2022年シーズンは、開幕から投高打低の状況が続いている。特にパ・リーグは、日本ハム以外はチーム防御率が2点台で、投手の防御率ランキングでも1点台の投手が6人いる。セ・リーグもトップの青柳が0点台をマークしている。佐々木朗希の完全試合を含めて、既にノーヒットノーランが3回達成されている。交流戦も例外なく投高打低となった。
いわゆる飛ばないボール以来の投高打低
2021年の交流戦は、1試合平均の1チームの得点が4.25点だった。つまり、全試合を平均すると4.25対4.25というスコアになるということ。2022年は大幅に減って3.3点。昨年に比べていかにロースコアの試合が多かったかが分かる。
ここで、2021年と2022年の成績を比較してみる。
21 | 22 | チーム | 21防 | 22防 | 21得 | 21失 | 22得 | 22失 |
5 | 1 | ヤクルト | 4.03 | 2.48 | 80 | 72 | 78 | 51 |
2 | 2 | 阪神 | 3.52 | 1.96 | 82 | 76 | 62 | 38 |
8 | 3 | ロッテ | 4.45 | 3.00 | 85 | 83 | 66 | 59 |
11 | 4 | ソフトバンク | 3.04 | 2.52 | 68 | 56 | 68 | 45 |
7 | 5 | 西武 | 4.73 | 2.60 | 87 | 90 | 69 | 55 |
3 | 6 | DeNA | 4.90 | 2.60 | 91 | 93 | 59 | 56 |
6 | 7 | 楽天 | 3.96 | 3.13 | 78 | 74 | 50 | 56 |
10 | 8 | 日本ハム | 3.42 | 3.47 | 61 | 70 | 69 | 66 |
1 | 9 | オリックス | 3.76 | 2.80 | 96 | 70 | 53 | 57 |
9 | 10 | 読売 | 3.84 | 4.10 | 72 | 71 | 61 | 78 |
4 | 11 | 中日 | 3.55 | 3.65 | 58 | 65 | 45 | 69 |
12 | 12 | 広島 | 5.00 | 4.38 | 60 | 98 | 33 | 83 |
得点が減っているので、当然防御率も大幅に低い数字になっている。18試合とは言え、阪神の1.96は驚異的な数字だ。2021年はソフトバンクが3.04をマークし、これがダントツの1位だったが、それよりも1点以上低い数字になっている。
2022年に下位だったチームはそれほど防御率を改善できていないが、上位のチームは大幅に改善している。特にDeNAは、4.90から2.60と半分近く数字が小さくなっている。
広島は開催が中止された2020年を除いて、3年連続の最下位と苦しんだ。特に得点は18試合で33点と、1試合平均で2点に満たなかった。交流戦前はセ・リーグトップの打率.261だったが、交流戦では.217と封じ込まれた。もともと今年はホームランが少ないチームだったが、交流戦では終盤まで1本も出ず、最後に2本がやっと出たという感じ。
DeNAにとっては、1勝8敗と苦しみ抜いている相手だけに、どうやってそんなに勝っているんだという感じ。特にDeNAが勝ち越したソフトバンクは、3試合合計で26-1というスコア。4試合だったら33-4を超えていたかも知れないほどだ。
個人成績に目を移しても、交流戦の防御率ランキングは、26イニング無失点だった日本ハムの加藤を筆頭に、0点台の投手が7人もいる。その中に、ノーヒットノーランを達成した今永と大貫も入っている。だが、18試合なのに規定投球回数に達したのがこの二人だけというのが、DeNAの苦しさを表している。
1点台までに16人が並んでいる。楽天の田中将は2.25をマークしているが3敗。高橋光成も2.70で同じく3敗。得点が少なくなっており、抑えても援護がないということも多かった。
とすると打撃成績は反比例することになりそう。現在、両リーグともに規定打席に到達している3割打者は3人ずつで、合わせて6人しかいない。だが、交流戦は18試合だけということもあり、19人が3割に到達した。交流戦前まで大不振だったオリックスの杉本が.391で打率トップに立った。
DeNAでは佐野が.333をマークし、シーズントータルの首位打者に躍り出た。また、関根が.298と素晴らしい結果を残した。一方、牧は.261とやはりこの期間は少し苦しんだ。
投手の球速が年々速くなっているとは言え、昨年から急激に変わったというわけでもない。ここまで顕著に出ていると、ボール変わってないよね?と疑いたくもなる。2011年、2012年に採用していた、飛ばないボールに近いものになっているような感覚だ。この傾向は、例年投手に疲れが出て来る7月以降の夏場も変わらないのだろうか。
ベイスターズは可もなく不可もなく
ちょうど5割だったベイスターズ。数字の通り5割を確保したとも言えるし、シーズントータルの借金を減らせなかったとも言える。全てのカードが2勝1敗で、波が少ない交流戦だった。
昨年、パ・リーグ全球団からホームランを放ったオースティンを欠き、大田、楠本ら故障者もいたことを考えれば、最低限5割を確保したことは評価できるだろうが、勝てた試合もあったという点で、詰めの甘さも出た。
今永がノーヒットノーランを達成するなど2勝を挙げ、大貫も0点台の防御率で2勝。京山も自身に勝ちは付かなかったが、先発した試合は2勝1敗と勝ち越し。濵口も交流戦でプロ入り初の黒星を喫したが、先発試合は2勝1敗だった。
一方で、開幕投手の東はファームでの再調整が続き不在。ロメロはKOを繰り返してファームでの再調整。上茶谷も一度、登録を抹消されての再昇格となったが、左足首を捻挫してしまった。
リリーフは、伊勢の好調が続き、クリスキーの好投が目立った。エスコバーも復調し、山崎も5Sを挙げた。三嶋が不在の中だったが、こちらは好材料が多かった。
交流戦前まで4.26だった防御率は、交流戦で2.60をマークしたことで3.75まで改善。まだセ・リーグではワーストだが、他のチームに近い水準になった。リーグ戦再開後も、この状況を維持し、打線の援護を待つ形を作りたい。
野手では、蝦名の台頭が大きかった。外野手はケガ人が連続する中、代打で結果を残し、チャンスを掴んだ。1軍経験が多くない若手が、代打の1打席で結果を残すというのは、非常に難しいことだが、監督に使ってみたいと思わせる内容を見せられた。他の若手も、ファームで結果を残しつつある細川も、こういった狭き門を潜り抜けて欲しい。
牧、宮崎がやや打率の面では苦戦した。そして、昨年は交流戦で打っていたソトが今年は苦しんだ。キャッチャーでレギュラーとして起用された嶺井も、バッティングに関しては下降していた。
印象的な良い面も見られた交流戦。ここからオールスターまでの戦いに、結果となって生きて来るかどうか。リーグ戦再開後は、それらをもっと勝利に結び付けたい。
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