11/11 阪神1-0横浜DeNA@甲子園
11月中旬に入っての屋外ナイター。非常に寒い中での試合となったが、試合内容の方が寒かったかも知れない。チーム勝ち頭の大貫が要所を締めて無失点投球も、打線がチャンスを生かせず藤浪から得点を奪えず。8回に神里の落球から1点を許し、それが決勝点となった。
ポジ
大貫は、7月に先発して僅か1イニング3失点で降板した甲子園でリベンジの先発。あの試合の後、2桁勝利を挙げる好投が始まった。
初回、木浪の当たり損ねのゴロが投手内野安打となり、近本と勝負し切れずに歩かせてピンチを招く。しかし、サンズをフォーク、陽川をスライダーで空振り三振に取り、切り抜けた。その後は、6回に植田の二塁打が出るまでノーヒット。コントロールは、完璧という感じではなく首を傾げながらではあったが、時に大胆に、基本的に低めに集めて凡打の山を築いた。
ストレートの角度、球威もあり、低めへの変化球が冴えて、いつも以上に三振も奪う投球。6回終了で90球だったが、7回表に打席に入り続投。7回は梅野のヒットの後、原口に死球を当ててしまいピンチとなった。ホームラン王を狙うため1番に入っていた大山に対し、インサイドのフォークを引っ掛けさせてサードゴロ併殺打。見事に術中にハメた。難しいバウンドを中井が処理して、セカンドの大和が素早いスローイングだった。
それでも援護がなく、最後の登板は勝ち負け付かず。防御率27.00だった甲子園の成績を3.38まで回復させて、今季終了となった。投球回が113回2/3とあと1試合分、規定に足りなかったが、防御率2.53は誇って良い数字だ。
ヤジ
主軸はソトくらいという若手主体のメンバーとなったが、コロナ禍でリリーバーから覚醒した先発の藤浪に封じ込まれた。
全くチャンスがなかったわけではない。初回は、今季初スタメンの宮本が粘ったが6球目を空振り三振。しかし、大和が抜けて来たカットボールをレフト前へ運び、神里が歩いて1アウト1、2塁。ここでプロ2試合目の4番に入った細川が、3球とも見送って三振。ソトも低めの変化球に手を出して連続三振。不安な立ち上がりの藤浪を捕まえられない。
4回は先頭の神里がレフト線の二塁打を放ったが、牽制球で刺されるミスで潰した。5回は柴田の二塁打に中井のラッキーな内野安打でノーアウト1、3塁としたが、大貫が1塁ランナーを送るバントを失敗し、戸柱、宮本と3者連続三振となって得点できず。
ミスが出る雑なプレーに、チャンスが投手に回って、無意味な9番戸柱が打てずとラミレス野球の集大成のような攻撃だった。
特に神里は精彩を欠いた。昨年は規定打席に到達してレギュラーとしての地位を得たが、開幕前の競争で梶谷に敗れて控えに甘んじた。それでもオースティンのケガなどでチャンスを得て、打撃成績としては.301をマークしている。だが、彼の問題は肝心なところでの弱さ。もともと闘志や喜怒哀楽は顔に出ないポーカーフェイスだが、気持ちが入っていないと感じてしまうような凡ミスを定期的にやらかす。
4回の牽制死も完全な油断で、あまりにも意表を突かれ、スライディングすらできていない。少しでも頭に入っていればもう少しタッチを掻い潜るようなスライディングができたはずだが、あまりにも無様な姿だった。
そして、決勝点に繋がった8回裏の守備。今年はセンターの守備に就く機会は少なかったし、乙坂もレフトを守ることが少なかった。それにしても、それほど球場が騒がしくない中で連携すらできないとは。ぶつかってケガをしろとは全く思わないが、優先はセンターなのだから、声を上げて自分が捕りに行かないと。明らかに乙坂を避ける感じで捕りにって落球している。恥ずかしいプレーだ。途中からラミレス監督が神里をセンターに入れなくなったのも分かる。
人間にはタイプがあるから、全ての選手が闘志を表に出して、オースティンのようにケガを恐れず飛び込むわけではないだろう。ただ、好守に積極性がなさすぎる。簡単に初球をポップフライということもあるが、それは積極性というわけでもない。選球眼があるから、簡単には手を出さないのだろうが、どこか受け身と感じてしまう。盗塁もスタートを切らせてもらえないのでなく、切れないのではないかと疑ってしまうくらいだ。
梶谷がFAで、どのような結論に至るか分からないが、神里がこんな感じだと抜けてしまったら苦しい。楠本も1.5軍を抜けないし、細川はまだ時間がかかりそうだ。神里が梶谷を再び追いやるくらいになって欲しい。
4番に入った細川も3打席連続三振と期待に応えられず。特に最初の打席はチャンスで1球も振らない、最悪の見逃し三振だった。闇雲に振れとは思わないが、藤浪に圧倒された感じだった。2打席目はその反省から振って行ったが、ボールになるカットボールを空振りし、次のカットボールは甘く来たところを見逃しという悪循環。最後は真ん中付近のカットボールに合わず空振り。
3打席目は投手が代わって馬場だったが、低めのボール球に手を出し、3打席連続三振。これで4番での成績が昨年9月に続いて7打席連続三振と悲惨な結果になる。9回の打席は、この試合で阪神のユニフォームは最後となる能見。引退ではないから打っていいはず、というところで、2-1からの高めストレートをセンターに弾き返し、何とか4番として初ヒット。14日の最終戦も4番起用となるようなので、まずは一息はつけたか。
積極性は持ちつつ、ボールはしっかり見極めるという相反することをやらなければならないが、ファームであっても最高出塁率をマークしたわけだから、できるはずだ。1軍だからとか、4番だからとか、そういうことは考えずに今年やってきた打席を見せて欲しい。
宮本は結果が欲しい試合だったが、藤浪を捉えるのは容易ではなかった。とは言え、3打席連続三振は厳しい。塁に出れなければ足も見せられない。最終戦に梶谷が出場する場合は、機会は非常に限られるが、何か宮本らしさを見せてもらいたい。
ソトは何故出場を続けているのだろうか。出場試合数の出来高をゲットするためなのか?バッティングの状態も良くないままだし、若手主体の中で手強い存在であって欲しいが、現状では快打を期待できない。残留が決まっていない中で、最後の試合という可能性がある最終戦も出場することになるのだろう。良い姿を見せてくれると良いのだが。
山下をフェニックスリーグから呼び寄せた割には使わず。大貫が好投して長いイニングを投げたという要因もあるのだろうが。この日復帰した山崎も使わず、ピープルズだけは8回2アウトで登板させるという、最後までよく分からない運用だった。
キジ
この日が阪神でのラスト登板となった能見。いきなり細川がヒットを打ってしまったが、ソトが併殺、柴田がボールを振って三振。8回裏にはエラーから決勝点を献上しており、能見にプロ2セーブ目が付いた。完全に退団するノウミサンに花を持たせる形になった。試合終了後にはラミレス監督が花束を贈呈されていたので、おあいこといったところか。
しかし、能見は最速149キロのストレートで押せていたし、ホントに戦力外で良いのだろうか。コスパが合わないということもあるのだろうが、左腕の中継ぎがいないところは必要なのではないか。ベイスターズもエスコバーが残留、砂田が復調気配ということはあるが、先発不足から石田をローテに入れたいし、考えてみても良いのではないか。櫻井あたりよりはよほど計算できると思うが。
この試合の敗戦で、チームとしては2年ぶりの負け越しが決まった。同時にラミレス監督の5年通算の成績が負け越しとなることが確定した。しかし、広島が負けた為、最終戦でDeNAが敗れても.482と1厘上回る為、4位が確定した。
ラミレス監督としては5年間で2度目のBクラスとなったが、最低順位は2018年に続いて4位ということで何とかワーストは免れた。一方、負け越しのシーズンは3度目ということになり、通算勝敗でもわずかに5割を下回ることになった。
ハマスタでの読売戦3連勝で胴上げ阻止、阪神戦も接戦を五分に戦ったが、ナゴヤドームから特に打線が低調で、その流れの試合となってしまった。再び2日空いて、今季最終戦を迎える。相手は日本シリーズに向けた調整となる試合。主力も出場することが予想される。5年続いたラミレス監督の最後の舞台ということで、良い意味でのラミレス野球を見せてくれたら嬉しい。現地ウィング席から見届ける予定。いよいよ2020年のシーズンも終わりを迎える。
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