横浜DeNAベイスターズは3月14日、トレバー・バウアーと、2023年シーズンの選手契約を締結したことを発表した。暴行の疑いで捜査を受けたことから出場停止となり、今年1月に自由契約となっていたが、球団は問題なしと判断し、獲得に至った。背番号は96で今月下旬に来日の見通し。
繋がっておけば何があるか分からない
MLBはほとんど見ない管理人でも知っている投手。その理由は、2019年にバウアーがDOCKを訪問というニュースを見たからというのもある。
この時、今永や京山と対面して話をしている。そして、将来日本でプレーしてみたいと語っていた。MLBからドラフトで指名を受けて入団する際も、自身が思ったトレーニングができないならば日本の球団に入ることも選択肢の一つだったと話している。
ただ、嘘ではないにせよ、MLBのトップクラスの投手が全盛期にNPBへ移籍することは現実的ではない。引退間際とかじゃなくて、とは言っていたが、リップサービスの部分も大いにあったかと思う。「縁があってベイスターズに来れば面白い」とは書いたが、それが現実になるとは。
2020年にサイ・ヤング賞を獲得。MLBトップクラスの先発投手となったバウアーは、オフにFAでドジャースと3年総額1億200万ドル(約138億円)の大型契約を結んだ。しかし、2021年に女性への暴行の容疑で警察から捜査を受け、7月2日に制限リストへ入り、試合に出場できなくなった。DVなどの禁止規定違反による324試合の出場停止処分を受けたが、その後不起訴となり、194試合に軽減された。
その為、2023年からは復帰できる状況にあったが、ドジャースは1月に40人枠から外し、自由契約となった。このニュースも目にしたので、間違ってベイスターズに来ないかなと思ったが、さすがにそれはないだろうと。NPBへの移籍があるとして読売かソフトバンクという感じだろう。
公式Twitterで3月14日の2:00に「Who’s next?」と意味深なツイート。
普通に起きてた時間なのだが、見ずに寝てしまっていた。起きたらビッグニュースが飛び込んでいた。この衝撃は、グリエル獲得のニュース以来。あのグリエルがベイスターズに!?となったが、あれは青天の霹靂だったが、今回は本当に来るのか!という感じ。
DOCKを訪れた縁と、ベイスターズのフロントの熱意、戦略がミラクルをもたらした。繋がりというのは大事だなと。何が起こるか本当に分からない。
「日本でプレーするという夢をファンの皆さんの前でお見せすることができる球団として、ベイスターズ以上のチームはない」と嬉しいことを言ってくれる。
ベイスターズとの契約は出来高含めて4億円と推定されている。ドジャースとの3年契約は自由契約となったが、年俸は支払われると見られる。バウアーとしても、2022年シーズンは登板なしに終わっており、MLBに復帰する上でも2023年に興味を持っていたNPBで登板し、足掛かりにする狙いもあるかも知れない。
球団としても昨年2位からのDeNA初優勝に向けて、強力な選手が手の届く範囲に入って来た。両者の利害が2023年に対して一致したことによる1年契約。球団の本気度も示されたので、コメントの通りに優勝への最後のピースになってもらいたい。
グッズどころか特設サイトまで
2:00の「Who’s next?」のツイートの後、スポーツ各紙がDeNAバウアー獲得を一斉に報道。そして、予告通り9:00に正式発表された。
まさかの特設サイト。1選手の獲得でここまでやるのは異例中の異例。
そして、MOVIEには三浦監督とのオンライン会議の様子に加えて、既にベイスターズの新ホームユニフォームを着てのメッセージが収録されていた。三浦監督も現役バリバリが横浜に来るのは前例のないことと、驚きと興奮を隠せない様子だった。
そして、9:00の段階で第1弾としてグッズの発売。さすがに4月以降順次発送だが、オーセンティックとレプリカのユニフォーム、選手名タオルが発売された。これは勢いで買ってしまう。ちょうど細川ユニの後どうしようかというところ、これは運命でしょう。
しかし、グッズはさておき、ここまで契約交渉と準備を進めて来ていて、全く情報が洩れなかったことは、TBS時代を知る者として感心してしまう。あの頃は洩れてはいけないことも筒抜けだったから。まともな組織になったものだ。
3月下旬には来日の予定ということなので、これは本当に来てくれるようだ。やはり実際に来日して、1軍登板するまでは実感が沸かない。2022年は試合で投げていないので、どんな状態でブランクがどう影響するのか。2019年に訪れたあの横須賀で、試合に投げる日が来るのか。バウアーがスカスタで投げる日はちょっとした騒動になりそうだ。
外国人枠はさらに熾烈に
今年も出場選手登録が5人、ベンチ入りが4人のルールが適用される。既にエスコバー、オースティン、ガゼルマン、ソト、アンバギー、ウェンデルケンの6人が在籍しているが、そこへバウアーが加わって来る。
オースティンはまだリハビリでしばらくかかるだろうし、バウアーも1軍でいつ投げ始めるかは未知数。ウェンデルケンの腰の状態次第では、開幕時点では4人しかいない状況になる。そこから3人が入って来た時にどう運用するか。
ケガがない前提で、打線の中でソトは外せないし、リリーフのエスコバーも必須。現状のローテーションだとガゼルマンも入って来るだろう。アンバギーはオープン戦の最後まで見るとは思うが、開幕時点では1軍に入るのではないか。
バウアーが1軍で投げる場合、ガゼルマンと二人が先発なので、出場選手登録をしたままベンチを外れれば良いので運用できる。そこへウェンデルケンも加わって来た場合は、6人目になるので難しくなる。アンバギーを落とすのか、先発のガゼルマンを外すのか。そのタイミングのチームが、先発とリリーフのどちらが不足しているのかによっても変わるだろう。
最終的にオースティンが復帰した場合は、さらに難しくなる。理想というか、想定は以下の通りだろうか。
[1軍] オースティン ソト エスコバー * ウェンデルケン * バウアー * バウアーが先発する場合はベンチを外れる [ファーム] アンバギー ガゼルマン
1軍の5人は、実力を発揮したら凄い顔ぶれだ。もちろん、ウェンデルケンの状態にもよるし、アンバギーやガゼルマンが外せないくらいの成績を残せば、バックアップではなく1軍に入って来るだろう。だが、ケガ人が出てもバックアップが強力という状況にはなる。三浦監督にとっても嬉しい悩みになれば一番いい。
中3日を提唱するバウアーがローテーション入りした場合、どのように使うのかも注目。中6日で回るとは思えないので、他の投手を入れ替えながら回して行く形になるだろうか。
いずれにしても、来日して試合で投げるのを見るまでは何とも言えない。ただ、近年になくワクワクすることが起こったということだけは間違いない。その日を楽しみに待ちたい。
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