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交流戦初優勝!最も負けて来たチームの歓喜

2023年のセ・パ交流戦は6月20日、優勝の可能性を残していた楽天が神宮でヤクルトに敗れ、横浜DeNAベイスターズの初優勝が決定した。DeNA、ソフトバンク、読売、オリックスの4球団が11勝7敗で並ぶ大混戦となったが、得失点率を表すTQB(Total Quality Balance)の差で順位が決定した。

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12位5回、借金65

昨年までの通算は157勝222敗11分で勝率.414で、12球団ワーストの成績。交流戦では散々、辛酸をなめさせられ続けてきた。少し振り返ってみたい。

年度勝率
200563619170.528
2006103615210.417
20073241491.609
200812246180.250
200912246180.250
201012246180.250
201111247134.350
201210249141.391
201312247170.292
201452413110.542
201512183141.176
20169187110.389
2017718990.500
20188188100.444
20194181071.588
2021318963.600
2022618990.500
20231181170.611
合計1140816822911.423

初年度の2005年は、チームも3位とAクラスに入り、交流戦を勝ち越し。ただ、結成間もない楽天に6勝0敗だったことで作れた貯金。2007年から24試合制に変わり、これも初年度は勝ち越した。

だが、2008年からチームが3年連続90敗以上をマークする暗黒時代。交流戦でも3年連続6勝18敗という成績で12位。パ・リーグの各チームにとってはボーナスステージで、取りこぼしたくないという相手だった。交流戦だけでなく常に負け続けていたが、ソフトバンクを中心にカモにされた記憶は簡単に消えない。

2012年からDeNAに変わり、2014年は久々に勝ち越し。だが、18試合制に変わった2015年は、5月に貯金11の快進撃から一気に転落。交流戦中に12連敗がスタートし、3勝14敗1分で勝率.176。これは今も交流戦史上最低勝率。

だが、2016年にラミレス監督が就任し、球団史上初のCSに進出すると、チームも力を付けてAクラスに入ることが多くなった。それに比例し、パ・リーグにも負けないチームになった。2017年からの6シーズンで見ると56勝48敗4分で勝率.538と大幅に改善している。

24試合制だった時代と2015年に大負けしたので、2023年の貯金4で盛り返しても、まだ通算の借金は61と膨大。だが、交流戦でセ・リーグが負け越す要因でもあったお荷物チームはもうそこにいない。5度の最下位を味わい、最も負けて来たチームが、遂に初の栄冠を手にした。

勝率の差で通算成績も11位に浮上。まだまだ借りはたくさん残っているが、ここからさらに反撃を加速させて行きたい。

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2023年の戦い

交流戦の開幕は、ビジターで楽天モバイルパークから。今永を中8日で立て、則本との投手戦を制した。4番牧の活躍はもちろん、それまで代打でヒットが出ていなかったオースティンが3安打したことが大きかった。今永が今季初完投をマークして白星スタート。

2戦目は、田中将の力投に屈した。石田も何とか5回1失点にまとめたが、終盤にリリーフが失点し、接戦を落とした。3戦目は打線が爆発。4回までに9点を奪い、東を強力に援護。大勝し、最初のカードを勝ち越してハマスタへ戻った。

GET THE FLAG SERIES 2023として開催されたハマスタの西武戦は、初戦が雨天中止となったが、2戦目にバウアーが好投し、高橋光成から4点を奪って快勝。翌日は平良海馬に抑え込まれ、0-4と苦しい展開だった。しかし、平良が代わった8回に、一挙5点を奪って逆転。振替試合は平良拳太郎が打ち込まれ、ビハインドの展開。追い上げたが連日の逆転劇とはならなかった。

2週目は、パ・リーグの上位であり、交流戦でも優勝の実績を誇るソフトバンク、オリックスとビジターで6連戦。ここが正念場だった。PayPayドームの初戦は、今永の好投を生かせずサヨナラ負け。2戦目は東浜に封じ込められて連敗。3戦目は東の好投と打線が3回までに5点を奪う援護で優位に進めた。しかし、伊勢が2失点、山崎が1点差に詰め寄られてなおもノーアウト1、3塁という絶体絶命の状況だったが、何とか後続を断って逃げ切り、辛くも一つ勝って福岡を後にした。

開幕カードで阪神に3連敗を喫した京セラドームでは、強力な先発投手陣と対戦。初戦は5勝0敗で防御率0.84という山下舜平大と対決し、6回に牧の同点打の後、守備の乱れで4得点で逆転。バウアーが9奪三振で連勝を飾った。2戦目はガゼルマンが4失点でKO。追い上げも届かなかった。3戦目は、防御率1点台で被本塁打ゼロの宮城に対して、2回までに3発で7得点という猛攻。ソフトバンクには負け越したが、オリックスに勝ち越して、ビジターの6連戦を5割で終えた。

交流戦の首位タイで最終週を迎えた。圧倒的な勝率を誇るハマスタでの6連戦に、交流戦初優勝の期待が高まった。日本ハムとの初戦は、今永がコントロールに苦しみながらもHQSをマーク。打線も下位と1、2番で5得点。2戦目はバウアーが本領を発揮。12奪三振で完投勝利を挙げ、連勝。3戦目は勝ち頭の東を立て、初回から牧の3ランで先行するも、2回に追い付かれた。3回に入るところで雨が強くなりノーゲーム。予備日程の19日に振り替えられた。

16日のロッテ戦には、交流戦で好成績を残している濵口を先発に立てたが、初回から2四球などで満塁とし、走者一掃のタイムリーを打たれた。終盤追い上げたが、リリーフが追加点を許して連勝が止まった。だが、2戦目は3回にカスティーヨから佐野、牧、宮崎で6点を挙げた。大貫が大量リードを守り10-1の大勝。さらに3戦目は、難敵の佐々木朗希から6回に牧のタイムリーと宮崎の2ランで勝ち越し、4得点。終盤にも追加点を挙げて連勝し、ロッテにも勝ち越した。

ソフトバンク、読売、オリックスは18日で全日程を終了。DeNAが単独首位に立ち、19日の振替試合で勝つか引き分けると優勝が決まる状況になった。敗れて勝敗が並んだ場合は、TQBで順位が決定するが、最終日にソフトバンクが9-0で勝利した為、DeNAが19日に2点差以上(6得点以上の場合は3点差以上)で負けるとソフトバンクが逆転優勝という予断を許さない状況となった。

19日は、ノーゲームとなった試合で先発した東や平良ではなく、今季はリリーフとして好投を続けていた上茶谷をオープナー的に起用。4回無失点と期待に応えた。三嶋がハンソンのソロで先制を許したが、大和のタイムリーで同点とし、7回に佐野の2点打で勝ち越し。いよいよ優勝かと盛り上がったが、伊勢が2失点で追い付かれた。その後のピンチをエスコバーが断ち、延長戦に入った。山崎が万波に痛恨のソロを浴び、1点差での敗戦となった。

TQBではソフトバンクを上回る数字で全日程を終了したが、楽天が同率で並ぶ可能性を残していた。TQBがマイナスだった楽天がひっくり返す可能性は限りなくゼロに近かったが、20日のヤクルト戦で敗れ、DeNAの交流戦初優勝が決まった。

TQBが順位決定の方法に採用されてから、同率で3チーム以上が並び、TQBの数値で優勝が決まるのは史上初。半分の9試合を終えた時、6チームが同率首位に並ぶ混戦は、最後まで続いた。11勝7敗で並んだ4チームのTQBは以下の通り。DeNAがあと1点取られていたら優勝がソフトバンクになるというくらい、僅差だった。ここまでの僅差は、今後もうないかも知れない。

チームTQB得点攻撃回失点守備回
1DeNA0.14080157.059159.7
2ソフトバンク0.13586159.765161.0
3読売0.10772161.355162.0
4オリックス0.06866161.056163.7

個人別では、牧が交流戦.380と3位の高打率。2本塁打だが13打点。4番の仕事として重要な場面での一打が印象的だった。そして、宮崎も.345と高打率だが、交流戦前までに.385の驚異的打率を誇っていたため、少し下げた。だが、4本塁打15打点と活躍度は牧を上回っていた。

佐野と関根はやや苦しんだが、要所での活躍は印象的。ソト、オースティンも数字を上げ、キャッチャー陣では戸柱の活躍が目立った。

投手ではバウアーが3戦3勝。19日に中4日で登板すれば、18試合制ではほぼ不可能な4勝を狙えた。バウアーの状態が交流戦に入ったところで上がったことが、交流戦優勝に繋がった。今永も防御率1.50をマーク。ソフトバンク戦で援護がなく2勝だったが、素晴らしい活躍だった。東も3試合目の登板が雨で流れ2勝。大貫も大量援護に恵まれて2勝と先発の4本柱が確立し、安定した戦いができた。

リリーフは、伊勢と山崎の状態が悪かったが、最後の試合を除けば二人とも悪いなりに何とかして来た。三嶋、入江、ウェンデルケンで何とか回す中で、森原とエスコバーが戻って来た。そして、最終戦では先発した上茶谷がフル回転で貢献した。

難しいが投打でMVPを選ぶとすると、牧とバウアーだろうか。宮崎も印象的で素晴らしい活躍だったが、フル出場して高打率を誇った牧を評価したい。

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もう一つの真の頂点へ

もちろん悲願の交流戦優勝は嬉しいし、今は喜びを爆発させたい。まず1つ目の頂に登ったが、本当に狙うのはあと2つの頂。リーグ優勝と日本一というさらに険しい頂点への戦いが続いて行く。

当然ながら交流戦優勝も意識し、狙いに行ったが、そこへ過度にフォーカスしなかったと思っている。現地に行った一人として、最終戦で勝ちハマスタで歓喜を分かち合いたかった。だが、そこで終わりではないし、むしろ次の頂に向けて重要な試合が週末に控えている。

交流戦優勝がかかって、今永を中5日で投げさせたり、東も無理に行かせなかった。バウアーも中4日なら彼の方からWelcomeだったはずだが、次の登板をベストにするための調整を選んだと思っている。

負けて翌日決まったことは残念ではあるが、ギリギリで交流戦優勝も手に入れ、週末の阪神戦そしてその先のオールスターまでの重要な戦いに向けて準備ができたと思っている。

交流戦優勝のために全てを投げ打たなくて良かったと思うには、週末の阪神戦で結果を残すことが必要。6月下旬であればまだ天王山でも正念場でもない。ただ、2.5ゲーム差での対戦で、首位攻防戦であることには違いない。交流戦前に甲子園で3連敗を喫しており、優勝を争うライバルとの対戦で星を戻したい。

初戦は今永、2戦目は大貫か東を立てるかも知れない。3戦目は20日のファームで60球の調整登板を行ったバウアーとなる。時期も状況も全く違うが、昨年の8月にヤクルトに接近したが、直接対決で3連敗し、優勝は遠のいた。時期からしてもここで3連敗して終わることはないが、交流戦で詰めた差を戻されると精神的にもダメージがある。やはり直接対決は重視すべきところだろう。

最終戦で少し萎んでしまったが、交流戦優勝の勢いで、圧倒的数字を誇るハマスタで首位阪神とどんな試合をするか。次の頂へ向けた頂戦を楽しみにしている。

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