2024年シーズンもオープン戦全日程が終了し、開幕まであと僅か。三浦監督4年目のシーズンは「横浜進化」のスローガンの下、昨年もなし得なかったリーグ優勝に向けて戦う。オープン戦では、ルーキーとして10年ぶり2人目の首位打者に輝いた度会を始め、新戦力の活躍も目立った。長いペナントレースをどのような陣容、起用で戦って行くか展望を書いてみる。
スターター
3月27日から石田健と森唯が2軍へ合流することが発表された。既に小園も2軍に合流しており、最終的に開幕ローテーションが決まった。
29金 東 30土 平良 31日 大貫 02火 ジャクソン 03水 中川颯 04木 濵口
開幕投手は、キャンプインより前に決めていた東。これは文句なしだろう。オープン戦の最初から土曜日の登板で調整して来たジャクソンを2カード目にズラし、最終的には平良ということになった。2カード目の頭と予想されていた大貫が、3戦目に先発する。
2カード目の京セラドームではジャクソンの後、中川颯と濵口が先発する。順番は入れ替わるかも知れない。週末の東京ドームでは広島戦の3名がそのまま中6日で先発することになるだろう。
以前から書いている通り、4月は6連戦がここだけになっている。そこから週5試合が3回続くので、最大でも先発投手は5人で足りる。そのため、東は別格として最初の登板内容次第で1人が2軍へ行くか、リリーフに回ることになる。
開幕ローテーションに漏れた石田健、森唯、小園も入れ替えや第二先発とも言われるロングリリーフで待機する形になる。彼らが控えることでレベルの高い争いになれば今永、バウアーの穴は小さくなるだろう。
面白い存在として挙げたいのはケイ。ファームではあるが、24日は6回8奪三振で1失点と好投している。現時点でまだケイははっきりと2軍への合流は発表されていないはず。左腕のリリーフが石川だけということもあるが、開幕戦からロングリリーフも踏まえてベンチ入りするのではないかと思っている。
コントロールが良くはないが、思ったよりも荒れていないので、パワーピッチャーとして回跨ぎもできそう。外国人枠は今年も出場選手登録は5名、ベンチ入りは4名となる。ジャクソンが先発する際はベンチ入りできないが、うまくやり繰りすれば戦力になってくれるかも知れない。ジャクソンら他の投手次第では先発に回ることもあるかも知れない。ちなみに、オースティンが不在になったとしても、ベンチ入りの4名全員を投手にすることはできない。
ここまで名前が挙がった投手以外では、先発投手としては育成段階の選手が多いかも知れない。高卒2年目で期待される森下は、まだイースタンでも登板はない。1軍が開幕して調整登板が終われば、徐々に投げ始めるか。今シーズン中の1軍デビューも期待される。ケガ続きの吉野もようやく投げ始めた。タイプ的には先発かなと思うので、シーズン中盤から戦力になれるよう調整して欲しい。ドラフト5位の石田裕は、既にイースタンで登板し、結果を残している。順調にイースタンでローテーションに入れれば、シーズン中の1軍デビューも視野に入る。
基本的に今年はいないものとして考えているバウアーだが、4月11日から5月8日までメキシカンリーグのメキシコシティー・レッドデビルズと短期の契約を交わした。以前も書いた通り、今年MLBに復帰できないと、来年以降のキャリアが閉ざされる可能性が高まるので、MLBを第一優先で待つことになるのは当然だろう。
メキシコが短期というのが何を意味するのか。アジアン・ブリーズでは77だった背番号もベイスターズ時代の96を付ける。5月以降のことはまたその時に考えるということだろうが、MLBが開幕し、実力を示しても契約がない場合、バウアーが何を選択するのか。
ベイスターズは、既に昨オフからいつでも戻れる契約を提示済で、今回のメキシコ行きも報告を受けている。メキシコでの登板が終わった時に、バウアーや代理人がどう考えるかだが、そのタイミングでのベイスターズ復帰もゼロではない。
昨年は5月3日に初登板し、デビュー戦を白星で飾ったが、二度打ち込まれる登板があり、2勝目は6月3日だった。メキシコで5度の登板をこなし、慣れたベイスターズに戻ると仮定すれば、5月中旬からでも十分に昨年の成績を上回ることができる。山本由伸がいないNPBで、沢村賞を獲れる可能性は十分にあるくらいに考えていてもおかしくはない。
全くアテにはしていないが、5月中旬から6連戦が続くところでバウアーが中4日で勝ちまくるということも夢物語ではないかも知れない。ひとまずは、ジャクソンやケイが、素晴らしい活躍をしてくれることを期待したい。
リリーフ
2023年は山崎がクローザーとして開幕したが、オールスター前までに6敗を喫し、後半戦は配置転換された。森原がクローザーを務めて17セーブを挙げたが、シーズン最終盤に故障で離脱。代役をウェンデルケンが務めた。
リリーフの陣容を考える上で、まずクローザーが誰になるのかがポイント。オープン戦の状況を見ると、山崎がクローザーとして開幕することが濃厚だ。
徳山 石川 森原 松本凌 上茶谷 伊勢 ウィック ウェンデルケン 山崎
現状の序列で考えると、このような継投になるか。ウィックとウェンデルケンで負担を分散しつつ、森原が状態が上がらないうちは、伊勢や上茶谷でカバー。ビハインドや早い回では徳山や石川を使う形になりそう。
前述の通り、先発投手が5人で済むので、ケイを含めた数名が出場選手登録され、ベンチ入りメンバーを変えながらスタンバイするのではないかと思う。
徳山は、2月の紅白戦では散々な結果だったが、その後の好投で開幕1軍を掴みそうだ。そして、ルーキーの松本凌も開幕1軍が明言されており、この二人が1軍デビューから順調にキャリアを積み重ねるようだと厚みが増す。ファームでは三嶋、宮城、佐々木らが控える。
入江が肩の違和感でリハビリ組に入ってから、実戦での登板がない。回復状況なども分からないが、昨年の夏から続いているようだと、手術などに踏み切る可能性もあるのだろうか。大きな戦力になりうる投手だけに復帰を期待したい。
クローザーを務める山崎が、しっかりと役割を果たせるようだと他の投手もうまく回ることができる。リリーフの充実は山崎にかかっていると言っても過言ではない。そして、ウィックがウェンデルケンと双璧を成すようだとますます厚みを増す。その中で徳山と松本凌がどこまで結果を残せるか。新戦力の活躍次第なところがあるので計算はできないが、期待できる陣容ではないだろうか。
スタメン
オープン戦の最終週のオーダーを見る限り、開幕スタメンは下記のような形になりそうだ。
9 度会 3 オースティン 7 佐野 4 牧 5 宮﨑 8 梶原 6 石上 2 山本 1 東
宮崎が体調不良で最終戦を欠場したので、回復状況にもよるだろう。その影響もあって、宮崎が不在のオーダーも試す形にはなった。
9 度会 3 オースティン 7 佐野 4 牧 8 梶原 5 石上 2 山本 6 林 1 東
梶原に5番を任せられるようだと打線の厚みは増して来る。宮崎が不在な分、林を加えて走力でチャンスを拡大し、コアの3人で得点する形に持ち込みたい。
広島は当初、九里、森下、アドゥワの3人が先発する予定だったが、森下が右肘の張りで回避し、左腕の黒原に代わることになった。対左のオーダーは、オプションとして以下のようなスタメンも考えられる。
8 桑原 3 オースティン 7 佐野 4 牧 5 宮﨑 6 大和 9 関根 2 山本 1 平良
開幕2戦目では度会はそのまま1番ライトで残すかも知れないが、梶原を桑原に、石上を大和に代えることは十分考えられる。シーズン当初はこのようなスタメンを軸に戦いつつ、選手の調子やケガによる入れ替えに対応して行くことになるだろう。
キャッチャーでは、高卒2年目の松尾が初の開幕1軍ということになりそうだ。中川颯が開幕ローテーション入りすれば、プロ初スタメンも十分ありうる。大貫、ジャクソンは伊藤、中川颯は松尾がスタメンで、残りの投手を山本が担当するような役回りが想定される。戸柱は、ファームでファーストとしても出場。左の代打の状況によっては戸柱も登録される可能性はあると思う。
内野のユーティリティーとして西巻、京田が控えており、ベテランの西浦もバッティングが好調で代打起用が想定される。ファームで好調の森敬が、シーズン中にチャンスを掴むのか。ケガで出遅れた知野、柴田も復帰のチャンスを窺う。
外野では、度会と梶原の活躍により、昨年初めて規定打席に到達し、メキシコのウィンターリーグでも首位打者に輝いた関根がベンチスタートになる。楠本はファームでの出場で足を痛めた様子だったが、開幕1軍に入れそうな状況。こちらはまず代打としての貢献が期待される。
蝦名はオープン戦でなかなか結果が出せず、開幕1軍はならず。ファームでの成績は申し分ないので、あとは1軍で結果を出すだけ。やがて訪れるチャンスに備えたい。度会、梶原との争いになる勝又もファームで機会を窺い、大田もケガから復帰すれば1軍のチャンスがある。
内野手登録だが、最近は外野を守ることも多い井上は、他のルーキーに負けたくないだろう。ファームで結果を残し、同じステージに立ちたい。キャンプでA班に抜擢され、代走を含めて足のスペシャリストとして期待された村川も、支配下登録を狙う。
ソトがロッテへ移籍したが、外国人野手は新たに獲得しなかった。内野手に転向したオースティン頼みになるので、外野で一人獲得しても良いのではないかと思っていたが、実現せず。筒香がMLBジャイアンツを退団し、ベイスターズとしてはNPBへ戻って来るなら話をしたい意向を表明しているが、個人的には今年は戻って来ないと思っている。今年でMLB挑戦5年目になるが、5年くらいはきっちり勝負して来て欲しい。戻るならもちろん歓迎ではあるが。
ルーキー3人の活躍により、競争が激しくなった。その結果、野手の厚みは少し増した。だが、コアとなる4人、特にオースティンと宮崎がどれだけスタメンに名前を連ねるか次第で、チームの得点力は大きく左右されるだろう。だが、オープン戦で見せた盗塁成功率を始めとした走塁で、これまでとは異なるバリエーションで得点できる可能性も広がっており、石井コーチも手応えを掴んでいる様子。
新任のオフェンスチーフコーチである靏岡コーチの作戦と絡めて、欲しいところでの1点が取れるチームになれるか。投手以上に奮起し、チーム成績を押し上げて欲しい。
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