03/26 読売8x-7横浜DeNA(東京D)
プロ野球2021年シーズンが開幕。セ・リーグは全球場が1点差という熱戦となり、各チームのファンが醍醐味を味わった。DeNAは開幕投手の濵口が3回6失点も、田中俊太が開幕戦のリーグ記録となる6打点の活躍で2度追いつく粘りを見せた。しかし、クローザー三嶋が亀井にサヨナラホームランを打たれ、三浦新監督は黒星発進となった。
ポジ
想像以上に期待が持てる試合
負けて良いということはないが、非常に面白く熱くなる試合で、開幕日からこんな試合を見せてくれた選手たち、予定通りの開幕に尽力してくれた方々に感謝したい。
初回はもう、半分死んだような感じになっていた。想像していた最悪パターンを上回るかの勢いでゲームが壊れかけた。四球連発という濵口の悪い面が出て、3点失ってなおアウトがひとつも取れずに満塁。三嶋の初回7失点を超えるのではないかと思った。しかし、何とか3点で止めたことが先に繋がる。
初回を見る限りは、菅野から点を取るのは至難の業かと思ったが、相性のいい佐野がヒットで出塁すると、柴田がバントできずに叩きつけた打球が内野安打になるラッキーもありノーアウト満塁。ここから田中俊の犠飛と桑原の押し出しで2点を返し、試合が分からなくなった。
同点にしたにも関わらず、濵口がまた初回と同じような投球で、四球2つの後の3ラン。さすがにこれは致命傷かと思ったが、ここから田中俊の2度の2点打で9回に追いついた。非常に熱くなる展開だった。
最後は三嶋が打たれて結果としては負けたが、心配していた打線が12安打で7点と、ホームランはなかったが良く打ったと思う。打っただけに勝ちたかったという思いはあるし、明日以降に先発が好投した時に限って援護ができないというのはお約束のパターンだが、この試合に限っては、横浜一心の通りにチームがひとつになっていることを感じた。粘りを見せたことが今後に繋がって行くと思う。何とか早いうちに勝利を掴みたい。
セ・リーグ記録の開幕戦6打点
オープン戦21打席ノーヒットだった田中俊が、20日の最後の試合でマルチヒット。23日の練習試合でもマルチヒットと1本出てから調子は戻っていた。三浦監督もそこを見極め、開幕スタメンに選んだ。
相手は古巣の読売、そして舞台は東京ドーム。人的補償で移籍した選手が、古巣相手の開幕戦でスタメン起用されるのは初めてらしいが、そこを狙ったわけではなく、純粋に状態の良さと彼の気持ちも汲んだ上での起用だったのだろう。
オープン戦残り2試合を残して20打席ノーヒットだった時点で、開幕スタメンは厳しいだろうと思っていた。ハマスタでの2試合のうち、日曜の最終戦は天候としても開催は難しいだろうから、20日は開幕スタメンで臨むのが通常。三浦監督の中で、オープン戦のノーヒットと開幕スタメンは別で考えていたのかも知れない。何とか田中俊にきっかけを掴んで欲しいと機会を与えたというのもあるだろう。
個人的には20日は柴田や倉本をメインで使い、田中俊には代打で1打席かなと思っていたので、この試合でスタメン出場させ、最後の2打席のヒットからこの活躍に繋がったと考えると、三浦監督の最初のファインプレーなのかも知れない。
ホームランバッターでも、中軸でもない田中俊が6打点というのは、そうそうあることではない。実際彼の2020年全体の打点が6で、1試合で並んでしまったことになる。キャリアハイでも14打点だから、いかに並外れた活躍だったのか分かる。
内容を見ても、2回にノーアウト満塁からきっちりと犠牲フライ。ノーアウト満塁は最初の打者で点が取れないと無得点に終わりやすいので、犠牲フライでも十分な仕事。そして、3安打はセンター、ライト、レフトと3方向へ打ち分ける見事なバッティング。相手投手も菅野、鍵谷、中川とタイプの異なる相手にも順応した。特に9回2アウトと追い込まれた場面で、左打者には打ちづらい中川を相手に、2ストライクから少し中に入って来たスライダーを、逆方向へ打ったのは非常に評価できる。
当たりが良かったのと、セカンドランナーの宮崎に代走が出せていなかったので、これは還れないかと思ったが、レフトの重信がかなりレフト線寄りに守っていて、正面で捕球できなかった。相手の想定を上回る、力強い打球を逆方向へ放ったということなのだろう。
この試合では佐野、宮崎がチャンスメイクをして還す役割になったが、今後は出塁、足を使った攻撃というところにも期待したい。本人も想像以上のスタートが切れたと思うし、古巣相手に活躍を見せられたのは気持ちがいいだろう。横浜の一員として改めて迎え入れられたと思うので、流れに乗ってレギュラーを掴んでもらいたい。
ヤジ
本人が一番分かっている情けなさ
テレビの前で、背番号26の旧ビジターユニフォームを着て応援したが、初めての開幕投手は濵口にとってあまりにも苦いマウンドになり、見ている方も辛かった。
一言で言えば、あまりにも情けない登板だった。それは本人が一番感じているだろうし、悔しいだろう。チームを引っ張る為、競争を促す為、自ら立候補して手に入れた開幕投手の座。魂を込めて投げると宣言した出陣式とは別人のような顔で、苦しい投球が続いた。
誰にでも初めてはある。そこで力を出せる人もいれば、失敗してそれを糧に成長する人もいる。人それぞれだろう。前監督の試合後コメントではないが、「今日の結果は変えることはできない」。結果的にチームは敗れてしまったが、味方の粘りによって記録上の敗戦投手は消してもらった。
この日の投球に対しては、これ以上何も言わない。ただ、次の登板はそういった悔しさ、味方に対する感謝を胸に秘め、冷静に自分の投球をして欲しい。それができないようなら、何を言われても仕方がないだろう。切り替えて次の登板に集中して欲しい。
中軸がチャンスメイクに、上位打線不発
オープン戦はとにかく得点力不足に悩まされたが、負けはしたものの12安打7得点というのは、菅野が先発した試合と言うことを考えれば、非常に期待感の持てる試合だった。
ただ、6打点の田中俊の活躍は素晴らしいが、本来は佐野、宮崎で還した上での畳みかけでなければならない。1~3番が四球での出塁はあったものの1安打と、4番、5番にチャンスを回すことがなかなかできなかった。唯一回せた4回に限って佐野が凡退と上手く行かなかった。
まだ1試合なので、しばらくはこの形で腰を据えて良いと思う。桑原は押し出しを取ったが、内容があまり良くなかった。考えすぎないようにしてもらいたい。そして、牧は出陣式で対戦したいプロの投手として名前を挙げていた菅野が、プロ初打席の相手となった。結果は粘ったが引っ掛けてサードゴロ。菅野からプロ初ヒットを打てれば、鮮烈なデビューとなったが、そう甘くない。
結果が欲しい中でも7回に冷静にボールを見極め、四球で歩いて田中俊のタイムリーで得点を挙げた。オープン戦の後半から調子は下降気味なのは確かだろうが、良い経験にもなるし、しっかりとボールを見られる長所は生きると思う。早い段階でまずは1本出したい。そうすれば余裕が出てきて、四球での出塁も増えて来るだろう。
キジ
引き分けに持ち込めれば最高と言っても良い展開だったが、そう甘くはなかった。三嶋のボールは甘かったかも知れないが、開幕戦の9回裏に代打で出てきて、ファーストスイングで打った瞬間という完璧な当たりを打つのだから、亀井の方が上だったと捉えるしかないだろう。
23日の練習試合でも、石田、三嶋が失点していた。そのままの流れがこの試合に来てしまった。盤石なリリーフには欠かせない2人なので、断ち切ってもらいたい。山崎はランナーを出したが併殺で切り抜けた。9回に投げるのとは訳が違うと思うが、今後クローザーを争う展開となるか注目だ。
セ・リーグは3試合全て1点差での決着となった。各チームのファンが、ハラハラドキドキの展開に熱くなり、開幕したことを実感したことだろう。ベイスターズもある程度、厳しい開幕戦になることは想定していたし、初回を見る限りはワンサイドゲームもあると思ったので、開幕から大熱戦を見ることができて、満足感はある。
ただ、やはり一度もリードできなかった。それが最後に負けに結び付いてしまった。ミスで与えた点もあるし、8回は投手を注ぎ込んでもうまく行かず、痛恨の失点があった。それらを反省しつつ、次に切り替えて、再び心をひとつにして向かって行ってもらいたい。
オープン戦では素晴らしい結果を残し、開幕投手もあるというところまで評価を上げた京山に期待したい。開幕ローテーション入りは2018年にも経験はあるが、緊張はするかも知れない。早く落ち着き、今年の実戦でずっと見せている力強いボールを投げてもらいたいと願っている。
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