横浜DeNAベイスターズは18日、中日の京田と砂田のトレードが成立したことを発表した。ショートを守る守備力のある内野手を求めるDeNAと、リリーフ左腕を求める中日の思惑が一致したようだ。中日は15日に内野手の阿部をトレードしたばかりで、電撃的なトレードが続いた。
噂は尽きなかったが阿部を出した直後に
これは驚いたね。18日の昼頃、電撃トレードが明らかになった。DeNAと中日の間で、砂田と京田の1対1のトレードが成立した。
京田については、2022年は開幕から精彩を欠き、5月4日のハマスタでのDeNA戦で、打球を後逸するミスがあり、立浪監督が「戦う顔をしていないので外した」とファーム行きを命じられた。その後、7月に復帰するも調子が上向かないままコロナの陽性判定を受けた。8月に再び1軍に戻ったが、2試合で結果が残せず。それ以降は1軍での出場がないままシーズンを終えた。
こうした処遇からも、京田をトレードで放出するのではないかという憶測、噂が尽きなかった。シーズン終了後も、倉本、山下、田部と内野手が多く戦力外となり、ドラフトでも支配下では1名しか指名しなかったDeNAとのトレードも噂されていた。週刊誌のネタに過ぎないが、中日が木下に次ぐ捕手が手薄ということもあり、戸柱とのトレード話があったとされていた。
しかし、DeNAは嶺井がFAを行使し、ソフトバンクの移籍が決定的となっていた。さらに15日には内野手の阿部が、楽天の涌井とトレードとなり、これにより京田のトレードもなくなったと思われた。そのため、京田がトレードされること自体は、何ら不思議なことではないが、このタイミングで京田がトレードされたことは驚きだった。
中日にとっては、ここ数年の二遊間を支えてきた主力を一気に2人、トレードで放出する形となった。さらにリーグ2位の防御率をマークした投手陣がありながら、交換要員がいずれも投手ということも理解が難しいトレードだった。Twitterでは「中日大丈夫」がトレンド入りし、「若い投手」と「涌井投手」の聞き間違いではないかなど物議を醸した。
阿部、京田に加え、今季もショートでスタメン出場していた三ツ俣も戦力外となっており、土田の成長はあったが、来季の内野手の陣容が懸念される。中日はドラフトで、2位の村松を始めとして支配下で4名の内野手を指名しており、新たな顔触れでチームを再建する考えなのだろう。ルーキーでレギュラーも期待できる選手がいるという算段かも知れない。
砂田、京田の双方にとってプラスなトレードに
DeNAは、昨年58試合に登板した砂田が、今季は不振で15試合登板に終わった。リリーフ左腕では、エスコバーが来季も残留し、田中健が今季、本格的に復帰。平良も復帰が見込まれる先発は頭数が揃うので、坂本のリリーフ転向、さらに今季途中に支配下登録となった石川も見込んでいるのだろう。
ここまで269試合登板、72ホールドの輝かしい成績で、チームにとっては重要なリリーバーではあるが、補強ポイントにマッチする京田の獲得に際し、苦渋の決断を下した。現状のチームを考えれば、リリーフ左腕よりもショートでスタメンを張れる内野手の方が必要性は高い。
中日では、リリーフ左腕と言えばまず福の名前が浮かぶが、それ以外となると名前がなかなか出て来ない。その福も10月25日に胸椎黄色靱帯骨化切除術を受けており、リリーフ左腕の補強は一番の急務で、DeNAよりも砂田の存在価値はより大きくなることが予想される。2022年はやや前年の疲れもあったのかコンディションが十分ではなかったが、2021年は厳しい場面での登板が続く中でも見事な火消しを見せていた。その力があれば、まだまだ活躍できるはずだ。
育成1位から支配下登録を勝ち取り、途中からリリーフに回った。現役時代の阿部慎之助から絶賛された投球を見せ、DeNAのブルペンになくてはならない存在となった。2017年は62試合に登板し、チームのCS、日本シリーズ進出に大きく貢献。2018年はキャリアハイの70試合に登板した。
その疲れが響いたのか、2019、2020年は20試合に届かず不振が続いたが、2021年に復活した。隔年と考えると2023年は新たな環境で躍動しそうな気配がある。
一方のDeNAは、センターラインのショートに苦労している。今年は春季キャンプから森敬斗が躍動し、石井琢朗コーチの下、一気にレギュラーを掴みそうな雰囲気があった。しかし、沖縄でのオープン戦で負傷し離脱。1軍への合流は6月と出遅れた。
その後はスタメン出場で結果も残し、チームの期待も高まった。しかし、コロナの陽性判定を受けるなど、出番を十分には掴めず、61試合で.234に終わった。石井コーチが森について「もっと頑張って欲しい」と苦言を呈すなど、チームの期待ほど力をつけられていない状況。
そうした中でも、倉本、山下に戦力外通告し、10月末には田部にも戦力外通告を行った。15日には育成契約でロッテから戦力外通告を受けた西巻を獲得したが、2023年にショートでスタメン出場が可能な内野手の補強が急務だった。
三ツ俣、安部の獲得に至らなかったことから、一部ファンからフロントを批判する声も出ていたが、こういった展開を用意していた。嶺井がDeNAに移籍する意向を伝えた後すぐにこのトレードが成立したことから、噂されていた戸柱か砂田の交換要員で保留されていたとも考えられる。ドラフト、戦力外選手の獲得においても、京田の存在を考えつつ動いていたのかも知れない。
京田は、ルーキーイヤーから走攻守で活躍し、新人王を獲得。最初の3年はいずれも140試合以上に出場し、中日で不動のレギュラーとなった。2020、2021年は少しずつ出場を減らしたものの、ショートのレギュラーとして活躍して来た。2022年だけが不振に苦しんだが、来季29歳とまだ老け込む年ではなく、監督との相性もあったかと思う。
京田は特にDeNA戦でよく打ったので、ベイスターズファンにとっては評価が高い選手。もちろん、DeNAでこれまで以上に輝いてくれることを期待する。守備に関して言えば、安心してショートを任せられるレベルで言うことはない。
ただ、バッティングに関して言えば、打率が.250とショートの守りを考えれば及第点を残しているが、出塁率が3割程度で、四球を選べない。1、2番で起用するには少し躊躇するレベル。また、走力に期待する声もあるが、ルーキーイヤーに23盗塁をマークし、3年で60盗塁だったが、近年は1桁に留まっており、盗塁という意味ではあまり期待できない。もちろん、盗塁以外にも走力は生かせるので、そこは期待している。
球団もファンも、ショートは森がレギュラーを獲り、日本を代表する選手になって欲しいという思いがあるだろう。個人的にもそうだ。だが、低いハードルでポジションを得ても、そのレベルには到達しない。大和、柴田がいる上に、さらに京田も加わることでより高いレベルの争いになる。
右打者でチャンスでの代打もある大和は別にしても、京田、柴田、森、さらには林も含めて左打者のショート争いが繰り広げられることになりそうだ。今年、1割台と不振にあえいだ柴田は、走力がない分、かなり厳しい立ち位置。背水の陣で臨んで欲しい。
森を簡単にレギュラーにさせない為にも、京田が大きな壁になって欲しい。個人的にはショートのレギュラーを獲って欲しいのは、チームを勝たせられる選手。それが森ではなく京田なら、それでいい。あるいは、この状況に発奮した柴田が大きな飛躍を遂げるなら、それもいい。とにかくショートのレベルを引き上げて欲しい。
電撃的なトレードだが、ポジションは異なるが年齢、年俸的なつり合いは取れている。砂田、京田の双方にとってプラスとなるトレードにして欲しい。
嶺井はソフトバンク移籍が21日に発表へ
既に先週のソフトバンクとの交渉後、西日本のスポーツ紙では嶺井のソフトバンク移籍が決定的と報じられ、当ブログでも前回の投稿で書いた。この日、DeNA側に嶺井から移籍する旨の返答があったとされる。21日に移籍が正式発表される見通しのようだ。
報知の記事では、「同等程度の条件を提示」とあるが、これはどうだろうか。条件は公表されるものではないので、実際のところは当事者にしか分からない。合っているという根拠も、間違っているという根拠もない。同等程度という表現も曖昧なので、年俸に乖離があっても年数が同じなら同等程度とも言える。
嶺井の今季年俸を考えれば、所属球団の査定で、FA権を行使したことを差し引いても、報道されているソフトバンクと同額の条件を提示するとは思えない。そのあたり、井納や梶谷の時の反省を生かしているという可能性はある。だが、あまりにも逸脱した条件を出してしまうと、来年以降も苦しむことになると思う。
繰り返しだが、嶺井には移籍して欲しくないし、移籍となればかなりの損失になる。ただ、今年は主戦として出場したが、現状は他に代えが全く利かないポジションではない。ケガなどアクシデントに備える必要はあるが、伊藤光、戸柱と経験もある捕手が他に2人いる。契約を歪にしてまで残ってもらう必要はない。
仮に同等程度の条件を提示していたなら、もはや移籍理由は地域的なことか、日本一になりたい、さらに成長したいという向上心という感じになって来る。それに加えて東浜の存在かも知れない。そうなると、引き留められないのはやむを得ない。
ここまでベイスターズで9年プレーした選手なので、明日から敵!とはならないが、個人的には「好きな選手は、ベイスターズの全員。一番好きな選手は、ベイスターズを勝たせてくれる選手」なので、引き続き応援という気持ちは特にない。ソフトバンクで頑張って欲しいと思うし、またいつかベイスターズと運命が交わることがあれば、その時はおかえり!と言いたいと思う。
これを受けて、京田とのトレードも発表に至ったようにも見える。嶺井の移籍を受けて、来季中にFAを取得見込みの戸柱に、どういう契約を打診するか。松尾の成長や上甲に期待するなら、単年契約になるかも知れない。戸柱本人の意向もあるだろう。
前回書いたように、捕手は1軍の枠が1つ空くことになるので、若手の捕手には1軍を目指して目の色を変えて欲しい。松尾の成長度合いによっては、時間はかなり限られてくる。
内野手の問題が1つ大きく進展した。あとは、外国人選手の獲得があるかどうか。クリスキー、ガゼルマンは去就が微妙な状況だが、彼らに代わる選手を獲得するかどうか。また、これは多くのファンも考えているだろうが、オースティンが肘の手術をし、ソトも手首に爆弾を抱えている。外国人野手の獲得も考えてもらいたい。
コメント