェニックスリーグでは当初、ノーヒットが続いていたが、あわやホームランというレフトオーバーの三塁打もあったし、満塁からの2点打もあった。
この引退については、全く理解できないというのが正直なところ。だが、本人が引退を決断したということで、次の道に進む彼を応援したいと思う。短い期間ではあったが、お疲れ様。
これは正式な発表ではないが、櫻井と松本は育成契約を打診するようだ。松本は、3月下旬に手術し、今季はファームでの登板なしに終わった。左肩のクリーニング手術なので、もう少し時間がかかるだろう。これは育成契約となるのは予想された範囲。
だが、櫻井は9月末にはファームで何試合か投げていたし、映像で見た限りでは力強いボールだった。1軍に呼んでも良いのではないかと思ったほどなので、本当に育成契約となるなら、別のケガあるいはさらなる手術などが考えられるのだろうか。
手術という部分では、既に平田とオースティンが受けているが、新たに中川と佐野が右肘のクリーニング手術を受けたことが発表された。ベイスターズは近年、違和感がある箇所について、オフのうちに積極的にクリーニング手術などを受けさせている。手術が増えたのはトレーナーの問題と履き違えている方もいるようだが、昔のようにメスを入れることにためらいが少なくなっている。
アスレティックトレーナーの進化でリハビリの知見が蓄積され、手術をしても早い段階で復帰できるケースが増えてきた。それだけに、先日の投稿で書いたように、オースティンも違和感があるのなら早い段階で決断すべきだったと思うが、ここは外国人選手ということもあり、少し勝手が違うのだろう。ソトもオープン戦期間で手首の違和感が発生し、開幕に出遅れたが、手術などによる改善は図る必要はないのだろうか。
保存療法を選ぶ選手もいるだろうし、それで治まるケースもあるだろう。だが、違和感があって本来の動きができないと、不振が長引いたり、さらに悪化してシーズン中に長期の離脱を強いられることもある。リスクはゼロじゃないから気軽にはできないだろうが、医師やトレーナーと話してベストと判断すれば、早めに来季以降へ備えることも重要だろう。
今後も手術に踏み切る選手がいるかも知れない。そうしたことも考えられるので、田部が引退したことで想定外に支配下選手が減っているのであれば、FAや外国人選手の展開によってはトライアウトからの獲得も検討が必要だろう。特に内野手はかなり不安だ。松尾をショートで使うつもりなら別だが、それはないだろう。
2023年コーチングスタッフの発表
例年は少なからず入れ替えがあり、独立した記事で書くのだが、今年は近年では稀に見るくらい、入れ替えがなかった。昨年、OBが多数復帰し、実質的に2年目となる部分も大きいし、チームも2位となり現在の体制を継続して結果に結び付けたいということだろう。
位置 | 氏名 | 年齢 |
監督 | 三浦 大輔 | 49 |
チーフ作戦兼 バッテリーコーチ | 相川 亮二 | 46 |
チーフ打撃コーチ | 石井 琢朗 | 52 |
打撃コーチ | 鈴木 尚典 | 50 |
チーフ投手コーチ | 齋藤 隆 | 52 |
投手コーチ | 木塚 敦志 | 45 |
内野守備走塁コーチ | 田中浩康 | 40 |
外野守備走塁コーチ | 小池 正晃 | 42 |
巡回コーチ | 青山 道雄 | 63 |
巡回打撃コーチ | 田代 富雄 | 68 |
ファーム監督 | 仁志 敏久 | 51 |
打撃コーチ | 嶋村 一輝 | 41 |
打撃コーチ | 下園 辰哉 | 38 |
投手コーチ | 大家 友和 | 46 |
投手コーチ | 小杉 陽太 | 37 |
内野守備走塁コーチ | 永池 恭男 | 49 |
外野守備走塁コーチ | 柳田 殖生 | 40 |
バッテリーコーチ | 鶴岡 一成 | 45 |
育成打撃コーチ | 大村 巌 | 53 |
育成野手コーチ | 藤田 和男 | 42 |
野手育成コーディネーター 兼野手コーチ | 万永 貴司 | 50 |
投手育成コーディネーター 兼育成投手コーチ | 八木 快 | 32 |
「コーディネーター」という役割をファームに新設し、プロ野球経験のない八木氏を迎えた。育成選手および育成段階にある支配下投手を中心に、動作解析なども含め、フォームや球種をコーディネートしていく形だろうか。最新機器を使って数値化し、根拠のある方向付けができれば良さそうだ。小杉コーチもこのあたりは入って来るのかも知れない。
それ以外は数名が配置転換しただけというマイナーチェンジ。青山ヘッドコーチが巡回コーチとなった。打撃を見る田代コーチに加え、全体的な部分でファームとのパイプ役になるのだろう。1軍、ファームともにコーチ経験が長い青山コーチが、1軍のベンチに入るのではなく広い視野で、進藤編成部長らフロントとも話をしながらチーム全体の進むべき方向性を確認する役割か。
すでに今季もベンチで三浦監督と話し合う姿が多く見られた相川コーチが、チーフ作戦コーチを兼務する。攻撃なら石井コーチ、継投なら齋藤コーチがチーフとして存在するが、作戦に関しては相川コーチが中心的にまとめて三浦監督に進言し、監督が最終決断を下すという流れになるだろう。
ラミレス前監督時代からヘッドコーチを務めてきた青山コーチを離れ、三浦監督が監督としてより一本立ちすることを期待しての布陣か。石井コーチは、野手総合からチーフ打撃に変更。今年は、石井コーチ自身がシーズン終了後に無力を痛感したと言っていたように、打撃面でかなり苦しんだ。打撃に専念し、鈴木コーチと共に打棒復活を期す。
ファームは引き続き仁志監督が率いる。投手はもちろん、野手の育成選手も増えてきたので、大村コーチが育成メインとなったようだ。松尾のバッティングはもちろん、村川、大橋に加えて鈴木蓮、さらにまだ育成段階の小深田、粟飯原あたりも見て行くのだろうか。万永コーチも野手育成コーディネーターとして関わりつつ、野手コーチとして全体を見て行くことになりそう。
育成段階の投手は、新任の八木コーディネーターが方向付けをしながら、大家、小杉両コーチと連携して行く形か。阪神やオリックスの投手の育成力が素晴らしいだけに、良いところは見習って行きたい。
と書いて来たものの、コーチの評価は特に、素人ができるものじゃない。プロなので成績で判断とは言うが育成を担う部分でもあり、育つかどうかはスカウティングとの絡みもある。よくコーチについて語ったり、こうすべきという意見を出している人がいるが、ここに関しては内部の人じゃないと分かりようがない。波留コーチがオリックスに招聘されているようで、外部が勝手に憶測で言っていることとは違うことを表す。
若手選手には指導する場面は多いと思うが、コーチングとティーチングは別物。個人事業主たるプロ野球選手は、あくまで自己責任で自分の進む道を決める。その時、良きアドバイス役として寄り添い、真摯に練習に付き合い、向き合うことが求められるのかなと想像する。
1軍で言えば打撃、投手、バッテリーのメインコーチが2年目を迎えるので真価が問われるだろう。三浦監督も青山ヘッドコーチから離れ、後輩の相川コーチと連携しながら、より主体的に采配を揮うことになる。チームをさらなる飛躍に導けるか。2年目で2位に浮上させたが、重要となって来るのはここからだろう。まずは秋季トレーニングから、来季への準備が始まる。
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