06/23 横浜DeNA3-0中日@ハマスタ
DeNAは注目の新外国人選手オースティンが4試合目で初のスタメン。初回にいきなりセンター前へ来日初ヒットを放つと、先制タイムリーを含む4安打。積極的な走塁に守備では果敢なダイビングも見せた。先発の濵口は完封目前で降板も初勝利を挙げた。
ポジ
オースティンが魅せた
右腕の違和感で開幕から代打での出場になっていたオースティンが、4試合目のこの日からスタメンに復帰。2020年のDeNA新打線が初めて完成し、そのデビューに注目が集まった。
初回、2アウトランナーなしから2球目の高く甘く入った球を弾き返した。打球は柳の足元を抜け、センター前ヒットとなった。続く第2打席も2アウトランナーなしから、真ん中の変化球を右方向へ運び、早くもマルチ。
3打席目はノーアウト1、2塁からソトが見逃し三振に倒れた後に登場。高めのストレートを今度は引っ張ってレフト前へ運んだ。チームにとっても貴重な先制点は、来日初打点。7回にはこの日4本目のシングルヒットを放った。
1998年にはマラベが、デビュー戦で3安打を放ったが、それを超える衝撃のデビューになった。マラベは翌日も3安打を放ったが、すぐに打てなくなって姿を消した。ただ、チームは勢いづいて優勝を果たした。
オースティンの魅力である特大のホームランは出なかったが、想像しない1試合4単打でのデビュー。やはり高め、ストレートは強いなという印象。今後は変化球攻めになった時にどこまで我慢できるか。ロペス、ソトに加えて何よりラミレス監督という良いアドバイザーがいるから、そこまで心配はないかもしれない。
この日は走塁、守備でも魅せてくれた。3回は佐野の左中間二塁打で、一塁から激走してホーム突入。さらには、5回もタイムリーを放った後、ロペスのタイムリーで一塁から三塁へ再び激走。これもライト平田の好判断と強肩でアウトになったが、全力プレーを見せてくれた。スタメン初試合で4安打も凄いが、いきなり走塁死が2つ。でも、コーチャーの指示通りだし、積極的にプレーした結果。
9回は、1アウト1、2塁でリリーフした山崎が、遠藤に強烈なライナーを打たれ、打球はライトへ。セカンドのソトは柴田に代えていたが、ライトはオースティンのままだった。オースティンは果敢に打球へダイビング。
捕ることはできず二塁打となったが、この積極的なプレーで捕られたと勘違いした阿部がホームでタッチアウト。2点差となってなおも1アウト2、3塁という場面のはずが2アウトになった。このプレーが大きかった。
バッティングが魅力の選手だが、走塁、守備でも全力プレーで魅せてくれた。ここまででも十分にベイファンの期待を集めているが、この試合でさらに心を掴んだと思う。ケガが心配になるくらいのハッスルだが、今後もオースティンが楽しみだ。
濵口は完封に届かず
8回を投げ終えて127球。ちょっと完封は難しいかなと思っていたが、8回裏に高城が打席に入った。この時点で濵口続投。山崎に代えるなら、高城に代打を出して、守備から嶺井を入れるはずだからだ。高城が三振に倒れて2アウト。濵口が打席の一番隅に立って三振。9回のマウンドへ向かう。
先頭の阿部は打ち取った当たりが、ショートの深い位置まで転がり内野安打。続く京田の強烈なライナーはショートの正面。この完璧な当たりはヒットにならないのが野球の面白いところ。代打のルーキー郡司は詰まらせたがレフトの前に落ちた。同時に、ラミレス監督がベンチを出た。
今永を越えてエースになりたいと決意を口にしていた濵口。新婚となり、4年目を迎え、さらにコロナ禍での開幕。期するものがたくさんあったマウンドだった。
立ち上がりからボールは荒れていたが、いつもの彼のペース。10安打を浴び、2四球を与えたが、走塁でのアウトもあって無失点に抑えた。三者凡退をなかなか作ることはできず、球数も費やしたが、慌てることなく冷静に投球した。復帰した高城との2年ぶりのバッテリーも良い効果があっただろう。
ハイライトは8回表、2アウト1、2塁で開幕から好調の高橋を迎えた場面。外側の変化球で誘ってかわそうとするも、好調な打者は手を出してこない。3ボールとなり、満塁にしてしまうかと思ったが、チェンジアップでストライクを取ると、ストレートを大胆に投げ込み、フルカウントに。
ここで濵口は高城のサインに首を振り、球種を選択。投げ込んだ127球目は、渾身のストレートだった。振り遅れた高橋のバットは空を切り、大きなガッツポーズが出た。観ているこっちも声が出た。ここでストレートで行くとは、大したものだ。
完封はならなかったが、6連戦の初日に投げる先発としては十分に役目を果たしたし、本人もちゃんと認識している。昨年も2度完封しているが、一時ずっと連敗を続けていたハマスタのマウンドで完封するのは、また違ったものだろう。
ヒーローインタビューでも言っていた通り、ファンがスタンドに入った時に、チームがいい位置にいて、最高のパフォーマンスを見せて欲しい。このまま火曜日で回れば7月21日のヤクルト戦がその日になる。近いうちに、9回のマウンドで歓喜の輪に混ざることができるだろう。
ヤジ
唯一のツッコミは、3回裏にオースティンが佐野の二塁打でホームへ突入したシーン。これで回すのかという、かなり無理なタイミングだった。次が5番ロペスではあったが、初回も同じようなシチュエーションで得点できていなかったから、ギャンブル的に回すのは、まだ百歩譲ればいいだろう。
だが、ホームには良い球が還ってきて、完全にアウトのタイミング。オースティンのスライディングも短く、木下拓のミットに当たって止まり、ホームベースまで到達できなかったように見えた。
誰もがこれはアウトということで、TBSチャンネル2も当然CMへ。CM明けたらリクエストしてました、となって驚いた。ベンチからは見えづらい角度になったのかもしれないし、オースティンはクールだからアピールしなかったと思ったのかもしれないが、あれにリクエストはない。権利をひとつ無駄に捨てたようなもの。
直後の4回表にすぐ、リクエストを使うプレーが発生し、もし判定が覆らなければ、序盤にしてリクエストの権利を失うところだった。阿部のホーム突入はかなり際どいところで判定が覆ったから救われたが、大きなミスになるところだった。
積極的なのはいいが、審判のレベルを考えると、終盤の大事なところで誤審をしかねない。序盤のそれほど試合の流れに影響がないところで無駄に使うのは、積極的ではなく無策だ。そこはよく考えて欲しい。
キジ
好投の柳を中軸が崩し、得点を奪い取った。1、2番は四球ひとつずつだったが、この日は3番以降がきっちりと甘い球を捉えた。この日の柳を崩すのは簡単ではないと思ったが、やはり1番から6番まで迫力のある並びなのだろうか。
オースティンが入り、佐野が繋いでくれると、怖い打線なのは確かだ。2アウトでも3番オースティンが出塁すると、佐野が続いてチャンス拡大。打者ロペスも怖いし、次はまだ宮崎がいるという状況。逃げ場がない。
打てないときは淡泊、チャンスを作っても併殺のリスクが高いという面はあるし、ホームラン待ちの攻撃もハマらなければ得点力は低いという現実はあるが、相手のバッテリーが怖がってくれれば、こっちのペースで進められる。各選手、好不調の波はあるだろうが、うまく分散してくれると相互に補って「打線」として機能できそうな感じはある。
痛い連敗スタートの後、すぐに連勝で5割に戻せた。そしてこの5試合、先発投手がいずれも好投していることは頼もしい。明日は井納。背水の陣で先発マウンドに立つ。相手の山本は、練習試合のナゴヤドームで素晴らしい投球だった。他の4人の先発投手に続いて、失点を最小限に抑えて味方の援護を待つ、我慢の投球をして欲しい。
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