09/07 横浜DeNA8-2読売(ハマスタ)
夏の一大イベント、スターナイト2021の第一夜。8月30日に支配下登録されたばかりの宮國が、古巣を相手に移籍初登板。初回に2失点の立ち上がりも、その後はピンチで粘りの投球を見せ、5回を投げ切った。打線が5回に大爆発。宮崎の同点打の後、ソトが勝ち越しの2点タイムリー二塁打。山本がスクイズを決めた後、代打の楠本が3ランを放って一挙7得点で逆転した。6回以降も読売の反撃を許さず、宮國が2017年以来、4年ぶりの勝利を挙げた。
ポジ
初回に2失点も粘りの投球を見せた宮國
昨日の投稿で、ひとつ見落としたものがあった。過去のスターナイトの全試合結果を記載したが、手元の資料には相手の先発投手も記載してあって、そこに宮國の名前もあった。2012年8月5日、スターナイト初年度の第3戦。連敗で迎えたDeNAは、宮國と対戦。そして、DeNAの先発は三浦監督だった。5回に三浦が2点を奪われるも、その裏に後藤のソロで1点差に迫った。しかし、宮國が7回まで2安打の好投。三浦も8回まで5安打2失点に抑えたが、そのまま読売が2-1で逃げ切り3タテが決まった。
勝利投手になったのが宮國だった。2010年のドラフト2位で入団し、2012年にプロ初勝利を挙げ、この試合がプロ3勝目だった。そう、相手投手ながら宮國はスターナイトで先発しており、勝利していたのだった。そして、その時投げ合った三浦が監督として、宮國の移籍初登板を決断し、マウンドに送った。そして、今度はDeNAの選手として9年ぶりにスターナイトでの勝利。彼にとっても2017年以来4年ぶりのプロ22勝目だった。
初回、松原を追い込んだが甘く入ったストレートを簡単に弾き返された。1アウト後、盗塁を決められ、吉川に真ん中のカットボールをレフトオーバー。意外と伸びた打球で佐野が捕れず、早くも失点。そして岡本には3ボールとなってしまい、4球目の真ん中ストレートを右中間のフェン直。2点目を奪われた。
ただ、ここで2つの幸運があった。3ボールからストレートを狙って打ったと思うが、打球が上がり切らず、ホームランにならなかったこと。桑原がクッションボールを上手く処理し、岡本がセカンドでアウトになったこと。これにより何点取られるのかという雰囲気だった初回を、何とか2点で凌いだ。
正直、立ち上がりはやっぱりねと思った。投げているボールもそれほど球威、キレがあるわけじゃない。1軍で投げるには少し厳しいだろうと思っていた。しかし、2回は三者凡退、3回は菅野にヒットを打たれてしまったが、ピンチで坂本を三振、吉川も打ち取った。
そして、一番大きかったのが味方が1点を返した後、4回のノーアウト1、2塁を無失点で切り抜けたことだった。岡本、中島に連打されたあたりで、そろそろリリーフを用意した方が良いと思ったが、亀井をスライダーで見逃し三振に取った。このボールがこの試合を分けた。そして、ウィーラーにはインサイド低めのシュートで狙い通り併殺に取った。丸が不調でスタメン落ちし、DeNA戦の相性を考慮して起用された亀井、少し調子が下がっているウィーラーにも助けられた。ここは宮國に味方した。
4回裏は打席でバントを1球で決めた。このあたりも、さすがベテランの域に入って来た選手で、リズムが非常に良かった。得点には結びつかなかったが、流れを呼び込んだ。5回、小林のレフトポール際への大飛球は行ったかなと思ったが、ギリギリファウル。再び菅野にヒットを許したが、2アウト1、2塁で吉川を打ち取った。
5回の裏に味方が逆転し、打席が回ったところで代打が起用された。その楠本が勝利を大きく手繰り寄せる3ランを放った。5回2失点ではあったが、移籍初登板としてはまずまずの結果だろう。今年の序盤は、先発が5回さえ投げ切れないことが続いた。それを考えれば最低限の仕事ではあったが、ゲームを作ったことがチームの勝利に繋がった。
今後はどのように起用して行くか分からないが、単に速いボール、切れ味の鋭い変化球を投げるだけでなく、ピンチでいかに粘りながら試合を作って行くか。先発投手として大事なことを体現したマウンドだったと思う。とにかく、一度戦力外になり、移籍先もないところからここまで苦労しながら辿り着いたこと、おめでとう。しかし、ここからだ。
5回裏に集中力見せた打線、一挙7点
既に宮國のところで長く書き過ぎているのだが、ここに触れないわけにもいかないだろう。菅野を一気に攻略し、7点を奪って試合を決めた5回裏。そこに至るまでに、あまり良くなかった菅野に球数を浪費させた攻撃があった。
1回裏、菅野が投球練習をしている際、マウンドについて何か指摘し、グラウンドキーパーがプレート付近の土を除去するような様子が見られた。オリンピックで使用する為に、ハマスタのマウンドは土が入れ替えられていたそうだが、先週の試合前に元に戻されたはず。先週の広島戦では雨が降っていたりしたが、どの投手も特にそういった指摘はしていなかった。プレートの右脚で踏む部分の土が邪魔だったのだろう。ごっそり塊が取れた様子が映っていた。
宮國はその前に投げていたわけで、投手によって異なるだろうし、菅野はそういった部分も繊細に気に掛ける投手なのだろう。この影響なのか分からないが、前回ヤクルト戦で8回1安打に抑えた内容とは明らかに異なった。本来のボールが行っていないという感覚なのか、コースを狙い過ぎた感じがあった。
2回は得点に至らなかったが、2アウト1、2塁で山本を打ち取りたいところ、当ててしまって投手の宮國まで回ってしまった。打順の流れとしても良くなかった。結果、3回に宮崎のタイムリーで1点を返されている。宮國で1アウトを取ってからの攻撃だと、得点できなかったかも知れない。
そして、4回の7番から始まる打順は、本来の菅野であれば10球程度で簡単に三者凡退に取らなければならないイニングだったが、1割台前半の山本を歩かせてしまった。ここも得点には至っていないが、球数を費やしてしまった。
そうしたことが重なって来た5回裏、菅野と非常に相性が良い佐野が1アウトからヒットで出塁。オースティンがフォームを見極めて歩き、ここで既に球数は100球を超えた。宮崎が2球目のインサイドのストレートをレフト線に運び、同点。牧にはフォークが抜けてユニフォームを掠るような死球。
ここで2三振と完璧に抑えていたソトが打席に入る。初球、フォークが真ん中に入って来たところ、レフト線ギリギリに入る2点タイムリー二塁打。菅野にとってはこのフォーク2球が致命的だった。牧もソトも抑えていただけに、この二人を打ち取れなかったことが計算外だった。
山本にはスクイズのサインが出た。決まったのは三浦監督就任初か?菅野も見事なグラブトスで、タイミングは際どかったが、牧が少しベースから離れたところにヘッドスライディングし、左手を伸ばしてベースタッチした。その分、小林のミットが牧の身体に届かず、追いタッチになった。小林のポール際の打球でリクエストが1つになっていて使えなかったが、それはセーフだった。
3点リードとなったところで、宮國を交代し、さらに得点を取りに行った。先に楠本の代打がコールされたが、菅野はグラブトスの際に足を痛めた様子もあり交代。左腕の直江が登板した。以前は代打の代打も起用されたが、このところ代打で驚異的な結果を残しており、打数は少ないが左投手に5打数3安打の楠本がそのまま打席に入った。初球のスライダーを完璧に捉え、打った瞬間というライトスタンド中段への3ラン。
四死球での繋ぎあり、長打あり、スクイズの小技ありとバラエティーに富んだ得点で7点。ここまで見事な攻撃は、数年に一度というレベル。それがこのスターナイトの舞台で菅野を相手に出て、宮國を強力に援護するのだから野球は分からないし、面白い。ちなみに一挙7点は、佐野の3ランなどで7点差を一気に追い付いた、昨年の第1戦の6回裏と並ぶスターナイトの1イニング最多得点。2年連続で一挙7点を観るとは思わなかった。
最後に、バッティングではこの日は全く良いところがなかった桑原は、守備の人だった。初回の岡本の二塁打での返球、2回の小林の打球でのダイビングキャッチは、いずれも見事だった。
ヤジ
2回の攻撃や、6点リードで先頭を歩かせたリリーフなど、細かいところはあるが触れずにおく。
キジ
スターナイトは、ファンにとって特別な試合。2012年にDeNAベイスターズが誕生してから、少しずつ定着させてきたイベント。継続は力なりということだ。昨日の投稿でも書いた通り、スターナイトは7連敗から始まり、読売戦では6戦全敗。試合後の「STAR NIGHT X TIME TRAVEL」でも全てを網羅した自虐ネタとして使われていた。
スターナイト史上初の読売戦勝利、最多タイの1イニング7得点。菅野に打ち勝ち、移籍初登板の宮國が勝利投手に。勝利は別にしても、この展開は予想しえなかった。昨日の投稿で宮國のスターナイト初戦抜擢は賛成できないと書いたが、まさに見返す投球だった。24時間後にこんな気持ちで次の投稿を書かせてもらうとは、感謝したい。
スターナイトで勝つことは特別嬉しいし、相手が読売であれば尚更。試合前もいろいろと楽しませてもらったし、試合後のイベントも個人的には最高に楽しかった。でもやはりハマスタに来ているからには勝つ試合を観たい。その意味では最高の展開だった。
スターナイトでの読売戦の連敗を6で止め、連勝と行きたいところ。2戦目は予想通り大貫と山口の先発。菅野を打ち崩したDeNA打線が勢いを増すか。で、山口は逆にベイスターズの選手だったわけで、スターナイトはどうかという点。意外にもスターナイトと縁のない投手で、2012年の第2戦の1試合しか登板がない。彼がクローザーを務めていた頃は、まさにスターナイトの最初7連敗の最中で、登板機会がなかった。前述の1試合も大量リードを許したところでの調整登板といった感じだ。
ちなみに大貫はルーキーイヤーに先発しており、この時は敗戦投手になっている。当時とは全然状況が違うし、好調が続いているのでリベンジでの勝利を狙って欲しい。初戦は意外な結果になったが、2戦目も簡単には行かないと思う。好ゲームを期待したい。
最後は、スタメン発表のムービーをYou Tubeで。少し手ブレしているのと、最後に近隣の方の話し声が入っているが、ご容赦を。
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