横浜DeNAベイスターズは10月23日、2024年シーズンのコーチングスタッフを発表した。昨年は11月1日だったので、少し早い発表となった。ファームの投手コーチは調整中となっている。既に報道の通り、オフェンスチーフとして靏岡コーチが就任。ファームは青山監督となる。引退した藤田一也は、ファームの育成野手コーチとして指導者の道を歩み始める。
攻撃、守備にチーフを置き分業に
軍 | 位置 | 2023年 | 2024年 | 年齢 | 背番 |
1 | 監督 | 三浦 大輔 | 三浦 大輔 | 50 | 81 |
1 | オフェンスチーフ | (新設) | 靏岡 賢二郎 | 36 | 72 |
1 | チーフ打撃兼走塁 | 石井 琢朗 | 石井 琢朗 | 53 | 75 |
1 | 打撃 | 鈴木 尚典 | 鈴木 尚典 | 51 | 77 |
1 | 打撃 | – | 田代 富雄 | 69 | 76 |
1 | ディフェンスチーフ 兼バッテリー | 相川 亮二 | 相川 亮二 | 47 | 80 |
1 | チーフ投手 | 齋藤 隆 | 大原 慎司 | 38 | 79 |
1 | 投手 | 木塚 敦志 | 小杉 陽太 | 38 | 94 |
1 | 投手補佐 | 大原 慎司 | – | ||
1 | 内野守備 | 田中 浩康 | 田中 浩康 | 41 | 97 |
1 | 外野守備 | 小池 正晃 | 小池 正晃 | 43 | 71 |
1 | 野手コーディネーター | (育成から変更) | 万永 貴司 | 51 | 82 |
2 | 監督 | 仁志 敏久 | 青山 道雄 | 64 | 83 |
2 | 打撃 | 嶋村 一輝 | 嶋村 一輝 | 42 | 84 |
2 | 打撃 | 下園 辰哉 | 下園 辰哉 | 39 | 70 |
2 | 投手 | 大家 友和 | (調整中) | ||
2 | 投手アシスタント | 小杉 陽太 | 東野 峻 | 37 | 87 |
2 | 内野守備走塁 | 永池 恭男 | 柳田 殖生 | 40 | 85 |
2 | 外野守備走塁 | 柳田 殖生 | 青山 道雄* | 64 | 83 |
2 | 外野守備走塁 アシスタント | – | 中井 大介 | 34 | 89 |
2 | バッテリー | 鶴岡 一成 | 鶴岡 一成 | 46 | 74 |
2 | 育成投手 | 八木 快 | 八木 快 | 33 | 86 |
2 | 育成打撃 | 大村 巌 | 大村 巌 | 54 | 90 |
2 | 育成野手 | 藤田 和男 | 藤田 一也 | 41 | 73 |
– | 巡回コーチ | 青山 道雄 | (廃止) | ||
– | 巡回打撃コーチ | 田代 富雄 | (廃止) |
相川コーチの2023年は作戦チーフ兼バッテリー
三浦監督が続投ということもあり、コーチの顔ぶれに大きな変更はない。1軍とファームでの配転のほか、アナリストを務めていた東野氏、中井氏がアシスタントコーチに就任し、引退した藤田一也が指導者として歩むことになる。
まず大きな変更として、2023年は作戦チーフとして三浦監督とともに攻守に渡って作戦を練って来た相川コーチが、ディフェンスチーフに変わる。そして新設のオフェンスチーフとして、捕手としてベイスターズでプレーした靏岡コーチが加わる。
靏岡コーチもアナリストからの配転。他の球団ではスコアラーという名称で、相手チームや自分のチームのデータを分析し、チームに提供する役割だが、ベイスターズではより分析をする能力を重視し、アナリストと呼称している。
IT企業であるDeNAとしても、このアナリストの分野は球団の特色にしたいようで、分析の専門家も含めて積極的に行っている印象。そのアナリストを経験した3名をコーチに配転したきたのは、よりコーチングや作戦の決定にデータ分析の結果をスムーズに取り込みたいというフロントの意志が見える。従来の方式にもそれぞれの良さがあると思うが、アナリストを経験したコーチがいれば、よりその分析を生かすことができる。
オフェンスに関してアナリストを入れて来たということは、球団としては2023年の攻撃に関する作戦で、三浦・相川体勢を刷新する必要があると判断したということ。相川コーチは、バッテリーコーチを兼務しているので、より守備側に特化することになる。
特に7月、得点力不足で優勝争いから脱落したが、攻撃に関しては靏岡コーチの加入と、田代コーチが打撃コーチに戻ったというだけでメンバーは代えていない。石井コーチも、「石の上にも三年」と言っているので、もう1年信頼して待ちたいと思う。
石井コーチが走塁コーチも兼務し、一塁ベースコーチになる。田中浩康、小池両コーチは守備に特化する。2022年は野手総合コーチで、2023年は打撃コーチに専念した石井コーチが再び兼務に戻る分、田代コーチが1軍打撃コーチに復帰。鈴木コーチも含めて左右のバランスは良くなった。3名のコーチで選手とコミュニケーションし、攻撃の作戦面は靏岡コーチと三浦監督が決めて行くことになりそうだ。
投手コーチは、今年の途中からブルペン担当として投手コーチ補佐を兼務していた大原コーチが、チーフに昇格。引き続きブルペンを中心に見る形だろうか。そして、小杉コーチが1軍の担当に変わる。去就が微妙な投手が多く、2024年にファームから投手を上げて来ることになれば、継続性の意味で小杉コーチが1軍にいた方が良い面もあるかも知れない。
昨年はファームで「野手育成コーディネーター兼野手コーチ」という肩書だった万永コーチは、1軍の担当となる。野手全般の方向性を付けて行く役割だろうか。三浦監督とは年齢もそうだが近い存在で来たので、1軍に携わることは良い作用があるかも知れない。
三浦監督も、自分自身も変わらなければいけないとコメントしていたが、主に野手、攻撃面で不足している部分を補うための陣容を意識していると思う。コーチ陣の若返りもあるが、三浦監督と密接に関わるオフェンス、ディフェンス、そして投手コーチは若いメンバーにして、三浦監督がリーダーシップを発揮し、支えるような形を作った。これで結果が出なければ三浦監督が責任を取るということで良いだろう。
田代コーチ、青山コーチは今年、巡回コーチをしていたが、廃止されることになった。少し曖昧になった部分があったのかも知れない。巡回コーチを廃止した分、ファームを青山監督とし、より三浦監督と密接なコミュニケーションができるようにした。
大家コーチが退団した投手コーチは調整中。球団内部での異動であれば発表できるはずなので、ここは外部からの招聘だろうか。小杉コーチが1軍に異動したので、アナリストからアシスタントコーチとして東野コーチが就任した。同様に、中井コーチも外野守備走塁アシスタントコーチに就任した。
そして、引退した藤田一也コーチが、新たに育成野手コーチに就任。ファームの若手に自身の技術や経験を伝えながら、プロ野球選手としての体作りに携わる。ここから指導者としての経験を積み、将来的に1軍のコーチや監督としてベイスターズの力になって欲しいと思う。
齋藤隆コーチ、木塚コーチらは配転
ファームの仁志監督、大家投手コーチは退団となったが、齋藤隆コーチ、木塚コーチ、永池コーチ、藤田和男コーチは、球団スタッフに転任することも発表された。就任する役割は不明。
木塚コーチは引退後、スカウトを務めている時期もあったが、長きに渡って投手コーチを務めている。どういう部門に配転となるか分からないが、アナリストを経験しておくと、今後のベイスターズでは良いのかも知れない。
齋藤隆コーチは、やはり体調面などもあったので現場ではなくフロントで、ということなのかも知れない。MLBの在籍や編成に携わる仕事もしていたということなので、そういった部分に関連する部門を担当するかも知れない。
1998年組として戻って来てもらって、2年で退団になるとしたら寂しいなと思っていたが、来年以降もベイスターズに携わってくれるようなので、安心した。経験豊富な人材なので、今後もベイスターズの力になってくれればと思う。
永池コーチも、現役を引退した楽天でコーチ、スカウトの経験があり、2019年にコーチとしてベイスターズに復帰している。ここで一度、ベイスターズの球団スタッフを経験するのが良いと判断されたのだろう。プロ未経験でブルペン捕手からコーチに就任した藤田和男コーチも同様に球団スタッフとして新たな経験を積むことになる。
アナリストとコーチの入れ替えで、よりデータを活用した根拠のある采配、作戦、育成が進んで行くはず。もちろん昔ながらの経験や受け継がれる教えも重要で、そこにデータ(数値)による見える化が加わることでより効率的、効果的な活動ができるようになれば、戦力をより引き上げることができるだろう。
関根が2600万円増で更改
メキシコのウィンターリーグに参加する関根が、2600万円増の6100万円で契約を更改した。今年はキャリアハイの140試合出場で初の規定打席に到達、昨年の51本を大幅に上回る126本のヒットを打った。前半は素晴らしい活躍でチームを牽引し、オールスターにも初出場した。
しかし、7月以降は大きく数字を落とし、年間を通して結果を出し続ける難しさを体感した。本人もその悔しさは大きいだろう。2019年は打率.038、2020年は1軍での出場がなかった。ここで戦力外になってもおかしくなかったが、三浦監督の就任が転機となり、出番を増やして来た。
大幅増と評価されたが、契約してくれるのはありがたいと語り、メキシコで再び成長し、来年は年間を通してチームに貢献することを誓う。
フェニックスリーグの休養日を利用して、ファームの選手も契約更改。松尾は、一度出場選手登録されたが出場なく登録を外れた。ファームでは104試合に出場し、打率.277、7本塁打、51打点。高卒ルーキー、しかもキャッチャーということを考えれば素晴らしい活躍だった。1,100万円の現状維持だが、来年は1軍デビューが期待される。その他、育成の渡辺、今野、草野、蓮も現状維持で更改した。
また、プエルトリコのウィンターリーグに参加する濵口は22日に更改。今年は開幕ローテーションに入りながら、3連敗で4月に登録抹消。8月のスターナイトでようやく今季初勝利を挙げた。昨年8勝を挙げ、今年は2桁を期待されていただけに、14試合で3勝7敗という成績は大きく裏切った。
900万円減の5,400万円となったが、来年は大きく取り返すような活躍を期待したい。本人もそのつもりで、プエルトリコでさらなる進化を模索する。来年こそ1年間ローテーションで回って欲しい。
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