NPB AWARDS 2022が11月25日に開催され、ベストナインや最優秀新人などのタイトルホルダーが表彰された。ベイスターズからは、牧が二塁手、佐野が外野手でベストナインに選ばれた。ファームでは石川が優秀選手賞を獲得した。MVPはヤクルトの村上が満票で受賞。パ・リーグは山本だった。
2年目のジンクス乗り越えた牧
ヤクルトの山田を始め、名手の菊池、吉川尚などが揃うセカンドで、271票を集めて文句なしの受賞となった牧。昨年はシーズン後半に爆発し、新人王を広島の栗林と争ったが僅かに届かず、特別賞となった。ルーキーイヤーで好成績を収めただけに、2年目のジンクスを心配する声もあったが、きっちりと数字を残し、このNPB AWARDSの場に戻って来た。
打率こそ.314から.291へ下げ、3割を切ってしまったが、本塁打、打点は自己最高を更新。コロナやケガによる数試合の欠場はあったが、135試合に出場し、そのほとんどを4番でフル出場したことは評価できる。守備力も向上が見られ、好守を見せた。そして、村上には大きく水をあけられたものの、87打点はリーグ2位と勝負強さも見せた。
得票率は72.6%と圧倒的だった。村上、青柳に次ぐ高い数字で、セ・リーグのセカンドと言えば牧という新たな時代の幕開けとなりそうだ。今年は、リーグ連覇には貢献したが山田が本調子とは言えず、菊池も中盤以降はコロナの影響も受けるなど、攻守でらしさが影を潜めたこともあるだろう。
牧にはここからベストナインの常連となる活躍を期待したい。来年は、ベストナインに加えて、他のタイトルでも表彰されるくらいでないと。村上の存在はあるが、本人が望む打点王を獲って欲しい。
そして、激戦の外野手では佐野が2位となる181票を獲得し、2年ぶり2度目のベストナインに輝いた。今年は3年連続の3割を達成した他、最多安打のタイトルも獲得した。コロナ禍で多くの選手が欠場に追い込まれたが、ケガによる10試合の欠場に留めた。試合の途中からはファーストに回るなど、2つのポジションをこなし、最後まで試合に出続けたことで、打席数も多く最多安打に届いた。
ソトが不在の際にはファーストでのスタメン出場もあり、実際にファーストではオスナの160票に続く2位の41票を獲得している。外野での出場の方が圧倒的に多かったが、やや票が割れたところもあり、それでも何とか外野でベストナインを獲得できて良かった。両方の票を合計すると、牧に続くセ・リーグで4番目の得票数となる。首位打者のタイトルホルダーではあるが、リーグを代表する打者の地位を確固たるものにしている。
キャプテンとしては初めてのAクラスとなり、前年の最下位からチームを浮上させる役割を担った。一時は村上と首位打者を争い、三冠王を阻むのは佐野かと言われたが、9月に大きく調子を落としてしまった。それでもリーグで4人しかいない3割打者となったのは流石という感じ。
オフには右肘のクリーニング手術を受けた。そのあたりも9月の不振や外野守備での送球などに影響していた可能性もある。キャンプからしっかりと動ける状況になりそうな見通しで、来季は万全の状態で再び首位打者を獲得して欲しい。石川、筒香がなし得なかった優勝に向け、キャプテンとしての集大成を見せて欲しい。
サードは村上がベストナインに選ばれたが、298票。1票だけ宮崎に投票があった。今年のサードはさすがに満票でもおかしくない状況だが、ゴールデングラブでマクガフやポランコに投票した記者に比べれば、大きく問題のある投票ではないだろう。しかし、MVPの方は逆に村上が満票だった。ベストナインでは宮崎に投票した記者は、MVPでは1位で投票したということなのだろう。
投手では青柳が286票とダントツだった。今永も好成績ではあったが、防御率、最多勝のタイトルに少しずつ届かなかった。ノーヒットノーランはあったが、特に前半戦の青柳は素晴らしかったので、印象的にも及ばなかった。十分ベストナインを狙える投手なので、来季は獲得して欲しい。
エスキー、TA、ソトの残留を発表
23日には、エスコバー、オースティン、ソトの3選手と2023年シーズンにおいて選手契約を結ぶことが発表された。3選手とも複数年契約を結んでいたと見られるが、チームの根幹となる戦力だけに、2023年も引き続きチームの力になってくれるということは喜ばしい。
特にエスコバーは代えの利かない投手。砂田を出して京田を獲得しただけに、リリーフ左腕においてはまずエスコバーが例年通りの鉄腕を発揮した上で、田中健やその他の若手を絡めて行く必要がある。球団の許可が下りれば母国のリーグ戦で登板したいような話もあったエスキーは、ホントにタフ。そのタフさに甘えて無理な起用が続いているが、彼も30代に入ったので、そろそろ考慮するべきだろう。故障してしまっては、リリーフの崩壊に直結する。
今年はケガで開幕に不在となったオースティンとソト。ソトは3週ほど遅れて合流し、117試合に出場した。ファーストの守備では成長を見せ、UZRはリーグトップをマークした。佐野のレフトの守備固めという形で、佐野がファーストに回り、ソトには代走で神里が出てそのまま外野へというパターンが多かった。不調の時期には早めに交代することもあり、出場機会は減少した。
それもあってホームランは来日5シーズンでワーストとなる17本に終わった。特に4月末から6月後半まで約2ヶ月ホームランが出なかった。打率は.266と回復傾向にあるが、やはり魅力である長打が影を潜めたのは寂しいところであり、外国人選手としては危険信号にもなって来る。
2021年からの3年契約は2023年で切れる。ソトも横浜の街を気に入ってくれているが、その先もあるかどうかは2023年の成績次第。2022年のオープン戦で違和感を覚え、開幕を欠場した右手首に関して、特に治療などを行っていない様子で、来季に影響が出ないのか気になるところ。
同じく右肘の違和感で開幕を欠場したオースティンは、4月にクリーニング手術に踏み切った。6月には実戦復帰したが、外野からの送球に不安があるということで、ソトがコロナで離脱したこともあり、ファーストでの起用も模索された。しかし、オースティンが1軍に上がった後すぐにソトも復帰し、結局は守備に就くことはなかった。
38試合で代打として起用され、打率.158、1本塁打、3打点。期待には程遠い数字となった。開幕時点で、後半戦から戦力になってくれれば、という感じだったが、結局シーズンを通して戦力になれなかった。昨年以前の活躍、そしてナイスガイという点でファンからの人気は絶大。8月2日に代打で今季初出場した際は、シーズンで最も大きいのではないかという拍手が送られた。
だが、冷静に考えれば推定年俸2億円で中軸を計算した彼がこの状態では厳しい。投手陣が頑張って2位には躍進したものの、優勝を逃した大きな要因の一つだろう。当然ながらオースティンもその責任を痛感していると思う。
右肘の状態は悪かったようで、10月に靭帯の修復術を受けた。内容は異なるが再手術という形。チームが夏場に飛躍し、優勝争いに加わったことで、代打でも戦力になりたいというオースティンの気持ちを汲んで最後までベンチ入りを続けた。代打の層が決して厚いとは言えず、一発逆転を秘め、球場の雰囲気を変える魅力があったことは事実。だが、その分再手術が遅れてしまったことで、2023年の開幕も微妙なタイミングとなってしまった。
2022年から3年契約プラス球団のオプション1年と言われるオースティン。まだ先がある選手だが、全盛期を迎える年齢でケガによる離脱が長引くのは勿体ない。一番懸念しているのは、修復術を選んだが結局改善せず、再建術いわゆるトミージョン手術になることだ。複数の専門家が診断を下し、本人も最適と選んだ治療方針だが、これ以上の離脱はチームへの影響も大きい。2023年は雄姿を見せてくれることを願いたい。
オースティン、ソトともに大きな不安も抱えている。外国人選手の枠の問題はあるが、支配下登録の野手も獲得すべきと考える。特に、2022年はオースティンを欠いたことで打線の迫力、得点力不足が露呈した。2位になったのは投手陣が想定以上の力を発揮したためであり、メインで捕手を務めた嶺井もFAで移籍したこともあり、同程度の打線では成績は下がることしか考えられない。
最悪、オースティンやソトが試合に出られない、あるいは極度の不振に陥った場合に、バックアップとなるような選手が欲しい。新外国人だと、そもそも日本の野球にマッチするかどうかという点からになってしまうので、経験者がベストではあるが、年俸面も含めて折り合うのは難しいだろうか。ウィーラー、ポランコ、キブレハンと、守備に難点のある選手が自由契約になっている。一番いいのは、2017年のソトのような選手が新たに来てくれることだが、こちらの動きも注視していきたい。
楠本が大幅増でレギュラー獲り期待
1軍選手の契約更改も次々と進んでいる。近年のベイスターズは、おそらく査定も明確な数字で出しているのだろう、あまり不満の声が漏れて来ない。昔は、マスコミが待つ会見場で保留したことを発表していたが、コロナ禍もあり、それが行われていない為、実際は保留ということもあるかも知れないし、下交渉もしているのだろう。
全体的な印象では2位に躍進したこともあり、良い条件を提示されているように感じる。個別の年俸に対して、一つ一つ批評するつもりはないが、楠本には大きな期待が込められているかなと感じた。前述の通り、オースティンが来季の開幕にも間に合わない可能性が高く、楠本がレギュラーを獲ってくれることを期待している。今年は大きなチャンスだったが、コロナの陽性判定を受け、掴み切れなかった。
6月、7月と2ヶ月続けて打率が1割を切る不振があった。本人の中でも迷いというか試行錯誤があったのだろう。8月以降は、当てに行くのではなくしっかりと振るようになった。8月、9月は2本ずつホームランをマークし、長打力を発揮する中で打率も3割以上をマークできた。
天才的なバットコントロールを見せる選手だが、振るべきボールはしっかりと振る必要があるだろう。バッティングの感覚が近いと言っている鈴木尚典コーチもそうだった。プロのトップレベルのボールは、当てに行くだけではそうそうヒットにはならない。来季は鈴木コーチのような活躍を見せて欲しい。
年俸2000万円前後の若手は、基本的には1軍での出場機会が多ければアップする。しかし、5000万円台の柴田は微減にとどまった。守備には何度も救われたが、打撃面があまりにも酷かった。京田の獲得もあり、背水の陣となる2023年に向け、気持ちを切り替え、基本からやり直して欲しい。
1億円プレーヤーになることは確実な牧が、どこまでの数字を提示されるのか。そして、FA取得が近づく戸柱、今永らとは複数年契約を結ぶのか。そのあたりが注目される。
FAもあとは近藤がパ・リーグのどのチームを選ぶのかという状況。今後は現役ドラフト、外国人選手の獲得となるが、山崎のポスティングもどのような結論に達しているか。MLBのウィンターミーティングまでは動かないので、今すぐにポスティングする意味はないだろうが、挑戦するならその方針くらいは表明しても良いような気がする。
26日のファンフェス、あるいは来週にそれがあるのか。山崎個人のファンミも12月18日に予定されているし、12月23日にはtvkのプレイバック熱烈LIVEにゲスト出演も発表された。ポスティング申請するなら、この時期は本人も現地に入っているのが通例な気がする。2023年のMLB移籍は断念したということだろうか。チームにとっては重要なクローザーで、三嶋の復帰も計算できない面があるので重要。康晃からの言葉を待ちたい。
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